基本データ | |
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正式名称 | ナウル共和国 Republik Naoero Republic of Nauru |
国旗 | ![]() ※クリックで原寸大表示 |
国歌 | ナウル我が祖国 |
公用語 | 英語、ナウル語?(未確定) |
首都 | なし(詳細は概要に) |
面積 | 21.1km2(世界第192位) |
人口 | 約1万人(世界第192位) |
通貨 | オーストラリア・ドル(AUD) |
ナウルとは、太平洋のほぼ赤道直下(南緯0度32分)に存在する極小島嶼国である。
概要
ただ一つの島で構成された国。1968年に独立国となる。正式国名、ナウル共和国。
いわゆるミニ国家の一つで、国際的に承認された国家の中では国土面積が小さい順にバチカン市国、モナコに次ぐ三番目に位置付けられる。国連加盟国としては最小のモナコに次いで二番目。島嶼国の中では世界で最も小さい。
島は南北方向・東西方向にそれぞれ約5kmの幅を持つ。面積は21.1km2。この広さは東京都品川区や大阪府池田市や神奈川県綾瀬市より若干狭く、千葉市美浜区や千葉県鎌ヶ谷市や東京都多摩市とほぼ同じ位、大阪市住之江区や愛知県尾張旭市や埼玉県北本市より若干広い程度である。
首都は特に定められていない…というより国土面積が小さいこともあり、都市という概念が存在しない。世界地図などでは「ヤレン」が首都とされているが、ヤレンは都市ではなく単なる地区であり、政庁が所在しているだけである。
太平洋に浮かぶ絶海の孤島であり、現在、外国人への観光目的でのビザ発行は行なっていないので、旅行客が上陸する事は難しい。とはいえ、数少ない航空便でひとたびナウルの空港に降り立ってしまえば、ビザがなくとも何とかなってしまうという話もあるらしい。もちろん、確たる保証は出来ない。特に通貨の両替ができず、クレジットカードもまともに使えないため、あらかじめオーストラリア・ドルを十分用意しておく必要がある。
太平洋戦争中、1942年より旧日本軍が占領していたという歴史もある。当時の燃料庫や砲台跡などの戦跡が今も残っているが、放置状態にある。
働かない国民
島の人口は12,570人。そのうちナウル国民は7,291人。在留邦人は1人。ただ、人口に関しては諸説様々あり、はっきりしていない。
国民の大半が働く事を知らず、働く意志もない。なにしろ、祖父母の代から労働とは無縁の生活をしていたので、無理もない。現在は主な産業もない。ある意味ニートだらけの国ともいえる。
かつては島の表面を覆っていた海鳥の糞由来の良質なリン鉱石の採掘・輸出によってナウルは莫大な富を成した。1人当たりの所得が世界で最も多かった事もある。そのおかげで、税金もなく全ての公共サービス(教育費・医療費など)は無料の上、年金が支給される為、国民は全く働く必要がなかった。リン鉱石の採掘場で働くのは外国から出稼ぎに来た労働者であった。国民のする事といえば、起きる・食べる・遊ぶ・寝るのいずれかである。
島国であるにもかかわらず、漁師はほとんどいない。魚採りは単に趣味として存在するようだ。食事も島内に10軒ほどある中国系外国人が営む中華料理店で済ますので、自ら料理をする必要がなかった。 公務員ですら外国人(専門性の高い分野を中心にオーストラリア人・フィリピン人・インド人など)が3割を占める時期があった。
20世紀初頭から資源によって潤っていたナウルの富だが、20世紀末にとうとう一次埋蔵量にあたるリン鉱石が枯渇。世界に類を見ない富裕国は一気に最貧国の仲間入りとなった。国民の夢のような生活も終焉を迎えた。そんな危機的事態であるにもかかわらず、やっぱり国民は働かない。
とはいえ、なにも無策で枯渇を待っていた訳でもなく、ナウル政府は来たるべき資源枯渇に備えて、様々な投資事業を試み、外国でのオフィスビルやホテル、更には国営の保険会社、海運会社、航空会社の経営に乗り出していた。経営は外国人にまかせっきりだったらしい。そして、ことごとく失敗。 残ったのは不良債権の返済だった。
アクロバティック外交
資源枯渇後はアクロバティックな外交を展開。元々ナウルは中華民国(台湾)を国家承認していたが、中華人民共和国(中国)を国家承認し、台湾との外交を断絶。これによって中国からの資金援助を引き出す。かとおもえば、数年後に台湾との外交を復活、中国と国交断絶して台湾からの資金援助を引き出した。中国と台湾を外交面で手玉に取るとは、ある意味で恐るべき国家である。
2003年には突然ナウルは諸外国と数週間に渡って音信不通状態になり、政変か内乱かと騒がれた。しかも派遣されたオーストラリアの調査団からの連絡も途絶える始末。このあまりにミステリアスなニュースに2ちゃんねる上でも様々な憶測が飛びかったが、結局の所、通信機器の故障と判明。まったく人騒がせな……。
また、オーストラリアで引き受けきれない難民の収容場所を提供、見返りとしての資金援助を受けたり、それとは別に同国ならびにニュージーランドから無償資金援助を受けている。日本からも1999年~2005年まで、合計694万ドルの無償資金協力をナウルにおこなっている。
公共交通機関がなく、水や電力の供給も不安定など、インフラ整備の不備も目立っている。
ナウルの現在
2000年代以前はこんな体たらくであったが2004年以降ナウルは経済政策失敗の負の遺産に取り組み始めている。
ナウルの失業率は2004年には90%という異次元の数値を叩き出していたが2011年には23%、2019年には18%まで下落し国民はちゃんと働くようになったご様子。(それでも失業率は非常に高いが…)
枯渇したとされるリン鉱石であるが枯渇したのは「一次埋蔵量」にあたる部分であり現在は「二次埋蔵量」にあたる部分を採掘している。これはあと30年は持つと予測されている。
またナウルはオーストラリアへの難民を代わりに受け入れる、難民収容施設事業が経済の柱の一つとなっている。(ただ難民の扱いは非常に劣悪であると指摘されている)
こんな感じでナウル経済は成長を取り戻し一人当たりGDPは太平洋諸国のなかでは上位に位置すると見事な復活を遂げた。
ただしリン鉱石はいつか枯渇するし難民収容も国際環境に大きく左右されるためナウル経済は依然として不安定である。
そのためナウルは経済の多角化として観光業に力を入れ始めた。その一環としてナウル共和国政府観光局日本事務所のTwitterアカウントを開設した。そのツイートがウケたことでマイナー国家にもかかわらずフォロワーは急増、人口をはるかに超え旧宗主国のドイツ(約11万人)を上回り駐日政府観光局の中で世界一位にまで上り詰めた。また、同事務所のwebサイト
は極めてシンプルなことで知られている。これは、「通信環境が悪いナウルでも快適に使える駐日政府観光局最速サイトを目指す」という意図
に基づいて構築されているため。
また懲りずに投資にも手を伸ばし2015年にナウル世代間信託基金が設立された。
ただし今回はアジア開発銀行の技術支援を受けており新型コロナウイルスの流行による景気後退まで増益を続け2017年に5600万豪ドルの評価額だったのが2020年には1億4000万豪ドルまで増加しており前回と異なり安定した運営を見せている。
新型コロナウイルスの襲来
…が2020年に新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るいナウルにも大きな影響を与えた。
感染者数は現時点では未だ0人なものの2020年のGDP成長率は-1.7%と推計されており経済へのダメージは免れなかった。
ただし太平洋諸国でナウルより経済ダメージが少ない国はツバル(+2%)、キリバス(+0.6%)、パプアニューギニア(-1.5%)の3ヵ国だけであり実は致命的なダメージは受けていない。
なお観光業に特化している国は大惨事と化している。(下位3ヵ国はフィジー-15%、バヌアツ‐9.8%、パラオ-9.5%)
地理
日本とニュージーランドとのほぼ中間に位置しており、海域で言えばミクロネシアに入る。この地域にはグアムやマーシャル諸島など米英に関係する島が多い。
政治
政治体制は「共和制」。一院制・19議席から成っており、議員の任期は3年間(そもそもナウル一島で住民も10,000人ほどしかいないから規模は小さい)。
ナウルには政党は存在しない。政策課題よりも親類などの縁戚関係や人脈といったコネの方が重視され、こうしたコネで作られる「派閥」の方が影響が大きいという。 [1]
外交
地理的な部分もあって太平洋の島々との関係を多く持つ。オーストラリアやニュージーランドなどいわゆる西側国家との交流も多いが、フランスとは外交停止中(フランスがポリネシアで核実験再開したため)。
台湾と外交関係を持っている国の一つだったが、2002年に中国と国交を樹立し台湾とは断交している。のちの2005年に台湾との外交が復活。台湾からは農業技術などを取り入れている。 [2]
1987年にはソ連との外交関係も開かれている。後継であるロシアとの外交関係も維持されており、南オセチアとアブハジアの独立を承認することと引き換えに経済支援をもらっているという面もある。 [3]
関連動画
関連商品
関連項目
関連リンク
- ナウル共和国政府観光局日本事務所
- 公式グッズ「ナウル屋」
- ナウル共和国政府観光局 (@nauru_japan) - Twitter
- The Government of the Republic of Nauru
- Republic of Nauru (@Republic_Nauru) - Twitter
脚注
- *ナウル基礎データ|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan
- *ナウルを訪問の蔡英文総統、「台湾農畜教育中心」の除幕式などに参加 - 台北駐日経済文化代表処
- *リュック・フォリエ『ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで』
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