ノートパソコンとは、パソコンのうち、モニタ・キーボードなどが一体となり開閉式のノートのような形状をしたタイプのものである。
単に「ノート」と呼ばれる事もある。
略して「ノーパソ」であるが、某生放送主のように、「ノーパン」と読み間違えないよう注意。
概要
「ノート」の由来は紙で出来たノートブックから。ノートブックのように開いたり閉じたりできる。
なおノートパソコンは和製英語であり、英単語としては「Laptop(ラップトップ)」と呼ばれている。こちらの原義は「膝の上」の意味。
デスクトップパソコンが、CPUやHDDなどを収めた「本体」、画像や文字を表示する「モニタ」、文字を入力する「キーボード」などをそれぞれ別個に用意し、お互いをケーブルで接続する事によって稼動するものであるのに対し、ノートパソコンはこれらが全て一体化している。
ただし単に「一体型パソコン」と言った場合、「ノートパソコン」と言う名称が非常に広く普及している上、ノート型ではない一体型パソコンが多数存在するためノートパソコンを含まない場合が殆どなので注意。
ノートの名の通り機種によっては持ち運びに便利で、仕事や学業等で自宅以外の場所でPCを使う必要をある人にこの携帯性によって爆発的に普及した。
メリット・デメリット
パソコンを構成するパーツや基本的な構造は「パソコン」の記事を参照。
現在世にあるパソコンは、持ち運びを前提としないオーソドックスな「デスクトップパソコン」と、本稿にて記述される持ち運びの可能な「ノートパソコン」の2種類に大別される。
以下に、ノートパソコンの他の型と比較したメリット・デメリットを列挙する。
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メリット
- 持ち運びができ、(バッテリーがある限り)自由な場所で使用できる。
デスクトップに対する最大のアドバンテージがコレ。折りたたんだノートパソコンはB5~A4のファイルくらいの大きさなので、一般的なブリーフケースに入れて持ち運ぶことが可能である。更にバッテリーを搭載しているので、野外や電車の中といった電源のない環境でも使用できる。ただしバッテリー切れによる不意の電源落ちなどは気をつけよう。 - スペースをとらない。
「省スペース型パソコン」などと呼ばれる事もあるように、大抵の場合においてデスクトップパソコンより遥かに小さい(
特に小さいものはジーンズのポケットに入る)。中には「据え置き型ノートパソコン」などと呼ばれるような、持ち運びを想定するには少々無理があるようなやや大きめのノートパソコンもあるが、いずれにせよデスクトップパソコンより遥かに省スペースである事には変わらない。
- 各部位の接続に悩まなくて済む。
デスクトップパソコンは最低でも「モニタ―本体」「本体―キーボード」「本体―マウス」の3箇所をケーブルで接続する必要があるが、ノートパソコンは最初からこれらのうちマウス以外が全て一体になった状態であるため、接続に悩む必要が全く無い。
マウスは内蔵できないため外部接続する必要があるが、USBで簡単に接続出来るし、内蔵されているタッチパッドで代替することも出来る。 - 停電に強い
デスクトップパソコンの停電対策には、必要以上の電力負荷をブレーカーに与えない、無停電電源装置を装備するといった方法くらいしかないが、無停電電源装置も大きく重く、安いものではない。
半面、ノートパソコン使用時に停電が起きてもバッテリー駆動に切り替わるだけなので無停電電源装置も必要ないし、バッテリー駆動できるシステム自体が標準でそれの代用を果たしてくれる。
- 持ち運びができ、(バッテリーがある限り)自由な場所で使用できる。
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デメリット
- 同価格のデスクトップパソコンよりも低性能になる傾向がある
言い換えれば、同じ性能ならデスクトップパソコンよりも高価になってしまうことが多い。この傾向は特にハイエンドクラスになるほど顕著である。
ノートパソコンはコンパクトであるがゆえに省スペース性が求められるほか、バッテリーの持ちを良くするために消費電力を抑える必要があり、その結果デスクトップよりも高価なパーツを利用したり、性能を抑えたりする必要がある。 - デスクトップと比べて機能が絞られる
デスクトップが積むような大仰なビデオカードやサウンドカードは搭載できず、キーボードもキーのサイズが小さくなり、数も減らされる(それを補うためにファンクションキーを組み合わせたりする)。特に本体サイズが小さいものは光学ドライブを搭載しないこともある。このタイプはディスクを使う際に、毎回外付けのドライブを用意するなどの手間がかかってしまう。
- 排熱に問題を抱える事が多い
省スペースゆえに本体内部も基本的に余裕が無く、排熱の効率が良くない。
吸気口に空気を取り入れやすいよう、天板とパソコンの間に物を挟んで隙間を作ることである程度改善できる。ノートパソコン向けに「裏側から冷やす」タイプのクーラーも多数販売されているので、それを使ってもよい。 - カスタマイズが困難(BTOやベアボーンなどの例外を除く)
とにかく小さく作ることが前提のノートパソコンは、外装の形状に合わせた形の専用のパーツを使用する必要があるため、違うメーカー及び機種間での基幹パーツの使いまわしはまず出来ない。GPUなどもチップセットとしてマザーボードと一体になっているため、換装は不可能。
汎用のCPU(ソケットに装着するタイプ)を搭載している場合や、MiniPCI等の増設スロットを構えている場合はこの限りでないが、一定のサイズ以下のノートになると本体の分解自体が大変困難になる(CPUもマザーに直接ハンダ付けされる)ため、内部を弄ることすら不可能になる。
ただしメモリだけは交換・増設が出来るように本体裏側にフタを設けている機種が殆どで、メモリの規格も統一されているため、初心者でも楽に増設ができることが多い。 - 修理も難しい
基本的に分解が出来ない。分解した時点で保証外になったりするのはノートパソコンに限った話ではないが、一つ上の項目にもあるように、外装からして専用の部品が多数使われているため、生半可な知識では外装を外すことすら難しい。外装を外す事が出来たとしても、分解を想定していないために専用の工具が無いと外せない☆型穴ネジ等を多用している場合がある。
仮に分解に成功したとしても、1つ上の項目で述べたように修理のためのパーツを手に入れる事が(特に初心者には)困難である。 - 盗難のリスク
「持ち運びが可能」というのは持ち主に限った話ではない。店や図書館でトイレに行っている隙に悪意をもった人間がPCごと持っていくことも可能である。車内に置いていたら車上荒らしに持っていかれたという事例もあるため、「少しくらい大丈夫」という意識は捨て、外で使う・運搬する場合は絶対に目を離さないこと。オフィスではノートパソコンごと鎖で繋ぐといった対策も取られる。
- 同価格のデスクトップパソコンよりも低性能になる傾向がある
ここまでだとデメリットの方が大きいように見えるが、実際はそうでもない。
増設・修理が出来ないとしても、そもそも「壊れたらメーカー修理一択・性能に不満が出たら買い替え」と言う層はあまりこの点を気にしないし、(デスクトップパソコンの上位機種より性能が劣るとは言え)現在ではパーツの高性能化・低価格化が進んでいて、余程の安物でない限りノートパソコンで大概の作業には事足りるのである。
サーバーにするとか、高スペックを要求するゲームをやるとか、高度でクリエイティブな作業をやるとか想定する場合はともかくとして、普通にwebサイトを閲覧するとかメールの送受信をするとか言う用途ならば、ノートパソコンでも十二分に満足できるものがそれなりの価格で手に入る。
手提げバッグに入るほどの超小型ノートパソコンまで行くと流石に性能も妥協が必要になってきたりするが、少なくとも「据え置き型」と呼ばれるようなサイズのものであれば、性能的にもデスクトップと遜色ないものも沢山存在する。
ノートパソコンの分類
以下はノートパソコンのサイズによる分類だが、特にメーカー間で統一された目安などがあるわけではない。あくまで参考ということで。
デスクノート
本体サイズはB4以上、画面サイズは17インチ以上のものが相当する。持ち運んで外で…というよりは「超コンパクトなデスクトップ」として利用するのに向いている。小脇に抱えて外出するにはサイズも重量も大き過ぎるが、家の中で移動する程度ならそれほど困らない。
サイズがでかいのでHDDなどのストレージを2つ積んだり、画面が広かったり、キーボードに独立したテンキーが付いていたりと機能面・性能面で充実している。但しその分消費電力も多めで、バッテリーの持ちの悪さが目立つことも多い。
ポータブルパソコン
本体サイズはA4以上B4以下、画面サイズは13~15インチくらい。モバイルするにはまだ難があるサイズで、機能性もやや中途半端だが、ノートパソコンの主流のサイズ。コスパも恐らくはこの辺りがベストである。
サブノート
本体サイズB5くらい、画面サイズが10~12インチのノート。軽くて小さいので持ち運びやすい。モバイルを前提に設計しているので、バッテリーの持ちも重要視された設計で長時間の使用が可能。一方機能と性能の面では制約が強い。このサイズのノートは光学ドライブが省略されることも多く、デスクトップ画面も必然的に小さくなるので、家に置いて多用途に使おうとすると不便が出てくる。加えて、サイズが小さく電力消費も抑えようとすると、どうしても密度・精度の高いパーツを使わざるを得ず、演算能力におけるコストパフォーマンスもよくない。
ミニノート(UMPCとも)
サブノートより小さいもの。バッテリーの持ちの良さや可搬性の高さは言うまでもないが、それに伴う性能と機能上の制限の大きさも言うまでもない。一般的に価格も高いが、近年ではNetbookやULCPCの登場により、極端に価格が安いものも存在する。
100ドルPC
発展途上国の教育機関向けに「100ドルで買えるノートパソコン」もある。「100ドルで買える」ように、OSにはLinuxを採用していてマシンパワーも非力だったりと制約が多いが、、ペンタブレットやカメラ、無線LANなどのインタフェースが充実していて、子ども達が使いやすいよう工夫されている。加えて防塵・防水設計で衝撃にも強く、多少手荒に扱っても耐えられる仕様になっている。更に電力事情の悪い地域でも使えるよう、ハンドル式などの発電機もそなえている。これを貰ったナイジェリアの子ども達も早速自家発電に励んだとか
近年の動向
性能・コストではデスクトップに後れをとってきたノートパソコンではあるが、近年ではパソコン市場にて急速にシェアを伸ばし、今や新しく売れているパソコンの7割はノートパソコンである。その要因としては
- ネットブックなどの登場によって価格が下がった
- パソコン全体の性能が底上げされたので、ちょっとしたネットサーフィンやオフィスワークなら、低価格帯のノートパソコンでも十分こなせるようになった
- デスクトップの性能に追いついてきたので「家でも外でもこれ一台」で十分になってしまい、一般のユーザーがわざわざデスクトップを購入する意義が薄れてしまった
などが挙げられる。
ノートでない一体型パソコン
余談だが、ノートではない一体型パソコンについても少し記述する。(単独記事が無いので)
大まかに言うと、デスクトップとほぼ同様のサイズのモニタの背面に本体に相当する部品が詰め込まれているもの。
キーボードはモニタの下部に開閉式でくっついているものや、デスクトップと同じものを外部から接続するものなど色々ある。
この種のパソコンは、少なくともある程度PCの知識を持っている層からは肯定的な意見が少なめな傾向にある。
ノートパソコンほど省スペースになるわけでもない割に、携帯どころか持ち運びは考えない方が良い程度のサイズ。そのくせ分解が難しく自力でのパーツ交換や増設がしづらい設計のものが多々あるため、極端に言えばノートとデスクトップの悪いところを集約したかのような物体になっているという理由。
ただし、その分無駄にスタイリッシュなデザインをしているものが多いため、PCの性能自体はさほど重視せずある種のインテリアとしても捉えている層にとっては結構な人気があったりする。
関連動画
これらの動画は十分な知識を持ってノートパソコンを分解・組み立てしているものであるため、自信の無い人は真似しないようにしよう。
これらの動画は十分な括約筋を持ってノートパソコンを尻に挟み込んでいるものであるため、自信の無い人は真似しないようにしよう。
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関連項目・外部リンク
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