ドクササコ(学名:Paralepistopsis acromelalga)とは、キシメジ科パラレピストプシス属の猛毒キノコである。旧学名はClitocybe acromelalga。
概要
秋に竹林や笹薮、広葉樹林などに群生し、主に近畿から東北にかけて分布していると言われている。日本特産だといわれているが、韓国にも分布するという説もある。北アフリカおよびヨーロッパには近縁種があり、同様の中毒を引き起こす。
外見は、傘は漏斗型に窪んでおり大きさは5~10cmで色は茶褐色で縁が内側に巻いており、ひだは黄褐色、柄は縦に裂けやすく中が空の場合もある。
類縁のカヤタケ属のカヤタケや、チチタケ属のアカハツなどの可食キノコと似ており誤食する事故が起こっている。
カヤタケはひだが白色、アカハツは肉がもろく、傷を付けると藍緑色の乳液を分泌するので、一応の区別はする事が出来る。
が、キノコ狩りの男以外ならこのようなキノコを見かけた時点でスルーするべきというかしろである。
因みに、見た目が地味・柄が縦に裂ける・香りが良い・虫が食べるなど可食キノコの迷信を覆している。
毒成分は、強中枢神経毒のアクロメリン酸、中枢神経毒のスチゾロビン酸やスチゾロビニン酸、クリチジン、異常アミノ酸、オピン類などである。特にアクロメリン酸とクリチジンは毒性が強いとされるが、発症のメカニズムは未だ不明な点が多い。
その毒性の症状は、大量に摂取してしまうと胃の違和感、吐き気、倦怠感、催涙、くしゃみ、
そして手足や鼻先、耳、陰茎など末端部の痺れ、灼熱感、腫張、激痛などの末端紅痛症である。
末端部の症状は摂取後6時間~一週間後から一ヶ月以上まで続き、6日~15日は痛みのピークとされている。激痛は治っても、手足の痺れは完全に治るまでは三ヶ月続く。また末端部だけではなく、顔面中央部や腹部にもこれらの症状が出るとされている。
後述にもあるが、治療法が分からず、更に長期に及ぶ先端部の激痛と言う変わった症状が潜伏期間をおいて出るという特異性のため、ドクササコの発生が多い新潟県や秋田県の一部では、このキノコによる症状と分かる前は秋の風土病とされていた。
激痛から逃れるため手足を長い間冷たい水に浸すなどの処置をすると皮膚や肉がふやけ、
そこからさらに感染症などを引き起こし、死亡してしまう例もある。
成人の場合、基本的には症状だけでは死に至らず、脳や肝臓などへの重篤な後遺症もないものの、その長い激痛(もちろん24時間続き、眠るに眠れない、歩くことすらままならなず、排尿すら苦痛、人が歩く風ですら疼痛)などの症状により、自殺や衰弱死などの例もある。
子供や老人の場合、強中枢神経毒のアクロメリン酸などによって死に至る可能性がある。
さらにあろうことか、現在もこれといった治療法がなく、血液透析などの症状を軽くする処置しかできない現状である。痛みについてはアスピリンは無効。麻薬指定される程非常に強力な鎮痛薬であるモルヒネですら効果不定であり、硬膜外神経ブロック(硬膜外腔への麻酔薬注入=麻酔薬を脊髄に直接かける荒技)でようやく効果が認められるレベルである。
これを、「死なずに済む」と考えるべきか、「死にたくても死ねない」「死んだほうがマシ」と考えるべきか、その辺は微妙なところである。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 7
- 0pt