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トラバント

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トラバント（Trabant）とは旧東ドイツ製の自動車である。

もしかして:
・トラバント（ファイアーエムブレム） - シミュレーションRPG「ファイアーエムブレム聖戦の系譜」の登場キャラクター
・チャイカ・トラバント - 榊一郎のライトノベル作品「棺姫のチャイカ」のヒロイン

概要

WW2後にドイツが東西分裂した際、ドイツ民主共和国によって旧アウトウニオン(アウディ)の工場で1958年から1991年まで製造された。戦前の自動車技術を用いて作られており、その基本を維持したまま東西ドイツ統一まで作られた。トラビ（Trabi）という愛称を持つ。

特徴

如何せん社会主義国家の自動車なので、競争相手が皆無であるので殆ど発展せずに作り続けられた。東ドイツには小型車のトラバント、それより少し大きい車で旧BMWの工場が作るヴァルトブルクがあったが、いずれも計画生産によるので競争しようがなかったのである。さしたる性能向上もなく、衝突安全性や低排ガス化は「何それ？食えんの？」といった具合だったので、かつて分かれた兄弟であるアウディとは統一までに埋められないほどの差がついた。そんなトラバントは

ラダーフレーム+FRP製ボディ
横置き直列2気筒2ストローク(混合給油)
エンジンの上に配置された燃料タンク(日本でナンバーが取れないのはだいたいこいつのせい)
コラムシフト4MT(フルノンシンクロ)
前輪駆動
4輪独立サスペンション
4輪ドラムブレーキ

というメカニズムを持ち、製造が開始された1950年代後半の車としては割りと標準的なものであった。問題は前述の通りほとんどメカニズム的な進化がなかったことである。当初500 ccだったエンジンが62年に600ccに拡大され、64年にボディのデザインが変更された程度である。70年代に西側諸国で大気汚染が問題視され、排ガス規制が敷かれるようになっても何ら改良が施されることはなかった。東西ドイツ統合後にようやく「トラバント1.1」という、VW製1.1リッター 4ストロークエンジンに換装され、足回りもそれに見合ったものに改良された魔改造近代化版が出るも、根本的な古さを隠せなくなった上に価格も高騰し、更には西ドイツ製の中古車の流入などで売れず、1991年にトラバントは33年の歴史の幕を下ろした。

東西統一後

東西統一後は明らかにネタとして面白がられていたトラバントだったが、意外にも本当にはまる人もいた。今でもドイツを中心としたヨーロッパには、トラバントのマニアがいるという。自動車としての向上のなさ(向上を求めるのは資本主義のブタの発想である)、性能の悪さ(高性能を求めるのは、唾棄すべきブルジョワの発想である)などを考えれば、自動車という工業製品としての価値が低いのは言うまでもない。しかし同じゲルマン民族が自動車を作っても、政治体制・経済体制が異なることで尋常ならざる差がつくことを世界中に知らしめたという点で、トラバントの産業遺産としての価値は大いにあると言える。

「ロシアの車みたいだろ？これでドイツ車なんだぜ…」

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