ナッツリターンとは、大韓航空の副社長が客室乗務員のナッツの提供方法に激怒し、離陸直前の飛行機を搭乗口へ戻させた騒動または事件のことである。
概要
2014年12月5日午前0時50分(現地時間)にニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港で、仁川国際空港行きの大韓航空86便が離陸する直前にこの騒動は起こった。
ファーストクラスに乗客として乗り合わせていた大韓航空の副社長である趙顕娥(チョ・ヒョナ)が、客室乗務員が提供するマカダミアナッツの出し方が袋のままだったことで激怒。
マニュアルではナッツを求められた場合は一旦紙製の皿に移し変えて提供すると定められていたという。
客室乗務員がマニュアル通りの提供方法であると主張したため、趙副社長はマニュアルの提示を要求。
客室責任者のパク事務長がタブレットを持ってきてマニュアルを見せようとしたが、パスワードを入力できず手間取った為に趙副社長の怒りは頂点に達する。
趙副社長は客室乗務員や責任者に対して大声で暴言を吐き、暴力行為まで働いた挙句、機長に指示を出しパク事務長を降ろさせるために滑走路から搭乗口へ飛行機を引き返させた。
その結果、出発は20分遅延し、仁川国際空港への到着は11分遅れとなった。
この際、機内放送など乗客への説明は無かった。
事件後
- 12月8日 - 国内外のメディアが一斉に報道を開始。韓国国土交通部が騒動の調査を開始。大韓航空が乗客へ謝罪。
- 12月9日 - 趙副社長が騒動の責任を取って担当の機内サービスやホテル事業の総括役から退く。
- 12月10日 - 総括役から退いても批判が収まらなかったため、趙副社長は副社長職を辞任。
韓国市民団体が航空法違反の疑いで趙元副社長を検察に告発。 - 12月11日 - 韓国検察が大韓航空本社を家宅捜索。国土交通部が趙副社長に出頭要請。
- 12月12日 - 国土交通部が趙副社長を呼び出し事情聴取。その際大韓航空側がマスコミに対して建物入り口を封鎖しブロック、事前に質問内容を提出させ、取材のリハーサルまで行った。また建物清掃員に対して趙副社長が使用する可能性のある女子トイレの清掃をやり直すよう求めた。
趙元副社長の父で韓進グループ会長である趙亮鎬が記者会見を開き、「娘の教育を間違えた」と謝罪した。
趙元副社長の命令で飛行機を降ろされた責任者のパク事務長がKBSのインタビューに応じ、騒動の際に趙元副社長から暴行を受けたと主張。また会社側から調査に対して偽りの証言をするよう強要されたと話した。
この頃より韓国内でマカダミアナッツの需要が急増、品薄となる。 - 12月14日 - 趙元副社長がパク事務長と客室乗務員の自宅を訪問。不在だった為ドアの隙間に謝罪メモを差し入れた。
- 12月15日 - 大韓航空が騒動の目撃者である乗客に対し、カレンダーと飛行機模型でマスコミに対して自社に有利な証言をするよう懐柔しようとしていた事が発覚。
- 12月16日 - 国土交通部が会見。騒動の際に趙副社長は「降りろとは言ったが飛行機を引き返すよう指示はしていない」と供述し、パク事務長に対する暴行の事実は確認できなかったと発表した。また大韓航空に最大21日間の運行停止もしくは罰金などの行政処分が決定された。
- 12月17日 - 趙元副社長が検察へ出頭。取調べを受ける。
パク事務長が国土交通部の調査団に大韓航空OBがおり、降ろされたパク事務長の調査の際に大韓航空役員も立会い、大韓航空に有利となるよう調査が修正されていたことを暴露。国土交通部が特別監査を開始。
趙元副社長の妹でジンエアー専務である趙顯旼が「すべての役職員の過ちであり、私から反省する」と社内に送信したEメールがリーク。オーナー家族の責任は?と指摘され炎上。 - 12月18日 - 検察は大韓航空のヨ常務を証拠隠滅容疑で被疑者とした。また多数の役員を出国禁止にした。
韓国内で空前のナッツブーム到来。この騒動がゲーム化される。 - 12月19日 - 国土交通部の航空安全監督官、運航審査官のほとんどが大韓航空OBであったことが判明。
- 12月20日 - 検察は趙元副社長の拘束令状を請求することを決定。
- 12月24日 - 検察は趙元副社長の逮捕状を請求。大韓航空の元客室乗務員から、趙元副社長は以前からナッツが大嫌いだったとの証言が出る。実は嫌いな食べ物を出されたからキレたんじゃ、、
- 12月26日 - 検察はヨ常務に調査情報をリークしたとして、国土交通部のキム調査官を逮捕。
- 12月29日 - 国土交通部は大韓航空に不正に肩入れした調査官8人を懲戒と警告処分と発表。
- 12月30日 - 趙元副社長と大韓航空のヨ常務が逮捕される。
- 2015年1月16日 - 趙元副社長の起訴状が公開され、事件詳細が明らかとなる。実はマニュアルではナッツは袋のまま提供すると定められており、マニュアルを確認した趙元副社長が逆ギレ。責任者であるパク事務長に「お前がすぐ答えないから客室乗務員を叱ってしまったじゃないか。お前のせいだから降りろ。」と八つ当たりして飛行機から降ろさせていたことが発覚。また事件当時、趙元副社長は飛行機が出発している事を知らなかったと主張していたが、実はパク事務長から説明を受けて知っており、取調べで嘘の供述をしていたことも判明している。
登場人物、組織
大韓航空
- 客室乗務員 - 大韓航空86便の客室乗務員。ナッツをマニュアル通りの方法で提供したことで、マニュアルの内容を勘違いしていた趙副社長を激怒させる。
- パク事務長(41) - 大韓航空86便の客室責任者。チーフパーサー。趙副社長に飛行機から降ろされた人。スケープゴートにされそうになり会社の隠蔽工作を暴露。本名はパク・ギャンフン。
- ヨ常務(57) - 大韓航空の客室担当の常務。事件の隠蔽工作をしたとして証拠隠滅や強要で逮捕される。
韓国政府
関連動画
関連コミュニティ
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関連項目
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