『コンニチワ オイソギデスカ』……
ニャアンは、アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の登場人物。
同作の主要人物である。
概要
境遇・ルックス
サイド6のイズマ・コロニーで非合法な運び屋のアルバイトをしている難民の少女。本編開始時点で17歳。
出身地はサイド2だが、ジオン独立戦争の戦禍に見舞われ、単身プチ・モビルスーツ(小型作業機)で脱出を余儀なくされる。家族と生き別れた彼女は宇宙船に拾われ、そのままイズマに流れて、現在に至る。
第一話において、仕事中に軍警察に追われている所、主人公のマチュ(アマテ・ユズリハ)とぶつかり、結果的にマチュのスマホを壊してしまう。その後、弁償を求めるマチュに配達先まで追いかけられたことがきっかけで、マチュと「赤いガンダム」のクランバトル(クラバ)を目撃することになる。
浅黒の肌と紺色の長髪、そして黄色の瞳が特徴の、スレンダーな美人。マチュより頭1つ半ほど背が高く、大人びた印象を与える。いつもはどこかの「学生服」を着て、どう見ても某ウーバーな「DELI Eats!」社のデリバリーバッグを背負う。ただ、カネバン有限公司のアンキーから学生服について「本物じゃないだろ」と言われているとおり、あくまでカモフラージュのための服装である (そもそもまともに学校に通えていないのだろう)。初期の話では目元の殴打痕を隠すためにサングラスもかけていたが、雇い主のマーコ・ナガワラに「目立ちすぎだろ」と怒られたこともあり、治ってからは外している。
自宅はイズマ・スラム街のボロい集合住宅。狭苦しいワンルーム(どうやって搬入したかわからないほどベッドがデカすぎるのが原因)に一体型バストイレの、宇宙世紀の建物とは思えないみずぼらしさ。
なお、イズマの準公用語は日本語だが、部屋のメモ書きからニャアンの母語は英語だとわかる。
人格
公式サイトでも触れられている、彼女の生きる上での最優先事項は「生き抜くこと」。高い身体能力、いざという時に発揮する度胸と知恵、そして滅多に涙を流さない芯の強さで、独り5年間の難民生活を耐え抜いてきた。
……が、本人曰く「昔からテンパるとワケわかになる…」(ワケわかんなくなる)とのことで、作中発揮する物事の解決法はどちらかと言うと「パニックになった末の突発的行動」という面が強い。結果、何かと迂闊な失敗や、妙におどおどしているようなムーヴが目立ち、クール系の外見とのギャップ萌えが著しいことになっている。マチュを追いかけていると思ったら逆に嵌められていたことに気付いた時に隠れてしまったり、顧客に怒られているときにマチュの背後に移動したり、「クラバに出る」と言ってきかないマチュとシュウジ・イトウを訝しんだ際に思い浮かべたビジョンが滑稽だったりと、何かと面白い。
第6話で描かれた彼女の自室には、運び屋仕事用の地図や路線図に加えて、役所のお知らせやチラシが所狭しと貼り付けられている。本棚には雑多な古本や日記と一緒に「永住権の解説本」やジオン工科大学の「赤本」などが並んでいるが、本の前が小物置き場と化しているあたり、まともに読んでいない模様。床にも荷物が点々と置かれており、彼女の要領の悪さ、あるいは日々の生活で手一杯な過酷さが伝わってくる。
後の話ではあくまで永住権取得のために学士号が欲しいだけで、勉強は特に好きではないとも語っている。
心中では割と感情豊かなのだが、いつもはかなり控えめな言動を保っており、口数も少ない。境遇が境遇だけにまともな青春を送れていないのは明らかだし、対人関係の構築の余裕もない(というか生き残る上では必要ではない)のだろう。
闇物資を持っていない時なら軍警の取り締まりにも素直に応じようとするし、マーコから友人を売る情報を求められた際には完璧なポーカーフェイスでやり過ごしている。消極的な言動はテンパるとロクなことにならないことを理解しているが故の、無用な荒事を呼び寄せないための「生存術」とも言える。
主人公マチュとは、境遇から性格まで正反対のちょうどよい対比造形が行われているが、特に興味深いのが「他人への共感性」。お嬢様育ちで自分の常識の範疇内で解釈が終わりがちとはいえ、なんだかんだ相手の心境は察している描写が多いマチュと比べ、ニャアンにはそういった描写が少ない。
第5話サブタイトル『ニャアンはキラキラを知らない』でも示されているが、マチュは「キラキラ」で他者との共鳴を度々経験しているが、ニャアンは共鳴経験が無い。
基本的に「その場の自分」が中心の思考回路で、自分に都合の良い言動をする人が現れると、あまり深く考えずにそちらに流れてしまう傾向にある。番組後半ではマチュやシュウジとの交流を経て、他人の思考を敏感に察知するようになっていくが、どちらかというと「相手が自分に害意を持っているかの判別」といった方がよいかもしれない。
こうした自己生存を最優先する思考が極まった時=いよいよどうしようもなくなり「ワケわか」が極まった時には、躊躇いなく反撃に転じる攻撃性が露になる。殺る時は殺れる女である。
──私が合わせなくていい
私の思う通りに、世界が応えてくれる!
自由だ……!!
交友関係
同い年のマチュは、彼女にとっては希少なタメで話せる人物であり、クラバの賞金の取引を終えた後も何かとつるんでいる。「普通の親元」で育ち「普通の学校」に通い「普通の生活」に不満を漏らし、悪意のない無意識な金持ちマウントを取ってくる世間知らずのマチュだが、一方で色眼鏡一切なしの好意を向けてくれる存在でもあり、彼女が窮地に陥った際には命を懸ける(嘘偽りなし)くらいには大切に思っている。
同じく同い年のシュウジとは、違法デバイスを届けた際に知り合い、彼が赤いガンダムのパイロットであることを知る数少ない人物となった。ニャアンとしては浮浪者根無し草同士である彼の方がまだ親しみやすいのか、いつの間にか「シュウちゃん」と呼ぶようになっている。シュウジとマチュの間をつなぐ「キラキラ」に近づこうと、シュウジの真似をしてラフな下着姿で寝そべる大胆さに、シュウジに憧れを抱くマチュは大いに焦るのだった。
運び屋元締めのマーコ・ナガワラとは、回を経るごとに微妙に関係性が変化している。当初はへっぽこぶりをどやされていたが、マチュ&シュウジとの地球旅行資金を貯めるため仕事熱心になった様子を見て情が沸いたのか、身内に関する相談を持ち掛けられたりしている。
パイロットとして
落ちつけ落ちつけ……
あの時もそうだったし、やれそうな気がするときはやれる……
プチモビの操縦技術は戦闘用モビルスーツ(MS)の基本操作に応用できることもあり、MSをある程度操縦することが出来る。とはいえシュウジや軍人崩れのクランパイロットとは比較にもならず、オメガサイコミュ頼りの「ド素人・マチュよりは上」程度の腕前。
……ただし、少なくとも一度は死線をくぐっただけのことはあり、吹っ切れた時のパワーは凄まじい。
ストーリー中の活躍
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ここから先は重大なネタバレ成分を多分に含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
う、る……さぁぁい!!
なっ、めっ、んなょぉ
クソガァァァアッ!!!
諸事情でクラバに間に合わないマチュ。このままでは試合放棄の膨大な違約金を取られ、シュウジのために貯めたお金も消えてしまう。見かねたニャアンはこっそりGQuuuuuuXに乗り込みクラバに参戦するが、頼みのシュウちゃんは風邪で動けず、敵はこちらのコクピットに電流を流し込んでくる。悶絶するニャアンはいつもの様に怯え……ることはなく、逃げろと煩いハロを踏みつけ、激昂した。
その怒りに応えたか、GQuuuuuuXのオメガサイコミュが起動する。「キラキラ」に飛び込み、これまでの抑圧から解放されたニャアンは、赤いガンダムを盾に使い、容赦なく敵コクピットを狙い、遂にはガンダムのビームサーベルを抜いて敵機を両断、パイロットを殺害した。
なんでニャアンが乗ってるんだッ!!
しかし、マチュは何故か激昂し、ニャアンの無断搭乗を責める。危うく殺しかけたシュウちゃんには戦闘時の豹変を肯定され、反省しつつも少しときめくニャアンだが、マチュは明らかにこちらを避けている。たまたまマーコに晩飯を奢ってもらった後も、その心は晴れない。
クラバから2日後の夜、ニャアンを呼び出したマチュは「2人でシュウジを地球へ逃がそう」とまくし立て、一方的に協力を求めてきた。よりにもよって、がさ入れを受けたマーコが逮捕され、ニャアンの自宅にも捜索が入っている(一時停止しないと読めない新聞記事に書かれている)タイミングで……。ニャアンの表情は冷たかった。
ニャアンこそあいつのこと、どう思ってる……
軍資金調達に向かったマチュに代わり、再びクラバに挑むニャアンだが、明らかにこちらを殺しにかかってくる馬鹿でかいMSと、何故か待ち構えていた軍警ザクの大群に追われる。最早帰る家はない。マチュと合流しても逃げられるとは思えない。遂にニャアンの心が折れた。
シュウちゃん!私とふたりで逃げよう!
マチュもガンダムも捨てて、ここから一緒に逃げようっ!!
だが、突如として赤いガンダムが赤いキラキラを放ち、シュウジごと姿を消してしまった。GQuuuuuuXを捨て、一人ボロボロになって逃亡するニャアンを救ったのは、ジオン軍のエグザベ・オリベ少尉だった。
月面グラナダ基地に連れてこられたニャアンは、再度の赤いキラキラ──「ゼクノヴァ」の発動を目論むキシリア・ザビに、GQuuuuuuX・2号機「GFreD」のパイロットに任命される。暗殺者ミゲル・セルベートをGFreDのビームで殺害した後、特別待遇で迎え入れられたニャアンは、同じくジオンに捕まっていたマチュが脱走したことを聞き、彼女に思いをはせる。
見えないよ。ここは月の裏側だからね……
地球に住む古い大人たちは、これからもお前が自由に生きることを邪魔するだろう
どれほど優れた力を持っていても、淘汰されてしまうのならそれは強さではない
強さとは、生き残ろうとする意思だ。ニュータイプに正しさなどいらぬ
強さがあれば、それでよい
ニャアンはキシリアの近衛部隊に編入された。どうやらキシリアはかなりGFreDに入れ込んでいるらしく、直々にニャアンを呼び出すと、亡き父デギンから贈られた拳銃を授ける。
そして更に数日後、キシリアは遂に兄ギレンに反旗を翻し、近衛部隊を動かして総帥親衛隊を攻撃する。ニャアンはGFreDと共にイオマグヌッソの中枢に潜り、レオーニ親娘らをついでに抹殺してから制御ユニットを起動した。
シュウちゃんはキラキラの向こう側に消えた……
もう一度、あのキラキラが起こせれば、シュウちゃんを呼び戻せる、ハズ
凄まじいキラキラとラ・ラ音の絶叫が終わった後、プレッシャーに吐き気を催すニャアン。状況を把握する間もなく、目前にはGQuuuuuuXが迫っていた。
余談
- 鶴巻和哉監督の代表作『トップをねらえ2!』には、ベトナム系トップレスの少女「ニャーン・ヌォク・チャム」が登場している。ニャアンの元ネタだろうか。
- 闇バイトの合言葉「こんにちは、お急ぎですか?」「別に急いでいませんよ」は、『機動戦士ガンダム』第27話におけるスパイの合言葉から引用されている。
- 物語初期の小動物的行動や、予告編でラーメン(実際には春雨)を貪る姿から、視聴者からは「ポンコツ闇バイト少女」、エンディング映像では金魚鉢に顔を近づけていたら、急に動いた金魚に驚いてひっくりかえったことで「金魚に負ける女」とまで言われてしまっていた。そうした視聴者たちが突如明かされたニャアンの攻撃性にひっくりかえったのは言うまでもない。
- 作中では餃子を作ろうとしたり、春雨(ベトナム料理)を啜ったり、カオマンガイ(タイの鳥飯)を作り置きしたりと、アジア系料理とのかかわりが多く、オリエンタルな雰囲気を醸し出している。本作は多言語版が配信され海外オタクにも視聴者が広がっているが、特に東南アジアの視聴者間では、ニャアンのルーツは(名前といい春雨食ってる姿といい)ベトナム系だ、(カオマンガイ作ってるんだから)いやタイ系だという考察が盛り上がっているとかなんとか。
関連動画
関連静画
関連項目
- 機動戦士Gundam GQuuuuuuX
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
- アマテ・ユズリハ / シュウジ・イトウ - 友人
- マーコ・ナガワラ - 上司
- GQuuuuuuX
- 難民
- 運び屋 / 闇バイト
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- なし
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- アマテ・ユズリハ
- アラガ(機動戦士Gundam GQuuuuuuX)
- エグザベ・オリベ
- カネバン有限公司
- クランバトル
- ミゲル・セルベート
- コモリ・ハーコート
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