『ドラゴンボールAF』とは、以下のことを表す。
1.1999年頃からドラゴンボールGTの続編?という肩書きの都市伝説。本稿で解説する。
2.上記の情報を元に2006年4月より発表されている同人漫画。→詳しくはドラゴンボールAF(トイブル版)を参照
概要(?)
『ドラゴンボールGT』の終了後、アメリカで作られたドラゴンボールの続編があった。それが『ドラゴンボールAF』である。
この作品では孫悟空が超サイヤ人5になり、ベジータが超サイヤ人3になり、孫悟飯が超サイヤ人4になる。悟空の息子(場合によっては母親は西の界王神)という設定のザイコー(Xicor)なる新たな敵が現れる。超サイヤ人10とか12とかどんどん増える。
これはもちろん公式に作られたものではなく、同人誌で発表された。
……と言われることが多かった。日本では。
当のアメリカではどうかというと、『AF』は日本で作られた続編だと思われていた。
それも同人誌ではなく公式のものだと思っている人も少なくなかったようだ。
『ドラゴンボールAF』の実物はどちらの国にも存在しなかった。『AF』とは言語の壁が広げた幻想である。
『AF』のものと言われる各種画像も、大半は実体のない『AF』を想像して(あるいはでっちあげようとして)描かれた単なるファンアートやコラ画像でしかない。
『ドラゴンボールAF』とは何なのか
ドラゴンボールの続編の噂は97年には既にあったらしい(『ドラゴンボールGT』放送中)。
「超サイヤ人5孫悟空」として有名な画像は噂の初期、90年代末にインターネット上で広まっていたという。
このイラストは、コラージュやトレス等ではなく、どうやらオリジナルであり、画風も割と公式を思わせるものだった。しかも見たところ「紙に印刷された絵のスキャン」のようで、右下には『DRAGON BALL AF』のロゴがあった。
これを見た海外ファンは『AF』というタイトルの「ドージンシ」等があると考えたようだ。もしくは公式画像だと考えたかもしれない。
だが画像の載った「同人誌(?)」の実在は長年確認されることはなく、どの国の誰が何のためにこの絵を描いたのか、そもそもこれは「超サイヤ人5」として描かれたものなのか、全ては謎に包まれていた。
この画像の正体は2012年にようやく判明した。詳しくは後述。
『AF』のストーリー
『AF』は都市伝説のようなものであり、全193話(?)あるというエピソードリストは見つかるが、中身はだいたい空っぽで、稀に中身があるものについてもザイコー編33話までのテキストしかない。
そもそもザイコーの名前が『AF』界隈に出てきたのは古くても2002年頃、有名になったのは2004年以降とのことで、『AF』自体はもっと前から存在しているので、このストーリーもどれが「本物」というわけではない。
『AF』の意味
『AF』の意味はわかっておらず、「After Future」や「April Fool」の略だと言われていた。
なおエイプリルフール説については、それを行ったウェブサイトなり同人作家なりに関する情報が全く残っていない。
ちなみに、2004年には海外の有名サイトが本当にエイプリルフールでAF情報を流したのだが、これも『AF』画像が広まっていることを踏まえたジョークであり、断じて『AF』の元凶ではない。ただし、かえって誤解を広めたという側面も否定できないらしい。
後述するが、どうも原意は「Alternative Future」だった模様。
AFの実体化
2004年初頭あたり?日本でも広く紹介されたせいもあってか、2006年になって同人誌・ウェブサイトで漫画を描く人が現れた。作者は日本人であるが、海外でも高い知名度を誇っている。
もちろん、この漫画も原作ではないので注意。内容は部分的に先述の「ザイコー編」を踏襲しているが、大部分はオリジナル展開であり、そのために評価が高い。
2014年現在も継続中。
(現在は他にも国内で『AF』同人誌を執筆している方が多数いるそうです。)
『AF』の起源判明
2012年になって、「超サイヤ人5」画像の出所が突然判明した。
この絵が1999年のスペインのゲーム雑誌に載った読者投稿イラストであることを覚えていたスペインのファンがいたのである。
さらに作者とのコンタクトが行われ、間違いなく作者本人であることが確認され、いくつかの疑問点も判明に至る。
この画像は悟空として描かれたものではなく、作者の創作したオリジナルサイヤ人TABLOS(タブロス)であった。
また、作者のブログは「Alternative Future」と題しており、「AF」の元々の意味も同時に判明したようである。
- Dragon Ball AF Origin Revealed | The Dao of Dragon Ball:(英語。この件について調査した記事)
- 画像の作者本人のウェブサイト(英語とスペイン語)
- 今明かされる「ドラゴンボールAF」の起源と“超サイヤ人5”の正体(この件を国内で紹介したブログ)
『ドラゴンボールAF』はジョークなどではなく、実在していた。
しかし、それはファンたちによって作り上げられた『AF』像とは違うものだったのである。
ファン創作としての『ドラゴンボールAF』は、既に実体化している。
こうして起源が判明したことで、今さら超サイヤ人5像が変化することもないだろうし、その必要もないが、多少は影響が出てくる可能性もあるかもしれない。
そして公式へ……
海外では『AF』の存在はかなり広まっていたようで、北米公式サイトのFAQで言及されたりしたそうである。
日本では基本的には触れられていないが(当記事の掲示板情報によると『Vジャンプ』で少し言及があったらしい)、近年の『ドラゴンボール』の展開は時として『AF』を思い出させるものがある。
古くはゲーム『ドラゴンボールZ2』に登場した「ヤムチャと天津飯のフュージョン」などは、『AF』で同様の画像が出回っていた。ヤム飯の唯一の出演作品『ドラゴンボールZ2』は他にも魔人ブウが様々なキャラを吸収する形態があり、『AF』と似た発想が感じられるが、時期的にどちらが先か、どちらかが影響を受けたものかは不明。
その後しばらくオリジナル変身はなりを潜めていたが、近年のゲームなどではブロリーやベジータ、トランクスまでもが超サイヤ人3になり、ブロリーの超サイヤ人2が後で補完され、ついにバーダックすら超サイヤ人になり、公式の『AF』化が止まらない状態になっている。そしてついに、『ドラゴンボールヒーローズ』では驚愕となるブロリーの超サイヤ人4が登場してしまう。
さらに、3DSゲーム『ドラゴンボールフュージョンズ』ではあらゆるキャラクターとの合体キャラが実現可能となっている。
逆に言えば、こうした超サイヤ人やフュージョンはファンならだいたい誰でも考える程度の「思いつき」に過ぎないものでしかなかった。
バーダックのスーパー化の発端だった『ドラゴンボールヒーローズ』は、現在では超17号やジャネンバなど、『AF』画像ですら見かけないバリエーションが創作され、より混迷を深めている。国内でのドラゴンボール『AF』の知名度は以前より高く、ゲーム側も意識して『AF』的なものを狙っている部分もあるのではないだろうか。
なお、『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズに登場する超サイヤ人4ゴジータの2Pカラーの奇抜な配色は、超サイヤ人5の画像が元ネタと言う説がある。
また、公式のネット配信のOVA『スーパードラゴンボールヒーローズ 監獄惑星編 プロモーションアニメ』では、こういった公式AF化を逆手に取って、超サイヤ人4に変身する孫悟空:ゼノと、超サイヤ人ブルーに変身する孫悟空が別次元で存在する、という設定を採用している。
関連動画
関連サイト
- ドラゴンボールAF漫画(日本語)
- kanzenshuuのAFについての解説(英語。2004年のエイプリルフールをやった大手サイト)
- ドラゴンボール関連項目一覧
- ドラゴンボールGT
- ドラゴンボールAF(トイブル版)
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