ナパームとは、焼夷剤の一種である。ガソリンをゲル状にしたもので、主に熱と一酸化炭素中毒によって対象に危害を与える。
概要
通常ガソリンはさらさらした揮発性の液体で、この状態では焼夷兵器としては役に立たないが、濃化剤を加えて安定した粘性の大きいゲルにすると、焼夷兵器として理想的になる。安価でありふれた原料で製造でき、簡単な装置で散布することができる。[1]
名称
「ナパーム」は、元々ガソリンに加えられるとゲルを作る濃化剤を意味する言葉だった。当初ナフテン酸塩とパルミチン酸塩という二種類の脂肪酸が濃化剤の有効成分であると考えられ、それぞれの最初の音節をとってナパームと呼んでいた。実際にはラウリン酸がゲル化の重要な成分であることが分かったが、ナパームという呼び名はこの種の兵器の一般的な名称としてそのまま使われている。[2]
開発
第二次大戦がはじまった頃、アメリカ陸軍は改良型の焼夷混合剤の開発に関心を持ち、著名な有機化学者であるハーバード大学のルイス・フィーザーに協力を求めた。当初フィーザーは生ゴムを濃化剤に使うことでガソリンをゲル化する方法を提供した。これは効果があったが、日本軍が東インドに侵攻したことで天然ゴムの供給が絶たれたために合成濃化剤の開発が必要になり、ナパームが開発された。ナパームは当初のゴムを濃化剤としたゲルよりもはるかに優れていることがわかり、大戦中には日本に対する焼夷弾空襲に用いられたほか、朝鮮戦争やベトナム戦争でも使用された。[3]
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関連項目
脚注
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