ノーライフキングとは、
- 1988年に出版されたいとうせいこうの小説作品。およびその小説内に登場する造語。無機の王。
- TRPGやライトノベルやビデオゲームや漫画などに登場する、アンデッド(死してなお活動するもの)の一種。不死の王。不死王。
1.の概要
この言葉の初出は上記のいとうせいこうの小説「ノーライフキング」であるようだ。この小説「ノーライフキング」以前に、「ノーライフキング」または「no life king」という言葉が使われている例は見つからない(※もしそれ以前の用法を発見した方はここに追記してください)。
「1986年に子供たちの間で流行していた噂話について魅力的に感じ、メモに書き留めていた。1987年のある晩そのメモを読んでいると、その中にあった「無機王」という漢字が「ノーライフキング」と読めた。そこからこの物語へのインスピレーションを得て、熱に浮かされたように2時間で一気にあらすじを書き上げた。」
と言ったような内容を述べている。つまりそれまでには存在していなかった、いとうせいこうの造語であることはほぼ確定とみてよいと思われる(ただしこのあとがきはやや仰々しく書かれているので、少々間引いて考えなければならないが)。
「『ライフキング』というビデオゲームが子供たちの間で大人気になっている。だが、この『ライフキング』に『ノーライフキング』という呪われたバージョンが混じっている、という奇妙な噂が流れ始めた。その『ノーライフキング』を解けなかった子は、呪いによって死んでしまうのだという。そんなある日、主人公が通う小学校の朝礼中に、ゲームの展開をなぞるかのように校長先生が脳溢血で急死する。その出来事以後、さらに『ノーライフキング』の呪いの噂は過熱していった。そして主人公を初めとした日本全国の子供たちは、『ノーライフキング』を解いて呪いに抗する方法を探り始める」
といったものである。
そして、ラストでは「無機の王」が子供たち一人一人の元へと本当の姿をあらわす。
この小説は「ゲームや噂に熱中する子供たち」という発表当時の世相を映し取ったような内容であったことも影響して話題作となり、1989年には映画版も公開された。
なお、この小説内での「ノーライフキング」は上記の作者あとがきの記述からも読み取れるように「無機の王」であり「不死の王」ではない。アンデッドでもない。
2.の概要
2016年現在の日本のサブカルチャー界隈では、「ノーライフキング」という言葉はアンデッドモンスターを、特に「吸血鬼」(ヴァンパイア、ノスフェラトゥ)や「リッチ」などの「高位なアンデッド」を指して使われることが多い。
「不死の王」や「不死王」などといった日本語表記が併記されることも少なくない。
上記の小説作品内での「無機王」を表す用法とは明らかに意味合いが異なるのだが、これらアンデッドを指す用法が上記の小説作品より以前に存在したという形跡は存在しないため、やはり同作に影響を受けたものかとも推測される。
Wikipedia日本語版の「アンデッド」の記事[1]や「ノーライフキング」の記事[2]の現在の版(2016年7月29日閲覧)には、TRPG『ソードワールドRPG』が「アンデッドとしてのノーライフキング」の起源であるといった趣旨の記載があり、また上記の小説から転用されたともある。ただし、現時点ではこれらの記載いずれにも出典は明記されていない。
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関連項目
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脚注
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https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0