ドンフランキー(Don Frankie)とは、2019年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2023年:東京盃(JpnⅡ)、プロキオンS(GⅢ)
概要
父ダイワメジャー、母*ウィーミスフランキー、母父Sunriverという血統。
父は喘鳴症による不振を乗り越え、マイルを中心にGⅠを5勝した2004年の皐月賞馬。種牡馬としても早熟の芝のマイラーを出す種牡馬として大活躍した。産駒の活躍馬は概ね芝に偏っており、ダートでの活躍馬はブルドッグボスぐらいである。
母はアメリカで2歳のダートとオールウェザーのG1を2勝した馬。ドンフランキーは第6仔。
母父サンリヴァーは2004年のBCディスタフなどアメリカのG1を7勝した名牝Ashadoの全弟であり、自身も2007年のG1ハリウッドターフCを勝利している。種牡馬入り翌年に死亡してしまったこともあり、産駒のG1馬は*ウィーミスフランキーのみである。
2019年2月15日、ノーザンファームで誕生。同年のセレクトセール当歳にして、2000万円からスタートし、6800万円(税抜)で落札された(下記動画の42:18~、上場番号370番)。オーナーは2014年から馬主を始めた個人馬主の早野誠。主戦騎手は池添謙一。
馬名意味は「首領+母名より」。落札した時点でオーナーは馬名を決めていたという。また栗東トレセンでは「ドンキー」で通っている
とか。
"首領"フランキー
2歳~3歳・男は裸百貫の波に向かって立つ獅子であれ
クロノジェネシスやジェラルディーナで知られる栗東の斉藤崇史厩舎に入厩。宝塚記念の前日、2021年6月26日の阪神・芝1400mの新馬戦で岩田望来を鞍上にデビューする。このとき既に576kgという、他の出走馬たちと比べても明らかにサイズ感の違う巨体であった。24.0倍の6番人気という評価であったが、1枠1番からのスタートとなったこのレースでいきなり騎手の足が挟まって出遅れるアクシデントに見舞われ、内の後方からそのまま内ラチ沿いを突いて追い込むも届かず2着。
続く7月24日の未勝利戦(新潟・芝1400m)では1番人気に支持されたが、中団から前残りのレコード決着に追いつけず5着。
左後脚に腫れが出たことから5ヶ月休み、12月18日の3戦目、未勝利戦(阪神・ダート1400m)でダートに転向。鞍上にクリスチャン・デムーロを迎えたここは、外枠から芝スタートのうちに押してハナを切るとそのまま逃げ、後続を突き放して3馬身半差の快勝。このときの馬体重は580kg。
明けて3歳、引き続きC・デムーロと挑んだ1月8日の3歳1勝クラス(中京・ダート1800m)は中団から特に見せ場なく7着。続く3月13日の3歳1勝クラス(阪神・ダート1400m)では距離を戻し、馬体重は少し戻って576kg。鞍上に池添謙一を迎えてハナを切ると、ハイペースで逃げてそのまま3馬身差で快勝。これ以降、主戦は池添となり、「テンからハイペースで飛ばしてそのまま逃げ切る」というのが基本スタイルとなる。
この後アーリントンカップ(GⅢ)で芝に再挑戦したが、ダートの芝スタートなら逃げられても芝のマイラー相手では後方になってしまい、そのまま見せ場なく12着と敗れ休養入りする。なおこのレースでは「調子が良すぎてゲート内で頭をぶつけたらしい」とのことである。
レース後の放牧中、右前脚に溜まった血の処置を行ったことでまた5ヶ月休み、9月18日の2勝クラス(中京・ダート1400m)で復帰。馬体重は+10kgで584kg。1番人気に支持され、2番人気キタノエクスプレスと競り合ってハイペースで逃げ後ろをすり潰すと、直線でキタノエクスプレスを振り切って5馬身差で圧勝。
次走は10月23日の天王寺S(3勝クラス、阪神・ダート1400)が検討されたが、「同厩舎のローウェルとレースも脚質も競合する」「一旦休ませた方が良い」という理由で11月20日の姫路S(3勝クラス、阪神・ダート1400)に変更となった。姫路Sでも逃げて後ろを振り切る競馬を試みたが、番手で追走してきたカセノダンサーに差し切られてアタマ差2着惜敗。3歳シーズンを終えた。
4歳:これがおれの「ストロングスタイル」だ!!!
4歳初戦は中京・ダート1400mの遠江S(3勝クラス)。馬体重は+14kgで594kgに達した。池添が落馬負傷で休養中だったため福永祐一がテン乗りとなったが、ここもハイペースで逃げて2馬身半差で快勝。オープンに昇格する。なお、この段階でも福永騎手曰く「まだ完成するには時間がかかりそうな身体」「無理すると壊れる危険がある」「腰が出来てきたら相当走ると思います」という評価だったとのことである。
続いては3月11日、得意な阪神ダート1400mのコーラルS(L)。馬体重はさらに+4kgで598kg。池添が鞍上に戻り、いつも通りハイペースで逃げたものの、後方待機していたタガノビューティーらの差し脚に屈して0.1秒差の4着に惜敗。
4月22日の京都競馬場グランドオープン記念(OP)では初めて1200mに距離短縮。馬体重は増減なしで598kg。ダートスタートで1歩目が滑りながらも好スタートを切った外枠の馬たちを制して3コーナーまでにハナを取りきると、あとはそのまま押し切って2馬身差で快勝。記念すべき新装京都競馬場のメインレース勝ち馬第1号となり、オープン初勝利を挙げた。598kgでのオープン特別勝利は、2010年阿蘇Sのクリーン(612kg)に次ぐ記録である。
というわけで7月9日、得意の1400m戦であるプロキオンS(GⅢ)でダート重賞初挑戦。シャマルが競走除外となったこともあり、ドバイ帰りの同期リメイクが1番人気で、ドンフランキーはそれに次ぐ4.8倍の2番人気となった。600kg台になるかと一部で注目されていた馬体重は-4kgで594kg。
芝スタートのうちに押して一気にハナを取ると、いつも通りのハイペース逃げから直線で後続を振り切って突き放す勝ちパターンへ。後ろからは1番人気リメイクが猛然と追い込んできたが、そのまま譲らずクビ差凌ぎきってゴール板へと駆け込んだ。
早野オーナーは嬉しい重賞初制覇。池添騎手は2007年のエルムS(メイショウトウコン)以来、実に16年ぶりの中央ダート重賞勝利。またダイワメジャー産駒の中央ダート重賞制覇は初である。
そして594kgでの中央重賞制覇は、2019年のマーチSでサトノティターンが記録した572kgを大幅に上回るJRA重賞最大馬体重勝利となった。
池添騎手によると「厩舎がこれまで大切に使ってくれて、使う毎に成長しています。まだ緩さもあるので、これからも強くなってくれます」とのこと。まだデカくなるというのだろうか。
重賞制覇でJBCスプリントを大目標に定め、収得賞金確保が目下の課題となったドンフランキー。次走は盛岡のクラスターカップ(JpnⅢ)と、韓国のコリアスプリント(国際GⅢ)の両睨みだったが、後者から招待が無かったので前者を選択、初の地方ダートへ。単勝1.6倍の同世代リメイクに次ぐ2番人気(3.1倍)の支持に推される。馬体重は6kg減らして588kgでの出走となったこのレースではスタートをポンと決めると軽快に逃げたが、最後の直線で内からリメイクに差されるとそのまま引き離され、2馬身半差の2着に敗れた。
勝っていればJBCスプリント直行の予定だったが、2着の賞金では出走権確保には心もとなく、もう1戦挟むとローテが詰まってしまうため、JBCスプリント挑戦は一旦白紙に。
前走の結果を受け、「勝ってもJBCスプリントに向かうかどうかは未定」という方針で東京盃(JpnⅡ)へ。馬体重は前走から変わらず588kg。相手はリュウノユキナ、ヘリオス、ケイアイドリーといったベテラン勢が集まる中、13頭立ての大外12番となったが、単勝1.4倍と断然の1番人気に支持される。
雨で不良馬場となったレースは大井のギシギシが好スタートからハナを主張するが、それを制してハナを確保すると楽な手応えでレースを引っ張り、直線で池添騎手が追い出すと、追いすがるリュウノユキナらを全く寄せ付けず、1と1/4馬身差という着差以上の完勝。
そしてタイムは1:10.0、レースレコードどころかスーニの2011年JBCスプリントを0秒1更新する大井1200mコースレコードとなった。また池添騎手は意外にも大井のダートグレード競走初勝利である。
めでたくJBCスプリントの優先出走権を獲得したが、斉藤師いわく「次は早くても年末か来年。暑い夏を使ってきたのでここでひと息いれたい」とのことで、残念ながら(半ば予定通り)JBCスプリントは回避。脚の負担の大きい巨漢馬なので無理をさせられないということもあるだろう。
始動戦は翌年の根岸ステークス(GⅢ)。得意の1400mで好走出来れば、3月のドバイゴールデンシャヒーンやJpnⅠに昇格したさきたま杯などの大舞台も見えてくる。
ダート短距離界に現れた逃げの重戦車ドンフランキー。ダンシングプリンスやリュウノユキナといったダート短距離戦線の先達の引退が見えてきて世代交代の足音が聞こえる中、人智を超えたデカさで砂の海を駆ける夢の船が進む。
血統表
ダイワメジャー 2001 栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
スカーレットブーケ 1988 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victiria | |||
*スカーレットインク | Crimson Satan | ||
Consentida | |||
*ウィーミスフランキー 2009 栗毛 FNo.7-f |
Sunriver 2003 黒鹿毛 |
Saint Ballado | Halo |
Ballade | |||
Goulash | Mari's Book | ||
Wise Bride | |||
Starinthemeadow 2000 鹿毛 |
Meadowlake | Hold Your Peace | |
Suspicious Native | |||
Lite a Star | Our Michael | ||
Twist a Star |
クロス:Halo 3×4(18.75%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)
関連動画
関連リンク
関連項目
- 競馬
- 競走馬の一覧
- 2022年クラシック世代
- ダイワメジャー
- キラーアビリティ - 同厩舎の同期であり、オーナーサイドの関係者曰く「友達
」[1]
- 池添謙一
- ヒシアケボノ
- ヒシアケボノでかすぎ
- アポロケンタッキー
- ケウ
- ショーグン
- メロディーレーン
- メロディーレーンちっちゃすぎ
脚注
- *なお本馬の母*ウィーミスフランキーとキラーアビリティの母*キラーグレイシスも同年生まれであり、現役時代も2歳G1で2回対戦し1勝1敗(デルマーデビュータントSは*ウィーミスフランキー1着・*キラーグレイシス5着、ハリウッドスターレットSは*ウィーミスフランキー4着・*キラーグレイシス1着)の対戦成績を残している。
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