ドーブネ(英:Dobune)とは、2019年生まれの日本の競走馬。青毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2021年:ききょうステークス(OP)
2023年:ポートアイランドステークス(L)、キャピタルステークス(L)
概要
父ディープインパクト、母*プレミアステップス、母父Footstepsinthesandという血統。
父は説明不要の無敗三冠馬にして大種牡馬。2019年に死亡し、2020年産のラストクロップはほんの数えるほどしかいないため、2019年生まれのドーブネは事実上のラストクロップとも言える。
母はアイルランド産の輸入繁殖牝馬で、アメリカ・イギリス・フランスで走り16戦3勝、重賞は未勝利。
母父はキャリア3戦でイギリス2000ギニー(GⅠ)を勝利しそのまま引退。通算3戦3勝。種牡馬としての産駒にChachamaidee、Marianafootなどがいる。
2019年4月3日に千歳市の社台ファームで誕生。2021年の千葉サラブレッドセールにて、同年から馬主業に参入したサイバーエージェント(『ウマ娘 プリティーダービー』の開発元・Cygamesの親会社)社長・藤田晋に、4億7010万円(税抜)という同セールの史上最高取引価格で落札された。税込だと5億1711万円。全サラブレッドセールを合わせても史上5番目の取引額だとか。
馬名の意味は、表向きには「どぶね(古代の舟)より」。現在の新潟県あたりで使われていた古代の木造和船のこと。
ただし、他に藤田の所有する2019年産馬はワインから取られているため、本馬も本当の由来は超高級ワインのドメーヌ・ドーヴネ(Domaine d'Auvenay)と思われる。これについて、藤田はインタビューで、「馬名の登録は商品名が絡むと大変なことが分かったので、来年からはやめようと。」と答えており、商標に引っかかった旨が示唆されている。詳しくは「競走馬の命名規則」の記事を参照。
超高級古代ワインの舟
2歳(2021年)
栗東・武幸四郎厩舎に入厩し、武師の兄で『ウマ娘』とも縁が深い武豊を鞍上に迎えて、2021年9月4日の札幌の新馬戦(芝1500m)でデビュー。後方からコーナーで大外をブン回し、直線で力強く抜け出して2馬身差の快勝デビューを飾る。藤田オーナーの所有馬5頭の中で初勝利となった。
続く2戦目は10月2日、中京・芝1400mのききょうステークス(OP)。武豊は凱旋門賞に行っていたため鞍上は吉田隼人に乗り替わり。積極的に前に出て逃げ、直線でも後続を突き放して完封、1馬身半差をつけての逃げ切り勝ち。ただ鞍上の吉田は抑える競馬を教えたかったようで、「今日は能力だけで勝った感じです」とコメントした。
ちなみに7頭立てだったこのレース、1着から7着まで全頭が人気順通りに決着するという珍しい結果になった(翌週のGⅢサウジアラビアロイヤルカップでも同じ7頭立てで同様の結果に)。
ともあれ無傷の2連勝で、3戦目は当初は11月のデイリー杯2歳S(GⅡ)の予定だったが、ここをパスして12月の朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)へ参戦。鞍上は引き続き吉田隼人。本馬場入場の際の出走馬紹介でカンテレの石田アナが本記事冒頭の紹介をしたため、「ウマ息子」がTwitterのトレンドに上がる事態に。
レースでは後方で脚をため、外から追い込んだものの直線で上手く進路を確保できなかったせいもあってか上位勢には追いつけず、1着ドウデュースからは1秒差、6着トウシンマカオからも3馬身差離された7着。ウマ娘おじさん武豊悲願の朝日杯FS初勝利を後方で見送った。
ドーブネの勝利を祝うくす玉を用意していた藤田オーナーは、割れていないくす玉の写真とともに「しまったな。「祝!G1初出走」バージョン用意しとけば」とツイートしていた。
3歳(2022年)
明けて3歳は鞍上が武豊に戻り、3月の皐月賞トライアル・スプリングステークス(GⅡ)へ出走。スタートで出遅れ最後方からのレースとなり、大外をブン回して直線で追い込んだが伸びきらず6着まで。上がり最速タイの末脚は見せたものの優先出走権には届かなかった。武豊は「3コーナーで上がっていくときの脚は良かったのですが、馬場に脚を取られたのかバランスを崩して、勢いが衰えてしまいました。荒削りなところがありますが、いずれは走ってきそうです」とコメント。この結果で皐月賞は断念となった。賞金的には登録していれば出られたのだが。
次走はNHKマイルカップへの登録もあったが同オーナー・同じく武豊主戦のジャングロが出走することもありここはパスして、ダービートライアルのプリンシパルステークス(L)へ。武豊は好スタートから2番手につけ、向こう正面で折り合いをつけて中団に下げ脚を溜める展開を選択。直線では内を突き、前を行くセイウンハーデスを追いかけたものの、最後に脚の伸びが止まって2頭にかわされ4着。
その後、骨折が発覚し放牧へ。治療に専念しつつも、今後の飛躍に向けて英気を養う事になった。
幸いそれほど重度の骨折ではなかったようで、半年弱休み、10月30日の自己条件の2勝クラス・武田尾特別(阪神・芝1800m)で復帰。天皇賞(秋)と同日だが、そちらに騎乗馬が無かったこともあり鞍上は今回も武豊。4.5倍の2番人気。
大外枠からポンと好スタートを切り、そのまま無理なくスローペースで逃げの体勢へ。逃げながら脚を溜めて上がりも最速タイの32秒9を叩き出す走りで2着ベルクレスタを2馬身半突き放し快勝。復帰戦で改めて素質を見せ付ける勝利となった。
続いては12月4日の3勝クラス・逆瀬川ステークス(阪神・芝1800m)へ。武豊は同日のチャンピオンズカップでノットゥルノに騎乗するため中京へ行っていたため、鞍上は吉田隼人。単勝2.6倍の1番人気に支持される。
今度は最内枠からスタートを決めて3番手の先行策。直線で逃げ馬を捕まえて抜け出すと、やや左にモタれる様子を見せながらもそのまま力強く押し切り連勝。あっさりとオープンまで勝ち上がった。吉田隼人も「競馬に幅が広がったし、これからが楽しみです」とコメント。
4歳(2023年)
明けて4歳初戦は距離を伸ばし、1月の東京・芝2000mの白富士ステークス(L)から始動。鞍上は武豊。1枠1番に入り、3.8倍の2番人気に支持された。
ポンと好スタートからハナを切り、1000m59秒9のペースで後ろを離して逃げの体勢へ。3コーナーから後ろが詰めてきたが、直線でもしぶとく粘って先頭を譲らない。残り100mまで粘ったが、昨年のローズS2着の牝馬サリエラに差し切られて惜しくも2着。3連勝とはならなかったものの、2000mでも充分勝ち負けになることは示した。
次走は強気にも中山記念(GⅡ)。シュネルマイスター、ダノンザキッド、スタニングローズらGⅠ馬に、ソーヴァリアント、ヒシイグアスら実力派、イルーシヴパンサー、ラーグルフといった直近の重賞勝ち馬も揃う好メンバーに果敢に挑むことになった。鞍上は引き続き武で、17.2倍の7番人気。
ゲートの出で少し遅れたがすぐに巻き返してハナを切り、今回もそのまま逃げの体勢へ。直線でも内で粘ったが、最後に外からヒシイグアスとラーグルフに差されて3着。敗れたとはいえGⅠ馬3頭に先着する大健闘……ではあったのだが、最後の直線、内のスペースにシュネルマイスターとイルーシヴパンサーが並んで突っ込んできたところで左にヨレてしまい、審議にはならなかったが内斜行で武騎手に戒告の裁定となった。
続いては5月20日、東京・芝1800mのメイステークス(OP)。武豊が平安Sでノットゥルノに乗りに京都に行ったため、鞍上は吉田隼人。人気が割れる中、4.3倍の2番人気に支持される。
外の7枠から好スタートを切るが、マテンロウスカイがハナを主張してきたので譲り、単騎で行かせて2番手でのレースを選択。直線ではあまり手応えがよくないなりに粘ったが、逃げ粘るマテンロウスカイとそれを抜群の手応えで差し切ったサクラトゥジュールには3馬身離され、最後はエピファニーにアタマ差かわされて4着。
次走は7月2日、函館・芝1800mの巴賞(OP)。鞍上は武豊に戻り、16頭立ての大外8枠15番に入れられてしまったものの、2.4倍の1番人気に支持される。
レースはハナを主張するテーオーシリウスを2番手で追走。4コーナーでもう外からかわして先頭に立ち、そのまま前残りの展開を押し切ろうとしたが、4番手から鋭く伸びてきたアラタにあっという間に差し切られて3/4馬身差の2着。
そのまま函館に滞在し、中1週で武豊とともに芝2000mの函館記念(GⅢ)に挑戦。10.3倍の5番人気。
稍重のレース、5番手につけて前を追ったものの、直線でぱたっと脚が止まり見せ場なく8着。武豊は「4コーナーまでいい形できたが、最後1ハロンでばったり止まった。馬場なのか距離なのか」とのコメント。
そんなわけで朝日杯以来のマイルに戻り、10月の阪神・芝1600mのポートアイランドステークス(L)へ。武豊は同日のスプリンターズSに騎乗するため、鞍上は吉田隼人。大外8枠9番に入れられてしまったが、2.6倍の1番人気に支持される。
レースはすっと前目につけて、逃げるワールドリバイバルを追いつつ暴れるサブライムアンセムの横、3番手で先行。直線でワールドリバイバルを捕まえると、後ろから追ってきたグラティアスを二枚腰で力強く振り切り勝利。オープン以上ではききょうS以来ほぼジャスト2年ぶりの勝利を挙げた。またこの勝利でディープインパクト産駒はJRA通算2749勝目。偉大なる父サンデーサイレンスの記録に並ぶ節目の勝利となった。
続いて11月の東京・芝1600m、キャピタルステークス(L)。武豊は負傷離脱中のため今回も鞍上は吉田隼人。マイル重賞で実績のある重賞牝馬プレサージュリフトに次いで、3.3倍の2番人気。
今回も外目の7枠8番だったが、好スタートからすっとハナを切る。2番手で追ってきたプレサージュリフトから少し距離を置き楽なペースで逃げると、余裕の手応えで直線を向き、あとは吉田隼人の追い出しに応えて後ろを寄せ付けず、プレサージュリフトを完封して快勝。同日の京都メイン・GⅢ京都2歳Sでは同じ藤田オーナーのシンエンペラーが重賞初制覇を飾り、開催両場でメインレース連勝を飾ることとなった。
マイルのリステッド競走を連勝となれば、今後は間違いなく改めて重賞戦線への挑戦となるが、吉田隼人は「マイルの重賞では切れる馬も出てきますし、強い馬もいますから、1800m以上の方が良いと思います」とのコメントであった。
5歳(2024年)
明けて5歳初戦はマイルの京都金杯(GⅢ)から始動……したのだが、重賞未勝利なのにトップハンデ58.5kgを背負わされる羽目に。なんで? 鞍上は武豊がアンドヴァラナウトに騎乗するため吉田隼人。
レースは好スタートを切って前でレースを進めたものの、ドルチェモアがハイペースで飛ばした流れについていけなくなり、直線で沈んであえなく14着。
続いて昨年好走した中山記念(GⅡ)。前走の大敗で35.6倍の10番人気まで評価を落とした。鞍上は今回も武豊をソーヴァリアントに取られて吉田隼人。
雨で稍重の馬場の中、ハナを取ったドーブネは1000m58秒6のハイペースで逃げる。このところは良馬場のスロー逃げで結果を出していたので大丈夫か?と思われたが、直線でも内ラチ沿いで粘り腰を発揮、マテンロウスカイにはかわされたものの、ジオグリフとソールオリエンスの皐月賞馬2頭を振り切って2着に粘り込んだ。
2021年に大ブームを巻き起こした『ウマ娘』の親会社社長の、超高額取引馬ということでデビュー前から何かと注目を集めるドーブネ。「超高額取引馬は走らない」というのは有名な競馬界のジンクスだが、漆黒の青毛はそのジンクスを打ち破る活躍を見せられるか。
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*プレミアステップス 2010 黒鹿毛 FNo.6-e |
Footstepsinthesand 2002 鹿毛 |
Giant's Causeway | Storm Cat |
Mariah's Storm | |||
Glatisant | Rainbow Quest | ||
Dancing Rocks | |||
Primissima 2001 黒鹿毛 |
Second Set | Alzao | |
Merriment | |||
Princess Taufan | Taufan | ||
Guindilla |
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関連項目
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- 0pt