ナポレオン(GBA)とは、2001年3月21日に任天堂から発売されたGBA用のゲームである。
開発は元気株式会社が担当した。メーカーが呼称するゲームジャンルはリアルタイムウォーゲーム。
概要
ゲームボーイアドバンスのロンチタイトルとして発売されたソフトの一つ。
ストーリーは18世紀のフランスを舞台にナポレオンの活躍を描いた物であるのだが、1つ注意されたいのが「ナポレオンを題材としたファンタジー」であり、史実を忠実になぞるものではない。
そのため硬派な戦略モノと思って手を出し、ストーリーの展開に拒否反応が出る者も少なからず存在する。
これが後述する作品の評価を貶める原因の一つになっている。
ゲームシステム
RTSというジャンルは日本では馴染みが薄く、覚えることが多く敷居が高いと思われているが、本作では資源・資金のやりくり、技術開発、施設の建設などといった複雑で敬遠されがちなシステムを除き(もしくは簡略化して)、ほぼ戦闘パートのみを抽出したものとなっている。難易度も全体的に低めなため、RTS初心者の入門としてもおすすめできる。
プレイヤーはナポレオンを操作して兵や指揮官に命令を出す。ナポレオンは要するにHPを持ったカーソルであり、ナポレオンが攻撃を受けHPが0になればゲームオーバーになる。ナポレオンが行えるのは兵士への命令の他、ボタン連打で兵士を回復したり、SPを消費して兵に気合い入れて攻撃速度を上げたり、周りの兵を自分の場所に集合させたりできるが、戦闘能力は一切持たない。
他のRTSと違い、兵をグルーピングして一纏まりにすることはできない。その代わり指揮官というユニットが存在し、指揮官は兵と陣形に組むことで最大4部隊までの兵を引き連れることができる。
指揮官はナポレオンと共にストーリーに関わる6人の固有キャラクターで、能力にも個性がある。
ステージ開始時に出撃人数の範囲内で出撃でき、クリア時のスコアを「ほうび」として分配してやることで成長する。
指揮官にはレベル以外にも「やる気」があり、ほうびはその戦闘時の指揮官の働きぶりに応じて適切かそれ以上に分配してやることで上昇し、不当に低いと下降する。ステータス補正や倒れて撤退した際の再登場にかかる時間に影響が出る他、台詞が変化したり外伝の出現条件になっている。
目的は主に敵本拠地の制圧。他に敵の殲滅や耐久戦、特定ユニットの護衛、ボスの撃破などがある。
30話のミッションと7つの外伝からなるストーリーモードの他に、育てた指揮官を使って通信ケーブルで友達と戦える対戦モード、兵を配置して戦わせるフォーメーションバトル、100人斬り・タイムアタック・持久戦のタイムを競うトライアルなどがある。かつてはモバイルアダプタにも対応していたが、現在はサービスが終了している。
兵種
- 歩兵
- 基本となるユニット、全ユニットで最も安く戦闘能力は低いが拠点を占領することができる。
攻撃はマスケット銃による中距離攻撃。壁にすらならないため原則として占領用。 - 騎兵
- 高い体力と機動力を持つユニット。直接攻撃を行うため前線で負傷しやすい。
歩兵や砲台を迅速に倒すことが可能。 - 砲台
- 高い攻撃力で後方から敵を攻撃するユニット、移動は遅いが陣形に組み込むことで解消できる。
近づかれすぎると攻撃できない、着弾地点の周囲にもダメージを与えられるなどの特徴がある。 - 応援団
- 戦闘能力を持たないが、同じ陣形の他のユニットの体力を回復させる。
指揮官の体力も回復するが、自身は回復しない。 - 工作兵
- 戦闘能力を持たないが、特定地点に橋をかけてユニットを通行できるようにしたり
台座があれば強力な特種ユニットである巨大砲台を建設したりできる。 - 装甲兵
- 拠点占領能力と凄まじい体力を持つ特殊な歩兵。陣形に組み込めない。
攻撃能力がなく、敵と交戦しようともせずひたすら拠点を占領しようとする。 - 重騎兵
- 騎兵の上位版。騎兵を上回る攻撃力を持ち周囲の全方向を同時に攻撃できる特長がある。
乱戦に強く、占領に向かってくる歩兵などのザコをまとめてなぎ払うことができる。 - 重砲台
- 砲台の上位版。砲台を上回る鈍重すぎる移動力と壮絶な攻撃力を持つ。
陣形に組み込んで使用すれば移動力は気にならない。 - ガーゴイル
- 物語後半、ある理由で自軍で使えるようになる怪物のユニット。ランヌのみ陣形組み込み可。
戦闘力は貧弱だがカーソルであるナポレオンとほぼ同速というものすごい移動速度を誇る。 - ゴーレム
- 物語後半、ある理由で自軍で使えるようになる怪物のユニット。ランヌのみ陣形組み込み可。
人知を超えた圧倒的な近接攻撃力を持つが、移動速度は重砲台並み。 - 近接戦を挑むと指揮官ですら撲殺される恐れがあるので、対峙する時は砲台を使うこと。
- 占領船
- 海戦版の歩兵。拠点を占領できる。直接攻撃を行うなど戦闘能力は騎兵に近い。
歩兵に比べ値段と生産時間がかかるため無駄にしないように。 - 攻撃船
- 海戦版の砲台。非常に高い攻撃力を持つ。
占領船に密着されると一方的に殴られて負ける場合があるので占領船と一緒に置いておくこと。 - 巨大砲台
- 工作兵で台座上に作成できるマップ兵器ユニット。着弾後に大爆発を起こす超巨大な砲弾で攻撃する。
味方のものはナポレオンが重なることで一定距離範囲の好きな位置に砲弾を発射できる。
敵のものは特定の1地点に対して一定間隔で発射されつづける。
指揮官たち
ナポレオンと共に数多の戦場で戦う6人の指揮官。ストーリー中盤までに全員加入する。
それぞれステータスの傾向が異なり、固有の特殊能力を持っている。
インザーギ以外は史実のナポレオンの部下が元になっている(概ね名前だけ)。
- アレッサンドロ・インザーギ
- 「このままじゃ終わんねー!」
熱血漢、ナポレオンの士官学校時代からの親友。攻撃力が高くバランスが良い性能。
特殊能力「ガッツを入れる」によって、彼に重なっている間SPが通常より早く回復していく。 - ジャン・ランヌ
- 「ええ仕事しまっせー!」
大阪弁で喋るコテコテの大阪人。足が遅く攻撃力も低めだが、体力が高く生存性抜群。
人気が高いため多くのユニットを引き連れることができる点が最大の強み。
特殊能力は指揮下のユニットの能力が上がる「人望が厚い」と怪物を陣形に組み込める「モンスター使い」。 - ジョアシャン・ミュラ
- 「言葉はいらない、そうだろ?」
自他共に認めるフランス一の伊達男。攻守と人気は低めだが、ものすごく足が速い。
特殊能力はどこからか軍資金を持ってくる「資金調達」 、いる章によって台詞も変化する。 - ジヌディーヌ・オージュロー
- 「この一撃、未来のために…」
独り戦う冷静でストイックな仕事人。本人は全能力が異常に高いが、陣形にはわずか1体しか組み込めない(他は最低でも3体)。
特殊能力は「一匹狼」となっているが、その他にたまに超威力のクリティカルヒットを出す能力を持つ。
ランヌやミュラ、ダヴーは元ネタそのままの名前だが、彼は姓のみ拝借されている(ピエール・オージュロー)。 - シャルロット・スージェ
- 「お役に立てたかしら」
戦場で男と渡り合う女性指揮官。本人の能力、人気共にステータスはそこまで高くない。
特殊能力「いやしの手」によって、彼女と重なっている間HPが回復していく。
なお、元ネタ(ルイ=ガブリエル・スーシェ)は男性。 - ルイ=ニコラ・ダヴー
- 「進めー!根性見せろー!」
ナポレオンの士官学校時代の教官であるオニダコ鬼教官。少々遅いが体力も攻撃力も高い。
特殊能力「気合いを入れる」で自分の陣形内のユニットにたまに気合いを入れる。
作品の評価
メジャーではないジャンル、地味な題材と埋もれがちな要素を持っているが、ロンチタイトルということでそれなりに知名度はあり、破天荒で荒唐無稽なストーリーと丁寧に造りこまれたゲームシステムのギャップも手伝って、高華世界観を期待しすぎた者からはクソゲーとされ、楽しめた人にはバカゲーであり、システムという意味では隠れた名作であるため、とかく評価が定まりづらいのも本作の特徴である。
投げ売りの常連としても知られ、相当な数が出回ったのか未開封新品が1000円しないことも。とは言うもののストーリーにさえ馴染むことができればゲームとしては奥深く楽しめる作品なので興味を持たれた方は騙されたと思って中古ショップで探してみてはいかがだろうか。
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