ドラコルルとは、大長編ドラえもん『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』および、そのリメイク作『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』に登場するキャラクターである。
ファンからの異名は「大長編ドラえもん史上最弱にして最強の悪役」。
概要
軍事クーデターを起こして惑星ピリカの独裁者となったギルモア将軍の腹心。
情報機関PCIAの長官であり、惑星外へと逃亡したパピ大統領の追跡を命じられている。
パピはドラコルルに「ドラコルルよ。きみが一度でも約束を守ったことがあるか?」「ぼくが一度でもウソをついたことがあるか?」と名指しで語りかけたことがあり、ドラコルルもこれらの言葉を認めている。そのためパピとは以前から一定以上の面識があった様子である。
またパピはドラコルルのことを評して「狡くて抜け目のない性格」と評しており、頭脳明晰さと狡猾さが特徴的な、ドラえもんではかなり珍しいタイプの悪役。
史上最強の悪役たる所以
ドラえもんのひみつ道具は非常に強力であるため、大長編ドラえもんの各作品では四次元ポケットが不調を起こすなり、なんらかの事情でドラえもんが自由にひみつ道具が使えなくなってしまうなどの制約を受けてしまうことも多い。そしかしこの「宇宙小戦争」ではそういった制約が存在せず、自由にひみつ道具を使用している。
にもかかわらず、ドラコルルは情報機関の知恵と経験と組織力でもって互角以上に対抗してくるのである。
パピを捕縛するために地球へと赴いたときは、ひみつ道具のことに関する知識がなかったため、ひみつ道具で兵器化していた戦車型ラジコンと同じものを作っているスネ夫のことを兵器開発者と勘違いするなどお茶目な部分を見せたが、情報蒐集の重要性を意識して大量の小型探索機械をバラまき、うちひとつをパピと関係があると睨んでいたジャイアンのポケットに忍ばせてパピの隠れ家を掴む(正確にはポケットに忍ばせたのは部下の独断だが、ドラコルルは速攻で追認して部下の出世を確約する)
早速パピの身柄を確保するべく隠れ家に強襲するが、運悪くすれ違いとなっており隠れ家には静香しかいなかったので、彼女を人質としてパピを釣り出すことを計画。またその際に、隠れ家においてあったスモールライトを発見し、今までの現象から地球人が体の大きさを変えている道具であるとわかっていたため、ついでに強奪してドラえもんたちを自分たちとそう変わらない体格で固定化することに成功。
パピをピリカに連れ戻して処刑する手筈を整えたドラコルルに残っている仕事は、惑星ピリカの首都と小惑星群に潜伏していると思われるパピ派の勢力、自由同盟の摘発であった。どちらも詳細なアジトの位置がわかっていなかったため、いくつかの無人戦闘艦に小惑星群を探索させるとともに首都において地道な捜査を行なっていた。
そこに無人戦闘艦のひとつが自由同盟(ドラえもんたち)に破壊される事態が発生。しかしこれを想定していたドラコルルは無人戦闘艦に大量の吸着式発信器を満載させており、爆散した発信器のひとつから小惑星群にある自由同盟のアジトの位置と近々本星の支部と連絡をとって決戦に及ぶ予定という情報を発信器からの盗聴で把握。
即座にドラコルルはギルモア将軍に報告。ギルモアは早速軍を差し向けて小惑星群の自由同盟のアジトを滅ぼそうとしたが、ドラコルルはしばらく泳がせておくべきと助言。曰く、まもなく決戦を行うつもりで、首都内の自由同盟のアジトに連絡役を送るのだから、それを追跡して首都のアジトも掴めば完全に自由同盟を一網打尽にできるという判断によるものであった。
惑星ピリカに潜入する際に、普通に行ったら見つかるということから、ドラえもんたちは隕石を装ってピリカの地上にまで一気に突入する作戦をとった。しかしこれを予期していたドラコルルは隕石なら地震が起きるはずだが、起きないということは偽装である可能性が高いと判断。徹底的に落下地点を捜索させ、地中に埋めてあった戦車型ラジコンを鹵獲、技術部に分析を行わせた。
戦車型ラジコンを発見したことによって、ドラえもんたちが惑星ピリカ内にすでに潜入していることを把握し、監視体制を厳格化し、ドラえもんたちを発見する。しかしドラコルルの目的は首都内のアジトを発見し、摘発することにあるため、気づいていない風を装い、ドラえもんたちがアジトにたどり着くまで何らアクションを起こさずに監視を継続し、アジトの位置を把握する軍隊を出動させて一斉摘発を行い、成功した。
あとは小惑星群のアジトにも空軍を派遣して自由同盟は完全に葬り去ることができるとドラコルルはギルモアに進言。しかしギルモアは人間は信用できないと、無人戦闘艦隊を送り込むことを決定。通信が切れたあと「自分の不人気ぶりをよーくご存知だ」とシニカルな態度をとっていた。
だが、小惑星群に残っていた靜香とスネ夫が戦車型ラジコンに乗り込んで無人戦闘艦隊を撃破。そのままドラえもんたちを救出するために惑星ピリカへと向かったため、ドラコルルは対策を練る必要が生じた。地球人たちの兵器は動力部になぜかアンテナがついているという技術部からの報告を受けたドラコルルは、地球でみかけた普通のラジコンを連想し、アンテナを壊せば操縦不能に陥るのでは?と推察。その推察は見事的中し、海軍の奇襲で戦車型ラジコンのアンテナを壊され、二人は海のそこへと沈んでいった。
ちょうどその頃、首都ではドラえもんたちは処刑直前であり、まさに絶体絶命の状況に陥っていたのであった。事実上の完全勝利である。
史上最弱の悪役たる所以
上記項目でドラコルルの知恵者ぶり、最強たる所以は十二分に伝わったことであろう。
史上最弱の悪役とも評されているのはなぜかというと、上記項目ではあえて隠しているが、ドラコルルはもとよりピリカ星人は、地球人から見たら小人なのである。平均身長が5cmほどしかないので、最初から勝ち目がないのだ。
無論、ドラコルルもだからこそドラえもんたちの体が小さくなっている時にスモールライトを強奪して、元の大きさに戻ることがないよう対処していたのだが、スモールライトの効き目が切れるという事態をドラえもんたちすら想定していなかったため、処刑寸前で効力が切れてしまい、圧倒的体格差の前に敗北したのである。
これにはドラコルルも「スモールライトはこっちの手にあるはずなんだが……」と困惑(原作漫画ではそれでも冷静に軍隊に命令を出して迎撃の指揮をとっていた)していたが、一応宇宙戦艦に乗り込んで地球人たちに反撃を試みる。
が、地球人のからすれば、その戦艦の主砲ビームは「当たり続けたら火傷する」程度だったため、ジャイアンにぶん殴られて機能停止した。
宇宙小戦争2021におけるドラコルル
リメイク版においてもパピを追いかける情報機関PCIAの長官として登場するが、シニカルで狡賢く飄々としていた旧作とは異なり、冷静沈着で仕事人気質な切れ者といった雰囲気のキャラとなっている。
旧作の展開をなぞる形で静香を人質としてパピを釣り出すこと画策するが、途中でドラえもんたちに介入されて、パピの身柄を確保することに失敗。パピの協力者を甘く見ていたことが失態だったとし、次の作戦を立てようとするが、ギルモア将軍からの帰還命令が届いた為、パピの姉ピイナの存在を使って脅しをかけただけで地球から撤退する。
姉の身の安全の為に出頭してきたパピの身柄をギルモア将軍が確保すると、自由同盟の内部不和や民心の離反を狙い、さもパピ自身が望んで自分たちクーデター勢力と合流したかのようなプロパガンダ報道を流す。
その後、ドラえもんたちがピリカ星に潜入する際、旧作同様に隕石を装ってピリカ星に一気に突入する作戦をとり、さらに隕石の激突による衝撃を誤魔化す為に地面スレスレで戦車の主砲を地面に向けて撃つということまでやってのけたが、隕石の勢いに比して衝撃が小さすぎるという情報から偽装である可能性が高いと判断。徹底的に落下地点を捜索させ、地球人たちがピリカ星に侵入した足跡を確認する(ノベライズ版によるとこの時に戦車も発見したようだが、映画版では省略されている)。
しかしドラえもんたちは片付けラッカーで姿を消していた為、彼らの姿をPCIAは確認することができず、「煙のように消えるわけがないだろう!」と怒鳴る副官を尻目に、地球でスモールライトを始めとするひみつ道具に触れていたこともあってドラコルルは姿を消すくらいならできるかもしれないと考察し、これだけ捜索しても姿が見つからないことと時間経過をあわせて既に首都のピリポリスに入っていてもおかしくはないと判断し、首都の監視体制を厳格化させ、見事ドラえもんたちの姿を確認し、自由同盟のピリポリス秘密基地の位置を特定。部隊を基地に突入させ、レジスタンスを一斉検挙する。
一斉検挙から逃げ延びていたドラえもんたちはスモールライトがPCIAの本部にあるという情報を自由同盟から提供されいていた為、自分たちだけでも対抗しようと石ころ帽子をかぶってPCIA本部に潜入。スモールライトのすぐ近くにまで迫ったが、そもそもスモールライトの在り処の情報を漏らしたのはワザとであり、PICA本部に張り巡らしていたドラコルルの罠にまんまとはまってしまう形となった。
捕らえたレジスタンスに対する尋問の結果、小衛星帯にある自由同盟の本拠地の位置が特定できた旨をギルモア将軍に通信で報告。無人戦闘艇を出撃させろという将軍の命令を特に何も言わず受領した。通信が切れた後、副官が躊躇いがちに「空軍の主力を差し向けた方が」と進言するが「将軍は恐れておいでなのだ」とドラコルルは却下。兵の犠牲をかと訝る副官を適当にはぐらかして一人になった後「将軍が恐れているのは反乱だ。我々とて信じてはいまい」と上司への反感を漏らした。
無人戦闘艇の攻撃が地球戦車の装甲を貫けず戦闘で全滅したと報告が入った際、「将軍にはまだ戦闘中だと報告しろ。俺に考えがある」と語り、いくら装甲が固かろうが電気系がイかれてしまえば役に立つまいと推測し(ノベライズ版では前途の時に鹵獲した戦車を調べての裏付けがある)、ピリカ本星へと突入してきたスネ夫と静香の二人を、海軍を動員して電磁パルスミサイルで彼らの操る戦車を操縦不能にし、海に沈めた。
戴冠式では警備担当並びに式典の進行役として登場し、ピリカ全土に生放送されるギルモアの皇帝即位を祝う演説をする予定のパピを見守っていたが、パピが予定とは異なりギルモアを独裁者として弾劾し始める演説をしだしたのですぐさま放送を止めさせたが、時既に遅く民衆にパピの真意が伝わってしまう。恥をかかされたと激怒したギルモアの処刑命令に従い、パピの身柄を拘束し、捕らえているドラえもんたちも処刑場へと連行した。
そして処刑しようという時になってひっきりなしに兵士たちから「民衆暴動が起きた」や「海から巨人がやってきた」などの報告と指示を求められて対応していたが、あまりにも連続したために「少しは自分で判断できないのか!?」と思わず取り乱した発言をしてしまう。さらにスモールライトの効き目がきれてドラえもんたちも元の大きさに戻り出すと、動揺する軍人たちを叱咤して反撃させて時間稼ぎをさせている間にギルモア将軍を保護し、軍用ヘリで危地を脱する。
その後宇宙戦艦に乗り込み、ピリカ人からすれば巨人サイズになっているドラえもんたちとの最終決戦に挑む。本作での宇宙戦艦は「地球人に対してもそれなりに脅威な火力」を有しており、無人兵器を駆使してドラえもんたちと距離を取りながら善戦していたが、無人兵器を逆用しての遠距離攻撃をされ、さらにジャイアンに戦艦に飛び乗られて海に叩き落される。
敗北を悟ったドラコルルは出てこいと叫ぶジャイアンに従い自ら戦艦から退艦。なお抵抗しようとする副官を「やめろ。我々は負けたのだ」と諭して諦めさせ、「私はいいから部下の安全を保障してくれ」と言い、ドラえもんに認められる。
そしてギルモア将軍の居場所を問われ「空港だ。だが、どうせ逃げられはすまい」と上司の辿る未来を示唆して物語から退場した。
関連静画
関連項目
- ドラえもん のび太の宇宙小戦争
- ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
- ドラえもんの関連項目一覧
- CIA - PCIAのモデル
以下は2022年3月21日現在時点でニコニコ大百科に記事が無いか、無関係のキャラクターの記事となっている。
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