ノットゥルノ(Notturno)とは、2019年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年:ジャパンダートダービー(JpnⅠ)
2024年:佐賀記念(JpnⅢ)
概要
父ハーツクライ、母*シェイクズセレナーデ、母父Unbridled's Songという血統。
父は国内で唯一ディープインパクトを破り、ドバイGⅠを勝った名馬。種牡馬としても世界のジャスタウェイから2022年ダービー馬ドウデュースまで多数の活躍馬を輩出する大種牡馬となった。産駒の活躍は芝が中心で、国内ダートGⅠ級の勝ち馬はノットゥルノまでいなかった(海外ではアメリカでウッドワードSを勝った米国調教馬Yoshidaがいる)。
母はアメリカからの輸入繁殖牝馬。自身はアメリカで7戦3勝。その母Desert Stormerは1995年BCスプリントの勝ち馬。
母父アンブライドルズソングは1995年のBCジュヴェナイルなどアメリカでGIを2勝し、種牡馬としても成功を収めた。日本では母父としてスワーヴリチャード、コントレイルなどを出している。
父と母父の組み合わせはスワーヴリチャードと同じである。
2019年4月16日、日高町の下河辺牧場(主な生産馬にスティルインラブ、キセキなど)で誕生。2020年のセレクトセールにて、金子真人オーナーに4730万円で落札された。主戦騎手は武豊。
気性はかなり気難しいようで、通常はパドックで騎手が騎乗して本馬場入場するところ、ノットゥルノはいつもパドックでは興奮して騎手が乗れず、本馬場まで誘導されてから騎乗している。
砂の夜想曲
2歳~3歳(2021年~2022年)
栗東・音無秀孝厩舎に入厩し、2021年12月25日、阪神・芝1800mの新馬戦でデビュー。2番人気に支持され、後方から上がり2位タイで追い込んだものの4着。
明けて3歳、1月16日の中京・芝2000mの未勝利戦に向かったが、今度は外目の好位で先行したものの直線で内にヨレるわ全く反応しないわで伸びずに6着。
3戦目からダートに転向し、2月12日の阪神・ダート1800mの未勝利戦へ。ここは大外の枠なりに外目で先行すると4コーナーで早くも先頭に立って突き放し、単勝1.6倍の支持に応えて5馬身差で圧勝。
続く3月5日の同条件の1勝クラスは最内枠から最後方の位置取りになったが、3コーナーからどんどん押し上げて外から捲っていくと先行集団を悠々とかわして快勝。
続いては間を開けず、3月26日の伏竜S(OP)に2番人気で参戦。また後方からのスタートになったが向こう正面でもう押し上げていき、外から捲って抜け出そうとしたが、3番人気デリカダと最低人気ペイシャエスとの3頭横並びの叩き合いの末、デリカダに競り負けて2着。
5月4日の兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)で重賞初挑戦。全日本2歳優駿勝ち馬ドライスタウトに次ぐ2番人気に支持される。レースは中団から進めたが、先行して突き抜けたブリッツファングには直線で突き放される一方で8馬身差をつけられた2着。武豊は「大飛びで小回りは向かないけど賞金を確保できたので良かった」とコメント。
そんなこんなで迎えた7月13日のジャパンダートダービー(JpnⅠ) は不良馬場の中、ブリッツファングが単勝3.0倍の1番人気。無傷の3連勝中のハピ(4.1倍)、ユニコーンSを勝ったペイシャエス(4.9倍)と続き、ノットゥルノは5.6倍の4番人気だった。
レースは大外枠からそのまま外目の好位で先行。4コーナーでブリッツファングと馬体を並べて抜け出すと、直線でブリッツファングを競り落とし、ペイシャエスの追撃を振り切って1着でゴールに飛び込んだ。
同じハーツクライ産駒のドウデュースで日本ダービー6勝目を挙げた武豊は、2005年のカネヒキリ以来17年ぶりのJDD制覇で通算4勝目。2002年(タニノギムレット・ゴールドアリュール)、2005年(ディープインパクト・カネヒキリ)に続き、3度目の同一年芝ダート両ダービー制覇を達成した。ちなみに同一年芝ダート両ダービー制覇はこれまで武自身しか記録していない。今年のユタカは乗ットゥルノ。
ちなみに、武豊が金子オーナーの馬でGI級レースを勝利するのは、あのディープインパクトの有馬記念以来だったりする。
JDDの直後には「秋の目標はチャンピオンズカップ」と陣営がコメントしていたが、その後武豊TVにて「菊花賞を考えている」という話が飛び出した。武豊いわく「芝で走ってた時とは、馬が全然違う。今なら芝でも走れると思います」とのことだったが……。
結局、さすがにJDDから菊花賞なんていうアグネスデジタルもびっくりのローテーションは実現せず、秋初戦は常識的に9月28日の日本テレビ盃(JpnⅡ)から始動。武豊が4日後の凱旋門賞へ向けて渡仏したため、松山弘平がテン乗りとなった。本番前の叩きという感じの仕上げで、JDD2着のペイシャエス、連覇を狙う8歳の古豪サルサディオーネ、UAEダービー馬クラウンプライドに次ぐ5.3倍の4番人気。
フルデプスリーダーがゲートで暴れて競走除外となり、入れ直しとなって発走が遅れるアクシデントの中、レースは逃げるサルサディオーネを2番手でマーク。しかし逆にサルサディオーネの緩みのないラップにすり潰され、4コーナーでもういっぱいっぱい。そのまま置いていかれて7着に撃沈。
賞金的に出走できるかどうかわからなかったJBCクラシックはパスして休養し、当初の目標通りチャンピオンズカップ(GⅠ)へ。鞍上は武豊に戻り、14.3倍でクラウンプライド(4番人気)と同オッズの5番人気。レースは出遅れで外回しになったテーオーケインズの横につけて先団の真ん中につけたが、直線では伸びを欠き、特に見せ場なく8着に敗れた。
年内ラストは東京大賞典(GⅠ)。オメガパフュームとチュウワウィザードが引退し、テーオーケインズもジュンライトボルトもクラウンプライドも回避したため、いささか手薄なメンバーの中7.1倍の4番人気。内枠からそのまま内を確保して4番手で逃げるショウナンナデシコを追い、4コーナーで外に持ち出したが、後ろから捲ってきたウシュバテソーロには直線で置いて行かれてしまう。それでも前の集団を捕まえてかわし、3着メイショウハリオを2馬身半離して2着。敗れはしたが前2走からの復調を示し、来年以降の古馬としての戦いに期待を持たせる結果となった。
4歳(2023年)
明けて4歳は川崎記念(JpnⅠ)から始動。テーオーケインズとウシュバテソーロが人気を分け合う中、ノットゥルノはここまで結果の出ていない左回りということもあり、11.7倍の4番人気。
レースは逃げるライトウォーリアを見ながら先行するが、ホームストレッチで紅一点のテリオスベルが捲りをかけてくるとそれに釣られて明らかに掛かってしまい、前を行くライトウォーリアにちょっかいをかけた挙げ句、向こう正面で失速して後退、後方に沈んだままで8着に撃沈。気性もそうだが、やはり左回りは大きな課題のようである。
得意の大井2000mである帝王賞を目標に、次走は右回りの京都開催に戻った平安ステークス(GⅢ)へ。8.0倍の4番人気。道中は内の好位で進め、直線では内ラチ沿いに進路を取ったが、全く伸びず9着。
本番の帝王賞(JpnⅠ)では7.6倍の5番人気だったが、ここでも好位から直線伸びず、メイショウハリオ・クラウンプライド・テーオーケインズの激闘のだいぶ後ろで8着。気付けば同期のクラウンプライドにもすっかり差をつけられてしまっていた。
帝王賞後の武豊の「最近の走りから距離が長いのかも」というコメントもあってか、秋は初のマイルとなるマイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)へと向かったが、レモンポップの大差圧勝の後ろで6着。
この凡走続き、得意条件のはずだった帝王賞でも惨敗したことで、大井2000のJBCクラシック(JpnⅠ)でも4強から離されて17.7倍の10頭立て5番人気に留まる。鞍上は武豊が負傷離脱中のため、森泰斗に乗り替わりとなった。
さて、ここまでは好位先行が身上だったノットゥルノ。しかしこのレースはこれといった逃げ馬が不在で、スタートから誰が前に行くのか牽制し合う形になり、ならばと森騎手は内枠から思い切って逃げに出た。これがパワーの要る白砂に替わった多いの馬場にも嵌まったか、直線ではキングズソードにこそあっさりとかわされ突き放されたが、一度はかわされたテーオーケインズを差し返して2着に粘り込み、復調気配を見せる。
続いて向かったチャンピオンズカップ(GⅠ)では松若風馬が騎乗したが、苦手だと分かりきっている左回りということもあり156.4倍のブービー14番人気。レースも中団から特に見せ場なく8着。
そして年内ラストの東京大賞典(GⅠ)は武豊に戻ったが、14.1倍の9頭立て5番人気。レースはハナを伺う様子も見せたが、ウィルソンテソーロが逃げの手に出たので無理はせず3番手のレースを選択。レースはそのまま隊列通りの前残りをウシュバテソーロがまとめて薙ぎ払う形となり4着。武豊は「最後も頑張っていますし、一時の不振は脱したと思います。また来年頑張りたいですね」とのコメントであった。
5歳(2024年)
明けて5歳、今年はJBCが佐賀開催ということもり、右回り2000mの佐賀記念(JpnⅢ)を始動戦に選択した。トップハンデ59kgを背負うことになったが、復調気配もあって紅一点グランブリッジ1.7倍に次いで3.1倍の2番人気に支持される。
レースは大方の予想通りメイショウフンジンが押してハナを切り、マンダリンヒーロー、グランブリッジ、キリンジらがそれを追い、上位人気勢が前の一団を形成する展開。ノットゥルノと武豊はその一団の一番後ろに構えた。向こう正面でマンダリンヒーローが脱落したあたりから抜群の手応えで進出を開始すると、3コーナーで早くも先頭のメイショウフンジンを捕まえて一気に先頭へ。あとは後ろを思うまま突き放して4馬身差で完勝。JDD以来1年7ヶ月ぶりの勝利で重賞2勝目を挙げた。
この後は川崎記念(JpnⅠ)を経ての帝王賞(JpnⅠ)へと向かい、秋の大目標は佐賀記念と同じ舞台、同じ距離であるJBCクラシック(JpnⅠ)。鬼門の左回りである川崎記念を使う辺り、上半期は帝王賞照準と見て間違いない。グランブリッジはエンプレス杯を蹴って川崎記念へ向かうため、今後も対戦機会は多くなりそうだ。
2024年の佐賀のJBCクラシックへ、幸先の良いスタートを切ったノットゥルノ。世代王者として復活なるか。
血統表
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
Severn Bridge | |||
*ビューパーダンス | Lyphard | ||
My Bupers | |||
*シェイクズセレナーデ 2006 芦毛 FNo.21-a |
Unbridled's Song 1993 芦毛 |
Unbridled | Fappiano |
Gana Facil | |||
Trolley Song | Caro | ||
Lucky Spell | |||
Desert Stormer 1990 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
Breezy Stories | Damascus | ||
New Tune |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
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