ネクロポーテンスとは、マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)のカードである。
概要
Necropotence / ネクロポーテンス (黒)(黒)(黒)
エンチャント
あなたのドロー・ステップを飛ばす。
あなたがカードを捨てるたび、あなたの墓地にあるそのカードを追放する。
1点のライフを支払う:あなたのライブラリーの一番上のカードを裏向きのまま追放する。あなたの次の終了ステップの開始時に、そのカードをあなたの手札に加える。
初出はアイスエイジ(1995年)。基本セット第5版に再録。その後構築済みデッキにFoil加工で収録されたり、2009年には禁止カードを集めたセットに新規イラストで再録されたりもしている。
能力は大雑把に言えば、「毎ターンの通常ドローができなくなる代わりに、ライフを払った分だけドロー」ぐらいの認識。
メリットとデメリット
まずメリット
そしてデメリット
- 毎ターン本来引くはずのドローがなくなる(実質ドローが-1される)。
- ドローにライフを消費。
- ターン終了時にしかカードが補充されないので、引いたカードは大抵次のターンまで使えない。
- ライフが少なくなるとカードが引けなくなって詰む。
- 手札からクリーチャーを墓地に捨ててリアニメイトして・・・といったことの禁止。
- 初版のアイスエイジ版は英語版しかない上に、テキストがぎっしりで書いてある内容もよくわからない。
Skip your draw phase. If you discard a card from
your hand, remove that card from the game.
0: Pay 1 life to set aside the top card of your
library. At the beginning of your next discard
phase, put that card into your hand. Effects that
prevent or redirect damage cannot be used to
counter this loss of life.
「デメリット多すぎじゃね?弱くね?」
出た当初はデメリットが嫌われ、さらに黒の万力/Black Viseという「毎ターン、手札が多いほど大きなダメージを与える」カードが台頭していたこともあり、カスレア扱いを受けていたとされる。だがデメリットを以下のように克服すれば毎ターン手札MAXを維持できるのもまた事実であり、黒の万力が禁止されるや否や、その本性を露すこととなる。
- 毎ターン本来引くはずのドローがなくなる(実質ドローが-1される)。
→毎ターン1点のライフを払えばその分をドローできて帳消しになる。微々たるものである。 - ドローにライフを消費。
→MTGにおいてライフ:カードはおよそ3:1ぐらいの交換比率である。正規レートの3倍もの効率なら多少は惜しくない。 - ターン終了時にしかカードが補充されないので、引いたカードは大抵次のターンまで使えない。
→ネクロを毎ターン起動し、引くカードを「次ターンのドロー」と考えればいつも通りの感覚だ。 - ライフが少なくなるとカードが引けなくなって詰む。
→そうなる前に殺しきる。ドレイン呪文を使う。もしくは不要になったネクロごと場をリセットできるカードの併用。 - 手札からクリーチャーを墓地に捨ててリアニメイトして・・・といったことの禁止。
→じゃあリアニ以外のデッキを構築しよう。 - 初版のアイスエイジ版は英語版しかない上に、テキストがぎっしりで書いてある内容もよくわからない。
→がんばる。
ネクロの夏、到来
1996年世界選手権。ネクロによる豊富な手札とそれによる潤沢なマナを利用し、手札破壊、クリーチャー除去、ドレイン、優秀な小型クリーチャーを高速で叩き込み、緊急時の全体除去をも併せ持つ「ネクロディスク」を呼ばれたコントロールデッキが大会を黒く染め上げた。有力視されていた他のデッキが次々と脱落していく様を見た当時のプレイヤーはこの大会を「ネクロの夏」と呼んだ。
最終的に優勝を飾ったのは白の小型クリーチャーデッキだが、これはネクロディスクの脅威をいち早く察知して対策を講じたプレイヤーによるところが大きい(それでも辛勝だったとされる)。逆に言えばそれほどまでにネクロは圧倒的だった。
「で、禁止カードになったんだよね?」
ならなかった。
この大会の後もネクロは様々な環境でその強さを遺憾なく発揮した。時代とともにデッキのカードが入れ替わり一度は弱体化したが、1998年のウルザ・ブロックで強力な黒のカードを複数手に入れたことにより復権。流石に当時のMoMaには敵わなかったが。
最後の輝き
少し時間は流れて2000年。誰かが考えた。「コンボデッキのドローソースにネクロ使ったら強くね?」と。
ネクロドネイトと呼ばれるこのデッキ。「このカードが場に出たら20点回復、場から離れたら20点失う。自動消滅機能付き」と「あなたのコントロールするカード1枚を相手に押し付ける」の2枚コンボデッキにネクロを加えたものだが、これが抜群の相性を見せた。ネクロの夏の再来である。しかも高速コンボデッキであるため1996年のものよりタチが悪い。
流石に今回は見逃されるはずもなく、最初の方で挙げたマナ加速カードらとともにようやく禁止カード入りとなった。喜ばしくもあり悲しくもあるが、あの夏はもう二度とやってこない。現在ではヴィンテージと呼ばれる、全カード使用可能な環境でのみその姿を見ることができる。また、調整版や亜種もいくらか作られている。
強さとは別の魅力
今まで散々述べたように、その強さに魅了された黒使いは数えきれない。黒に乗り替えた他色使いについても同様だ。だがネクロにはまた違った魅力がある。カッコイイ、のだ。一言で言えば骸骨魔法剣士。ベルセルクのアレ。画像検索してもらえば分かると思う。全身像が見たければデュエリスト・ジャパンvol.6のバックナンバーを探すといい。流石に原画は入手不可能だが、たしかMark Tedin氏のサイトで複製原画を販売していたはz・・・売り切れ、だと?
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関連項目
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