ノラB-52とは、セルビアで開発・運用されている装輪自走砲である。爆撃機のB-52とは全く関係ない。
……せるびあ?
セルビア、というか旧ユーゴスラビアではチトー大統領の方針で“社会主義政権だけど政治的には中立”を国是としていた。そのため兵器とかはなるべく国内生産という方針を採り、ユーゴスラビア連邦内諸国で研究・開発・製造が行なわれていた。
ユーゴスラビアはチトーの死後分解してしまったが連邦を構成していた各国に兵器開発の資産は残り、現在でも例えばクロアチアではT-72をベースとしてるけどもうオリジナル同然な戦車『M-84』や『M-95』を開発している。誰か記事かいてよ。
そしてセルビアでも兵器開発は続いており、首都ベオグラードにあるその名も『ベオグラード軍事研究所』で開発されたのがここで述べるノラB-52である。
種類
実はいろいろ種類がある。
- K0:最初期バージョン。ソ連の152mm榴弾砲『D-20』のライセンス生産品をロシア・カマズ(KAMAZ)社製軍用トラックのシャーシに乗っけただけのものらしく、フランスのカエサルに近い。テクニカル言うな。
- K1:自主開発の155mm52口径榴弾砲を搭載。
- K2:K1をベースに薬室を25リットルに拡大して誘導砲弾とか使えるようにし、かつ軽量化を施し重量25トンに抑えたモデル。どうもこれの本国仕様『K2S』がセルビアの現在の主力らしい。
- KE:K1の輸出バージョン。
- KI:K『数字の壱』ではなくK『アルファベットのアイ』…まぎらわしい。後述。
- M03:後述。
解説
K1以降のモデルはハーフトップ……つまりある程度機構部を野ざらしにした全自動装填システムを採用しているのが特徴。具体的には砲のケツ、尾栓部と自動装填装置は野ざらし、砲弾庫と火薬庫は分けて屋根付きというか専用の部屋を用意。乗員4名は操縦席から降りて各操作パネルに取り付き操作、砲撃を行なう。コンピューター化されたFCSを搭載しており発射角・火薬量・砲弾の種類はボタンで簡単操作。ここらへんもカエサルに近い。カエサルと違うのは自動装填と360度全方位で射撃が可能な点で、恐らくこの点と後述する価格は世界のどの自走砲よりも優秀、多分。
各モデルの頭文字『K』はK0の項で述べたロシアのカマズ社製トラックシャーシを採用したモデルで、メルセデス・ベンツの軍用8輪トラックシャーシ(の、ライセンス生産品)に搭載したモデル(恐らくK1/K2ベース)も存在し『M03』を名乗っている。関連動画のはじめの動画はこちらが映っている模様。
しかし複雑な機構部を野ざらし雨ざらしにしてええんやろうかと思う(動画を見ればわかるが移動時はカバーをかけている)が、やっぱりセルビア側もまずいと思っているらしく完全クローズドトップ(要するに普通の砲塔)にしたモデルが存在し、これがモデルKIである。
特筆すべきはその値段で、モデルK0で日本円で6300万円、K2で2億3千万円ぐらいと激安。ちなみに日本のFH70の納入価格は3億円なんですがorz
現在セルビア本国での配備数は不明(というより非公開)だが外国へのセールスは好調で、ミャンマーとケニアが30門、バングラデシュが18門購入しているという。
ただ……やっぱり複雑な機構部をさらけ出した状態で高温多湿のミャンマーや雨季は大騒ぎのバングラデシュできちんと動くのか激しく不安ではある。
関連動画
↓ようつべの個人投稿者制作らしいノラB-52のPV ↓こちらはセルビア国軍制作らしいPV
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 軍事/軍用車両の一覧
- セルビア
- アーチャー自走榴弾砲:スウェーデン本国での納入価格は約3億7千5百万円なり。
- カエサル 155mm自走榴弾砲:フランス本国の納入価格は約5億……アーチャーより高いの?!
- ダナ
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