ドリームランドとは、
- H.P.ラヴクラフトが発表した小説、および「クトゥルフ神話」大系に登場する異世界。
- 2005年発表の、BENNIE Kの楽曲「Dreamland」。
- もしかして→東京ディズニーリゾート
- もしかして→横浜ドリームランド/奈良ドリームランド
- もしかして→Dream Land
本項では1.について記述する。
概要
人間の潜在意識にある異世界で、いわゆるパラレルワールド。「夢の国」「幻夢境」とも訳される。
通常、人間が存在する世界は「覚醒の世界」と呼ばれており、そこから訪れる者は「夢見る人」と呼ばれる。
ランドルフ・カーターを主人公としたH.P.ラヴクラフトの長編小説「未知なるカダスを夢に求めて」において、多くの情報が語られている。
またその重厚な設定から、クトゥルフ神話TRPGではサプリメントとして発表されている。ドリームランドを舞台としたシナリオや設定が盛りだくさんで、異世界ものの資料としても楽しく読める。
「夢見る人」がドリームランドを訪れる時、その導入は必ず決まっている。
浅い眠りの中、「夢見る人」は全裸に徒手の状態である事に気づく。やがて階段を見つけ、70段を下りた所にある「焔の洞窟」に入る。
そこには二人の番人、ナシュトとカマン=ターが控えており、彼らに認められて初めてドリームランドに行く事が出来る。逆に彼らに認められなければそこから先には進めない。
衣類や道具を渡されて「焔の洞窟」を抜け、更に700段下りた先に聳える「深き眠りの門」を越えると、もうそこはドリームランドである。
これとは別に、特殊な方法を使って「目覚めたまま」ドリームランドに入る事は可能。その場合は「夢見る人」が身に着けていた衣服はドリームランドの文明水準(産業革命以前)に合わせて変わり、多くは中世風になる。
また文明の利器を持っていた場合、こちらも変化する。たとえば懐中電灯は松明に、銃はナイフか剣に変わる。これらの変化は不可逆で、ドリームランドから覚醒の世界に帰還しても元に戻る事はないという。
覚醒の世界とドリームランドでは流れる時間が異なり、一晩の眠りのうちにドリームランドでは何十年も経過する場合がある。
仮にドリームランドで「夢見る人」が死んだ場合は、即座に覚醒する。以後は二度とドリームランドを訪れる事は出来ないが、これにも例外はある。
地球のみならずフォーマルハウト、アルデバランにもそれぞれ独立したドリームランドが存在するが、それらに人間が赴くことは非常に困難で、到達出来た3人のうちランドルフ・カーター以外の2人は発狂してしまった。
地理
複数の大陸で構成された、広大かつ神秘的な世界。
絢爛たる大都市や平和な町がある一方、未開の地では様々な危険が待ち受けている。地下には巨大な空洞世界があり、ここでも様々な種族が生息している。
その中でも代表的な場所を紹介。
- 魔法の森
「夢見る人」が最初に降り立つ地。風変わりな生物や、夜でも光を放つ珍奇な植物に満ちている。ズーグ族のように隙あらば取って食おうという物騒な連中もいるので、早々に抜けるのが良。
森の地下には石柱が立ち並ぶ地底都市があり、おぞましい風貌の怪物・ガグが住んでいる。 - セレファイス
オオス=ナルガイ渓谷に位置する、大理石の壁と青銅の門に守られた「千の塔が建ち並ぶ」光明の都。上空には空中都市・セラニアンがあり、黄金の空飛ぶガレー船で行き来できる。セレファイスには時間の概念がなく、住人は老いる事も死ぬ事もない。
この二都を創造・統治するのはクラネス王。元はロンドンに住んでいた「夢見る人」で、覚醒の世界では麻薬中毒と赤貧に苦しんだが、死後に永遠の王として迎えられた。賢王として善政を敷いているが、郷愁の気持ちから郊外に故郷を再現した村を作り、そこで暮らしている。「夢見る人」に対しても友好的で、ドリームランドでは心強い味方となり得る。 - ウルタール
魔法の森を抜け、スカイ川を北上した所にある町。古都の趣があり、交通の要衝にあることから行商や往来が盛ん。
寺院を守る神官アタルは齢300歳を数える大賢者で、迷える「夢見る人」に助言・忠告してくれる。
ウルタールでは「何人たりとも猫を殺してはならない」という掟があり、様々な種類の猫が可愛がられ、自由に暮らしている。猫は人語を解する知能と勇気を持っており、非常に義理がたい性格で、猫語に通じれば会話も可能。猫好きにとっての天国。
風変わりな掟が出来た理由については「ウルタールの猫」をご一読あれ。 - ダイラス=リーン
ウルタールの南東にある港町で、様々な土地から船がやって来る貿易拠点。交易の要衝である事から、ドリームランドの冒険において重要な位置を占める。
しかし中には胡散臭い連中もおり、特に何処からともなくやってくる黒いガレー船には注意が必要。週に一度やってくるそれは異様な匂いを漂わせており、醜い風貌の船員が珍奇な紅玉と引き換えに黄金や奴隷を取引しては、何処へともなく出航する。 - サルナス
太古に栄えた大都市。全盛期の人口は五千万人で、ドリームランドの大半を統治していた。
千年以上も栄えたが、蜥蜴神・ボクルグを冒涜した罪により一夜にして滅亡、都市全体が湖に沈んでしまった。手つかずの財宝が眠っている筈だが、ボクルグの呪いを恐れて近づく者はいない。 - ングラネク山
南方のオリアブ島にある、標高一万メートルにも達する休火山。北側の麓では溶岩の採掘が盛ん。
南の山腹には巨大な神々の顔が彫刻されているが、迂闊に近づくと夜鬼(ナイトゴーント)に捕まって連れ去られ、ナスの谷に置き去りにされてしまう。 - ナスの谷
地下世界に存在する巨大な渓谷で、目には見えないがぬらぬらした体で這い回るドール族の住処。また食屍鬼(グール)にとってはゴミ捨て場となっており、彼らの巣やガグの都市にも通じている。
食屍鬼は往々にして話が通じ、知遇を得れば(そして彼らの外見や体臭、食性に目を瞑りさえすれば)味方ともなり得る。 - レン高原
灰色の荒涼とした大地で、カダスを擁する危険地帯。死都サルコマンドは月からやってきた怪物・ムーンビーストによって支配され、半獣人のレンの住人を奴隷とし、様々な生命体を拷問して楽しんでいる。
また何処かに修道院があり、ニャルラトホテプを信奉する神官が暮らしている。 - カダス
「凍てつく荒野のカダス」とも呼ばれる山。山頂に辿り着くには翼を持つ種族の助けが必要。
山頂には縞瑪瑙で作られた城があり、古き神々がニャルラトホテプの庇護下で居城としていた。しかし神々はある理由から立ち去り、今では無人の廃墟と化している。
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関連項目
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