ドヤ顔ダブルシールドとは、両手に盾を持ち、誇る姿である。
概要
頑強な盾を左右の腕に持てば2倍、相応しい体術によって100倍、誰も傷を付けられぬ鉄壁!ゆえに無敵!
……という発想に基づいた両手に盾を構えた姿のことを指す。
フィクション作品で頻繁に見られ、そのキャラクターの頑強さを一目で分からせる効能がある。
言葉としての初出は「アーマード・コア ヴァーディクトデイ」の生放送と思われるが、フィクション作品での武装としての出典はもっと昔からある。
一応、盾の定義は色々あるので、此処では「手に保持して扱う防護用の板」に限定する。
問1:両手に盾は理にかなっているか
はっきり言おう、記事名から察してもらえると思うが現実での有用性は低い。
手持ち武具としての側面から見ると、両手が盾であるということは攻撃する能力が低いことがわかる。
武器として扱うと考えれば構造として大きな板なので重量は勿論風の抵抗も受け易く取り回しが悪い。要求される筋力も大きいくせに、剣や槌といった遠心力を利用して威力を上げたり、槍のように圧力を一点集中させて貫通力を増したりできない。
というか盾そのものが武器としての活用を想定していない武具なので、同じ重量ならば武器としてのスペシャリスト武具達に劣ることは明確である。
では防御力に関してはどうかというと、両手に持つ必要は無いだろう。
人間の視野は一点に集中する関係から、複数方向からの攻撃への対処は困難である。それは盾が複数あっても同じ。要約すれば盾は沢山合っても目や脳がそれについてゆけないのである。
(同じ理由で照準の際に目を使う武器である銃においても二挺持ち(アキンボ)では命中率がガタ落ちして単なるケレン味にしかならないとされている。)
何より盾が構えられていないところへの攻撃が来たら防げないという根本的な問題の解決が出来ていない。それを実現するなら両手といわず、全身に盾を付ける……ならば鎧を装着するのと大差がなく、敢えて両手に盾を持つ必要はなくなるのだ。
更に言えば盾を貫通するほどの攻撃に対する対処は不可能となる。 それほどの威力に耐える盾は当然重く、大型となり、おおよそ片手で持てる物ではなくなってくるし、その究極として現代では手持ちしない盾である「戦車」が登場しているのは周知である。
最期に戦術的な観点まで俯瞰した否定をしたい。
戦いに勝つためには攻撃してくる相手を無力化し、「これ以上攻撃できないようにする」ということにある。そのために取れる作戦は大雑把に『やられる前にやる』か『やられたらやり返す』のどちらかである。
やられる前にやるならば、相手に攻撃させていないので盾である必要がない。一番の盾を否定した戦術である。
では後者はどうかというと、前述の通り攻撃力に関しては攻めのプロフェッショナルである品に劣る。相手は当然そのプロフェッショナルに対策するよう守りを固めてきているので、盾では決定打になることは少ない。
そうして敵を逃せばもう一度相手の攻めが来るわけで、結局状況が好転する可能性も少なくなってしまう。
つまるところ、相手をワンパンチでKOできる可能性がないという1点で完全防御にはほど遠いのだ。
完全な防御、完封勝利はよほど相手が弱いときにしか成立しない。仮に完全防御を実現できる実力があるならその技術の何割かを攻撃に配分すればもっとリスクの低い戦いができるというまさに努力の方向音痴ならぬ「膂力の方向音痴」の体をなしてしまう。
「攻撃は最大の防御」と偉い人は金言を残した訳ですが、やはり正しいわけであります。
問2:有効な両手盾とは
現実的な側面から十分貶し終えたので、今度はフィクションでドヤ顔をしているのが決して単なるアホ面ではないことについて議論してゆきたい。
両手に盾を持つことを肯定しないことにはドヤ顔しているキャラクターが笑いを通り越してかわいそうである。
盾じゃない
「盾のように見えて実は武器」という場合に成立する両手盾。
例えば精密照準を必要としない銃砲であるなど、盾のような構造をしつつも相手を一撃でKOできる機能を持つものであるならば両手に盾を持つことも有用性があると考えられる。
史実では「デュエリング・シールド」という縦長の板の先端に剣がついた『盾のような形状の槍』の運用法を描いた武術教本が存在する。戦争に不向きだったので専ら決闘用だったが。
ロボット作品では盾の裏面に武器を内蔵したり、単なる装甲板とは異なるものであるという演出も多い。
防御力ではなく、実は攻撃力を重視していました という演出にもってこいであるといえる。
腕以外でも攻撃できる
こちらも主にロボット作品や人外のキャラクターでよくあるパターン。通常の腕以外にも武装があるから問題なく攻撃ができるのである。
“腕が増える”だけでは前述の「盾は一つで十分」論に弱いのでそのあたりの説得力があるなにかがあるとなかなかドヤ顔が映える。
攻撃しない
相手を無力化する役目を他人に完全依存することで、両手盾を持つ者が完全に囮になり、味方の被害の多くを盾で受ける方向性。現実的に考えると頑強な盾で増える重量と囮を担えるほどの移動力の両立が困難なので実践的とは言い難い。
だが、ゲームならばこそといえるが、両手盾による防御力ボーナスでチームメンバーの安全を確保する戦術が割とよく見かけることができる。一定の閾値を下回ると攻撃の有効性がガタ落ちするようなゲームであるほどその効果は高い。
盾の防御部位以外を突かれて防御力を発揮できずに終わってしまったり、攻撃が出来ないため無視されてて戦場の空気となり得るというのが総評だが、安易に空気にならないなんらかの前提があれば有用性があると言える。
盾と体術を併せた新しい武道
防御と攻撃の両立や、目や脳の限界を武術的な何かで解決しようと言う考え方。
現実では武術的発展の中で攻撃要員としては取り残されたわけだが、二刀流の考えを盾で実践するという発想もフィクションでは見られる。
先述した二挺拳銃も「ガンカタ」によって一躍アクション映画の目玉となったように、盾だって扱いこなせば強力だろうという考え方があってもおかしくはない。
だいたいが普通に素手になるか、洗練された"武器"を持つべきだと言うツッコミが絶えない方向性であるが……
フィクションにおける両手盾
以下の項目では、「両手に盾を装備している者がいるフィクション作品」について述べる。
アーマード・コア ヴァーディクトデイ
AC2からACLRまで登場していた武器種・シールド(盾)は左腕専用装備だったのでダブルシールドは実現できず、肝心の防御性能も「装備中かつ盾パーツへの被弾時のみダメージを軽減する」という微妙なものだったので産廃(実用性の低いパーツ)扱いされていた。
しかし、本作ではシールドの仕様が一新。両腕部へのシールド装備が可能になったうえ、「独自の防御属性と耐久力(AP)を持ち、破壊されるまで被弾時のダメージを肩代わりする」形に変更された為、実用性が高まった。当然ダブルシールド装備中は腕部武装が使えなくなるが、肩部武装やブーストチャージ(格闘)は使えるので攻撃は可能である。
ストーリーミッション07-8に登場する敵機「アイギス」はダブルシールド装備の重装甲ACであり、二属性のシールドを構えながら肩部垂直ミサイルで攻撃してくる。しかも同時に出現する高火力のガチタンAC「アイアンローズ」を庇いながら立ち回る為、アイギスのシールドに手間取っていると後方からの砲撃に撃ち抜かれてしまう。逆にアイアンローズを攻めるとアイギスがブーストチャージを仕掛けてくるなど、両者の防御力を活かした連携攻撃を仕掛けてくる為、難敵の一人として知られている。
ファイナルファンタジーIII
武器二刀流の超火力にばかり目が行きがちだが、実は盾二刀流が可能。 といっても完全に攻撃を捨てることになるうえに、そこまでして物理攻撃を防ぐべき敵がほとんどいないので実用性は微妙。
戦闘中でも装備変更は可能だが、FC版では悪名高いバグ「ウィンドウイレース」の問題がつきまとう。
ドラゴンクエスト5
両手に盾を持つカバ面の獣人のモンスター、「シールドヒッポ」という敵が登場している。
リメイク版では、この盾ブーメランよろしく相手に投げつけたうえに見事に回収するというアニメーションがついた。
それなんてキャプテンアメリカ?
エクスペリエンス(チームラ)製DRPG
『ウィザードリィエクス(同2)』『円卓の生徒』では、スキル「限定解除二刀流(円卓では「真・二刀流」)」を習得すると、両手持ち武器を片手で扱えるようになるとともに、盾をメインハンド側に装備できるようになる。
ここのメーカーの作品では防具の堅牢具合が盾>鎧>その他となっており、盾を1枚装備するだけでかなり固くなれる。盾二刀流時にはさらに固くなれるのは言うまでもない。
終盤では敵の物理攻撃が苛烈極まるので、盾役に盾二刀流をさせたうえで味方をかばうスキル「献身(円卓では「ディボーション」)」を使わせて耐えるのが基本戦術となる。
攻撃に回りたい場合もターン消費なしで装備変更ができる親切設計となっているので、攻撃用武器に持ち替えた後ぶん殴ればよい。
また、いくつかの作品では「名称・性能はどう見ても『盾』なのだが、攻撃力が設定されていて物理攻撃に用いることができる」品も登場している。
エルシャダイ
神の英知或いは武器の一つ「ベイル」がこれではないかと言われている。
防御形態では合体させて一つの大きな盾となるが、防御を解くと瞬時に変形し、両手に装備する一対の打撃武器に変形する。非戦闘時の形態も打撃武器状態。
三種類登場する武器は三竦みの関係性になっているが、戦闘特化のベイルは機動力に劣り、普段のアクションで使用する機会は少ない。しかし、ガードが他の比ではないレベルに強力であり、元々敵の武器を奪うことでそれを利用しつつ敵を弱体化させるのが基本であるため、出番は多く、うまく使いこなせばスタイリッシュ折り紙の通称に恥じない戦いができるだろう。
THEビッグオー
本作の主役メカ「ビッグオー」は上腕部にシールドらしき装甲板を備えており、両腕をボクシングのピーカブースタイルのごとく構える事で上半身全体を防護する事が可能。この両腕シールドで敵の攻撃をガードしながら接近し、格闘戦に持ち込むのがビッグオーの主戦術である。
その防御力は高く、ガードを崩せたのはラスボスのみ。シールドが損傷を受けた事も2回程度しかない。
関連動画
サムネドヤ顔ダブルシールド
関連商品
└(´・ー・)┘.
/ ドヤァ \
関連コミュニティ
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関連項目
- アーマード・コア ヴァーディクトデイ ←両手盾が割と有用なロボットゲーム
- ブレイブリーデフォルト ←同じく両手盾が有効なRPG。味方の被害を一身に受ける上で重要。
- ファイナルファンタジーXI ←「メイン盾」の用語を生んだ作品でも有名となった(ネタ的・実用的な意味で)
- ガンダムビルドファイターズ ←ギャンの改造ガンプラ、ギャンギャギャンが見事なドヤ顔ダブルシールドを披露
- エルシャダイ
- ベイル ←通称「スタイリッシュ折り紙」だ。奪ってみるといい。
- THEビッグオー ←主役ロボがダブルシールド装備
- 栄えある語源↓
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