ドロワーズ (英: drawers) とは、女性が身に着ける下着の一種である。ドロワ、ズロースとも。
概要
誤ってかぼちゃパンツと同一のものとされることがあるが、別物である。かぼちゃパンツはズボンの一種であるがドロワーズは下着であり、これには大きな違いがあるといえよう。
女性の下着の中で、比較的緩やかな構造をしており、なおかつ横サイドが長く、履き込みの非常に深いものをドロワーズと呼ぶ。
横サイドが長いといってもふとももが見える程度の長さのものから、古い時代のものであれば踝の位置まですっぽりと隠れるようなものまで存在し、フリルやリボン等の装飾が施されたものなど、バリエーションは多い。
ドロワーズの下着としての歴史は古く、18世紀末頃にスカートの下に着ける装飾品として開発された。ドロワーズの登場までは、女性は下着をつけないことが当たり前とされており、なおかつ当時流行していたクリノリン・スタイルにおけるスカートの形状は広がった状態で固定されていたため、椅子に座ると意図せず「大切な部分」が見えてしまうことがあった。そこで登場したのがドロワーズである。
当時のドロワーズは富裕層の贅沢品であり、スカートの裾から覗かせるための装飾品としての役割が大きく、下着でありながら現在でのレギンスに近い役割を果たしていたが、その形状は「左右の筒状の布を前についているボタンでとめる」というものであり、内股の部分は縫い合わされていないものが一般的であった。
これは、前途した通り当時の女性は高所作業をする者や踊り子等の特殊な立場にある者を除き下着をつけていなかったことや、単に用便が足しやすいから等、いくつかの理由があるのだが、当時の貞操倫理などの多くの話題に触れねばならなくなるため割愛させて頂く。興味のある紳士諸君は自らの手で調べてみるのも良いだろう。
「少しめくれば秘密の花園」という紳士まっしぐらな形状であったドロワーズであるが、19世紀半ば頃に開発された金属フープを利用した軽量なクリノリンの登場からクリノリン・スタイルが民衆にまで流行すると、同時に流行したドロワーズもその機能が重視されるようになり、内股が縫い合わされた形状へと変化する。余計なことしやがって。
その後、クリノリン・スタイルが衰退した後もドロワーズは一般的な下着として残り、時代の流れと共にドロワーズ自体がスカートやペチコートをふわりと広げられる様に、膨らんだ形へと変化していった結果、現在知られているドロワーズの形へと変化した。
日本には戦後に持ち込まれ、綿製のものが最高級品として富裕層に愛されると共に、徐々に庶民にも広まり、一般的な下着として広く愛されることとなる。また、このときに訛って伝わってしまったために「ズロース」という呼称が生まれたとの話があるが、ドロワーズ愛好家の中にはズロースとドロワーズは別のものであるとする声も多く、真偽は定かではない。
女性用下着として確固たる地位を築いていたドロワーズであるが、その後の男女同権主義の台頭に伴いスリムなファッションが流行すると、より短く、より実用的な下着が求められるようになり、現在一般的な女性の下着であるパンティーと呼ばれる形状のものに代表される下着のラインが服のラインに表れない下着が好まれるようになり、衰退の道を歩むこととなる。
しかし現在においても、ドロワーズの起源である中世以降のヨーロッパの服装を起点として発展したロリータファッションを好む女性からの支持はもちろんのこと、スタジオジブリ・宮崎駿系作品や、世界名作劇場、東方projectなどに代表される様々な作品に登場する人気キャラクター等に取り入れられていることから、男性ファンやコスプレイヤーにも根強い人気があることも忘れてはならない。
ドロワーズには夢が詰まっている。
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