アントニーン・レオポルト・ドヴォルザーク(Antonín Leopold Dvořák,1841-1904)とは、チェコの作曲家である。
名前について
チェコ独特の姓ドヴォルザーク(「中庭(ドヴール、dvůr)付き別荘の所有者」を意味する)のチェコ語での発音は、敢えて書くとすれば「ドヴォジャーク」が最も近い。
r (エル)の上に ˇ (ハーチェク)を加えた ř は、チェコ語でしか使われない文字。その発音は、巻き舌のrと日本語でいうところのジャ行を同時に発音するというエクストリームな音であるため、欧州の隣人たちにとっても厄介な発音である(例えば英語では r の後に間髪入れずジャを発音し、更に dv という音の連なりも普通の英語に存在しないために曖昧母音を挟んで、結果「ディヴォァジャック」のように発音する)。したがって遺伝的に巻き舌が苦手な人も多い日本人には容易に発音できるわけもないので、表記も「ドボルザーク」「ドヴォルザーク」「ドヴォルジャーク」などと書くことで誤魔化されている。
概要
1841年、プラハ近郊のネラホゼヴェスに宿屋兼肉屋の息子として生まれる。
1874年より5年間、オーストリア国家奨学金に応募し、賞金を授与される。このとき審査員を務めていたブラームスに認められ、生涯にわたる親交を結ぶ。
以後彼の評価は一気に高まり、1891年にニューヨーク・ナショナル音楽院の院長として渡米して1895年に帰国するまでその職を務めた。
後期ロマン派・チェコ国民楽派を代表する作曲家。
一般人にも広く知られる『交響曲第9番「新世界より」』や『ユモレスク』でわかるようにクラシック音楽屈指のメロディーメイカーであり、ボヘミアやアメリカ音楽の影響を受けた民族色の強い親しみやすい旋律が特徴である。実際、ブラームスが「彼のくずかごをあされば、交響曲が一曲書けるだろう」とその才能をうらやむ発言を残しているほどである。
代表作に『交響曲第7番』、『交響曲第8番』、『チェロ協奏曲』、『弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」』、『スラヴ舞曲』、『スターバト・マーテル』などがあり、幅広い分野に数多くの傑作を残している。
また、鉄道が大好きである。ちなみに本質的には全く無関係な話だが、チェコ語の親戚言語であるポーランド語でドヴォルザークと同語源のドヴォジェッツ(dworzec)という語は「(公共交通機関の)駅」という意味。
ちなみに、タイプライター及びPCのキー配列の一つである「Dvorak配列」を考案したアメリカの心理学者オーガスト・ドヴォラックは彼の遠縁の親戚である。
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関連項目
- チェコ
- クラシック
- 作曲家一覧
- 鉄道ファン
- 後期ロマン派
- チェコ国民楽派あるいはボヘミア楽派
- ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌
- ベドルジハ・スメタナ(チェコ音楽の先輩)
- ピョートル・チャイコフスキー(ロシアの作曲家。1歳年上)
- エドヴァルド・グリーグ(ノルウェーの作曲家。2歳年下)
- レオシュ・ヤナーチェク(チェコ音楽の後輩)
- 唱歌「家路」(交響曲第9番の第2楽章に日本語の歌詞がつけられたもの)
- ピアノ曲『ユーモレスク』変ト長調(Op.101-7,B.187-7)
- 歌曲『我が母の教えたまいし歌』
- スラヴ舞曲
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