「ハルパゴス」(Harpagos)とは、メディア王国及びペルシア王国の将軍であり、岩明均の漫画「ヒストリエ」での
で知られる人物である。
インターネット上でのネタキャラ化がゆるぎないハルパゴスではあるが、本来は、メディアのアステュアゲス王を裏切った後に、キュロス2世のペルシャ王国による古代オリエント諸国統一と大帝国建設に貢献した将軍である。
ちなみに「ヒストリエ」ではレギュラーではない。それどころか主人公エウメネスが語った歴史エピソードの登場人物としてほんの数カットしか登場していない。しかし作中のキャラクターの中ではダントツの人気を誇っている。
概要じゃねぇの!?
ハルパゴスの「ば~~~~っかじゃねぇの!?」へとつながる物語は、イラン高原にすみついたメディア人がカスピ海の南に建国したメディア王国の国王アステュアゲスが予知夢を見たところから始まる。
ある時、アステュアゲス王は、夢の中で失禁してしまった娘のマンダネの聖水が、メディア王国の首都を水浸しにした上さらにアジア全土へと広がっていく夢を見た。
夢占い師に相談したところ「王に不吉な事が起きる前兆に違いない」と言われ、アステュアゲスは、娘のマンダネが成人するとメディア人の有力者ではなく、ペルシャ人のカンビュセスに嫁がせる事にした。
娘がペルシャ人と結婚してから1年後、マンダネが懐妊した際にアステュアゲスはまたも予知夢を見た。
今度は、娘のマンダネの股間の**自主規制**からブドウの木が生え、メディア王国そしてアジア一帯を覆い尽くすという夢で、夢占い師に相談したところ「マンダネの子が王座を奪う」と言われたアステュアゲスは、マンダネの子を殺そうと決めた。
ここでマンダネの子を殺す役にアステュアゲスが選んだのが、一番信頼していたハルパゴス将軍だった。
アステュアゲスはハルパゴスに対して、マンダネの子を自宅に持ち帰って殺して埋葬するように命じ、ハルパゴスは、
ご存じの通り、私はこれまでいつも王様のお気に召すように致して参りました。
これからも王の言い付けどおり粗相の無いよう致して参る所存でございます。
今回も、それが王の御心ならば、私はただ王のおっしゃることを忠実に実行に移すだけでございます。
と答えて生まれたばかりのマンダネの子をうけとり、泣きながら自宅に戻った。
妻から、これからどうするかを聞かれたハルパゴスは、
まさか王の言い付け通りになどするものか。
まったく王は何を言い出すものやら。
あの人は頭がおかしいのだ。
これから先また何を言い出すかは知らんが、とにかく私はごめんだ。
こんな企てにどうして手が貸せよう。
わたしは人殺しの奉公などするつもりは毛頭ない。
そのわけはたくさんあるが、第一この子はわたしと血がつながっているのだ。
もしこのまま王が男子の世継ぎなしに亡くなったら、あのマンダネが王座を継ぐことになる。
その時の私の立場はどうなると思う。
女王の子を殺したとなるとただでは済まない。
但し、この子にこのまま生きていられては今度は私の命が危なくなる。
一家の者に手を汚させるわけにもいかない。
ここはひとつ王家の召使いに、この子の処分をさせるしかあるまい。
とアステュアゲス王をキ○ガイ呼ばわりしたハルパゴスは、後年に災いが降りかかるかもしれない危険性を考慮して、
この子を荒れ果てた山中に持っていって殺してくるようにと王はお前に命じられた。
もし言い付けどおりにせず、この子の命を助けるようなことがあれば、お前には恐ろしい罰が待っているとの仰せだ。捨てたかどうかは、私が確かめる。
と言って、王家の牛飼いのミトラダテスに赤子を山に捨ててくるように命じた。
しかし、赤子を連れて家に帰ったミトラダテスは、臨月だった妻キュノーが死産していた事を知り、連れ帰った赤ん坊を妻に見せた。
可愛い赤子を見た妻キュノーは、ミトラダテスに赤子を殺さないように懇願したものの、殺したかどうか確認されるのでウソがつけないとミトラダテスは断った。そこでキュノーは、死産したわが子を山に捨て、代わりのマンダネの子を自分達の子として育てようと提案し、キュノーの意見を聞き入れたミトラダテスは、死産だったわが子にマンダネの子が着ていた豪華な服を着せて山に捨てた。
こうしてミトラダテスとキュノーは、ハルパゴスに役目を全うした事を誤認させ、マンダネの子を自分達の子として育てる事になった。
しかし、このミトラダテスとキュノーの行為は、ハルパゴスにとって大変ショッキングな出来事のきっかけとなった。
ミトラダテスとキュノーに育てられたマンダネの子が10歳になると、生まれ持った王の素質を開花させて子供達の王様役に選ばれ、遊んでいる最中に王の命令に従わなかった名士の子供を罰した事がアステュアゲスの耳に入り、調査の結果、あの時ハルパゴスに殺せと命じた子供である事が発覚した。
死んだはずの孫が生きている事を知ったアステュアゲスは、ハルパゴスを呼び出し、孫を殺した事を後悔していた等と心にもない事を言ってハルパゴスを安心させ、孫が生きていたお祝いの宴会を開くので、ハルパゴスの13歳になる一人息子を、孫に引き合わせたいので宮殿によこすように命じた。
王の命令を達成できていなかった事が露見し、いかに咎められるか気が気でなかったハルパゴスは、アステュアゲスの寛容な態度に喜んで帰宅し、一人息子を宮殿に向かわせた。
そう……これが……悲劇のはじまりだったのである。
アステュアゲス主催の宴会に参加する為に宮殿を訪れたハルパゴスは、アステュアゲスが特別に用意したと言う肉料理を食べ、
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腹いっぱい食べたところで、アステュアゲスから料理の味を聞かれたので、おいしかったと答えると、アステュアゲスは子供の手足と頭を見せた。
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ムfァYf⌒}(⌒)|(⌒ォァヽェミ、
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イケ´ ̄_,-、 ,-、_ ̄`ヽ≧、|
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ヾi|lノリ》ァ、_イi|l|liト、_,il|ミトミ|j|」-'´
ミミjl|lイ彡イ|!j|l|li|トミミミトミjli|イ
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イ{⌒\ `ー-、从从,-一'´ / ) ̄` 、
そう……ハルパゴスが食べたのは宮殿に向かわせたはずの一人息子の肉だったのである。
宮殿についたところで一人息子は殺され、人肉料理として父親にふるまわれるという鬼畜の所業ではあったが、何の肉を食べたかと確認しようとする鬼畜王アステュアゲスに対して、
よく分かりました。私は王のなさることに対して何の異存もございません。
と、ハルパゴスは顔色ひとつ変えずに答えた。
そして……息子の遺骸を持って自宅に戻ったハルパゴスは、キ○ガイ王に対して復讐の炎を燃やし始めたのだった。
アステュアゲスの孫の方はと言うと、夢占い師が「親元に返して問題ない」と言った為、息子は死んだと思っていたマンダネとカンビュセスの夫婦は、戻ってきた息子に驚き、息子は育ての母キュノーについて賛美の言葉を並べた。ミトラダテスかわいそうです……
/ミミトミトミトミトミトミ,、
/r=-、_ミトミトミトミトミミ'、
j=-_/○/r-ァァェ,-、リ
〈 r‐-、 ̄iT-==ム_/_0/j
// i> i|f⌒ヾ|l|l|l|lTK ハルパゴスは
/ ` :j|{ ト、).}リj|l|l|トiハ その後も変わらず
了=、 ノj| ル イ巛ミトミトミj 忠勤に励んだ
Tヾヽ ルil|〕l´ヘ巛jリリルノ 何年も 何年も……
)、__/巛リ「! ゞ孑'
((じルi巛トi/ ^´ |、_
ゞメヌム-'´ /r‐〈
/〉 -一'´/ : : :ヘ
ノ`ー─/ ̄ : : : : : : : :
マンダネとカンビュセスの子供キュロスが成長すると、それまで本心を隠して忠勤に励んでいたハルパゴスは、ウサギの胎内に密書を隠して反乱を促し、キュロスもまたメディア人に支配されていたペルシャ人に自由の素晴らしさを身体に叩きこませて、反乱を起こした。
キュロスの反乱の知らせを聞いたアステュアゲスは、アレの事をすっかり忘れてしまっていた事と、何年も忠勤して信用していたハルパゴスを総司令官に任命し、ペルシア人にあたらせた。
∠.// ミヽ
,イ/ニヽヽ、 ミハ
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ハ_j l乂_ノ | { ノ|>〒 =-;z、 ミハ
l⊥土二二'ニ==z'⊥( _)| 夫zl.}
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しかし、ハルパゴスは
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!. | ヾ> || lニ コ 〈/`ヽ _ ミ
|. ! ノ| | レ! _| |. ,イ,.- 、 |  ̄_ ̄丁 '' ー┬‐- -ミ
ヽ二/ .ヽ/(___メ> /,|.l l ! ( ) ! (´ ) ! r‐
ry'〉 ,、 /イ,! `ー' _L =- --┴-ニ二ト、_'ー'
lニ', r三) (( |'J」-''_二 =-- ‐一 ー‐t‐-ト、 二__
|_| )) レ'/´ィ 、_________ ヾミ| l
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└l. レ',.-、ヽ )) |ノ^>、 '^ミ二´ | l:.:.:.::
ノ r' __,! | (( V/イソ .::ヽ、二_
└'!_| (_t_メ.> )) | / ,' _ .:.:.:.::i|,)ノ
r-、 (( |.〈、 、 _〉 `丶、 ;:ィil| ノ
,、二.._ )) | 笊yfミミミミヾ、 '!l|il|li!fj'
ーァ /. (( ヽ |i''r ''_二二ニミ;ヽ、 ,|l||il|l|,「゚|
ん、二フ )) |,l| V´ :::::::::;;/ トi|l|i|i|l|!Ll
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と言ったかどうかはさだかではないがメディア王国を裏切ってペルシアにつき、綿密に準備してきたハルパゴスにより続々とメディア軍から裏切りが発生して総崩れとなった。
怒ったアステュアゲスは、間違った判断をした夢占い師を磔にして殺し、自ら総司令官となってペルシアと戦ったが、キュロスに生け捕りにされてメディア王国は滅亡し、アステュアゲスは王から奴隷の身分へと転落した。
敗れたアステュアゲスの元に現れたハルパゴスは、アステュアゲスを罵って息子を殺された上に食らわされた事に触れて、そんなキ○ガイが王から奴隷になった気分はねぇどんな気持ち?NDK?NDK?と尋ねたが、アステュアゲスは答えず、自分の行いを棚にあげてハルパゴスの裏切りを罵った。
その後、キュロスが建国したペルシャ王国の将軍となったハルパゴスは、リュディア軍との戦いで、馬がラクダを恐れる性質を利用したラクダ騎兵の奇策を用いして勝利し、リュディアを滅亡させた後は、小アジアの諸勢力を滅ぼして、キュロスの古代オリエント諸国統一に貢献した。
上記のエピソードは概ね岩明が『ヒストリエ』の原典として用いているヘロドトスの『歴史』に沿ったエピソードである。ただし、ネット上で極めて有名となった「ば~っかじゃねえの!?」のシーンは、上記でも触れられているとおり岩明の創作であり、ヘロドトスの著作中にこれに類する発言は残されていない。
また、キュロス2世のオリエント征服に大きく貢献した後のハルパゴスの余生についても、記録には残されていない。
※その他「ハルパゴス」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照
インターネット上では、前述の「ば~~~~っかじゃねぇの!?」のカットの利便性の高さから様々なコラ画像が作成されたり、最後に「ば~~~~っかじゃねぇの!?」で締める画像の元ネタとなっている。
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