ドローン(drone)とは、
- オスのミツバチを意味する英単語名詞
- ハチや飛行機がブーンと飛んでいることを示す英単語動詞
- 遠隔操作される飛行機(航空機)の総称
- メディアミックス「遊戯王」に登場するキャラクター
- メタルの細分化されたジャンル、ドゥームメタルの更に細分化された音楽ジャンルの1つ(代表的なバンド:Sunn O))), Earth, Teeth of Lions Rule the Divine等)
- TCG「MTG」のクリーチャー・タイプの1種
である。ここでは3について記載する。
概要
遠隔操作によって制御される
無人で飛行可能な飛行機(航空機)の総称。
ヘリコプターのような回転翼を持つ型も含まれる。
捜索・偵察・観測・空撮・記録・輸送から攻撃まで用途は様々。
特に小型のものは手のひらに収まるサイズもある。
2015年4月22日首相官邸ドローン墜落事故以降、小型の無人飛行機(UAV)を「ドローン」と呼称する場合が多いので、この記事でも、主にそういった「小型の無人飛行機」について扱う。
※小型に限らない無人飛行機全般(特に軍事用途のもの)に関しては「UAV」の記事も参照されたい。
産業界での用途(軍事作戦[1]や災害、工事、商品配送など)から個人的趣味の空撮まで幅広く活用されている。
個人向け小型ドローンによる墜落被害やテロ・麻薬事件などでの悪用、またそれらの防止策と称した過度な規制によるドローン産業の縮小化が懸念されている。
中華人民共和国広東省の深圳市大疆創新科技(DJI社)が一般消費者向けドローンの世界シェアの7割を保有し[2]、その他の主要メーカーはフランスのパロット社、アメリカの3Dロボティックス社である[3]。
日本では2022年6月より改正航空法が施行、重量が100g以上の無人機は所有者情報の登録が義務づけられ、許可なしでの飛行は禁止される(従来は200g未満のものが規制対象外だった)。[4]
無人機がドローンと呼ばれる理由
記事冒頭で述べたように、もともと「drone(ドローン)」という英語は「オスのミツバチ」を意味する言葉である。
なぜ無人機をそのような名で呼ぶようになったのかについては、第二次世界大戦前にイギリスで開発されたラジコン式の標的航空機「DH82B Queen Bee(クイーン・ビー。「女王蜂」)」が関係しているらしい。
当時、この「Queen Bee」を真似てアメリカ海軍も無人標的機を開発し始めたのだが、その際に「Queen Bee」へのオマージュとしてそれら無人標的機を「drone」と呼び始めたのだという[5]。
ラジコンか、ドローンか?
「ドローン」と言う呼称が認識された現在、この呼び名を是としない者も少なくない。実際「ラジコン」「マルチコプター」など大元は一緒ながら複数の呼び名が存在するが、GPS内蔵で人の操作を必要としなくとも安定するといった事から「ラジコン」とは違うと言う意見も多く、文字数的に長く、また略した場合もイマイチ意味が通らない「マルチコプター」も通常呼称するには浸透せず、反対意見があるもののマスコミや世間での認知度では良くも悪くも「ドローン」が一般的となっている。
蛇足ながら日本国内において論争されてはいるが、当の英語圏の外国において商品説明ではほぼ「ドローン」となっている。
ドローン関連の事件
ホワイトハウスと首相官邸で使用された機種は、DJI社の"Phantom 2"。
善光寺墜落事案関連の少年(ドローン少年)の機種は、パロット社の"Parrot BeBop Drone"。
本来のシステムでは主に空港などの近辺に飛行制限が設けられ、離陸の不可と区域侵入時の強制GoHome等の処置が成されていたが、相次ぐ重要施設への墜落事故を受けて、DJI社は自社のソフトウェアに飛行不能区域を随時追加するといった対処を行なった。[6]。また日本の輸入代理店・セキドは、初心者向け操縦・マナー講座を定期的に実施している[7]。
2015年
- 1月14日:琉球新報所有のドローンが那覇新港周辺で行方不明[8]
- 1月26日:米国ホワイトハウスで墜落事案発生。操縦者は泥酔していたシークレットサービスだった。
- 4月22日:首相官邸ドローン事件発生。25日威力業務妨害で福井県小浜市の男性が逮捕された
- 4月24日:首相官邸ドローン事件に誘発された男女が官邸付近でドローン飛行を試みるも制止される
- 5月9日:長野県善光寺墜落事故。ノエルと名乗る15歳の少年が厳重注意を受ける
- 5月14日:世田谷区清水谷公園で飛行未遂事案。善光寺の件と同じ少年が、保護され自宅に送迎。
- 5月15日:千代田区有楽町駅周辺で飛行未遂事案。善光寺墜落事案の少年であり3度目。保護・送迎される
- 5月19日:善光寺墜落事案の少年が「三社祭に行く」と浅草での飛行を示唆するインターネット配信を行う。
- 5月21日:外出を試みたこの少年を威力業務妨害容疑で逮捕。19日の配信で浅草寺の業務を妨げた疑い
- 7月21日:米国コネティカット州の18歳男性がドローンに銃を設置。飛行射撃の動画をFacebookに投稿[9]
- 7月22日:防衛省敷地内を飛行中のドローンが行方不明になる。防衛省が立会い、民間業者が操作[10]
問題
新たな法整備の必要性
通販業者のように物資の配達輸送など空を配達の領域として見ているところもあれば、韓国などのように小型の有人飛行マシンとしての利用を視野に入れているところもある。[11] [12]
しかし、ドローン自体がまだ未知の分野であるところから、(少なくとも日本では)法整備が追いついていない。今後ミニジェットやヘリなどのような小型の航空機が飛んだ場合もどうするのか、空も自動車と同じようなルール作りが必要なのかといった、新たな課題に直面する恐れがある。
電波法が時代遅れ
- 救助活動だろうが自衛隊だろうが、使いたいなら24時間前に届け出ろ。
- 貧弱な電波帯で途切れやすく長距離は不可能だけど、ドローンは目視範囲内で使えよ。
- 法律が絶対。人命や国が懸かってようが法令順守しろよ。(by総務省)
海外の優秀なドローンであっても、電波法に合わせて改悪するなどコスパ最悪である。
もちろん敵国や悪意を持った破壊工作員は、
・日本の電波法に合致した使いにくいドローンを使ってくれない
・「明日9時に、国会議事堂や米軍施設を自爆ドローンで攻撃しますので宜しくお願いします(>ω・)v」
…なんて、ご丁寧に24時間前に犯行予告の届出なんて出してくれない。
- 自衛隊を縛るドローン規制の時代錯誤「自撮り棒にカメラを付けて走った方が速い」 (msn.com)
- 「有事」に無力な日本の電波法ドローン活用に必要な覚悟(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース
日本は柔軟性のない前例主義のため「お偉いさん」の助言を受けるか
お偉いさんやその親族が痛い目を見なければ法律が変わらないのも問題である。
情報収集の危険性
ドローンは夜間でも撮影可能な赤外線カメラや高性能レーダーを搭載しており、ダムや河川のインフラ管理、3D地図向けの測量業務などに活用できる。撮影した写真や地形データ、ドローンの飛行データなどは通信ネットワークを介してシステムに保存されている。
現在のドローン市場は中国が圧倒的なシェアを築いており、日本の省庁でも中国DJI社のドローンを使用しているところがある。しかし通信ネットワークやバックドア(裏口)を介して第三者に保存情報を窃取されたりあるいは機器を乗っ取られたりといった危険性が出ている。 [13]
「高度な暗号通信技術で飛行・撮影情報を守る」という日本の安全保障の観点から、日本政府は中国製ドローンの排除を2020年11月に決定し、ヤマハやドコモなどの企業連合が国からの委託事業として量産化を目指して開発に着手している。しかし日本はドローンの分野で大きく出遅れており、日本国産のドローンの世界シェアは皆無に等しいため、すでに海外勢に大きく出遅れている状態でどの様に挽回できるかは不透明なところである。(これについて、日本はソフトウェアもしくはソフト的な知見が軽視されているとの指摘が以前から出ている)。 [14]
ゲームチェンジャーの恐れ
ドローン自体が非常に費用対効果が高い。文字通りゲームのように戦闘を支援・実行できる。
大量の攻撃ドローンがあれば、安全かつ一方的にワンサイドゲーム以上の無双ができる可能性もある。
- 小型軽量なものは静粛性・隠密性が高く、安価で一人で運搬でき長距離から操作できるものも多い。
- 空中を三次元的に機動可能で、高い偵察能力を持っている。
- 小銃や重火器であっても迎撃は容易ではない。
- ある程度大型になるが、特攻自爆機能や対戦車ミサイルといった攻撃能力を付与されたものも珍しくない。
- 自爆型による自爆を除けば、安定して再利用可能。
戦術・戦果
ドローンは人力ではなくコンピューター制御であるため、大量のドローン機器を用意しても統率された動きが可能になる。そのため、戦争に関する知識を蓄積させたAIなどを併用して全てのドローンに爆弾などを取り付ければ、攻撃の回避や一点集中などが自由にできるようになり、使い方によっては「遠隔操作による無人航空機での大量爆撃」(ドローンスワーム)という所業が可能になってしまうことから、「今後はドローンを併用した新たな戦争形態に移行されるだろう」という懸念が開発当初から世界各国にはあった。
2020年9月に発生したナゴルノ・カラバフ紛争において、アゼルバイジャンによって大規模な実戦でのドローン使用が行われた事により、世界各国が改めてドローンの有用性を理解することとなり、「現代戦の見本市」として注目を浴びることとなった。 [15]
- 撮影用ドローンでターゲットの存在・状況や位置を正確に偵察・認識する。
- 自爆ドローンを使えば戦車や兵員輸送車などの軍用車両も一撃で破壊できる。
- アルメニア戦車160両以上の破壊・損傷(アゼルバイジャン発表)、たった1日でアルメニア武装車両50両以上が失われた日も。
- 徘徊型のドローン兵器ならは安価、操縦するのも特別な技能は必要なし、制御センターのような地上支援設備も不要(目標がいないと自動で帰ってくる機体も)。
- 敵のレーダー波を感知すれば自動で特攻し、相手の"目"や"耳"を速攻で潰して反撃不能にすることも可能。
上記の通り、アルメニア側は戦車および人員などを無人飛行機の特攻により失っており、アルメニア上空でロシアのヘリが撃墜されたことにより本国の制空権までも奪われていたことが明らかになっている。安価で高性能な徘徊型ミサイルやドローンが出回るようになれば、こういったドローン系兵器が今後の戦争における主流となり、「戦車や兵員輸送車などのように有人兵器は古いものになっていくのではないか」という見込みも立てられつつある。 [16] [17]
関連動画
関連静画
関連サイト
- 大疆創新官網| DJI - 全球無人機控制與航拍影像系統先驅
- Parrot Drones - Discover our range of professional drones
- 3Dロボティックス - 日本語非対応
- セキドラジコンセレクト - 日本の輸入代理店
関連項目
参考文献
脚注
- *米無人機で人質2人死亡 アルカイダ作戦巻き添え(沖縄タイムス・2015年4月24日)
- *世界を舞う中華ドローン ゆりかごはスマホ工場(日本経済新聞・2014年11月13日)
- *中国「XAircraft」がドローンメーカー最大手DJIに挑む(DroneBlog・2015年4月15日)
- *ドローンの登録義務化がスタート 100g以上の機体は未登録だと飛行不可に 2022.6.21
- *The Origin of the term Drone(Defense News・2013年5月14日)
- *DJI、ホワイトハウスのドローン墜落事件で限定地域飛行禁止の措置(PRONEWS・2015年01月29日)
- *高価なドローンを墜落させないために受けたいフライト講習(週刊アスキー・2015年5月22日)
- *琉球新報の小型無人ヘリ行方不明に(沖縄タイムス・2015年1月14日)
- *ドローン射撃の動画を公開 米18歳が自主制作(産経ニュース・2015年7月22日)
- *防衛省 飛行中のドローンが行方不明(NHK・2015年7月22日)
- *テラドローン、JAL、およびJAXA、兵庫県養父市にてドローンを用いた物資輸送実証を公開 (時事ドットコム 2020/12/01-18:18)
- *「ドローンタクシー」が漢江を飛んだ…ソウルで様々なドローンによる試演行事=韓国 (@niftyニュース 2020年11月11日 17時12分)
- *国産ジェット、EV、ドローン……この国のモノ作りを敗退させた「日本スゴイ」の病理 (1/3) (ITメディアビジネス 2020年11月26日 08時00分)
- *【独自】省庁のドローン1000機、中国製を排除へ…安保懸念「国産」導入を視野 (読売新聞 2020/11/30 05:00)
- *ナゴルノ紛争は現代戦闘の見本市 ドローン駆使、動画でプロパガンダ流布 (産経新聞 2020.10.29 06:00)
- *従来の戦争を無力化するゲームチェンジャー。アゼルバイジャンvsアルメニア、「無人機」戦争の衝撃
- *戦車の終焉? ナゴルノカラバフ紛争でドローンが戦車を大量破壊 (NewSphere Nov 18 2020)
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