バガボンド(vagabond)とは、漂泊者という意味の英語及びそれをタイトルとした井上雄彦による漫画である。
この記事では漫画について記述する。
概要
吉川英治の小説『宮本武蔵』を原作としているが所々に井上によるアレンジが加えられている。
最大の特徴は筆を使って描かれているところ。その筆さばきは芸術の域に達していると言ってもいいだろう。
2000年に第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞、第24回講談社漫画賞一般部門受賞。
ウィキペディアでは1巻〜13巻、14巻〜20巻、21巻〜という具合に章ごとに区切りを作っており、本記事でもそれを一部参考にしているのだが公式見解ではないと思われる。
単行本は37巻まで刊行されているが、2015年2月の掲載を最後に2023年2月現在まで丸8年休載が継続中。
数多くの国で発行されており、単行本の累計売上は5000万部を超えている。
第一章の導入
関ケ原は終わった
俺は敗れた
武蔵と又八。
勝つか、負けるか。
生きるか、死ぬか。
第一章の登場人物
新免武蔵/宮本武蔵
第一章の主人公。
ご存じ日本一有名な剣豪。作州の宮本村出身。巨躯で気性が激しいため村の大抵の人から忌み嫌われている。その戦いっぷりは正に悪鬼。
本位田又八
武蔵の幼馴染。裕福な家で育つが実は妾の子。色々な勘違いから一時佐々木小次郎を名乗る。
おつう
同じく幼馴染。又八の許嫁だったが本心ではそこまで好きじゃなかったようで又八が武蔵と村を出ている間に顔もはっきり思いだせなくなっていた。沢庵に諭され武蔵への恋愛感情を自認するようになる。
新免無二斎
武蔵の父親。かつて吉岡拳法を破り時の将軍、足利義輝から「日天下無双兵術者」の称号を得た十手術を得意とする武芸者。
妻や息子含め己以外のすべてを敵だと見なすような人物であり武蔵からは憎まれている。
辻風典馬
お甲の夫を殺した辻風組の親方。独占欲の強いバイセクシャル。
辻風黄平/宍戸梅軒
典馬の弟。通称「死神」。
自分が殺そうと思っていた兄を武蔵が横取りしたためつけ狙っていた。性的不能者。
野盗集団の頭である宍戸梅軒を切り捨て、自らが梅軒を名乗り得物も刀から鎖鎌に変更し達人と噂されるようにまでなる。
彼が言った「殺し合いの螺旋」という言葉は武蔵の胸に深く刻み込まれていく。
お杉おばば
又八の母親。かなりの親ばかであり物事を又八に都合の良いように考えている。
沢庵宗彭
色んな偉い人と繋がりを持つ坊さん。全国を放浪している。
吉岡清十郎
吉岡拳法の長男で吉岡流現当主。小柄。
京最強の剣士なのだが遊びまわっているため軽く見られがちである。
吉岡伝七郎
名前がある人物の中では一番デカい。
兄と違い道場の皆からの人望は厚いが剣の腕は兄に遠く及ばない。
植田良平
吉岡十剣筆頭。
元は捨て子だが拳法に拾われ弟子の植田に引き取られた。
祇園藤氏
華やかな衣を着た吉岡道場の男。
あだ名に天狗とつけられるなど自信過剰なところはあるがその剣は「誰もが真似した」と言う。
城太郎
武蔵に弟子入りした少年。幼き日の武蔵と似通った部分がある。
胤栄
宝蔵院流槍術の創始者。
胤瞬に「恐怖」を教えさせるため武蔵に稽古をつける。
胤舜
宝蔵院流槍術二代目。
清十郎と同クラスのセンスを持つが宝蔵院内では疎まれている。
柳生石舟斎
柳生新陰流の開祖。
天下無双という評価を得ている通称「剣聖」。
柳生兵庫助
石舟斎から「一族の最高傑作」という評価を得る新陰流の後継者。
上泉伊勢守秀綱
若き日の石舟斎と胤栄をいともたやすく下すほどの剣豪。まろやかな顔をしている。
佐々木小次郎?
豊臣の間者だと思われリンチにされて殺された顔に切り傷がある武者修行中の男。
死ぬまでに5人道連れにするなどかなりの腕を持つ。
腹痛に苦しめられていた又八に薬を与え、不注意から約束を反故にされても恨み言を言うことはなかった。又八にとあるものを託すが…
龍胆
初代宍戸梅軒から性的暴行を受けていたとみられる少女。
辻風公平と一緒に暮らしており、彼の鎖鎌の師匠でもある。
幼いながら鎖鎌の腕は壮年の武士から梅軒本人だと誤認されるほど。
第二章の導入
男は海から来た
恐ろしく長い剣と共に
名を佐々木小次郎と言う。
時は戻り新たなる物語が幕を開ける。
第二章の主な登場人物
佐々木小次郎
第二章の主人公。
鐘巻の弟子の子供で赤ん坊の頃、舟でやってきた童顔で切れ長の目を持つ聾唖の男。
他に乗り合わせたものは全員死んでいたこともあってか、舟の中にあった長刀を大事にしている。
鐘巻自斎
鐘巻流の開祖で小次郎の育ての親。
中条流の師範として全盛期は天下無双と言われるほどであったが弟子である伊藤弥五朗(後の伊藤一刀斎)に敗北して以降落ち目の毎日であり、放浪の末たどり着いたと推測される海辺の村では住民から馬鹿にされて自堕落に過ごしていた。
伊藤一刀斎
強さ議論スレなどの最強談義では毎回一位に君臨する作中最強の男。一刀流伊藤一刀斎という語呂がいい肩書を持つ。
おりん
小次郎や鐘巻を世話してくれた家の、今年14歳になる娘。
亀吉/草薙天鬼
海辺の村のガキ大将。父親が不動に腕を切られて以降、寝たきり状態なため不動を恨んでいる。
不動幽月斎
不動明王の使いを自称する剣士。
10年ほど前、海賊から村を一人で守り、以降守り神と敬われてきたが過度に貢物を要求したり、村の娘が14歳になると寄越すという決まりをつくったりするなどして今現在ではすっかり疫病神と化しており、村の人物たちは躍起になって彼を消そうとしている。その風貌からとある人物の成れの果てだと噂されるが…
吉岡伝七郎
植田をお守りにし武者修行中の伝七郎。この頃はまだ人を切った経験が無い。
猪谷巨雲
西方の落ち武者の一人。味方から「魔剣」と称される人間離れした剣の使い手。
小次郎を「純粋に剣のためだけに生まれた人間」と評し死闘を繰り広げる。
第三章の導入
宿命は、二人を結びつける―――。
慶長九年暮れ、京の町に現れたのは、
そして、宿敵・吉岡清十郎との極限の命の遣り取りが、今始まる!
第三章の登場人物
宮本武蔵
1年前の約束を果たすために京に舞い戻ったがすでに伝七郎は眼中になく本命は清十郎。
自分に足りないものは「ただひたすらに人を斬りまくった年月」だと思っている。
吉岡清十郎
武蔵の真の標的。
剣の時代は吉岡から柳生に移っていると自嘲気味に話す。
吉岡伝七郎
第三章は彼が切り伏せられるところからスタートする。
本位田又八
自らを佐々木小次郎と詐称し推挙料詐欺を続けるダメ人間。
佐々木小次郎
伝七郎と切り合ってから4年、身長は彼と遜色ないほど高くなっている。
吉岡の計画に利用されそうになるが…
植田良平
伝七郎では武蔵に勝てないと思い策を用意しようとするが…
彼の一太刀は武蔵の生き方に大きな影響を与える。
朱美
お甲が経営する女郎屋で受付をしている。清十郎とは肉体関係があるが身分違いの恋とわきまえている。
石舟斎・胤栄
思念体としての登場がほとんど。
かつては父・無二斎がいた眼の奥の裏側に住み着くようになり武蔵に様々なアドバイスを与える。
本阿弥光悦
本阿弥本家九代目惣領。
武蔵と小次郎を匿う。二人とは別の意味で剣に生きる者である。
祇園藤氏
最早かつての面影はないほど錯乱しており吉岡の悪口を言っていた牢人を三人殺傷した。
お杉おばば
寝込んでいた際、うわごとで武蔵とおつうを苦しめたのち殺すことを懇願するなど二人への憎悪はとてつもないほど膨れ上がっている。お手製フラッグを持って伝七郎を応援。
第四章の導入
垣間見た、螺旋の果て。
そこに誰がいるのか
武蔵はもう、わかっていた。
無謀な闘いの果て、生き残った――。
束の間、穏やかな時が流れる。
だが、70人斬りの“代償”は武蔵の体に深く刻み込まれていた――。
第四章の登場人物
宮本武蔵
天下無双の称号を得るが先の死闘で負った傷により京屈指の名医から闘いの終わりを告げられ、更に私闘の罪科で城の牢屋へ送られる。まもなく脱走し極貧の村で農業に勤しむ。
佐々木小次郎
時間はさかのぼり辻風黄平に嫉妬心から襲われるが難なく撃退するシーンからこの章は始まる。
紆余曲折あり小倉へ。
本位田又八
倒れていた武蔵を寺へ運んだ。髪型を元に戻す。
今章では度々未来の話が挿入され年老いた又八は橋の上で語り部をしている。
沢庵宗彰
寺で武蔵の治療の手助けをし、武蔵を疎ましく思う他の坊さんを説き伏せた。
小川家直
小倉細川家の剣術指南役。小次郎に木の枝で仮死状態にされる。
名もなき仏師とその家族
低体温症で倒れていた武蔵を手厚く看病し道を説く。
楓
細川家剣術指南役の一人。ヒヨコでも飼えそうなボサボサの頭と強い体臭が特徴的だがこう見えても女。
ロザリオを掛けていたことからキリシタンだと思われる。
伊織
死んだ父親の体を切って運ぼうとしていた少年。武蔵と生活する。後の宮本伊織だと推測される。
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関連リンク
関連項目
- 佐々木小次郎(バガボンド)
- 宝蔵院胤舜(バガボンド)
- 剣豪/侍
- 戦国時代
- 江戸時代
- 殺し合いの螺旋
- ぬたあん
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