ハンナ・U・ルーデル(Hanna Ulrika Rudel)とは、「ワールドウィッチーズ」シリーズの登場人物である。
プロフィール
モデル
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。説明不要。
容姿・人物
長い金髪を首元で束ね、細い碧眼を持つ長身のウィッチ。鼻の上には横一文字の傷痕を持つ。濃灰色のシャツの上に白いジャケットを着用するが、地上では足元までとどく長いコートを着ていることもある。
カールスラント最高の急降下攻撃ウィッチで、前人未到の戦果を挙げたウィッチ四強(≒カールスラント四強)の一角。勲章を総なめにし、新設された専用の勲章までも受けながら、なお”世界平和”を真剣に目指しひたすらにネウロイを狩る大英雄にして“シュトゥーカの魔王”。あまたの負傷をものともせず、皇帝直々の要請さえ無視して出撃を繰り返したことから、その実戦果は公認戦果を大きく上回るといわれる。
つねに自信に満ち溢れ、疲れを知らず大胆不敵、一見フィーリングで動いているようでいて、本質的にはかなりの理論家でもある。親しみやすくこそないが、指揮・指導能力も確かな大人物で、激戦の中で部下の命を幾人も救っている。しかし怪我して出撃できなくなり禁断症状めいて泣き出したこともあるような無類の変人でもあり、牛乳が大の好物で、何かと他人にも飲ませようとする。ヤギのでもいいらしい。
経歴
※本項の記述は原則として『WORLD WITCHES 2018』および『スオムスいらん子中隊ReBOOT!』シリーズに拠る。このため『スオムスいらん子中隊』シリーズの設定と異なる場合がある。
戦闘ウィッチを目指して飛行学校に在学中、新設の爆撃部隊への志願者が募られた際に、卒業生はみな爆撃部隊送りという噂を真に受けて志願し一人だけ爆撃部隊配属となる。染み付いた空戦の癖を捨てきれず、爆撃の技倆は落ちこぼれに近かったが、オストマルク方面の国際黒海方面監視航空団(国際ネウロイ監視航空団)で遠距離偵察部隊へ転属して写真を撮るうちに地上物への認識が向上したことに気づき、爆撃部隊への復帰を申し出て中尉昇進とともに転属、ついに地上攻撃の才能を開花させる。
爆撃ウィッチとして戦うようになると、わずか一ヶ月の間に多大な戦果を挙げて一級鉄十字章を受け大尉に昇進。時にはネウロイの占領地域で撃墜されて徒歩で帰還した(鼻の傷はこのときのもの)こともあるが、負傷を気にせず出撃を繰り返し、その令名を轟かせるに至る。
大戦勃発後は黒海、オストマルク、カールスラントと転戦したが、第2急降下爆撃航空団第Ⅲ飛行大隊に所属していた1939年夏頃、制空権もない中で、右足負傷による出撃禁止命令を無視して出撃し左足まで負傷したことをきっかけに皇帝より直々の地上勤務を命じられる。しかしそれでも命令を無視し続けたため、とうとう地上攻撃技術の教導(を名目とした療養)を命じられスオムスへと派遣されることとなった。
これは無論ストライカーユニットなしで地上勤務前提の派遣だったが、彼女はキール港で他所からJu87を調達。意気揚々とスオムスに赴くと、ラッペーンランタ基地でスオムス空軍第28戦隊第1中隊への地上攻撃技術教導にあたるとともに、穴拭智子たちスオムス義勇独立飛行中隊と列を並べて地上攻撃を重ね、新型ネウロイの攻勢を迎え撃った。その後、人型ネウロイに拐われた迫水ハルカの救出作戦に参加し、(皇帝勅使に泣いて懇願されたため)本国へと帰還する。
スオムスより戻ったのち、1941年までに大佐に昇進し第2急降下爆撃航空団司令。この間に皇帝より黄金柏葉剣ダイヤモンド付き騎士鉄十字章(新設)を授けられたが、受けるにあたり二度と地上勤務を命令しない、という条件を突きつけたという。この時期にはオストマルク北部にあり、20歳を超えてもなおネウロイ相手に戦果を重ねる姿を、「魔女の世界」新聞社の記者でウィッチでもあるエルネスタ・ニールマンによって取材されている。
交友関係
僚機で副官のアーデルハイドとは爆撃部隊に再転属になって以来の仲。何かと無茶をやらかすルーデルのいわばお守り役だが、無茶をサポートはしても止めはしないのでお目付け役としては役に立たない。上官に対してはときおり辛口で、ルーデルも「私への敬意がまるでない」とぼやいている。ちなみに、その無茶で上官ヘルムート・ゲーリング元帥になにかと心労をかけさせている模様。
ネウロイ大戦初期、スオムス派遣に前後して第5飛行中隊を指揮しており、フレデリカ・ベッカーを部下に持っていた。これと近い時期、真偽は不明ながら、のちにアフリカ戦線で活動するフレデリカ・ポルシェも彼女の部下にいた可能性がある。カールスラントではこの他、アドルフィーネ・ガランドを(階級が上にもかかわらず)「あいつ」と呼ぶ程度には親しい模様。またスオムス派遣前にキール港でJu87を調達した際にはJG52のグンドュラ・ラルと取引し、山ほどのソーセージと引き換えにJu87の所属を書き換えてもらい、「書類を外国語で書くと時間が稼げる」とまで教えてもらっている。ラル隊長当時13歳くらいなんだけど昔っからそうなのな
スオムス義勇独立飛行中隊のエリザベス・F・ビューリングとは国際ネウロイ監視航空団時代の知り合い。といっても特段の交友があったわけではなく、互いに印象に残っているという程度だったようであるが、ルーデルはビューリングのことを高く評価していた。
スオムスで出会った義勇独立飛行中隊の面々には、『スオムスいらん子中隊』では初対面で「寄せ集め」と挑発するような態度をとった一方、『いらん子中隊ReBOOT!』ではふてぶてしい態度こそとりつつも同格として接し、機種転換に伴うスランプに悩む穴拭智子に自身の経験からの助言を与え、同じ爆撃ウィッチであるジュゼッピーナ・チュインニの記憶を取り戻すため爆撃部隊の教導を見学させたり、ウルスラ・ハルトマンのために快く爆弾懸架装置を見せたりしている。
登場
ヤマグチノボルによるノベル『スオムスいらん子中隊』二巻でゲストキャラクターとして登場したキャラクター。アニメ『ストライクウィッチーズ』DVD特典の全記録第五集では大佐・第2急降下爆撃航空団司令時代の彼女が緊急使用したとされるFw190-D9が掲載されている。
『アフリカの魔女』系列のコミック『アンドラの魔女』に収録された「スツーカの魔女」では、フレデリカ・ポルシェのかつての上官にして至るべき目標として姿を見せた……が、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユの脚色の可能性も大。その後、2013年にイラストコラム「ワールドウィッチーズ」で紹介されたのち、オムニバス・コミック『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches』EP03-04で久々にメインキャラクターとして登場した。
2019年、築地俊彦による『スオムスいらん子中隊』フルリメーク『サイレントウィッチーズ スオムスいらん子中隊ReBOOT!』第二巻において改めて登場。第三巻プレミアム特装版ドラマCDでは声付き登場を果たすこととなった。担当声優は上田瞳。
設定の相違について
ルーデルに関する設定は、作品によって微妙に異なったり、設定同士の整合性がつけにくいものが少なからずある。これは大戦以前からの長い戦歴がもたらす時代による変化(時系列上の違い)の場合と、『ストライクウィッチーズ』黎明期から長く断続的な複数作品での登場による変化(発表時期による違い)の場合、そして『スオムスいらん子中隊』シリーズのフルリメークによる設定変更の場合がある。
わかりやすい例としては所属部隊の設定があり、『スオムスいらん子中隊』2巻での初登場(1939年スオムス派遣時)では第2急降下爆撃航空団第十飛行中隊中隊長となっていたが、イラストコラム「ワールドウィッチーズ」のプロフィール(1939年当時)では同第104飛行中隊、紹介文中(1939年夏・スオムス派遣以前)では同第Ⅲ飛行大隊となっている。『魔女たちの航跡雲』での登場時(1941年)には第2急降下爆撃部隊司令、同回想シーン(時期不明)では第2航空爆撃部隊第5飛行中隊、『いらん子中隊ReBOOT!』(1939年スオムス派遣時)には第2急降下爆撃航空団第1飛行大隊とされる。スオムス派遣についても、『スオムスいらん子中隊』では第10飛行中隊として部下を引き連れての援軍派遣だったものが、『いらん子中隊ReBOOT!』ではアーデルハイドと二人、爆撃教導ついでの負傷療養として送られているといった違いがある。
なお、「ストライクウィッチーズ」シリーズでは、シリーズ全体が(作中世界の)史実をもとにした戦記ものであるという観点から、詳細な設定を作り上げつつも(作中世界の)史実に対する媒体ごとの解釈の違いがありうるとして、設定の相違・矛盾も相当程度まで許容して制作されていることには留意されたい。
関連動画
関連商品
関連項目
- ストライクウィッチーズ
- ストライクウィッチーズ スオムスいらん子中隊
- ストライクウィッチーズ アフリカの魔女
- ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches
- ストライクウィッチーズの関連項目一覧
- 帝政カールスラント
- エリザベス・F・ビューリング
- 穴拭智子
脚注
- *ハンナ・U・ルーデル(『スオムスいらん子中隊』、『WORLD WITCHES 2018』)、ハンナ-ウルリーケ・ルーデル(『WORLD WITCHES』、『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches』)、ハンナ=ウルリーケ・ルーデル(『いらん子中隊ReBOOT!』)などの表記ゆれが存在する。本記事の記事名は『WORLD WITCHES 2018』に、本項では『魔女たちの航跡雲』に準じた。
- 0
- 0pt