『ドグラ・マグラ』とは、小説家・夢野久作の書いた幻魔怪奇探偵小説である。
概要
構想・執筆に10年以上をかけ、1935年に刊行。
なお発表の翌年に夢野は脳溢血により急死、本作が遺作である。
タイトルの意味は不明。
一応作中では、隠れキリシタンによるバテレンの呪術を意味する長崎地方の方言という事になっている。
探偵小説と銘打ちながら、その怪異な内容から小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』と合わせ、三大奇書のひとつに数えられる。これに竹本健治の『匣の中の失楽』を加え、四大奇書と呼ぶ向きもある。
本書を読んだものは、一度は精神に異常をきたすと言われている。
発行においてはケレン味ある装丁が行われるのが常で、現在でも入手可能な角川文庫版はレジに持って行くのを躊躇するようなきわどさとなっている。ちなみに表紙を手掛けたのは米倉斉加年。
現在は青空文庫で全文を無料で読むことが可能である。
意外な話だが、1988年に映画化されている。
映像化は不可能と言われていた本作だが、混迷を極める作品の解釈を一つに絞り、比較的解りやすくまとまっている。映像美に加えて正木博士を演じた二代目桂枝雀の怪演もあり、おおむね評価が高い。
その後2012年にCGアニメーション化され、OVAとして発表されたが、舞台が遥か未来の宇宙になっている。何というか、心の底からお察しください。
あらすじ
物語は「私」が病室で目覚めるところから始まる。
「私」には一切の記憶がなく、また自分の顔にも見覚えがない。
隣の病室には女が閉じ込められており、自分の事を「モヨ子」と呼び、壁越しに「私」の事を「お兄様」と呼んですすり泣き狂乱する。
「私」の失われた過去の記憶、そして過去に起こったらしい事件を巡り、二人の医師、若林博士と正木博士は滔々と語り始めるのだった。
「胎児の夢」とは?そして「狂人の解放治療」とは?
全ては狂人である主人公の視点から語られ、全体のあらすじを描くことは到底不可能である。
特に後半では、本当に起きた出来事なのか自分の頭がオカシイのか判別できない箇所も多い。
結局、巻頭歌がこの本の全てなのかも知れない。
- …………ブウウ――――ンンン――――ンンンン…………という時計の音で始まり、また終わる。
- お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様ァー!
- 作中に「ドグラ・マグラ」という本が登場し、医学博士がそのあらすじを語る。
- チャカポコチャカポコとリズムを取りながら延々と歌う「キチガイ地獄外道祭文」
- 心理遺伝を誘発する屍体の絵巻物……etc
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関連項目
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- 0pt
- ページ番号: 635441
- リビジョン番号: 2931305
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