トレヴ(Treve)とは、2010年生まれのフランス生まれ・フランス調教の元競走馬・現繁殖牝馬である。
最底辺の評価を下されながら、伝説の名馬に並ぶ実績を残したミス下剋上。
概要
父はモンジューの初年度産駒で無敗で英ダービーを制したMotivator、母は4戦1勝しただけだがTriptychの近親にあたるTreviseという血統。
とは言え、小柄な牝馬だったこと、近親は短距離GI馬Tamariskなど活躍馬こそいるものの兄弟にそこまでの活躍馬がいないこと、Motivatorの種牡馬評価が低いことなどもあって2万ユーロでも買い手がつかず、生産したケスネー牧場が馬主として所有し、代表のアレック・ヘッド元調教師の娘であるクリスティアーヌ師に預けて走らせることとなった。
しかし、走ってみると小柄なのがウソのようなパワフルかつバネの効いた走りを見せ、3連勝でディアヌ賞(仏オークス)を制覇。しかもコースレコードを1.6秒更新するというおまけ付きであった。
ここで凱旋門賞のみならずフランス競馬を強力バックアップするカタールの王族シェイク・ジョアンが牧場から高額で買い取り、騎手もフランスの名手であるティエリ・ジャルネ騎手からランフランコ・デットーリ騎手にスイッチ。
そうして迎えた凱旋門賞のプレップ・ヴェルメイユ賞でも古馬を軽々一蹴。10万ユーロの追加登録料を支払って凱旋門賞に臨むこととなった。
2013年凱旋門賞は、地元勢が割合強力だったが、それより脅威視されたのは日本の三冠馬とその年の日本ダービー馬という遠征勢2騎であった。
その2騎とは即ち、前年謎の逆噴射で2着に終わった、この年はフォワ賞を圧勝した金色の脅威オルフェーヴルと、前哨戦で英ダービー馬Ruler of the Worldやフランス勢の隠し玉Flintshire以下を下し評価を上げていたキズナ。
日本の競馬関係者・ファンが「今年こそやってくれる」と強烈な期待を込められる、もう今後無い可能性のある布陣を敷いてスピードシンボリ以来の夢の達成を目論んでいた。
その情勢下で、トレヴは2番人気を背負った。距離適性・コース経験も問題なく、何よりも斤量が軽くまだ底を見せていないという評価をされ、当年のジョッケクルブ賞(仏ダービー)馬Intello以上に評価された。鞍上は落馬負傷したデットーリ騎手に代わり、再びジャルネ騎手が跨った。
そうして迎えた凱旋門賞、フォルスストレートで外から上がっていくと直線はもう独壇場。前年圧倒的な瞬発力を見せたオルフェーヴルを、父のリベンジにやって来たキズナを、Intelloを圧倒的な瞬発力と持続力で歯牙にも掛けず圧勝。
無敗の5連勝で凱旋門賞を制覇、ついでに祖父同様欧州外からの脅威を退けフランスの金看板を守り抜いたのであった。おのれモンジュー!
なお、この年のカルティエ賞では年度代表馬・最優秀3歳牝馬を受賞している。
4歳になったトレヴは、この手の無敗馬には珍しく現役を続行。Alleged以来の凱旋門賞連覇を目指しガネー賞から始動するがここからが誤算の連続。
ガネー賞で8歳セン馬Cirrus des Aiglesに敗れての2着はまだよかったが、プリンスオブウェールズSでは同じ牝馬のThe FugueとBCターフ馬Magicianに敗れ3着と全く精彩を欠く。
デットーリ騎手が連敗に動揺していると見て取ったヘッド師は再び主戦騎手をジャルネ騎手にスイッチし、ヴェルメイユ賞をステップに凱旋門賞を目指すローテを構想するがそのヴェルメイユ賞でもスタートで後手を踏んで4着という有様。
それでも凱旋門賞に出走はしたが7番人気とすっかり人気を落とし、ハープスター・ジャスタウェイ・ゴールドシップの前年に比べると不安しかない日本馬三銃士にすら人気で負けるということになってしまった。
しかしこれが逆にジャルネ騎手に勝つための博打を打つ覚悟を決めさせたのか、ジャルネ騎手は最内インベタという馬群がバラけなかったらクソ騎乗の危険すらある策を取る。
これが見事にハマり、バラけた内から力強く抜け出し連覇達成。Alleged以来の偉業であり、フランス馬としては1951年Tantieme以来、牝馬としては1937年Corrida以来二頭目の達成となった。
Allez Franceに倣ったか、Ribot、Allegedを越える3連覇を目指し5歳になっても現役続行。圧勝圧勝また圧勝で凱旋門賞に絶対の一番人気で臨むも、あまりの絶好調と偉業へのプレッシャー、そして周囲のマークは厳しいものがあった。安全策を取って抜けだそうとするが、横ポツンを織り交ぜた破天荒すぎる積極策で前々に行ったこの年の英ダービー馬・暴れん坊Golden Hornを捉えることはかなわず4着に終わり、引退を表明。
今後は名牝Trillionから続く名血を、子孫につないでいくであろう。
思えば、彼女が連覇した2013・2014年は祖父がギリギリで下した日本馬が大挙してやって来ていたが、2015年は一頭もいなかった。
もしかすると、日本馬がいないと張り合いがなかったのかもしれない……。
血統表
Motivator 2002 鹿毛 |
Montjeu 1996 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Floripedes | Top Ville | ||
Toute Cy | |||
Out West 1994 黒鹿毛 |
Gone West | Mr. Prospector | |
Secrettame | |||
Chellingoua | Sharpen Up | ||
Uncommitted | |||
Trevise 2000 鹿毛 FNo.4-n |
Anabaa 1992 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
Pas de Nom | |||
Balbonella | *ゲイメセン | ||
Bamiered | |||
Trevillari 1987 鹿毛 |
Riverman | Never Bend | |
River Lady | |||
Trevilla | Lyphard | ||
Trillion |
クロス:Riverman 3×5(15.63%)、Northern Dancer 4×4×5(15.63%)
- 母Treviseは先述の通り4戦1勝、祖母Trevillariは13戦未勝利。ただし、Trevillariの全妹にはサンタラリ賞(仏GI)を勝ったTrebleが、甥にはスプリントカップ(英GI)を勝ったTamariskがいる。
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