バイアクヘー (Byakhee)とは、クトゥルフ神話に登場する架空の生物である。
バイアキー、ビヤーキーとも。
概要
見た目は体長2~3メートルの巨大な昆虫。
蟻のように見えるが角は短く、背中はに蝙蝠のような羽、四本の腕。皮膚と目は人間、耳と口は爬虫類のようにも見える。
旧支配者・ハスターの眷属。
通常は宇宙空間の小惑星や彗星に住んでいる。群れを成すこともあるが、基本的に単独行動。
食性は肉食。大体は星間生物を食っているが、地球に来れば当然のように人間も動物も捕食する。
地球上には生息していないが、黄金の蜂蜜酒と魔法の石笛、ハスターを讃える呪文によって召喚出来る。
いあ! いあ! はすたあ!
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! はすたあ!
知能は高く、独自の言語の他にも人間の言葉を理解して喋る事が可能。その為か、神話生物としては例外的に人に懐く事もある。
「Cthulfu Unbound Vol.2」所収の小説「Surely You Joust」では、アーサー王の円卓の騎士・トリスタンが馬代わりの乗騎としてバイアクヘーと契約していた。これだけでもぶっ飛んだ設定だが、そのトリスタンからバイアクヘーを譲り受けた「道化にして失敗続きの円卓の騎士」ダゴネットはバイアクヘーに「翼ある貴婦人(the Winged Lady)」と名をつけて可愛がった結果、なんと信頼関係で結ばれるに至る。
この称号はトレーディングカードゲーム「Force of Will」でもバイアクヘーのカードに使用されており、そちらで知った人もいるのではないだろうか。
バイアクヘーは蜂のような尻にある器官『フーン』を用いる事で、召喚者を伴った超高速飛行が可能。
地球上では時速70km程度だが、宇宙空間では光速の10分の1、本気モードでは光速の400倍にも達し、宇宙旅行も軽々とこなす。ただし宇宙旅行に人間の肉体は耐え切れない為、肉体は一時的に特定の場所に保管し、精神のみを預かって移動する。
召喚手段が確立されている事、便利な能力を有している事などから、後続のクトゥルフ神話作品における知名度は高い。
創作
ここではクトゥルフ神話の他、バイアクヘーの名にちなんだ創作も記述。
- 魔宴
H.P.ラヴクラフトの短編小説。
名称は出ていないが「烏でもなく、土龍でもなく、禿鷹にあらず、蟻にあらず、吸血蝙蝠とも違い、腐れ爛れた人間とも違う」おぞましい生き物が登場。
後にこれはバイアクヘーであるという解釈が成されている。 - 永劫の探求
オーガスト・ダーレスの長編小説。
ラバン・シュリュズベリィ博士により、召喚の儀式を通じてバイアクヘーが呼び出される。
博士によるとこれ以前にもプレアデス星団(地球から444光年の距離)の恒星・セラエノに脱出する際、バイアクヘーの力を借りたという。 - 邪神伝説シリーズ
矢野健太郎の漫画。
登場人物の一人、星間渚はかつてハスターを信仰していた一族の少女。両親からは出自を知らされずに普通の女子高生として過ごしていたが、怪奇な事件に巻き込まれた挙句、父によってハスター復活の生贄とされてしまう。後に儀式は失敗、生還したがその身は神の精を受けて人ならざるものへとなっていた。その後は対邪神組織『ケイオスシーカー』に所属、エージェントとして神話的恐怖に立ち向かう。
作中ではハスターの「魔風」を操り、バイアクヘーを複数召喚・使役する場面が見られた。 - 斬魔大聖デモンベイン
秘密結社ブラックロッジの幹部・クラウディウスが操る鬼械神(巨大ロボ)の名前が「ロードビヤーキー」。空中戦を得意とした機体で、風とかまいたちを操って戦う。
起動に必要な魔導書が「セラエノ断章」、関係者がシュリュズベリィ博士と、実に解っている設定。 - ウルトラマンガイア
2001年のOV「ウルトラマンガイア ガイアよ再び」にて「根源破滅飛行魚」バイアクヘーが登場。小型の魚型の怪獣で、トビウオのような姿をしている。
はっきり言えば完全に別物なのだが、脚本の小中千昭はラヴクラフティアンとして知られており、元ネタがクトゥルフ神話にあるのは明らか。
なお小中氏は「ウルトラマンティガ」で古代都市ルルイエに封印されていた邪神クトゥルフ……ではなく、ガタノゾーアをラスボスとして登場させるなど、ニヤリとさせられる怪獣を世に送り出している。
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関連項目
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