今、闘いの歴史が変わる――。
『ドラゴンボールZ 神と神』は『ドラゴンボール』シリーズの劇場版第18作。
前作『ドラゴンボール 最強への道』より17年ぶりの劇場作品となる。
概要
2013年3月30日公開。キャッチコピーは「最強、始動。」、「最強、激突。」、「フリーザ、セル、魔人ブウ。すべてを超越する存在がいた。」、「今、闘いの歴史が変わる――。」
魔人ブウ戦終結から10年後の最終話までの間に起こったエピソードが描かれる。なお、サブタイトルは2018年現在一番短い3文字。
本作は『ドラゴンボール』のアニメシリーズで初めて、鳥山明自身がストーリーを手がけている。
これまでも原案や設定に参加したことはあったが、今回はシナリオそのものが鳥山明の手によるものとなっている。
主題歌はFLOWがカバーする『CHA-LA HEAD-CHA-LA』。
また、本作は日本映画史上で始めてIMAXでの上映が行われた。
本作の公開を記念してニコニコ動画に公式チャンネルが設けられ、これまでのドラゴンボール劇場版17作品の公式配信が行われていた。
公開に合わせ、各地でドラゴンボール原画展が行われ、鳥山明の描き下ろしイラストも展示されている。
東京髙島屋では初日と最終日に野沢雅子のトークライブも開催された。
ストーリー
39年の眠りから目覚めた破壊の神ビルス。
彼は強敵かもしれない謎の存在「超サイヤ人ゴッド」との対決を望んでいた。
まずはフリーザを倒したサイヤ人、孫悟空に会うため界王の星へ向かう。
次元の違う力を持つビルスは、超サイヤ人3孫悟空をたった2発の軽い攻撃で虫の息にし、次にベジータのいる地球に向かった。
地球ではブルマの誕生パーティをやっていた。
ベジータもその場にいる。
ベジータの知り合いとして嬉々として参加するビルス。
だが、ささいなことをきっかけに地球の命運をかけた戦いに発展してしまう。
みどころ
鳥山明がストーリーを手がけているだけあり、これまでの映画よりも鳥山カラーの強い、非常に明るい内容となっており、この作風そのものがみどころであると言える。
具体的な内容につっこむと、破壊神ビルスとウイスの軽妙なキャラクター、たぶんストーリー内では初の「オッスオラ悟空」発言、『GT』には出たが『Z』には初登場となるピラフ一味、神龍の意外な一面など、コメディ寄りのシーンに比重が置かれている。
特に地球の命運を賭けたベジータのダンスシーンは必見。
そんな内容だが、地球は実際危なく、破壊神ビルスもドラゴンボール映画史上最強の敵であると断言していい。
バトル描写もかつてないほど迫力のあるものとなっている。
孫悟空とビルスの戦いの決着は、シンプルながらも事前には予想しえなかったものとなる。
鳥山明作品では珍しく、恋愛・愛情描写が目立って見られるのも印象的。
特にブルマが叩かれたことに激昂する時のベジータの台詞が感慨深かったり、トランクスとマイ(ピラフの部下の女性)とのまさかのフラグ成立に驚愕したりと、以前からのファンにとっては何かと心揺さぶられるものがある。
時期など
映画中で明言こそされていないが、時期を魔人ブウ編の約4年後に特定できる描写がある。
『ドラゴンボール』第1話から数えると30年後くらいの計算になる。
これについて、いくつか年代のズレた描写が見られる。
- ブルマの自己申告した年齢が計算と合わない。
- マイの初登場時の年齢を逆算するとおかしいことになる。
- トランクス・悟天の成長が見られない(12歳の悟空と比べれば問題ないという見方もできるが、やはり無理がある)。
- 惑星ベジータの存在していた時期がおかしい。
それぞれ説明がつかないわけでもないかもしれないが、あまり気にしないで見たほうがよさそう。
また、ピラフ一味が若返っており『ドラゴンボールGT』の第1話につながりそうにない。
時系列的には『GT』の約10年前であり、それまでに何か不思議なことが起きたと解釈する余地もあるが……。
雑多な話題
シナリオ関係
鳥山明がストーリーを手がけている理由だが、本作の脚本家の渡辺雄介が依頼を受けて書いたストーリー案が鳥山のところに行った結果、鳥山がほとんど書き直してしまったという経緯による。
渡辺自身がニコ生や各所のインタビューで語ったところによると、「ほぼ脚本」だったとのことである。
鳥山の意向が反映され、過去の映画のように街が破壊されるシーンはなく、壊されるのは荒野などに限られ、民間人などが死ぬシーンも一切ない。
このことについて、監督のインタビューや野沢雅子のトークライブでの発言によると鳥山明の「東日本大震災のことを踏まえ、街中の破壊やパニックは避けて」、「被災した子どもたちをドラゴンボールの力で元気にしたい」という強い要望があったという。
当初はもっとシリアスな案を書いた渡辺も、この鳥山の変更を強く支持している。
ピラフ一味とのやりとりは渡辺が追加を提案した部分であり、新キャラクターのつもりがさらに鳥山の案でピラフ一味に変更された。
あと、鳥山明はパンフレットなどでハリウッドの実写映画『DRAGONBALL EVOLUTION』について、鳥山にしては珍しく苦言を呈しており、そちらについても思うところがあったようである……。
尺の都合で、鳥山脚本にあったZ戦士のバトルシーンは短くなってしまったそうで、非常に活躍が少ない。
「破壊神ビルス」と「超サイヤ人ゴッド」の名前だけは当初の脚本からあったとのこと。
ほかに当初脚本の内容は「クリリンと18号の結婚式」、「悟空がいない地球でのパーティ」、「破壊神ビルスが悪の心を植えつける」などで、パーティの最中に悟空が地球を離れているというのは一致しているので、部分的には原型が残っているのかもしれない。
(当初案については雑誌『DVD&ブルーレイビジョン』4月号を参照。)
その他
前作『ドラゴンボール 最強への道』と同じく、劇伴で菊池俊輔氏の楽曲が一切使用されなかった作品でもある。
このため、いつもの時代劇風オーケストレーションな重厚な映画音楽ではなく、住友紀人氏のロックポップス調の現代的なムービーミュージックとなった。
(後に住友氏は『ドラゴンボール改』の音楽も担当する。)
登場人物も新キャラだけでなく、おなじみのキャラクターたちも鳥山がデザインしなおしている。
特にピラフ一味は過去作品と画風が違うため、事前情報で若返ったのではなく画風の変化だと解釈する人も少なくなかった。
なお、「髪型とか色とかには全然こだわりがなくて(『Vジャンプ』2013年5月号)」、「髪の毛の色を間違えていたキャラもいたり(『神と神 オフィシャルムービーガイド』)」との鳥山発言もあったりする。
(※『オフィシャルムービーガイド』に掲載された鳥山設定画では18号とマーロンが銀髪、ピラフの肌が緑色、トランクスの髪がブルマとともに水色になってる。)
ちなみに、『Vジャンプ』5月号の同じインタビューによると、鳥山は超サイヤ人2の存在そのものを忘れていたらしい。
というか超サイヤ人3を超サイヤ人2だと思っていたらしい。
出演キャラクター
- 孫悟空
- 孫悟飯(グレートサイヤマン)
- 孫悟天
- ベジータ
- トランクス
- ゴテンクス
- ピッコロ
- クリリン
- ヤムチャ
- 天津飯
- チャオズ
- デンデ
- 人造人間18号
- マーロン
- ビーデル
- ブルマ
- チチ
- 牛魔王
- 亀仙人
- ミスター・サタン
- 魔人ブウ
- ウーロン
- プーアル
- ピラフ
- シュウ(ソバではない)
- マイ(ロリババア)
- 神龍
- 北の界王
- キビト界王神
- 老界王神
- 破壊神ビルス
- ウイス
- 予言魚(CV:中川翔子)
- 白バイ隊員(CV:超棒読みの柔道選手の松本薫)
- 寿司職人(CV:フジテレビ軽部真一アナウンサー)
- フリーザ(声の出演はないらしいぞ)
- ベジータ王(ベジータの回想内)
- パン
(出生前であり直接の登場はしないが、母であるビーデルの胎内から悟空の超サイヤ人ゴッド化に協力している。)
また、パン同様名前こそ出ないが、『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』に登場したベジータの弟であるターブルにも言及がある。
そのため、Blu-rayおよびDVDの「特別限定版」には『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』が収録されたディスクが特典としてついている。
地上波放送
2014年3月22日にフジテレビ系列『土曜プレミアム』で21時から『ドラゴンボールZ 神と神 特別版』として地上波放送された。
フジテレビのオンエア情報で「歴代Z戦士全員集合!史上最強の敵・破壊神ビルスとの空前絶後の壮絶バトル!今夜しか見られない20分超の新作ストーリーを加え劇場版最新作が地上波初登場!」とされており、上映バージョンには存在しなかったセリフ・カットが多数追加(一部変更)された。
これは合計で20分ということで、大幅なストーリー変更ではないのだが、セリフの少なかったキャラクターの追加シーンや、疑問点へのちょっとしたフォロー、心情説明の追加と、細かいが重要な追加が行われている。
既に発売されていたBlu-rayやDVDは劇場で上映されたバージョンであり、「特別限定版」と表記されたものでも特別版で追加・変更されたシーンは収録されていないので注意が必要である。
なお、特別版として放送されたものが収録されているBlu-rayやDVDは、2015年3月13日に『ドラゴンボールZ 神と神 スペシャル・エディション』として発売されている。ドラゴンボール映画で所謂「ディレクターズ・カット」が出ているのは2018年現在この映画だけである。
2014年4月17日にフジテレビ系列『土曜プレミアム』で21時から『ドラゴンボールZ 神と神 フリーザ特別版』として地上波放送された。
こちらは、放映直前アバンやCM明けアバンでフリーザがナレーションをし、『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の予告を放送したものの、『神と神』本編はカットが多かった。
『ドラゴンボールZ 復活の「F」』公開直前記念という位置づけである。
『ドラゴンボール超』との関係
『ドラゴンボール超』の公式サイトの鳥山明のコメントから、『超』では神と神編としてストーリーがリメイクされた。
リメイクであるため、ストーリー展開やキャラクター設定などに差異がある。
関連動画
関連チャンネル
関連項目
公式サイト
前作 | 次作 |
---|---|
ドラゴンボール 最強への道 | ドラゴンボールZ 復活の「F」 |
- 5
- 0pt