ネットde真実とは、インターネット上の情報が全て正しいと思い込む行為、あるいはそのような思考を持つ人物を揶揄する言葉である。
概要
インターネットが普及して以降、普段テレビや新聞などで得ることが難しい情報が得られるようになり、次第にそれらのマスメディアの偏向報道や情報操作に対する不満も表面化するようになった。
しかしながら、マスメディアに対する猜疑心や敵愾心を剥き出しにするあまり、「マスコミの情報は全て信用できない、ネットの情報こそ正義」といったような極端な考えを持つ者たちが現れはじめる。このようにインターネットの情報を盲信し、あたかも真実を悟ったかのように振る舞うことを、ネットビジネスにありがちな定型句「ネットde○○」に当てはめて「ネットde真実」と呼称するようになった。
問題
確かにネットはマスメディアの裁量に干渉することなく、国内外のあらゆる情報を能動的に得られるという点において有用ではある。しかしながらその情報の質や真偽については玉石混交であり、ネットリテラシーの未熟な者が利用してしまうと取捨選択もままならず、思考が偏ってしまうことは想像に難くない。
特によく利用されやすい2ちゃんねる(5ちゃんねる)のまとめサイトなどはメディアの偏向報道を痛烈に批判する傍ら、自らはその偏向扱いした新聞も真っ青なレベルで偏向的な記事のまとめ方をするものも多く、またその利用者についても誘導的な主張をする者が多いので、注意が必要である。
人間は自身に都合のいい情報を信じ込みやすく、優先して収集する傾向(確証バイアス)がある。
また同じ意見を持つ人々の集団の中では、集団極性化(group polarization)と言って時にその集団全体の極端化が起きることが知られている。インターネット上ではこの集団極性化が容易に起きやすいとされ、これを特にサイバーカスケード(cyber cascade)と言う。
さらには、同じ意見を持つ集団内では情報が誇張を加えられつつ繰り返し各々のメンバーに届き続ける結果、実際には極端すぎたり誤りを含む内容であってもその集団内では真実であるかのように共有されてしまうという現象もあり、これはエコーチェンバー(echo chamber)と呼ばれる。
フィルターバブル(filter bubble)と呼称される現象もある。多くの検索エンジンやSNSなどは利用者各個人に最適な情報を届けようとするパーソナライズ機能をデフォルトで有効にしており、フィルタリングによって利用者が好まない情報を遠ざけ、好みそうな情報を優先的に提供しようとする。その結果、利用者の元には自分が見たい情報のみが集まりやすくなる。
まとめサイトなどのデマや誇張表現に引っかからないよう、情報の真偽など最低限のことはきちんと確認をとるべきだろう。特に上記のように「自分にとって都合のいい情報」であるほど無批判に信じ込んでしまいやすいこと、さらに「都合のいい情報」だけが自分の元に届きやすいことが知られているため、知った情報が「自分の持論や意見にぴったり合うような内容」であればなおさら注意して吟味することが望ましい。
世の中の事象と言うのは決して一枚岩で成り立っているわけではないので、局所的に情報を仕入れるだけでなく、なるべく中立的な立場から提示される情報を探したり、海外のニュースサイトを参照したりするなど、多角的に情報を整理し、自分なりの結論を見出すのが好ましいと思われる。
近年ではSNSの普及やコロナ禍への突入で、「ネットde真実」の言葉は薄くなりつつもそういった極端な考えを持つ人達の多さは更に増えているものと思われる。
関連項目
- 偏向報道
- まとめサイト
- コピペブログ
- まとめ厨
- 情報弱者
- インターネット
- ソーシャルメディア
- SNS
- ネット言論
- ネットリテラシー
- うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい
- やっぱりインターネットに書いてあるのはみんな正しい情報なんだ!
- 政治厨
- デマ
- 捏造
- 拡散
- デマ拡散
- 陰謀論
- プロパガンダ
- フェイクニュース
- エコーチェンバー現象
- レッテル貼り
- ネットスラングの一覧
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