ドワス(MS-09S)とは、 1/144フルカラーモデル「リックドム」の説明書掲載「オフィシャルデータ」に収録されたMSである。
概要
初出の説明書には全身が描かれておらず、また初出以外に本機を再掲載した資料も極端に少なく、もとの記述自体もろくになかったが、サンライズが関わっている『アナハイム・ラボラトリー・ログ(アナログ)』において改造機の「ドワス改」が設定されたことで、設定が非公式化していなかったことが確かめられ、実在も確定した。
- 頭部バルカンや各部アポジモーター、ランドセルのスラスターの大型化
- 推力増強に伴う高機動化が見込まれた
- 開発の遅れから投入されることなく終戦を迎えたとされているが、『アナログ』には「生産数も少なく、そのほとんどは戦場に出ることなく終戦を迎えた」という記述も
- 戦後にアナハイム社の預かるところとなり、γガンダム(リック・ディアス)開発の参考になった
2017年2月時点でドワスについて判明していることはこれくらいだろうか。
ドワッジ(MS-09G)も同じく一年戦争におけるドム最終生産型とされているが、ドワスはリック・ドム系列らしい(初出の説明書はリックドムと限定していないが、アナログでそうなった)。
雑誌「MJ(模型情報)」で連載されたメカニックデザイン企画『F.M.S』では、「ドワス・デザート」という系列機が登場したが、この連載自体が現状非公式同然の扱いになっている。
公式外伝『ADVANCE OF Ζ』ではリック・ドム[シュトゥッツァー]のラフ画の中にドワスと明記したタイプの案が描かれていた。
ドワス改
公式WEB企画『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に登場。型式番号:MS-09SS
一年戦争後、ドワスはアクシズに移送され、機動性とジェネレーター出力の向上に加え、新装甲「ガンダリウム合金」への改装が施された(一部外装にも手を加えているとの事)。
宇宙世紀0084年にガンダリウム合金とそれを使用した機体としてAE社に大佐と呼ばれる人物の赤いドワス改を移送中、グラナダ宙域でティターンズ部隊と戦闘になった。
ドワス改にはアンディが搭乗し、リカルドが乗る高機動型ガルバルディα、ガルバルディαと共にペイルライダーDⅡ、ジム・クゥエル、ジム・スナイパーⅡで構成されるティターンズ部隊を壊滅させ、アナハイム社への移送を無事完遂させる。
(アンディ、リカルドは漫画『C.D.A.若き彗星の肖像』で設定されたアポリー、ロベルトの本名)
なお戦闘をしている移送部隊は囮で、本命は同刻にAE社に到着していた「グラサンをかけた金髪の青年」…正確には彼が持つガンダリウム合金(装甲材)のサンプルだったようだ。
極端なマイナー機
1988年に発売された「フルカラーモデル」は、要するに(88年当時の視点で)古いキットを、ランナー状態のまま中国で塗装したアイテムである。そういう商品形態に無理があったのか、最初から期間限定のつもりだったのか、ともかく販売された期間は短いようだ。その説明書が旧キットから変更されて、書き下ろし設定が存在したことも、90年代にはほとんど忘れられていた。そこに人知れず掲載されていた、全くの新規バリエーション機が「ドワス」だった。
その後は特に顧みられることもなく、プラモデルの絶版と共にドワスの存在は消えていった。特定の作品にもMSVにも分類されていないドワスの存在に言及した資料はほぼなく、『MS大全集』など数多の設定資料集やGジェネシリーズ、コミックその他の媒体でも全く登場しない機体だった。なにしろ原典であるプラモデル自体が希少なため、一部のレア機のように古本などで発掘される機会もない。
しかし、この「ドワス」に関しては、極度にマイナーすぎるために逆に有名になった感がある。
数少ない掲載資料として、2009年の『総解説ガンダム辞典Ver.1.5』が挙げられる。この本でも出自のプラモデルの希少性も考慮し、実在を疑っているという扱いだが、これが掲載されたことが「β・アジール」と並んで読者を驚かせており、「ぶっちぎりで知名度が低い機体」としてむしろ注目を集めたのではないかと思える。実際問題、2017年時点で説明書の画像だけなら普通に出回っているし、ドワスの情報を集めるのは容易い…
同じフルカラーモデルの他の説明書はそうでもないので、新規メカが載ってたというインパクトが強いことが伺えよう。
同じくプラモの説明書(ただし絶版ではない)出身のガ・ゾウム(ガンナータイプ)に比べればよっぽど知名度がある気がする。
そういう経緯を踏まえての「ドワス改」の登場であり、決して誰も知らないメカというわけでもなかった。
関連静画
関連項目
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