トレント・レズナーとは、米国インダストリアルロックの代表格、「ナインインチネイルズ」の創立者であり、代表者であり、優れた映像作家でもあり、まさに「天才」と呼ぶに相応しいミュージシャンのことである。
現在はアティカス・ロスと組んで事実上二人で活動し「ナインインチネイルズ」と名乗っている。
概要
トレント・レズナー(Trent Reznor):本名マイケル・トレント・レズナー
1965年5月17日米国ペンシルバニア州で生まれる。(2025年1月現在59歳:既婚者)
彼が5歳の時に両親が離婚。妹さんがいるがその妹さんとも離れ離れになり、トレントはその後母方の祖父母に引き取られたがとても可愛がられて育てて貰ったそうだ。祖父母からピアノやらトランペットやらサックスを与えられ、幼いトレント坊やは喘息の持病もあり、ほとんど外出も出来なかったがこれらの楽器のおかげで特に退屈もせず練習に励み、当時から特にピアノに関しては恐るべき才能を発揮していたという。祖父母が慈しみを持って育ててくれたおかげで、トレントはかなり幸せで恵まれた環境で育った。とかく悲惨な子供時代を送ってきたと言われる他のミュージャシャンの中ではかなり恵まれていた幼少期と言えるだろう。
成長するに従ってトレント少年の好みもはっきりしてきて、愛聴していたバンドはキッス・クィーン・ピンクフロイド等であったという(トレント曰く「田舎で育ったからおよそ最先端とは言えない音楽ばかり聴いていた」)他にはホラー映画等を好んで観ていたという。しかしこれらがのちのトレント・レズナーの音楽的立ち位置の「核」となっていることは間違いないであろう。
83年にアレゲニーカレッジに進学。ここでは電子工学とコンピューター工学と音楽を学んだ。同時に独学でプログラミングも習得した。しかしトレントはこの大学を1年で中退している。「ここでは自分の学びたいものがない」との理由だったそう。大学時代に音楽活動に目覚め、特にヒューマンリーグがお気に入りとなり数々のバンドに参加し、キーボードを担当したりした。しばらくしてオハイオ州に移ったトレントは楽器店でバイトをやりながらまた多くのバンドに関わることになる。トレントはのちのインタビューでこの楽器店でのバイトを「マジでクソだった。なんで俺がトイレにこびりついた他のアホバンドの奴の陰毛を掃除しなきゃんらねえんだという気持ちだった」と当時を振り返っている。しかしそんなアマチュアバンド活動の中でなんと映画「愛と栄光への日々」の劇中で「プロブレムズ」というバンド名でちょこっとだけ出演したりしている。・・・トレント・レズナーという人の音楽的才能が陽の目を見始めた時期とも言える。
そんな「クソみたいなバイト」をやりながらも彼の心の中では次第に(本格的にロックミュージシャンになりたい)という願望が芽生えてくる。そこで地元のスタジオの助手として働き始め、そのスタジオの所有者からその「未知数の才能」を見出され、スタジオを貸してもらい本格的に作詞作曲に励むようになる。そしてそこで生まれた人生初の曲が「Down in It」である。(1989年発表のNINのデビューアルバムPretty Hate Machineに収録される)
その後たくさんの楽曲を作り続け、自分で「ここが勝負かも」と考えたトレントは自らを「ナインインチネイルズ」と名付け、10社のレコード会社にデモテープを送り、その10社全てから契約したいとの返事を貰い、最終的にTVTレコーズというレーベルと契約を結ぶことになる。
その後の快進撃は「Nine Inch Nails」の大百科の項をお読みいただきたい。
トレント・レズナーという人は、非常にナイーブで傷つきやすく、とても脆い繊細すぎる性質の男である。そして同時に自分の矜持を守り抜き、そのためなら一切の妥協も赦さないという高潔な魂を持った男でもある。それは酒とドラッグを断ち切るために「生まれて初めて屈辱的で自分のプライドや尊厳を根こそぎ奪われた」と思うほどの苦しいリハビリプログラムに耐えてクリーンになったマッチョな激変した姿と、結婚をし子どもが5人いる今の精神的にも安定した健康的なトレントを見ればわかることである。過酷すぎる過去を持ち、自分を可愛がってくれた最愛のおばあちゃんが亡くなった時に作った曲が「The Fragile」に収録されているが、そこでトレントは「もう疲れた・・僕もそっちに行っていい?」と悲しすぎることを歌っているが、そんな絶望と痛みと心に大きな傷を抱えていても彼の才能は全く薄れることはなかった。というか、そういう苦痛を乗り越えたからこそその「破格の才能」は一度も失われず今なおその能力を発揮出来ているのだ。それはひとえにトレントが「強く生きることを選択してくれた」からに他ならない。他の才能あるミュージシャンがあらゆる理由で自死を選んで亡くなった事実を考えればこれは本当にファンとしてはトレント・レズナーという一人の天才がその才能を失わずに済んでいる事実に敬意と尊敬の念を持つしかないであろう。今、2025年現在も元気に音楽活動を続けてくれているトレントに、我々ファンは一生彼についていく覚悟を持つべきである。自分の才能がドラッグで消滅しかかっていたのに、彼は強い意思を持って自分の足で見事に復活したのだ。その事実を我々ファンはもっと深く考えるべきである。
自分の身に降り掛かるあらゆるダメージを最小限にとどめ、メンタルも壊さずに要領よく生きることの方が簡単だ。しかし自らの傷と痛みに死ぬまで対峙して馬鹿みたいにダメージを喰らいながら不器用に必死に「生」に喰らいつく・・・そのほうが遥かに苦しくて難しいがそういう生き方しか出来ない人間もいるのだ。そしてそれらの「傷の痛み」を自らの才能で押さえ込み、壮絶な過去を乗り越え、死ぬことより生きる選択をしたのが、まさにトレント・レズナーという心優しい一人の天才ミュージシャンなのだと思う。
(トレント・レズナーの経歴以外は編集人の個人的な感想なのであしからず)
関連動画
ありがたいことにニコ動ではNINの動画がたくさん上がっているのでここでは紹介しきれません
関連項目
Nine Inch Neils インダストリアル エレクトロニック、ノイズ、 アンビエント NothingRecords、How To Destroy Angels 、マリクイーン・マンディグ、 ジョニー・キャッシュ、デヴィッド・ボウイ、ソウル・ウィリアムズ、アメリカ合衆国、アティカス・ロス、ヌル・コーポレーション、映像クリエイター、映画音楽
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