ノートパソコンとは、ディスプレイ・キーボード・バッテリーなどを本体に内蔵し、折り畳み式で持ち運べるパソコンのこと。現在では最も一般的なパソコンの形態である。
概要
「ノートPC」とか、単に「ノート」と呼ばれる事もある。「ノート」の由来は紙で出来たノートブックからで、ノートブックのような二つ折りの形状をしている。略して「ノーパソ」であるが、某生放送主のように、「ノーパン」と読み間違えないよう注意。
英語圏では「Laptop(ラップトップ)」と呼ばれる事が多く、こちらの原義は「膝の上」の意味。ノートパソコンという単語自体は和製英語であるが、英語圏でもNotebook、 Notebook computerと呼ぶ事はある。Portable Computerなどと呼ばれることもあるが、これはタブレットPCも含む。
現在、世の中に出回っているパソコンは、持ち運びを前提としない「デスクトップパソコン」と、二つ折りで持ち運びできる「ノートパソコン」、スレート型で持ち運びできる「タブレットPC」の3種類に大別される(他にスティック型PCなど特殊な形態もあるが省略)。
デスクトップパソコンは、コンピュータシステム「本体」に加え、画像や文字を表示する「ディスプレイ」、文字を入力したり命令を送る「キーボード」などを用意し、お互いをケーブルで接続しないと使えない(外部端末からリモート操作でもする場合は別だが)のに対し、ノートパソコンはこれらが全て一体化している。デスクトップでも本体とディスプレイ(あるいはキーボード)を一体化した「一体型パソコン」と呼ばれるものもあるが、ノートパソコンは折りたたみ可能なことと、バッテリー駆動ができる点でこれらと異なる。
タブレットPCは、タッチパネル一体型のディスプレイを持ち、スマートフォンのようなタッチ操作かペン操作がメインであるが、ノートパソコンは固定されたキーボードを持ち、画面を直接触らずタッチパッドなどのポインティングデバイスで操作するという点で異なる。キーボードとタッチパッドを搭載したサブユニットを接続し、ノートパソコンのように使えるようにした「2in1」などと称するタブレットPCもある。
1990年代までは据え置き型がパソコン市場の主流だったが、2000年代中盤以降はノート型が主流になっている。
メリット・デメリット
ここでは、デスクトップパソコンと比較したメリット・デメリットを列挙する。
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メリット
- 持ち運びができ、自由な場所で使用できる
デスクトップに対する最大のアドバンテージがコレ。バッテリーを搭載しているので、野外や電車の中といった電源のない環境でも使用できる。パソコンを外に持ち出さないユーザーであっても、自宅内の好きな場所で使える。 - スペースをとらない
中には「据え置き型ノートパソコン」「デスクノート」などと呼ばれる、日常的な持ち運びには無理があるようなサイズのノートパソコンもあるが、そういったモデルであってもタワー型デスクトップパソコンより遥かにコンパクトであり、使わない時は収納しておくことも容易である。 - 主要なデバイスが本体に一体化している
デスクトップパソコンは最低でも「モニタ―本体」「本体―キーボード」「本体―ポインティングデバイス(マウスやタッチパッドなど)」の3つのコンポーネントをケーブルで接続する必要があり(ポインティングデバイスなどはBluetooth接続のものもあるが)、さらにwebカメラやスピーカーも(ディスプレイに内蔵でなければ)外付けしなければならないが、ノートパソコンは最初からこれらを全て内蔵しているため、接続に悩む必要が全く無い。 - 停電に強い
デスクトップパソコンは無停電電源装置(UPS)を装備することで停電対策とするが、無停電電源装置も安いものではない。近年はパススルー充電機能のあるポータブル電源をUPSの代用に使うという手もあるが、消費電力の大きいデスクトップパソコンを接続すると異常に発熱する場合もあり、日常的な利用は推奨されていない。一方で、ノートパソコンは停電が起きてもバッテリー駆動に切り替わるだけである。
- 持ち運びができ、自由な場所で使用できる
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デメリット
- 割高
言い換えれば、同じ価格だとデスクトップパソコンよりも低性能になってしまうということである。
コンパクトでバッテリー駆動のノートパソコンは、デバイスの消費電力を抑える必要があるからだ。また、ノートパソコンはキーボードやディスプレイを必ず内蔵しているため、デスクトップの周辺デバイスを使い回して本体だけ新しくするのに比べると、買い替え時のコストが高めになる。 - 拡張性が低い
PCI Expressスロットが無いので高性能なビデオカードやサウンドカードは搭載できず、光学ドライブやハードディスクドライブを複数台搭載したりすることも通常できない。古くはPCカード、後にExpressCardといったモバイル向け拡張スロットを搭載するノートパソコンも多かったが、ほとんど廃れた。現在の多くのノートパソコンは1~2基のメモリスロットとSSDなどを拡張するM.2スロットのみを持っている。 - キーボードの制約が大きい
内蔵キーボードはサイズが小さく、また各機種ごとに専用のものとして作られているので、好みのものに取り換えることができない(日本語キーボードをUS仕様にするのがせいぜい)。キーの数も少なく、テンキーは通常内蔵していない。内蔵のものが手に合っていない人は、キーボードを外付けして使うこともある。
- 排熱に余裕がない
省スペースゆえに排熱の効率が良くなく、機種にもよるがCPUやGPUに長時間負荷のかかる作業をすると激しく発熱して性能に制限がかかったり、ファンの音がうるさく感じられたりすることがある。
折りたたんで外付けディスプレイとキーボードを繋いだ「クラムシェルモード」状態では特に熱がこもりやすい。クラムシェルモード時は少し開けて使うことである程度改善できる。高負荷状態でなくても夏場はキーボードが熱を持つことが気になることがある。そういった時は、ノートパソコン向けに「裏側から冷やす」タイプのクーラーも多数販売されているので、それを使ってもよい。 - 構成の自由度が低い、アップグレードが難しい
とにかく小さく作ることが前提のノートパソコンは、メーカーや機種ごとにマザーボードの仕様が異なり、アップグレードはあまりできない。BTOモデルもあるが、カスタマイズの幅は限られることが多い。
CPUやGPUなどはごく少数の例外を除きマザーボードに直付けであるため、換装は不可能(昔はCPUが交換できるようになっていた機種も割と多かった)。メモリすら増設が不可能なモデルも増えてきている。ただし、SSDなどに使われるM.2デバイスはモジュールとして規格化されているため、近年のノートパソコンでも比較的容易に換装できることが多い。 - 修理が難しい
ユーザーによる分解を想定しておらず、専用の工具が無いと外せない☆型穴ネジ等を多用している場合がある。分解した時点で保証外になったりするのはノートパソコンに限った話ではないが、専用の部品が多数使われているため、メーカー保証終了後は修理が困難となる。 - 盗難リスクが高い
「持ち運びが可能」というのは持ち主に限った話ではない。店や図書館で「少しくらい大丈夫」とパソコンを置いたまま用を足しに行ったら悪意をもった人間に持ち去られることもある。車内に置いていたら車上荒らしに持っていかれたという事例もあるため、外で使う・運搬する場合は絶対に目を離さないこと。オフィスではノートパソコンごと鎖で繋ぐといった対策も取られる。
- 割高
ここまでだとデメリットの方が大きいように見えるが、実際はそうでもない。「壊れたらメーカー修理一択・性能に不満が出たら買い替え」と言う層は増設・修理が困難なことを気にしないし、現在ではパーツの省電力化・低価格化が進んでいて、「デスクトップPCでなければできない事」というのはそうそうないのである。具体的には高解像度のPCゲームや、多数台のマルチディスプレイといった、高性能のビデオカードを必要とするニーズが挙げられる。
しかし、近年は高性能なGPUと大容量のVRAMを搭載したゲーミングノートPCでゲームを楽しむユーザーも増えている。2023年現在では、CPUやGPUに負荷のかかる演算処理を延々と走らせる、ハイエンドのビデオカードに4Kや8Kなどの超高解像度ディスプレイを接続する、64GBや128GBといった極端な大容量メモリを搭載する、多数台のストレージを搭載してRAIDを組む...などのニッチな必要でもなければ、ノートパソコンで全てこなせ、デスクトップパソコンにこだわる必要もあまりなくなっているのが現状である。
ノートパソコンの分類
以下はノートパソコンのサイズによる(ひと昔前の)分類だが、特にメーカー間で統一された基準などがあるわけではない。
デスクノート
本体サイズはB4以上、画面サイズは17インチ以上のものが相当する。持ち運んで外で…というよりは「コンパクトなデスクトップ」として利用するのに向いている。小脇に抱えて外出するにはサイズも重量も大き過ぎるが、家の中で移動する程度ならそれほど困らない。サイズがでかいのでHDDなどのストレージを2つ積んだり、画面が広かったり、キーボードに独立したテンキーが付いていたりと機能面・性能面で充実している。但しその分消費電力も多めで、バッテリーの持ちの悪さが目立つことも多い。
一時期は数を大きく減らして17インチ以上のノートパソコンをほとんど見かけないこともあったが、2023年現在は一時期ほど種類は多くはないものの、再び見かけることが出来るようになっている。
トランスポータブル
本体サイズはA4以上B4以下、画面サイズは13~15インチくらいで、ほぼ13.3~16.1の間に収まっている。モバイルとするにはまだ難があるサイズで、機能性もやや中途半端だが、ノートパソコンの主流のサイズで、15.6インチが主流となった近年ではやや小型の13.3~14インチだと持ち運びが容易なモバイルPCとして扱われていることも多い。コスパも恐らくはこの辺りがベストである。
外付けGPUを取り付けた、いわゆるゲーミングノートやクリエイターノートもサイズ的に分類するなら基本的にこのサイズであり、ほとんどが15.6~16.1インチとして売られている。
サブノート
本体サイズB5くらい、画面サイズが10~12インチのノート。軽くて小さいので持ち運びやすい。モバイルを前提に設計しているので、バッテリーの持ちも重要視された設計で長時間の使用が可能。一方機能と性能の面では制約が強い。このサイズのノートは光学ドライブが省略されることも多く、デスクトップ画面も必然的に小さくなるので、家に置いて多用途に使おうとすると不便が出てくる。加えて、サイズが小さく電力消費も抑えようとすると、どうしても密度・精度の高いパーツを使わざるを得ず、演算能力におけるコストパフォーマンスもよくない。
かつては12インチのMacBookなどが販売されていた時期があったものの、2023年現在では13インチ未満の通常タイプのノートPCはほとんど絶滅状態で、このサイズで出る場合はタブレットPCか2in1タイプ(キーボードは着脱式の対応で、キーボードを外すとタブレットPCとしても利用できるタイプ)のPCが大半である。
ミニノート(UMPCとも)
サブノートより小さいもので基本的には9インチ未満もの。可搬性の高さは言うまでもないが、それに伴う機能上の制限の大きさも言うまでもない。一般的に価格も高いが、かつてはNetbookやULCPC、ここ最近はコストが安いAndroidやChromebookのOSを積んだPCの登場により、極端に性能を抑え価格を安くしたものも存在する。またスマホのCPUに相当するSoCが近年はエントリー帯でも性能が大幅に上がっており、このサイズのPCであればそれを流用することで値段を下げるケースも見受けられる。
そのような技術の進歩もあって、古めのローエンドモデルでさえなければWEBや動画・電子書籍閲覧などの軽めの用途でさえストレスになるほど遅いという機種は少なくなっている。
100ドルPC
発展途上国の教育機関向けに「100ドルで買えるノートパソコン」もある。「100ドルで買える」ように、OSにはLinuxを採用していてマシンパワーも非力だったりと制約が多いが、ペンタブレットやカメラ、無線LANなどのインタフェースが充実していて、子ども達が使いやすいよう工夫されている。加えて防塵・防水設計で衝撃にも強く、多少手荒に扱っても耐えられる仕様になっている。更に電力事情の悪い地域でも使えるよう、ハンドル式などの発電機もそなえている。
日本でもローエンドのタブレットPCだとセール価格で10000円以下で新品として買えるものもある。比較的メジャーどころだとAmazonのタブレットPCでエントリーモデルにあたるFire7が該当し、特に最新モデルは解像度以外は(値段なりとはいえ)Amazon内のコンテンツやWEB閲覧程度であればそこそこ使えるレベルにまで性能が上がっており、意外と侮れなかったりする。ただし最上位モデルでは対応しているペンタブは使えず、専用キーボードも用意されていないなど、コストカットされている部分は多い。
関連動画
これらの動画は十分な知識を持ってノートパソコンを分解・組み立てしているものであるため、自信の無い人は真似しないようにしよう。
これらの動画は十分な括約筋を持ってノートパソコンを尻に挟み込んでいるものであるため、自信の無い人は真似しないようにしよう。
関連項目・外部リンク
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