ニキータ・マゼピン(英語表記:Nikita Dmitryevich Mazepin, ロシア語表記: Ники́та Дми́триевич Мазе́пин, 1999年3月2日 - )とは、ロシア出身のレーシングドライバーのことである。
経歴
5歳頃からカートに触れ始め、7歳の頃からカートレーサーとしてのキャリアを歩みはじめる。
カートスクールで腕を磨いた後、2014年に世界カート選手権で2位になると、2015年からフォーミュラカテゴリへ転向し、フォーミュラ・ルノー2.0に参戦。
2016年にF3ヨーロッパ選手権へ参戦。シーズン通して参戦したドライバーの中で最下位(20位)と目立った成績こそ残せなかったものの、フォース・インディアから開発ドライバーとして起用される。
2017年は前年より成績を伸ばし総合10位。
2018年は舞台をGP3へ移し、チームメイトであったアントワーヌ・ユベールに次ぐランキング2位と好成績を残した。
2019年はF2選手権に参戦。チームメイトのデ・フリーズがタイトルを獲得する中、総合18位と苦戦。
2020年も引き続きF2に参戦。シルバーストンでの優勝を含む2勝をあげ、ランキングを5位まで上げた。12月20日にハースF1チームと複数年契約を結んだことを発表、F1へのステップアップが決まった。
F1デビュー、しかし…
カーナンバー「9」でハースからデビュー。ただ、ロシアのドーピング問題の影響でロシア国籍ではなく中立選手としての参戦となった。
この年、ハースは開幕前から翌シーズンに向けての開発に注力するために21年シーズンのマシンは開発を一切行わないことを公言していた。その影響もあり戦闘力の低いマシンで戦うことがシーズン前から決まっていた。
迎えた開幕戦では予選~本戦にかけて5度のスピン、予選のアタックラップ直前にオーバーテイクしないという紳士協定を破った直後にスピンし結果セバスチャン・ベッテルのアタックを妨害したとしてペナルティを受ける、本戦開始約25秒で単独スピンしリタイアと散々な結果に終わってしまう。
その後もスピンを連発、過剰な幅寄せを行う、チームメイトのミック・シューマッハに度々バトルを仕掛けイタリアGPでは同士討ちを演じてしまうなど、技量不足な面やF2時代にも度々見られたラフなドライビングから関係者から批判されることも多かった。
ドライバーズランキングは参戦ドライバー中最下位の21位(0P)。予選Q2も0回と低スペックなマシンでの戦いであることを差し引いても、F1の舞台に適応できたとは言い難い成績に終わった。
だがバルセロナでのプレシーズンテスト中、ロシア軍がウクライナへ侵攻。これに伴いハースのメインスポンサーでありマゼピンの父が経営者を務める「ウラリカリ」とロシア国籍のマゼピンが厳しい立場となる。
マゼピン自身は「政治とスポーツを混同しないでほしい」とコメントし、FIAも条件付きで参戦を一時認めたものの、イギリスがロシア人ドライバーの参加を禁止し一気に苦境に。
3月5日、正式にハースF1チームからウラリカリ社とニキータ・マゼピンの契約を解除したことが正式に発表された。
戦争(紛争)が原因でチームを去るドライバーはカルロス・ロイテマン以来。
人物・エピソード
- 負けん気が強いドライビングが持ち味だが、必要以上にブロックや幅寄せをすることもあり度々物議を醸している(後述)。
- ロシアの大富豪の御曹司であり、フォース・インディアの買収に乗り出したり、ウィリアムズF1を買収するのではという噂が立ったりもしていた。
- 前述の危険なドライビング以外にもプライベートで問題を起こしており、近年では珍しい悪童タイプ。
- 本人は「批判されることには慣れている」とコメントしている。
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スピンの多さからファンから「マゼスピン」という不名誉な愛称をつけられていた。
- 本人はそれほど不快には思っていなかった模様。
- 戦争の影響で解雇された際には、流石にマゼピンに対する同情の声や擁護する声も多かった。
問題行動
- F3時代の2016年、レース中のマゼピンのブロックに対し抗議したカラム・アイロットと口論になり顔面を殴打し負傷させ、顎に傷跡を残した。マゼピンはペナルティとして1レース失格処分。
- 2019年(第11戦・レース2)、スタート直後に多重クラッシュが発生、マゼピンは指定のルートを通ってコース復帰すれば問題なかったのだが、強引に復帰しようとした結果、指定のルートで復帰しようとしていたジャック・エイトケンと接触しコントロールを失い、松下信治を巻き込み大破。復旧に時間がかかりレースは15周のみとなった。レース審査員からこの行動が問題視され、次戦15グリット降格処分を受けた。
- 2020年(第13戦・レース1)、レース終盤に角田裕毅をコース上から押し出すようなブロックを行った結果、5秒ペナルティを受け2位に降格(角田は1位に)。
- 同年(最終戦・レース1)、オーバーテイクを狙う角田に対し、大きく斜行してピットレーン出口付近まで押し出すようにブロックし、5秒のタイム加算とペナルティポイント2の罰則。
- 2020年12月、マゼピンが自身のInstagramで女性の胸を触る動画をアップロードし、各所からセクハラだと糾弾され、SNSで彼を追放しようという運動が起きた。これに対しFIAは声明を出し非難し、ハースF1チームは解雇こそしなかったものの「忌まわしい事態」と厳しい言及をした。
- 2021年2月、20年の6月に信号無視をして罰金と3点の違反点数を課されていたことが判明。
関連動画
関連項目
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