ドレイクとは、TRPG『ソード・ワールド2.0』に登場する架空種族である。
概要
ドレイクはソード・ワールド2.0の舞台となるラクシアに住む、竜のごとき角と翼を持ち、自らの持つ魔剣の力でもって時に竜の姿へと変身する種族であり、主にPCが属する「人族」の敵対者である「蛮族(彼ら自身から言わせると『バルバロス』)」の中でも貴種にあたる種族である。
ラクシアを冒険するPC達にとって、時に大いなる障害として、時に頼もしいヘタレ仲間として関ってくる。
敵としてのドレイクは上記のとおり竜のような角と翼を持っており、翼を使って空を飛ぶ事もできる。彼らはそのほぼ全てが優秀な魔法戦士であり(主に操霊魔法を使う)、その高い魔力から繰り出される魔力撃はかなりの威力を誇り、また、竜に変身したときにはドラゴンの様にブレスをはく事も可能であり、その力は決して侮れるものではない。
上位のドレイクは、その実力に応じてバロン(男爵)、バイカウント(子爵)、カウント(伯爵)、マーキス(侯爵)、デューク(公爵)といった称号を名乗る。
ドレイクは徹底的な実力主義であり、上位種扱いである爵位持ちは、親族の位によらず低位の階級から完全に実力主義でのし上がってきたものばかりと言われている。
生態としては基本的に卵生[1]であり生涯に数個の卵を産むといわれている。その時は竜化した状態で産卵するとのこと。
野生動物に例えるなら鳥というよりカモノハシに近いと公式で言われている。卵から孵る際に魔剣と一緒に生まれてくるのが普通であり、その魔剣を取り込むことで竜化することが出来る。このように魔剣はドレイク自身の半身とも言えるもので、魔剣を失うことは直接的に死に繋がる、または死に等しいショックを受けるとも言われており、最上位のドレイクですら生き残ったとしてもそれまでに修得した技能の大半を喪失することが多いと言われている。
また稀ではあるが魔剣を持たないで生まれてくるドレイクもおり、普通のドレイクよりも穢れが低く[2]、また気性や価値観も人族に近いとも言われている。魔剣を持たないドレイクは蛮族社会では劣等種とされ、生まれた直後に処分されてしまうことも多いらしいのだが、生き延びて成人できることもある。
何らかの要因で魔剣を持たないドレイクの中には、蛮族としての凶暴性を減じた上に人族領域でギリギリ生活できる程度の穢れを持つ存在となる者も存在する。
彼らは翼による飛行能力と竜に変身する能力を失っており(後者の方は、<剣の結晶>というアイテムを用いる事で「限定的」に再現する事は可能)、妖魔たちからも侮られ(それでもドレイクは強い、と理解できるコボルド達以外は、たとえ相手が強くても『魔剣が無い≒俺たちより弱い』と考える)、蛮族の社会では生活がしづらくなって人間の生活圏や人族・蛮族双方の生活圏から離れた場所での生活を余儀なくされる。
(実際には魔剣が無いドレイクとは言っても、飛行能力と竜化能力を持たないこと以外は魔剣持ちのドレイクとポテンシャルはほぼ同等であるといわれている。)
彼らの中には冒険者として生きる事を選ぶものも居る。それこそが、蛮族PCとして選択できるドレイクである。
魔剣を失ったとしても失う事のなかったその強大なポテンシャルは、冒険者仲間にとって恐るべきも頼もしい者と言える。ただし、彼らが蛮族である事は覆せぬものであり、特に貴種であるドレイクである以上、人によってはなかなか受け入れられない事がほとんど。ドレイクをPCに選ぶ事はなかなかに険しい道である。
……と長々と語ってきたが、実はドレイクは『公式』の時点において、妻に「愛のあまりにいただきます(物理)」される事を嬉々として受け入れたり、600年前から<大破局>すらスルーして魔剣を探し続けた(&虐げられ続けた)結果コボルドより卑屈な性格になったり、果ては「ヒモ」「弱った敵には強い」「オイルレスリング尋問術」「最終的にデブ」と残念要素満載のPCになったり、「残念」「ヘタレ」扱いされる事がとにかく多いネタ種族でもある。
エリート種族設定はどこへ行ったのか……
『バルバロスブック』にて、PC種族として剣を持った完全体ドレイクが実装され、剣のないドレイクをドレイク(ブロークン)、完全なドレイクをドレイク(ナイト)と区別するようになった。
(PCとしての)種族の特性/ブロークン
器用度 | 敏捷度 | 筋力 | 生命力 | 知力 | 精神力 |
B | B | A- | A- | A- | B- |
(全「生まれ」の平均+ダイスの期待値が基準。生まれによって±1ランク程度の誤差が発生)
魔法戦士向きの蛮族PCだけあって能力値は全般的に高めでまとまっている。……が、戦士として大成するには器用度と敏捷度がほんの少し物足りず(しかも1dであるため振れ幅も小さい)、魔法使いとしては精神力が少し不足がちである。どちらの道も成長次第で十分取り返せる程度だが、(万能型の種族全般に言えることではあるが)「何をやりたいのか」をしっかり考えて成長させないと中途半端な能力値になってしまうこともあるので注意が必要である。
とりあえず、たいていの事は何でも出来るので問題はない。(というか初期能力だけで見れば総合能力は最強クラスなので、それだけでも十分に強い種族ではある。)
問題はむしろ「蛮族PCとしては正体が隠しづらい」事と「正体がばれたときの反応が他の蛮族より厳しい」と言う事。
ダークトロールほどでは無いがその角は隠しづらく、特に種族特性である[限定竜化]を行っている間は(非常時かつ通りすがりのリルドラケンとかゴリ押ししない限り)確実に蛮族とバレる上に、よほど蛮族に理解のある相手以外には確実に排除、それも処刑レベルの行為でも許容されかねない対象である為、蛮族PCの中でも特に正体バレの注意が必要な種族であると言える(ドレイクの角は折れると自然治癒しないので、何らかの理由で折れたということにして外見での種族バレの危険度をナイトメアぐらいのレベルに下げることは出来たりする。GM次第だが、そういう設定を捻り出してもいいだろう)。
種族特性は[暗視]と[限定竜化]。[暗視]は普通に便利であるが、飛行能力とブレスを吐く力を得る[限定竜化]は様々な制約(※1)があり、卓全体でハウスルールによる補正を入れる場合以外では、全PC種族中で最も使いづらい種族特徴の一つであると言える。[限定竜化]の使用を前提としたビルドは極力避け、使用するとしてもいざと言うときの切り札とした方がいいだろう。
また、蛮族PCは固有の弱点を持つ。ドレイクPCの場合は「魔法ダメージ+2」。割と洒落にならない弱点なので、魔法技能を持っていなくてもある程度以上の知力は確保し、弱点隠蔽判定に失敗しないよう心がけよう。
※1:[限定竜化]を行うためには名誉点を使って手に入れた<剣の結晶>を「冒険者レベル」分『消費』しなければいけない。また、『消費』した<剣の結晶>分の名誉点は永久に失われ、総合名誉点自体が減少する。しかも、使用後1時間は元の姿に戻れず、また、24時間で自動的にもとの姿に戻る為、一日毎に<剣の結晶>の『消費』が必要となる。
(PCとしての)種族の特性/ナイト
器用度 | 敏捷度 | 筋力 | 生命力 | 知力 | 精神力 |
B | B | A- | A- | A- | B- |
(全「生まれ」の平均+ダイスの期待値が基準。生まれによって±1ランク程度の誤差が発生)
能力値そのものはブロークン(剣無し)とわずかな差しかなく、能力値決定のダイスも全く同じものを使用する。前述の通り「飛行能力と竜化能力以外は剣無しも同じポテンシャルを持つ」ことを表している。
しかし、本来のドレイクは穢れが最初から4点であり、その分強力な種族特徴を多数獲得している。
種族特徴はブロークンも持っている[暗視]に加え、[魔剣の所持]、[飛行(飛翔)]、そして完全な[竜化]。
[飛行]による命中力・回避力のボーナス修正があり、基本的にはこの分だけブロークンに対して優位に立てる。リルドラケンの[剣の加護/風の翼]による飛行と違い、ドレイク(ナイト)の飛行には1日ごとのラウンド制限もない。
[魔剣の所持]は、魔法の武器等は駄目といった制約はあるものの、最初からBランクの武器を所持金を支払わずに所有できる。この魔剣は発動体としても機能するため、武器+発動体の購入費用が浮く。フィジカルマスター技能を成長させることで、この魔剣をよりランクの高い装備にすることも可能だが、これには武器習熟の戦闘特技を習得する必要がある。
最大のメリットは、魔剣の力を取り込んでの[竜化]が可能という点。もちろん<剣の結晶>も要らない。
[竜化]することで、胴体+翼2つの3部位になり、複数部位による連続攻撃や、純エネルギー属性のブレス攻撃が可能となる。魔物データのドレイクと同様、[竜化]することでHPとMPが最大値まで回復する点でも強力である。
しかし、竜化後の各種判定値等はフィジカルマスター技能に依存するため、これを成長させていない場合[竜化]すると逆に弱体化するといった事態になりかねない。
種族特徴をフルに活用しようとすると、自ずとフィジカルマスター技能に経験点を割くことを強いられることになるため、同じ環境で成長したドレイク(ブロークン)にはここで差異が生じる。
また、狭い場所や金属鎧の装備など[竜化]に制限がかかる場面がある、[竜化]中はアイテムの使用に制限がかかる、[竜化]すると竜化前に着ていた鎧が破壊されるといった弊害もある。変身に関するルールをよく把握していないと、思わぬところで足をすくわれることも。
弱点はドレイク(ブロークン)と同じ「魔法ダメージ+2」。
しかし、これ以上に致命的な弱点は、本来ならメリットである[魔剣の所持]に集約されているとも言える。
魔物の中には武器を破壊する能力を持ったものが居るため、そのような相手との戦闘には細心の注意を払う必要がある。
まず弱点のひとつとして[竜化]には生来の魔剣が必要だが、逆に言うと魔剣が無ければ[竜化]できない。
また生来の魔剣を失ったドレイクは世界観的には最低でも技能喪失のペナルティを受けることになるので、GMに「プレイヤーは再起不能になった」と宣告されても文句は言えないので、その点も留意する必要がある。つまり魔剣を『破壊される or 紛失する』ことだけは絶対に避ける必要がある。
総じて剣無しドレイクとの差を実感できる強力な特徴を多数持つものの、それが故に癖のある種族となっている。
ドレイク考察
能力値に優れ、基本的にどんな職業にも向くドレイクであるが、正体バレのリスクが非常に高い。PT仲間が正体を知ってなお庇ってくれる場合はまだ何とかなるが、他PCにまで隠している場合は(リプレイの難易度も含めて)非常に厳しい状況におかれる事となる。
そこで頼れる最終手段がある。
変人or変態になることである。
いや、ネタではなく割りとガチで。
公式リプレイである「ソードワールド2.0リプレイ From USA」の主人公ポジであるアンセルムが本編直前を描いた外伝においてウサ耳のごとき角カバーと鋲打ちヒャッハー仕様の皮ジャンを着込んでドレイクである事を隠し正面突破をした事があるが、これはある意味理にかなった行動と言える。
人(人族蛮族問わず)は、酔っ払いのごとき正気を疑うような行動をとる相手と接する場合、「それが誰か」「正体を隠す為の変装ではないか」よりも、「それが『何』か」「会話が通じるかどうか、相手に正気が残ってるかどうか」をまず第一に考える。
交友関係が結ばれた後も、残念かつ奇抜すぎる相手に対しては、人族としては妙な行動をとったとしても「あいつなら仕方ない」といった諦念にも似た苦笑と共に受け入れられる場合があったりする。
このように、この手段は正体バレのリスクを避ける上では一つの手段と言えるだろう。残念なドレイクPC達の行動は案外、彼らなりの処世術であり、力を失った上で生き抜く為の『生活の知恵』なのかもしれない。
問題はこれはこれで排除理由の一つになりえると言う事と、何よりもプレイヤー自身の尊厳をすり減らせる行為であると言う事である。
※まじめな話をすると、(少々高額ですが)非金属鎧である<着ぐるみリルドラケン>を愛用しているちょっと変わった人と言い張った方が色々と便利です。対外的には変装判定でリルドラケンと主張し続け(ちょっと妄想入っているぐらいイタい方がかえってバレにくいです)、練技を使っていつも空を飛んだり火を吐いたりしていれば、ちょっとぐらい[限定竜化]を使ってもまずバレませんし(GM次第ですが、データ上は外見上の変化はありませんので)。
なお、これらはあくまで剣を持たないドレイクの話であり、完全体のドレイクは穢れが4点であることや、十全に機能する大きな翼の存在もあるため、正体を隠して人族社会で暮らすことはより困難である。
ドレイクが恐れられる理由である[竜化]が可能なこともあり、正体が発覚した際の反応はより厳しいものになり、上述の奇矯な振る舞いでも誤魔化しきれないと考えた方が良い。
元々、ドレイク(ナイト)は蛮族社会で迫害されている訳でもなく、むしろ蛮族を率いるエリート側の存在なので、人族につくにはそれなりの理由を用意する必要も出てくるだろう。
ドレイク(ナイト)が実装されたバルバロスブック自体、蛮族勢力でのプレイガイドみたいなものであり、同時期に追加されたバジリスクと同様、ドレイク(ナイト)は人族勢力のPCとしての運用がそもそも推奨されていないとも解釈できる。
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関連項目
脚注
- *但し、ドレイクは人間と子をなすことが可能であり、母親が人間の場合は胎生で生まれることになる。魔剣を持たないで生まれるとはいえ、ナイトメアの異貌化以上の角を持つドレイクを出産する場合、相当な前準備をしなければ母親が命を落とす可能性が高いといわれている。
- *魔剣自体に穢れが1点入っているとかそんな感じと説明されている
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