バスファンとは、バスに関する各種の趣味を持つ人たちの事である。ここでは合わせて、バス趣味にかかる事象も併せて紹介をする。
概要
公共交通にまつわるあれこれを趣味にするというのは古今東西見られるものであり、バスもまたしかりである。しかしながら、バス趣味に関しては日本では市民権を得るまでに至ったのはごくごく最近の話である。鉄道では1970年代のSLブームなどで古くから趣味として勃興していたのに対して、バスはそれからさらに時代が下ってからである。日本では新幹線の存在や世界一ともいえる鉄道技術で鉄道に興味がない人でも日本の鉄道に対しては一定の自負を持っており、鉄道ファンが増える潜在的な要素が多分に含まれているのに対して、バスは良くも悪くも日常の点描として浸透しているため、なかなか顧みられることがなかった。
このように同じ交通系の趣味である鉄道趣味と比べても、バス趣味というジャンル自体がまだ日が浅く、絶対数でいえば「鉄道ファン」の総数には遠く及ばないのが現状であるが、近年ではバス事業者や、バス事業者で結成する地域団体などで自ら事業所の公開や、バスを集結させるイベントなどを開催する(例年、9月20日の「バスの日」前後が多い)など、その数を徐々に増やしている。
バスに限らず、この手のジャンルは他の趣味とクロスオーバーする傾向が強いが、鉄道事業者が(と)路線バスを兼営・もしくは傘下に展開しているグループや事業体も多いため、趣味者本人も鉄道ファンとバスファンを同時に「兼業」するケースも多い。その一方で(現業のバス運転士本人も含め)、自動車趣味とクロスオーバーするケースも多い。
メディアでの扱いもどちらかと言えば、鉄道雑誌の1コーナーにバスの記事が載るといった形での、鉄道の付属、添え物のような扱いであったが、近年は専門誌が発刊されるなど、独立した趣味のジャンルを築きつつある。また、ここ最近はテレビのバラエティでバスの旅が組まれるように一般的な認知度も徐々に高まりつつある。
趣味の対象も、鉄道に準じた車両撮影・走行音録音・路線研究などがあるが、バス独特のものも存在する。例えば一般的に、列車の運転はその鉄道会社に所属しない限りはほぼ不可能に近いのに対し、バスは免許と車両があれば、多少の困難はあるものの、自ら運転できる点もある。究極の形として、バス好きが高じて、自ら会社を興したツワモノもいる。自動車趣味の側面もあるので、古いバスを所有、もしくはオーバーホールし、クラシックカーなどのイベントに出展する事もある。
海外では、自動車趣味でいうところのオーナーズクラブも存在する(日本においても、特徴ある歴史的価値を有する車両の保存を主な目的として、同様の形態を模索する団体組織が存在するにはするが、同年代の歴史的な鉄道車両や自家用車、また他国の実例などと比較すると極端に保存例が少ない。国土の狭さや保管場所はともかくとして税制・環境面、そしてそれに理解を示す事業者・施政者も少なく、市民の足として淡々と働き、決して華やかでなくとも一つの時代を築いた「バスの名車」が、人知れず「古いから」と、粛々とスクラップなりの処分をされていることは否定できない)。
なお、「二階建てバス(ダブルデッカー)」が数多く一般路線バスとして普通に走っていることで知られる香港においては、趣味層の比率として「バスファン>鉄道ファン」であり、日本の都市と同様な高速鉄道網が存在する地域ではあるが、バスファンの絶対数や趣味の地位などにおいても、置かれている「環境」は、意外にも日本より高い。バスグッズの専門チェーン店が香港域内に店舗網を展開しており、店内には鉄道・路面電車に関連する商品も申し訳程度に一応置いてはあるものの、やはり品揃えは「バス専門店」であり、またバス事業者の直営グッズショップに相当する窓口の品揃えも、ダイキャストモデルをはじめとして日本の同様窓口とはまったく比較にならないほど豊富である(欠品も多いが、自社が走らせてきたバスの歴史を大事にしつつ未来に進もうという姿勢が感じ取れる)。ついでであるが、域内を走る路線バスの車種比率も「ダブルデッカー 97以上 : 3以下 平屋」である。
同じく中華圏の台湾も鉄道ファンほどではないが、同じようにバスファンが存在する。車両の引退イベントはニュースになったほどであり、車両の保存も官民行われている。
以下特記無き限り、三菱ふそうを「ふそう」、日野自動車を「日野」、いすゞ自動車を「いすゞ」、旧・日産ディーゼル(現・UDトラックス)を「UD」と略記する。
車両研究
読んで字のごとくであるが、メーカーによるプロダクション品であるバス車両は鉄道に比べれば、ある程度形は決まっているが、会社や路線ごとの個性の出し方が鉄道以上の場合も存在する(例:京都交通の「路線バス車体に観光用シャーシ」、「神奈中仕様【代表例:前部の乗り口表記窓・『ワンマンバス運転士は乗客の現金に触れてはならない』という同社の論理による運賃箱周りの処理】」、「静鉄仕様【細かい箇所ごとに、実に100を超える独自仕様が盛り込まれていたといわれる】」、「上高地仕様【同所入り口の旧『釜トンネル』高さ制限をクリアするための背の低い観光バスタイプ車】」、後部に行先表示を掲出するか否か【この点は「交通バリアフリー法」施行で新車への設置が義務となった】、運転席の背面処理、1点物の車両)。近年はこうした注文が受け付けられないケースが多く、またバリアフリー推進のために特にノンステップバスが多く導入される傾向が強い。また国土交通省の標準仕様が制定されている為、車両の仕様も画一化が進んでいある。
また、細かい所では都営バスや横浜市営バスのように運転席側のサイドミラーのアーム取り付け位置もポイントとなる。通常はサイドミラーは側面の窓に沿う格好であるが、一部の営業所では隘路での視認性確保の為にアームを延長した物を採用している。
また、1年から2年のみ試験的に採用されたが本格採用にならなかったり、廃止された物もある。1991年頃に神奈川中央交通で導入されたバスには補助座席が取り付けられていた。小規模の貸切などで使用する際に使われたものであるが、本当にこの年度前後にのみ採用された後、撤去されたものもあった。但し、補助席を使った場合に使う足置きはそのままだったので、その名残も見え隠れしていた。
一般的に、バスの車体に大掛かりな加工を伴う改造例は少ない。例えば、東急バスのように系列に改造・修理を行う会社を持っていれば、車内を中心にした大掛かりな更新を行うケースはあるが、下手に車体に加工を加えた場合には車体強度の確保に影響が生じる事もあり、また数十年と使用する鉄道車両と比べても、都市部事業者の場合は10年から15年程度であり、改造するぐらいならば新車を導入した方がいいという事情もある。しかし、中には「バケルトン」と呼ばれた大規模改造を行ったバスも存在する。
トランスミッション
バス車両のトランスミッションは、輸入車や小型車、一部の高速車など特殊な用途のものを除き、大抵がMT(マニュアル)車を導入する事業者が多いが、中には東武バスグループ(朝日バスグループ)のように、山間路線にも容赦なくAT(オートマチック)車を積極的に配車するグループもあることで知られる。前部に座らなくとも駆動音で容易に判定がつくので、これをネタに燃費や操作性などを、運転士さんと(運転士さん個人の裁量ではあるが、業務に差し障り無い程度に)盛り上がるのもいいかもしれない。
マニュアルギア車は走行環境に合わせていくつかのギア比が選べ、5速直結や5速オーバードライブ、複数のファイナルギア比などの特徴がある。これらは導入される事業者によってまちまちであるが、一般的に一つの事業者でオーバードライブ車と直結車を混用するケースは、それ程多くない。ただし、地方のように都市部の事業者からの譲渡車が存在する事業者ではその限りではなく、またかつての東急バスのように、途中からギア比の変更を行った会社においてはこれらが混在する事があった。この他にもかつては、日野に見られた都市部での使用に特化した「4速マニュアル」や、いすゞに存在した「2速と3速に直結ギアを使ったオーバードライブ車」、逆に2速と3速にオーバードライブ車を採用した「直結車(言わばクロスレシオ車)」が存在した。また、本来はマニュアル車であった物を試験的にオートマに換装すると言うケースもあった。
AT車はトルクコンバータ式と、MTのクラッチ操作と変速制御を自動化したAMT(機械式AT)の二種類。いずれも基本的にはトラックと共通した機構のものである。
日本では1980年代から90年代はマニュアルギアの部品を使ったAMTが殆どであった。いすゞの「NAVi5」をきっかけに全4メーカーが採用をしたが、運転士側からは変速のタイミングが合わず違和感があるといった意見があり、また整備側でも複雑な機構から、双方で敬遠される傾向があった。その為、横浜市営や京王バスなど、ごくごく限られた範囲でしか導入されず、また中古市場でもネガティブなイメージから殆ど市場に出回らず、多くは海外行きか鉄くずとなった。以後の日本市場ではトルクコンバータ式が主流となったが、2015年にフルモデルチェンジしたいすゞ・エルガに6速AMTが設定され、2017年5月には三菱ふそうの大型観光バスであるエアロエース・エアロクィーンに8速AMTが設定された。また、はとバスが2016年4月から運行を始めたバンホール・アストロメガ2階建てバスは、シャシーと駆動系がスカニア製で、DC13直列6気筒エンジンにAMT「オプティクルーズ」12段を組み合わせたもの。AMTの機構と制御が向上したことにより、近年は日本市場でもAMTが選択される機会が増えてきた。
車両の寿命
バス車両は会社の規模にもよるが、大都市圏の場合は新車から概ね10年から15年、地方事業者の場合でも20年程度で廃車代替が行われる。また近年はいわゆる「排ガス規制」の影響で、首都圏などの大都市では原則12年を超える継続登録が出来ない。とはいえ、排ガス除去装置を取り付ければ継続車検が出来るので、これを活用して12年を超えた活躍をするバスも少なくない。近年は旧来の排ガス規制車両が一掃されたのか、12年を超えて使用するケースがちらほら。
また、海外製やCNG車などはその規制に縛られないので、他の車両が新しくなる中でオールドタイマーとして走るケースも少なくない。横浜市営バスのヨンケーレは1993年導入であるが、輸入車扱いであった為に排ガス規制に縛られず、予備車であるものの既に20年以上走り続けている。それでも鉄道に比べても代替サイクルは早く、かつては10年も使わずに7~8年で廃車にするケースもあった。
このように稼働期間は鉄道と比べても概して短く、事細かに調査をしないと全廃したというケースも少なからずある。
第二・第三の人生・国内編
廃車になったバスは車内外の広告を引っこ抜き、料金箱や方向幕、あるいはLED表示機といった営業に必要な機器も撤去される。続いて、タイヤやホイールもまだ使える場合はストックで置いてある履き古した古タイヤ、黒ずんだホイールに履き替えられる。そして航空機のようにロゴマークや事業者名をペンキで塗られた上でナンバーを外されて数日間留置される。その後に回送業者が引き取りに来て、中古車屋や第二の人生の地へ回送される。
大都市圏のバスは、廃車後に地方の事業者(属するグループ内での譲渡であったり、それらを超越したトレードであったりと、様態はさまざまである)に譲渡されるケースが多いので、追跡調査も盛んである。そして新しい事業者でも前の使用者の特徴を見出す楽しみ方もある。更に、廃車バスの中には国内ではなく、海外に売りに出される事があるので、現地まで足を延ばして調査を行う猛者もいる。
多くは塗装を塗り替え、劣化した外板を板金して修繕し、徹底的にオーバーホールされた後に新天地で活躍する。地方のバス会社で親会社が都心部に存在する場合、優先的に直接車両が宛がわれ、また近年はコストとの兼ね合いから親会社と同じ塗装で活躍するケースがある。特に系列を持たない場合は方々の会社や中古車屋より車両を仕入れて、整備した後にデビューさせる。この場合、導入元の会社の特徴が現れる事が多く、また細かい仕様がまちまちなので趣味的には非常に面白いものとなる。前述した車両研究と照らし合わせて、元の会社がどこなのかと推測するのもまた楽しみである。
こうした車両の供給元は都営バスや神奈中など、台数口が多い会社が多い。都営バスに関しては台数もさることながら、公営と言う事で整備もしっかりしてた為、中古の市場で人気であったが、2000年代の石原都政の際に「抜本的な公害対策として原則として解体」の方針を取った為、2000年中盤以降は中古市場には原則流れず、ほぼ全車両が解体となった。無論、市場価格が高騰して従来は海外行きかスクラップとなった車種も流れるようになった。この他、横浜市営バスもかつては地方行きが多かったが、1990年から1995年に導入されたバスは機械式ATを採用していた為、売却手が殆どなかった為にこの世代の中古バスは国内では皆無となっている。タイの大学のスクールバス向けに譲渡と言った海外向けにされたか解体がほとんどである。
第二・第三の人生・海外編
中古市場からあぶれたり、譲渡された先で第二の人生を終えたなど国内で使用するにはややくたびれ過ぎてたり、機械式ATと言った特殊すぎる車両はスクラップにされる他にも海外に回される。かつては地方のバス会社もそれなりに体力があったので中古バスの海外行きは割合に多く、その存在は知られていたのだが、情報網が今ほど発達しておらず、またおいそれとたやすく海外旅行もいけなかった時代、特にミャンマーのように過去が政情不安定な国に中古バスが行ってた事もあり、その資料も少なかった。
近年は飛行機運賃が安価になった事や政情が落ち着いてきた事から、海外に追跡調査をする者も増えている。鉄道趣味も兼業する場合、かの地に日本の鉄道車両が言っているケースもあるので、それらと合わせて調査するケースも多い。
主にミャンマーやフィリピンが多いが、インドネシアやオセアニアやアフリカに行くケースもある。特に前者2カ国は日本とは違って右側通行であり、その改造も大規模となる。右側通行は左ハンドルが原則であり、多くの国で法律によって右ハンドルのままで走行する事が禁止されているのでハンドル周りの機構をごっそり左に持って行くケースがバスに限らず存在する。この他、運転台のあった部分を乗降扉にする、逆に乗降扉のあった部分を埋めて、座席を設置するなどの改造が施されると言う風にほぼ鏡映しの車両となってしまう。
中には顔つきその物を変えてしまったりとオリジナルの面影を見いだせない物も存在する。その仕上げも侮るなかれ、自然な物となっている。しかし、いかんせんトロピカルなお国柄であり、整備状況はお世辞にも良いとは言えないので直ぐにぼろぼろとなり、その都度板金や塗装のしなおしを行う。また、こないだはAと言う会社にいたバスが、今日見たらAと言う会社がなくなり、Bと言う会社にいたと言う具合に車両の流動性が激しい。その過程で塗装も当初は日本時代と一緒でも後々では違ってきたり、中には別の日本の会社の塗装(元東急バスなのに塗装は関東バス)になったり、調査をする者泣かせな状況になっている。末期になると車体の劣化によりエンジンを支えきれず、後部部分が脱落しかけるなどの状況がある。
劇用車
非常にコアな物の見方ではあるが、第二の人生のもう一つの行先に劇用車流用と言うものがある。
そのものズバリでテレビなどで使用される車に供されるのだが、バス一つとっても一般的に実際の会社が撮影協力する際はスポンサーやその内容の問題から協力を得られないケース(ex.お察し下さい)がある為に劇用バスが登場する。また、刑事ドラマなどで護送車などを使う際に日本では警察車両の払い下げが不可能なので中古のバスをベースにする場合もある。言ってしまえば脇役であるが、これらの存在によって番組の脇が固まるので、非常に重要な役割である。
いずれも路線バスベースが多く、そのデザインも最初の事業者の塗装に少々手を加えた程度の物から全体的に塗り替えられているものなど多数ある。バラエティ番組などでおなじみともなると「またお前か」というぐらいに名前が知られる車両もある(ex.笑ってはいけないシリーズで冒頭に登場する元川崎鶴見臨港バスのいすゞ・キュービックなど)
アクションを押し出している番組の場合はカーチェイスに供される事も多いが、この場合は多少なりともバス側に破損が伴うケースが多いので撮影者側で自前の車両を調達するケースがほとんどである。言うまでもなくカーアクションで使用されればイメージ的にも悪いので基本的に塗装を全部塗り替える。その為、元々どこで使われてたかを調べるのは非常に困難となる。但し、スポンサーとして登場した場合はその限りではない(ex.西部警察における下津井電鉄など)
車両配置
現在、バスメーカーは国産は3メーカー(かつては4つ)あり、バス事業者の営業所での配置は整備の都合からか、メーカーごとで固まる傾向が多い。その中で新車で導入されて廃車になるまでいくつかの営業所を転々とする事もある。本来ならば日野が多数を占める営業所に三菱ふそう車が来れば、それを写真に収めたり、その車の追跡調査をする趣味もある。
公営事業者では今日は多くの所で競争入札であるが、かつては随意契約だったのか国産のメーカーが満遍なく導入され、メーカーごとに指定された営業所へ配置されていった。例えば横浜市営バスで言えば、三菱ふそう車は緑営業所・若葉台営業所・本牧営業所であり、日野は浅間町営業所、保土ヶ谷営業所、野庭営業所、港南営業所と言う具合であった。競争入札に変わった辺りで車の転出入が激しくなり、この過程で本来ならば日野が入らない緑営業所に日野・ブルーリボンが転入したり、三菱ふそうが入らない滝頭営業所(日産ディーゼル車がメイン)に緑営業所のエアロスターが転入したりという状態になった。現在ではほぼどこも競争入札なのでどの営業所にも競争入札で競り勝ったメーカーが在籍している状態である。
民営事業者は概ね各メーカーをまんべんなく導入している感じであるが、子会社に自動車販売会社がある場合は一気にそのメーカーばかりとなる。例えば神奈川中央交通は1980年代に神奈川三菱ふそう販売を傘下に収めて以降、それまで4メーカーまんべんなく入れてた車両を9割方三菱ふそうとした。とはいえ、藤沢の付近にはいすゞの工場があり、いすゞの工場に三菱ふそうの車で行くのはやはり問題があるのか、藤沢営業所や綾瀬営業所にはいすゞ車での導入も引き続き行っている。この他にも国際興業バスも同じように北海道いすゞ自動車を傘下に収めているので国際興業バスを始めとした傘下のバス会社は新車の場合はいすゞでの導入がほぼ100%である。
コーチビルダー
現在の日本では見られないが、かつては「コーチビルダー」と言う、車体のみを製造する会社が存在した。コーチビルダーの仕事は自動車メーカーから供給された、或いは顧客が持ち込んだバスのシャシーや駆動系に車体を架装することである。
「スバル」ブランドでおなじみの…と記すと、結構な数で驚く一般人が存在するが、あの「富士重工」や、西日本鉄道系列の「西日本車体工業」(「西工」)が代表的であった。バス車両は乗用車と違い、車体とシャーシ(エンジン)が別個であるケースが少なくなく、シャーシ(エンジン)いすゞ製でも、車体はいすゞ純正のキュービックではなく富士重工製であるケースが多く存在した(鉄道趣味でこのあたりを気にする人は「音鉄」を自称する人以外にあまり見られないが、たとえば「車体、ガワは旧東急車輛」でも「走行装置、足は日立だったり東芝だったり」という具合の商いを、バスでもかつて行っていたということである。このあたりが高年式のバス趣味へのハードルを結構高いものにしている…のではなかろうか?)。
これらは割合に地域性が出て、東日本の事業者では富士重工、西日本の事業者は西工製を好んで導入する、という具合であった。また、国鉄バスにおいては日野車体にいすゞのシャーシ(エンジン)、千葉県の小湊鐵道には富士重車体にふそうのシャーシ…という具合に、系列を超えた組み合わせも存在した。メーカー純正では事業者側の要求を満たす事が難しい注文でも、コーチビルダーはその要求に応えたので、根強い人気があった。これらコーチビルダーはバス業界の再編ごとに統廃合やシャーシメーカーによる囲い込みが行われ、富士重工は2003年にバス車体製造を終了、西工は2011年に会社を清算してしまった為に、純粋に「バスの車体のみを製造する会社」は日本では消えてしまった。
現在の日本でコーチビルダーに相当する技術を持つ会社(広義のコーチビルダー)は、三菱ふそうバス製造とジェイ・バスの二社。ただ前者は名前の通り三菱ふそうの子会社で、ふそうブランドのバス製造が全面移管されており、実質的には完成車メーカーと言える存在。後者は日野といすゞが合弁で設立した会社で、また前身となるのは両社のバス製造会社であることから、こちらも実質的には完成車メーカーである。
日本以外の国では広義のみならず狭義のコーチビルダーも健在。ダイムラー傘下で設立されたエヴォバス(EvoBus)や、親会社が買収されたことでMAN傘下となったネオプランのように自動車メーカー資本の会社もあるが、ベルギーのバンホールやオーストラリアのボルグレンなど自動車メーカー資本ではない会社も存在している。日本にもこれらのメーカーが製造した連節バスや2階建てバスが輸入されており、少数ではあるが目にすることができる。
特装バス車体
既存のバスの内外装に大きく手を加えて、クラシカルなデザインや奇抜なデザインにしたりと、1点物のバスを作りだす架装会社も存在する。東京特殊車体などが知られているが、これらを製作する会社にコーチビルダーと言う名称を使う事はあまりない。
1点物で目玉車両として導入されるケースが多いが、ある程度の傾向が見られるので似たような車両が各地で見られる。
これらの先駆けとなったのは東海バスのリンガーベル号であり、通常のバスのデザインとは一線を画した古い路面電車風のクラシカルなデザインが好評となり、これ以降はこれに範を取ったバスが多く登場した。車体の仕様は自由度の高さを重視して元々はバスに使用され、リアエンジン車主流となった後は馬運車や積載車などの特殊車両の架装や輸出向けになっていたセンターアンダーフロアエンジン車のCG型が使用された。
ある程度時期が経過すると、中型バスやトラックベース、既存のバス車体をベースとするもの、海外から車体パーツを仕入れて、架装するなど多くのバリエーションが展開された。
近年はバリアフリーの観点から、従来ほど込んだ改造が行われなくなっている傾向がある。
塗色
バスの塗装は事業者の数だけある、と言っても過言ではなく、特に観光バスは派手なバスからシックな塗装まで、例えバスファンでなくてもその塗装で楽しませてくれるというぐらいである。車両の一部やすべてを覆って、広告や啓発、児童のデザイン画などをまとって運転される「ラッピングバス」は言うに及ばず、近年は鉄道のようにリバイバルカラー(もしくは、こちらもフルラッピングで処理)車両を運転するバス事業者も多い。台数口が少なく、また鉄道と異なり当日まで運用がわからないことも往々にしてあるので、虎の子であるこうした特定の車両を「狙って」撮影するのは至難の業である。
まれにある事だが、大規模な災害などで車両が廃車になり車両数が足りずに急遽車両を集めた場合やバス事業者が親会社の鉄道事業廃止(京福バスなど)や公営事業者の民営移管で車両を移管先の会社(函館市営バス→函館バスなど)に移した場合、塗装変更が間に合わなかったり、コストを削る為に塗装を前事業者のままで走るケースがある。これらは進捗状況によりけりであるが、時期を見て早めに塗りかえられたり、廃車時期が近い場合はそのまま廃車になったりとあまり長くは見られない。
また、メーカーがカタログに掲載する際にサンプルとしての塗装がそのまま会社のカラーになったケースもある。有名なのは国際興業バスの観光車であり、元々は日野・ブルーリボンのものであったが、それを国際興業バスの観光バスのカラーとして採用、この他多くの事業者がこのカラーをアレンジしつつも採用している。変わった所では関東バスの赤と白のカラーはアメリカのパシフィック電鉄のバスの塗装をまんま採用している。
内装
内装も細かな所に特徴が出てくるが現在では国土交通省主導によるユニバーサルデザインに基づいた仕様が策定されており、滑りにくい床材、ピクトグラムの設置、オレンジの握り棒、収納出来るイスなどがあり、標準仕様としてカタログに載っている事もあり極端な違いが出てきにくい。
但し、路線環境によってはこれらの仕様に縛られないものも多くある。
路線バス
カタログモデルとしては最後部以外全席1人掛け椅子・優先席横向きと言った立ち席重視のラッシュ型、後部二人掛け・優先席横向きと言った着席と立ち席を両立した都市型、2人掛けシートを多数配置した着席重視の郊外型の3種類があり、さらに郊外型以外には前乗り(≒運賃先払い)があり、全てのタイプに中乗り(≒運賃後払い)が設定されている。前乗りと中乗りの違いは中乗りの場合、中扉直後の座席との間に整理券発行やICリーダーの設置の為の空間が設けられている事であり、フットスペースが空間分だけ狭くなっている。
標準仕様としては上記のとおりだが、路線に団地などを抱える場合はさらに定員を増やす為に本来は1人掛け、もしくは2人掛けのシートをロングシートにしているケースがある。この他、高速道路を走行する路線がある場合はシートベルトの着用が義務付けられている為、シートにシートベルトが設置されている。床は現在では車内転倒を防止する目的で防滑性の高い素材が使用されるが、かつては木材を使用して独特の香りを漂わせていた。
また、ワンロマ車と言われる路線バスと観光バスの折衷車は程度にもよるがハイバックシートの採用やテレビモニターの設置などがある。
観光バス
観光バスの場合はその個性の出し方も非常に大きい。事業者によっては内装を豪華絢爛にしたものもある。車内にシャンデリアを飾ったり、革張りにしたり、かつては麻雀卓を置いてあるバスもあった。この辺りはデコトラ趣味とクロスオーバーする部分もあるが、バブルの頃はこうしたバスが多かった。現在ではカタログに載ったままの仕様が多くなっている。
方向幕・方向LED
今日のようにLED表示が普及する以前は、もっぱらポリエステルフィルムによる方向幕での表示であった(一部高速バスや、臨時種別にはサボを使用したものもあった)。しかし、LEDの価格が下がったこと、寿命や輝度が向上したこと、幕式では収容コマ数に限りがあることに加え、2000年に起きた「西鉄バスジャック事件」を受けて車外に喫緊の事態を明示する必要があることなどから、現在では青ナンバーの事業者が路線・高速バスを新車で購入する際は、その過半数以上にLEDの行先表示器が装備されて納車されているが、特に採用メリットのない自治体運営の廃止代替バス(表示系統は、さほど必要としない)に加え、一部頑なまでにLED表示導入を断固拒否して幕式一本やりの事業者も存在する(京都市営など)。
行先表示のパターンとして、当該地域以外ではあまり類例が見られない(首都圏ではよほどの理由がない限り略さない)が、関西圏(特に旧:摂津)の一部を中心に、結節鉄道路線の駅前に向かう場合でも「正式なバス停名」として「~駅」という表示を、堂々と省略する場合がある(例:「三条京阪」「JR向日町」「京阪香里園」「JR茨木」「阪急茨木」「千里中央」「梅田」「JR住道」「阪急伊丹」「JR伊丹」「阪神芦屋」「JR芦屋」「阪急芦屋川」など、この地域では枚挙にいとまがない。行先はすべて駅構内至近)。同一事業者でも京阪バスや阪急バスなどのように、「何がなんでも『~駅』は省略して統一する」という訳でもなさそう(省かない例:「加島駅前」「仁川駅前」、神戸電鉄各駅など、こちらも多数)であるので、ここも並行鉄道路線が複数あり、同一駅名が離れた場所に存在するような地域性や、ともすれば「行先わかりゃええねん」といった合理主義、個性なのかもしれない。
英訳などについては、方式にかかわらず「ローマ字は振る/省略する/空港路線や観光路線に振ってその他は省略」「施設名はローマ字転写か英訳するか」などの差異の研究、同一意味の表示の差異を研究する(例:「回送」を”〔SORRY,〕OUT OF SERVICE” ”NO SERVICE” ”FORWARD”などと英訳したり、「回 送 車」〔実例多数〕「整備回送」〔大阪市営独特の言い回し〕)、経由地表記の方法研究、などもある。加えて、ごく限られた一部事業者(茨城空港関連路線など)が中国語(簡体中文)・朝鮮文字まで表示を行う例もある。
また、廃品となった方向幕を事業者が即売会などに出品すると、特定の事業者(詳解は割愛するが、凝ったデザインやイラストを配置し、直感的でわかりやすいデザインを熱心に追求してきた関西地区の事業者のものに人気が高いようである)のものでは、あり得ないほどの高値で取引されることも珍しくない。事実、2013年夏には関西圏の会社員(当時)が、バス会社の営業所に留置してあった車両から方向幕を窃盗した容疑で逮捕され、自宅からそれらが多数押収されている。
- LEDとは比較にならないほどの情報量を詰め込める(現存しない例を含む。経由地・ローマ字・行先をイメージしたイラスト〔駅で接続する代表的な電車の正面イラスト=西武バス、恵比寿様・流れ星・公営競技のマークやキャラクター・吊り橋・山 ほか遊んでいるとしか思えないほど多数=阪急バス、ロープウェイ=南海バス、温泉マーク=西鉄ほか、難読地名にふりがな=宇野自動車〕など…)
- 色を多用できる(系統番号・方面別・行先や経由地・立ち寄り先ショッピングモールのコーポレートカラーなど…)
- 都市圏の事業者は[終バス1本前]・[最 終 バ ス]の表記が容易(豆灯を使用)など…
- 通過した地点も、終点到着まで引き続き表示される(初見客にはわかりづらい)
- 路線や系統番号の新設・経由地名称などの変更対応は不得意(コマの新調が必須、サボなどで情報を付加する、など)
- 収容コマ数には限りがある(最大で240程度)など…
- 論理上、メモリーカードの容量までコマ数表示(記憶)可能
- 路線・系統番号・固有名詞(駅名・施設)などの改廃対応が容易
- 通過した場所の表示は、消して運行することができる(初見客にもわかりやすいが、実施していない事業者もある)
- 同じように、高速バスの場合であれば乗車扱い停留所とそれ以外(開放休憩中・降車扱いのみの停留所)で表示を変えることができる(「◯◯から来た高速バスですので、到着地の市内利用はできません」という明確な意思表示ができる)
- 「回送」以外にも事業者裁量で別文章を出力可能(ICカード・自社高速バスなど各種商品、交通安全に資する内容、自社ロゴや社章、その他各種ロゴまで表示可能。「スルッとKANSAIバスまつり」では協議会ロゴ・イベントロゴを車外掲出するのが恒例。遠鉄バスには外字で「温泉マーク」を出す「遠州浜温泉行き」がある)
- 現行法では走行中の表示変更(スクロール)不可
- フルカラーLEDが民生品として出てはいるものの使用不可(同じく現行法による。近年、導入事例増加)
- 文字数やローマ字表示数には限りがある(例えば「ニコニコ北部商業高校」行きがあるとしたら英訳は”NICO NICO N.C.H.S.”などと略したり、重要な医療機関にありがちな、長~い名称が終点だったり、主たる経由地の場合は外字対応や、無理やり省略するしかない)、イラスト表示などにも性能の限界がある
↑
(神姫バスの一部)
これはいくらなんでも遊びすぎwじゃね?中の人は真剣なんだろうけど。
英訳がそうなんだから、ま、いっか。
海を越えた先の香港では「ドットマトリクス式」と呼ばれる、マグサインとLEDのハイブリッドのような方式が主流で(LED車もいる)、クリスマスや正月、春節には、たとえばKMB九巴・9系統のクリスマスであれば
などと、走行中でも行先と交互に数秒間隔でスクロール表示されるんだそうな。お国柄である。日本では停車中のドア扱い時にフロント表示を「94京阪 く ず は」「__**:**発」(京阪バスなど)として発車時刻を、リア側表示を「行 先」を「乗 降 中」「最 終 バ ス」(国際興業など)などと切り替える事業者が見られるくらいで、到底見られない=「道路運送車両法」で、走行中のLED行先表示器の切り替えは、基幹路線、環状・ラケット状の路線のリア表示など、路線の性格上、行先表示を大幅に変更しないと乗客の利便を損なうような路線(の切り替え区間の一瞬や、運行を終了し「回送」ほかに切り替える場合)などのわずかな例を除き、法的に規制されている。
なお、2015年ごろよりフルカラーLEDの採用が徐々に増えている。赤色などが法律に抵触すると言う説もあったが、それよりもコストの面が非常に大きかったとされている。都営バスや小田急バスなどいくつかの事業者では既に導入が始まっている。この他、横浜市営などでは「液晶式」の行先表示を試験的に採用したバスも存在したが、夜間の視認性はともかく、日中は自然光で表示が見えづらいという声があり、また寿命の問題から後年は通常の方向幕に戻されている。名古屋鉄道の一部の車両(やはり、同社の行先の多様性上、かなりの「コマ数」を要する)に「オーロラビジョン」が採用されている昨今、いささか時代を先取りしすぎた感は否めない。
走行音録音
バスの走行音を録音するものであるが、バスの場合は前述した通り路線環境に合わせて、発注時に5速直結や5速オーバードライブなどギア比を選べたり、上述のとおりATで導入する事業者もある。そのため、同じ車体でも大きく走行音が異なるケースが多い。また、経年に伴う走行音の変化も割合如実に表れるのも特徴である。この他、近年乗用車でおなじみのハイブリッド車や、燃料に天然ガスを使用したバスはやや走行音にも違いがある為、この辺りも注目される。
「コーチビルダー」の項で解説したとおり、バス車両は画一化が進み、電装機器も画一化・標準化が進み、差異を追い求める趣味人から言わせれば「面白くなくなった」とはいうものの、江ノ電バス各社の「キンコンチャイム」や車内アナウンスのメロディなど、音に関する独自仕様も一部では根強く残る。
路線研究
鉄道でいう「乗りつぶし」に相当する領域であるが、昼間帯の1時間に2本以上の本数が頻発している路線から、都市部から郊外・山間地・海沿い・温泉場などへ、1日1回でも便があるような(車庫らしき施設はないが、現地や近傍居住の運転士が車庫・営業所に帰らず専担している場合もある【各運輸局の指導で減少傾向・運賃箱の金庫〔営業所の機械でないと開錠不能〕は自宅などへ持ち帰り保管・終業点呼は無線、始業点呼も無線、アルコール検査は朝なら始発地→営業所などの検査場所まで運用をこなし、そこで検査】)、鉄道のローカル線のように「目に見える」形で便が「見えて」いる場合の「乗りつぶし」は、比較的難易度が低いとされる(極端な例であるが、山交バスの新庄〔県立病院前〕から肘折温泉〔肘折待合所〕への夕刻便に全線乗りたければ、現地の温泉施設などに1泊以上すればよい。所要時間約1時間の一般路線)。
バスファンの先の道、この先の「バス道」(?)を極めようと志す者には、バス特有の事例として「免許維持路線」「出入庫系統(各公営バスなど)」などと呼ばれる、妙な路線の設定…いや、存在が、路線として、はっきりと見えてくるのである。
免許維持路線(出入庫系統)
「この路線のおかげで神奈中が川崎市内で貸切(営業)ができるわけだから、無くなるはずはない」
一時期Wikipediaに単独記事が存在したのであるが、「証拠不十分」(に値する内容)などとされ、あえなくデリられてしまったので詳解する。鉄道などの目に見える「軌道」系交通と異なり(休・廃止されれば有り体な「線路」は放逐ないし撤去される)、ほとんどが公道を走り、かといってタクシーのように「貸切」でもなく、うすぼんやりした「路線」を持つ公共交通である路線バス特有の、趣味・研究度合いにおける奥の深さともいえよう。2011年に朝日新聞(東京版)で、神奈川中央交通(相模神奈交バス)の「淵24系統」(「ふちのべ にじゅうよん―・日曜祝日の朝に1往復のみ運行」)が記事になったりもした。端的に述べれば、上記で引用したひとことがこの項目のほとんどを物語っていると記しても過言ではないだろう。
テリトリー確保(いわゆる「縄張り」「既得権〔営業権〕確保」「鉄道駅前広場〔社有地〕入構権確保」)や、実質スクールバスとしての運転(アルピコグループ・小湊鐵道など)であったり、通学・通勤・施設の便を図るためなど諸般の事情によって、利用者の多寡は無視、地理的条件や乗客の動線、他の交通機関の運行とはほぼ関係なく運行している路線であり、事業者や路線の実情により異なる。
ありがちな例(現存しないもの・これら要素を複数持つ例も含む)が
- 「(都市郊外なのに)早朝や夕刻に1本のみ(神奈川中央交通グループなど)」
- 「土休日は運休(しずてつジャストラインほか)」
- 「土休日のみ(東急バスほか)」
- 「1本/週」「2本/週」
- 「休校(事業所休業・休園)日運休(運行日でも本数僅少)」
- 「事業所玄関前着発・時刻表非掲載・〔誰でも乗れる〕(端的にいえばシークレット系統・都営バスほか)」
- 「片道(循環片周り1本)のみ〔どこをどう見ても帰り便が無い〕(東急バスほか)」
- 「土曜の夕方1本のみが途中から外れて別の鉄道駅へ(近鉄バス)」
- 「全便急行、ただし大学発終車のみ途中の住宅団地から終バスを兼ねて各停となり、団地内の各停留所を拾って駅へ(小湊鐵道)」
- 早朝に八日市駅→(名神経由)→京阪三条*直通1本・11月の休日のみ・運賃収受は女性車掌(到着後バスは「湖東三山巡り定期観光バス」・女性車掌は「ガイド」に変身 広義では免許維持…らしい。*=他事業者の目的地/経由地は「三条京阪」であるが、これで正当・近江鉄道バス)
- 「時刻と需要が合致していない」
など、パターンはさまざまであり、特に早朝1便のみを駅でも営業所でも何でもないような始発の停留所から狙う場合は乗車体験が困難、担当運転士も「あの路線の始発のアソコでお客?いねぇだろンなもんjk www」などと高をくくっているケースや系統も多く、タイミングや「阿吽の呼吸」を逃せば乗れない、という感じである(時刻と方向が逆の場合は「お客さん、誤乗や乗り過ごしではないですか?」と尋ねられる場合もあるが、逆を言えばバス運転士や事業者も、少なくとも正当な運賃を支払う意志のある乗客に対しては客商売であるので、発車前や停車中などの安全な時間を見計らって「終点まで乗りますが、間違いではないです」旨を的確に伝えれば、よほど特殊な終着地でない限り応諾をもらえるはずである)。
また、運行回数は多いものの、大都市での「免許維持」として知られる例に、東京駅丸の内南口に乗り入れる東急バスの「東98系統」(読みは「とうきょう きゅうじゅうはち―」)、大阪梅田に乗り入れる近鉄バスの「阪奈生駒線(あくまで路線名だけであり、実際にその名の通りの系統運行はしていない)」ほかが有名である。特に後者は近年、都市間高速バスの隆盛もあり、大阪・キタに特段の拠点を持たない(≒もつれた大人の事情で持てない)近鉄バス(と、共同運行事業者)の「梅田」におけるバス乗降場として、発着系統は優に30系統以上と、絶大な効果を発揮している(時間帯によって制服着用の地上案内係もいるものの、設備の整った他のバスターミナルのように、雨風をしのぐことのできる整った設備は無い)。まさに権益的な意味で「ポール1本あるだけで丸儲け」、素人目にも「そんなにも違うの?」である。
近年の最たる例では、長い間休眠状態であった小田急バス(→小田急シティバス)の、新宿駅西口から甲州街道(・旧甲州街道)・調布を経由してよみうりランドを結ぶ路線が、2000年秋に突如、急行でも直行でも快速でもない一般乗合バスとして復活を遂げたことが知られる。その後は毎年、春季と秋季の日曜・祝日、1日2便の運転が定着しているので、よみうりランド行きに限っていえば、関東近郊に居住であれば体験乗車が比較的簡単な部類なものと思われる(夕方の逆便は、全区間通しで乗っても210円であるが、時刻表通りに新宿西口に着けるかどうかはまさに「神のみ」である)。おそらく採算度外視、下馬評通り「免許の維持」が目的であると思われるが「免許だけ持って運行しないならさっさと返上せいや、ゴルァ」と諸官庁から叩かれるより「(行楽好適時の)季節運行でございます(キリッ」として、新宿への系統を複数(形だけでも吉祥寺駅系統に加えもう1本)所持しておくことには、何がしかの多大なメリットがあるものと推察される。
更には、1年に1日の催事時系統ならいざ知らず、近鉄奈良線の向島駅前からは、奈良交通が運行する、実質循環片周り1本が月に1度、なぜか第二日曜日にしか走らないという究極?強烈?なキワモノ的路線が、2013年現在現存する(時刻表[PDF])「ウチら奈良交通やけど、京都市内で定期運行やってますねん…」というベタベタな既成事実のみが存在価値であると思われる。地図サイトやGoogleストリートビューで見る限り、果たして「住宅・準工業地域で月1便」が「公共交通」であるかはいささか疑問ではあるが…。
また、現在は廃止されてしまったが、乗り潰そうにも乗り潰せない路線が存在した。横浜市営の46系統「東神奈川駅~瑞穂岸壁」は瑞穂桟橋~瑞穂岸壁が米軍の敷地内となる為、その手前の「千若町二丁目」までしか一般人は乗車できなかった。
バス停・バスターミナルなど
路線バスの一般的な乗り場。都市部のターミナル駅前・至近や繁華街・百貨店など商業施設の一角ないし数フロアを用いて「バスターミナル」などと呼ばれる大規模乗降場が存在したり、中規模のバス停がまとまって「(バス)駅」を名乗る場所もある。「自由乗降バス」についてを含め、詳しくは「バス停」の記事も参照。
グッズ収集
バスにおけるグッズ収集は鉄道の様に方向幕の収集であったり、あるいは案内放送を収めた8トラテープであったいというのが多い。この他、バスの座席であったり、バス停の表示であったりと多種多様である。
大きな特徴としてバスが自動車である以上は比較的容易に所有する自家用車にグッズを実装できる点がある。例えば京急バスに見られる右左折アラームは配線関係をパスすれば、自家用車への装着が可能であるし、国鉄バスに見られたボッシュホーンも自家用車に装着可能である。
またデコトラの装飾にバスの部品が使われた事があるので、いくつかの部品は新品での購入も可能である。
その他いろいろ、バス趣味の果てまで…
- これらをブログにまとめて総合的に発信する
- 専門分野(一般路線・高速・観光・貸切・特定事業者・レトロ調車両・自治体コミュニティバスなど)に特化した人(変形パターンの嗜好の人も当然存在)
- 塗色の研究(たいていの事業者の場合、塗り分けで一般路線・2ドア車と、観光・高速車、ワンロマ・トップドア車〔後述〕を区別しているが、イレギュラーな車両〔例:箱根登山バスから東海バスグループに移籍し、ロゴと所属表記のみ変えて「旧登山カラー」のまま平然と海沿いを走る「なんちゃって登山」〕や予備車、新旧塗装車の混在などに注目するパターンもある)
- 営業エリアの研究(他社局共管/競合・飛び地地域など)
- バス事業者グループを包括して研究(例:国際興業グループ〔傘下の山梨交通・岩手県交通・秋北バス・十和田観光電鉄の各グループ〕・小田急グループ〔傘下で社名に小田急を冠する各社・HDのほかに立川バス・東海バスグループ〕・阪急阪神HD各社・西鉄グループ各社 など)
- 難読・珍名バス停などに注目する…北海道でありがちな「個人宅名停留所(周囲に目標物がないのだから仕方がない)」からセクシャルなそれ、常用漢字外、日本最長(つくば市に存在)…
- 人口密度や他の交通の発達度なども総合的に吟味して、各地域における立ち位置やサービスレベル、行政との連携度などの比較・研究(単一事業者が独占するか、複数の事業者の競合/協調による功罪、など)
- 狭隘路線を愛で、守り、育くむ(「酷道」ヲタともクロスオーバー)
- バスの登録番号(ナンバープレートの数字)とは別に「社番」があるか否か(JRバスには全車に社番がある)
- 一般路線バスとコミュニティバスのポールが厳然と区別されている点に、違和感を覚えつつもニヤニヤして楽しむ
- ラッピング広告の方式(すべて覆う・複数社局で回す地域があるので前面だけオリジナルカラーを出す・前面を含め前部1/5程度を残して残りをラップ・後部のみ全面ラッピングという出稿方法を提供、などの比較)
- 同一箇所に複数の事業者が、自分のところのバス停のスタイルで協調性の欠片もなく建植。停留所名が相違などしていると(趣味的に)なお良(一般人:いい迷惑)
- 上記に加え、別事業者の同一名称類似系統バス停が数メートル~数十メートルズレている→停留所の間隔も名称もメチャクチャ…こんな点に萌える者もいないとは言い難い。陸運支局などが間に入って調整に入ることが多いようだ
- ドア扱い(首都圏の均一運賃区間は「前乗り先払い中降り」が主流、関西圏のそれは「中乗り前降り後払い」が主流。日本国内で大多数を占めるのは「中(後)乗り(整理券受領)前降り後払い」であるが、トップドア車・コミュニティバス・「2ドア車であっても原則後扉扱いなし」の他に「前乗り(行先自己申告)前払い後降り」など、いくつかの例外路線〔事業者〕がある)
- 現在は少なくなったが、鉄道路線のない観光地などに現存し、発券・案内業務一式などを取り行い、番線も複数設定があるような「バスの駅」(海沿い・山間地などの観光路線などに比較的多く現存)の研究、記録
- もちろん、鉄道ファンと同様に「新規系統開設の初乗車」「廃止路線のお名残り乗車・引退が噂される車両の記録(ついでに各種記録メディアでの保存)」を実行する者もいる。この点は1990年代以前と現在を比較すると、各社局や行政機関(コミュニティバス系統などを改廃する場合)も公式サイトを持ち、路線・時刻に関しては各種の情報発信を行っているので、情報の取得も段違いにしやすくなっており、昔のように「休止・廃止1週間前くらいに、バス停にその旨をパウチした紙片が取り付けられたり、運転席真後ろのボードに廃止を告知する一枚紙が貼られ、はいさようなら」ではなくなった点が決定的に異なる。ただし、鉄道ファンのそれと決定的に異なるのは、特段のセレモニーもなく(バス路線の休止・廃止は事業者サイドからすれば「失策」であり、また旧型車両の処分も「福祉要素のある新車を入れてサービス向上」であるので、熱心な一部事業者が「旧塗装車のお別れ」「モノコック車さようなら」を実施した程度である)、企画する事業者や実行するファンもまた絶対数が少なく、未だ殺伐としていない点であろうか
- ニコニコ動画と言った動画共有サイトに投稿し、特に珍車などを迷列車シリーズのバスバージョンとして紹介する
- 好きこそものの上手なれ、という事で趣味が高じて就職したり、会社を立ち上げる
- 「担当車制」という車両管理制度に注目する。上司から運転士個人に「はい、今日から『に 25-25番』のバスは『あなたの車』です」という、タクシー業にも似た制度。車検・異動・更改や勤務応援でも無い限り、運転士は同じ車両と苦楽を共にすることとなる。路線途中で運転士交替とともに、車内の氏名札(道路運送車両法で掲出が定められている)を差し替えるような行路・シフトが存在しないことも前提となる。ただし、勤務変更やダイヤ乱れなどで別の運転士が乗務すると、駆動系に『◯◯(運転士名の妙な運転)のクセがついているんだけど…』というデメリットは、ありがちな話である。メリットはある意味「愛車」となること、に尽きる(特に旧型車でも、タイヤホイールやタイヤワックスに至るまで磨きがかけられ、下回りもピカピカの場合は、この制度で管理している場合が多いようだ)
海外バス
国内バスの研究が多くなされているのに対して、海外バスに関してはまだまだ多くはない。雑誌関係では車両関係が古くより取り上げられていたが、海外渡航が一般的でなかった事、輸入車として入ってきた台数が少ない事、海外の事情が日本とは大きく異なっていた為、情報量が非常に限られていた。それでもネット全盛の今日ではかつてよりその資料は多くなってきている。
主に非バスファンが現地の日本人向けに実用目的で路線バスの記事を掲載するケースが多いが、最近は海外旅行の一般化でバスファンがバスメインで旅行するケースも多く、充実化といった今後の発展が期待される。
余談ながら海外バスの事情とは違うが、インバウンドの活発化に伴い、いくつかのバス会社は多言語対応になっているケースもあり、中にはかなり用途が限られるであろうタイ語のページを開設しているところもある。
海外バス車両
今日、日本に導入される海外バスはネオプラン、メルセデス・ベンツ、バンホール・ヨンケーレなどヨーロッパに偏っている。その他はヒュンダイ、大宇と韓国メーカーが存在している。アメリカ製はイベント用にブルーバード製のスクールバスが導入される以外はその大きさや規格などの面で導入数は非常に少ない。
ヨーロッパ製バス
ヨーロッパ製バスの台頭は1980年代におけるモノコックからスケルトン構造への移行の過程で発生したもので、中央交通という大阪に本社を置くバス会社がこぞって導入を進め、その中で従来の日本製のバスにないスタイルが話題を呼び、日本のメーカーが開発を進めた。これ以降、ヨーロッパ製に範を取ったバスがいくつか登場した(いすゞ・キュービック)また、ロンドンバスもしばしばイベントで登場しているが、このバスは車高が日本の基準である全高3.8mを超える為、特認で運行されるケースが多い。
現状は日本車では対応できない連接バス以外では輸入量は多くない傾向がある。これは気候の違いからくる車両側の耐久性の差にある。無論、すぐに壊れると言うわけではないが低温低質と高温多湿が同居する環境においては車両に係る負担は非常に大きく、また日本車はメンテナンスも通常は込みになっており、ディーラー網が充実しているので遠隔地でも修理が可能なのに対して、ディーラー網が少なく、使用している部品も海外製と言う事もあり、故障した際に即運行が出来なくなったり、部品到着まで時間がかかる事で稼働率が低くなるなどのデメリットがあり、流行がすぎさった後は再び国内製に戻したメーカーがほとんどである。
アメリカ製バス
アメリカのバスといえばステンレス製の大型車体にかつての日産ディーゼルのバスと同じ2サイクルエンジン独特の轟音、あるいはオレンジ色のスクールバスが想像される。アメリカ製乗用車が80年代初頭まで軒並み外車の代表として輸入され、少なからず国産車に影響を与えたのに対して規格面に大きな差異があり、また右ハンドルがないことから、車体単体での輸入は存在していない。
とはいえ、アメ車の乗用車同様大きく影響を受けた部分が多く、GMCに範を取ったモノコックの構造や日産ディーゼルにおける2サイクルディーゼルの採用は最たる例である。この他、前面窓拡大もGMCと歩調を合わせたように採用された。かつての観光バスのスタイルの一つにセミデッカーというものがあるが、まさにこれはアメリカを代表するバスモデルを参照したといっても過言ではない。この他、すでに解体されたという説が濃厚なのだが、かつて札幌市交通局資料館に保存されていたいすゞのバスはステンレスが採用されていたが、これはまさにデザインなどから見てもアメ車の影響がうかがえるものとなっている。
なお、ヨーロッパ製全盛の1980年代から90年代にアメリカ製バスがモーターショーに出品された事もあった。主にトレイルウェイズ社(アメリカの長距離バス会社、現存せず)で採用されたイーグルコーチ製バスがトーメン(現・豊田通商)をインポーターとして導入を検討していた。その当時の写真によると特徴的なステンレス製車体に3軸の足回り(但し、第2軸目はシングルホイール)、日本の基準に合わせた縦目4灯(本国では横目)に小排気量ながら高出力を出せるデトロイトディーゼル製2サイクルディーゼルの組み合わせであったが、2ストディーゼル+ATに抵抗があったのか、サポート体制に不安があったのか、本格導入とはならなかった。
外国語では…
バスファンに対応する外国語については…
- 英語
Bus spotter(狭義のバスファン)
Bus fan(主に香港で使われるバスファン)
Bus enthusiast(実際にバス車両を保有するレベルのバスファン)
Bus nut(イギリス英語でのバスファン)
transit fan(主にアメリカで使われる、鉄道ファンとバスファンの兼業ファン) - 中国語繁字体(主に台湾や香港)
巴士迷、公車迷 - 中国語簡字体(主に北京など)
公车迷
がある。
その手にバスを…
バスファンとして何かしらバスに関係を持ってみたい人も多いと思われる。そこでここにいくつかの例を挙げる。
バス運転
実際にバスを運転する事であり、バス趣味特有のものである。バスを運転するには大きさや用途にもよるが、一般的には大型二種自動車運転免許(「大型二種」)が必要である。ただ運転する場合は「大型一種」でも可能であり、公道でない場所では、操作さえ覚えていれば無免許運転も可能である。ただし「排気ブレーキ」「エアーブレーキ」や「フィンガーシフト」など、乗用車とはおおよそ異なる操作方法や車両感覚に違和感を覚える事は想像に難くない。
レンタカーにラインナップされる「バス」は、ほとんどが「マイクロバス」であり、我々の考えるようなサイズの大型バスの運転は自動車教習所(自動車学校)、それも「大型二種」を取得するカリキュラムが用意された施設の教習課程や、自動車運転に資する公的機関の施設でしか運転できないと思われる。
バス所有
そのものズバリ、バスを個人で実際に所有する事である。新車の場合はマイクロバスでも600万円前後であり、観光バスともなれば装備の内容にもよるが、2,000万円は確実に超えるので、中古車である事がほとんどである。公道を走らせるには旅客営業しなければ、大型一種でも運転は可能である。ただし、バスの場合はいわゆる「白バス営業」防止の観点から、乗用車の中古の入手と比較して格段に所有へのハードルが厳しい。また、その大きさゆえに保管場所および、車検依頼先の確保も限られる。首都圏・関西圏などの地域では排ガス規制の関係から、継続しての所有にはコスト面での問題が大きい。
なお、厳密にはバスファンと異なるが、バスを購入してそれをキャンピングカーに仕立てるケースもある(通称:バスコン)。
バス会社へ就職
バスに囲まれ、そして給料をもらうと言う考え方によっては理想の形が就職。言ってしまえばバスで飯を食うである。採用は運転士として活躍するか、主に営業所や本社で事務員として活躍するかが明確に分かれている。
前者の場合、大前提として大型二種免許を所持していることが条件となるが、会社持ちで要請する事業者も多い。無論、返済義務はあるので複数年勤務する事が条件となる。社会のインフラを担う一員として掛かる責任も大きいが、それ故にやりがいのある仕事とも言える。
昨今は慢性的に人員が不足している状況であり、中途採用だけでなく、新卒採用に募集をかける程である。というのも、やはりこの仕事のデメリットは365日車を動かさねばならないと言う事で休日なり勤務時間が不規則となる事である。また、適正検査も厳しいのでたとえ本人のやる気が優っていても、適性がなければ切らざるを得ない。
募集は年がら年中やっている所もあれば、年に1度と言うところもある。後者の場合は公営バスである事が多い。公営バスは言わずもがな就職した途端に公務員となるので、安定や福利厚生の面で非常に手厚く、募集の度に高倍率となる事が多い。
事務員として就職する場合、基本的には運転には携わらずに主に自治体などとの折衝や新規路線などの企画、営業所内の事務作業などを担当する。バスの運行が平穏無事に勤まるのも彼らの存在なしに成し得ない。
起業
バス趣味の究極ともいえる形であるが、ここまで行くと純粋に趣味だけではやっていけない領域でもある。
一般的には観光バスまたは企業などと契約をして送迎バスを運行する事が殆どである。路線バスはテリトリーなどの関係で参入が非常に難しい為、数は多くない。
要件を満たせば登記自体は出来るのだが、同時にもはや自分一人の世界にあらず、従業員や旅客など多くの人が今度は絡んでくる。また自分自身に多くの責任が降りかかり、時として面倒事と直面する事もある。
また今まで一ファンとして接していたバス会社との関係もまた重要になってくる。ファンではなく同業他社としてビジネスとして接するので義理を欠けば干されたり、締め出されたりでまともに事業をやれないというリスクもある。
地域の公共交通機関を担う社会の一員として、安定した輸送機関としての信頼を得る為のありとあらゆる努力が必要となる。これらの労力は並大抵のものではないのだが、それでも情熱の結果として会社を興して軌道に乗せている会社も存在する。
映像考察
非常にコアな分類であるが、テレビで出ているバスを考察する事である。
例えば撮影協力で出演している実在のバス会社の車両について、どの車両が使われ、撮影に際してどのように手を加えられているか、どこで撮影されたかを考察する。実名で使用されるケースもあれば、外装に手を加えて架空のバス会社に仕立てて撮影に供されるケースもある。また、方向幕も通常の行き先を出しての使用なのか、敢えて架空の地域を出して使用しているのか、そして撮影場所がどこなのかを推測する。古いドラマの場合、その当時のバスの有り様、果てはその当時の世相などが推測出来るので非常に興味深いものとも言える。
この他、アニメに出てくるバスからの考察もある。昨今のアニメは細かい書き込みも緻密なので作画一つでどこそこのどの地域のどのバスかが推測できるケースが多い。なので「アニメから見る鉄道車両」ならぬ「アニメから見るバス車両」と言うのが出てくる…かもしれない。
バス趣味で使われる言葉
- アリソン・ZF
どちらもバス用オートマチックトランスミッションを製造している会社。アリソンはアメリカの会社、ZFはドイツの会社。アリソンATは三菱ふそうの大型車と日野・いすゞの近年のAT車に、ZFは日野・いすゞの古いノンステップ車や日産ディーゼルのノンステップ車に多く採用されている。どちらもセレクターはボタン式。
これはあくまでも編集者個人の感覚だが、アリソンのATは乗り心地がよく変速ショックをあまり感じないが、ZFのATは運転手の技量によっては変速ショックをかなり感じる。 - いすゞサウンド
主にBUといすゞ・C系に見られる独特のサウンドを指す。いすゞ自動車の記事も参考にされたいのだが、2速と3速のうなりが大きく、同時期の他社製のバスと比べても特徴が際立っている。 - 委託
バスにおける委託とはバス事業者が運行を別の会社に委託することであり、車両や路線の管理は委託元が持ち、運行管理などの実務を委託先が持つことである。主にコスト削減を目的として、公営事業者は民間のバス事業者へ、民間のバス事業者はその子会社へ委託するケースが多い。路線や車両に掛かる許可や権利を譲渡するわけではないので、委託元の車両そのままであったり、運賃や定期券の規定がそのままであることがほとんどである。なお、委託先を明記する場合は小さく事業者が書かれることが多い。似た言葉に移管があるがこちらは運行に関わる全てを委譲するもので、路線許可や車両、営業規則は移管先のものとなる。 - 一般低床・都市型低床
ツーステップバスの低床化の中で登場した床面高さのこと。一般低床は通常900mm以上の床面高さを持つツーステップ車の床面高さをサスペンションの工夫などにより、800mm程度まで下げたもの。都市型低床は一般低床車に扁平率70%以上の扁平タイヤを装着することで床面を700mm程度まで下げたもの。ちなみにワンステップバスやノンステップバスは超低床車と呼ばれる。 - インバウンド
海外からの訪日旅行する人を指す事より転じて、彼ら向けに観光バスを運行する事業者を指す。地域に偏りがあり、一般的には国際空港のある成田などに本拠地を構える事業者が多い。その規模もまちまちであるが今まで大手が余り目を向けなかった領域であるので零細事業者が多く、そのバスの出どころも出自が一発でわかる物や全く塗装がないような怪しさ満点なバスがあり、車両研究の視点では非常に面白い分野の一つと思われる。主に中華圏からの旅行者が多く、ナンバーに縁起のいい「8」を採用する所が多い。 ただ調べると元々白バスだった所も… - ウィンカーチャイム・右左折警報器
ウィンカーに連動してチャイムを鳴らす装置。京王バスや川崎鶴見臨港バス、京浜急行バスなどで採用している。 - 宇都宮仕様
JRバス関東宇都宮支店に配置された一般路線用車両のうち、側面方向幕の位置が前ドアの直後になっている車両のこと。これは栃木県バス協会の指導により、同じエリア内を運行する関東自動車・東野交通の乗降仕様に合わせたため。 - 営業所・車庫・操車所・操車場…
「バスターミナル」などの大型施設とは異なり、いずれもバスを大なり小なり留め置いたりする場所。系統の始終着場所とされていることも多い。呼称、立ち位置、施設内容、洗車機・ピット/工場などの有無、バス停名称への反映/非反映・部外への公表/非公表、本社の同居/別建てなどは、事業者によって異なる。転回場/転回所・待合所・出張所・廻し場などと呼ぶ事業者もある。「営業所」にはその名の通り乗務員はもちろん、始発出庫前から最終入庫後までの間、常駐して点呼・出退勤管理を行う従業員を擁す場合がほとんど。窓口業務の有無も事業者により異なる(営業所敷地や建物の入口に「部外者立入りお断り」の旨が掲出されていれば、遺失物引き渡し以外の対外業務は期待できない)。その他の施設は無人であったり、都市路線と山間路線の間にある詰所的存在であったり、運転に当たる従業員の配置はあっても定期券・回数券・カード類の業務は鉄道駅前・バスターミナルなどの窓口に誘導している場合が多いようだ。 - エルフミオ
4気筒エンジンを搭載したエルガミオの別称。搭載されている4HK1型エンジンはかつて現行エルフに搭載されていた事から由来する。また、東武バスの所有するスカイツリー輸送のバスを指す事もある。 - 大坪霊園
名鉄バス津島営業所の別名。敷地が広いため廃車となり、解体や他事業者への移籍を待つ車両が留置されることが多いことからこの名がついた。由来は最寄りの停留所が大坪であることから。 - オタ席・マニア席
公式側前タイヤ上の座席のこと。前方が見渡せ、運転席の様子もよく見えることからこの席に座るバスファンが多い。ただしLV/KV290系エルガ・ブルーリボンは純正だとこの部分に燃料タンクを配置する関係でオタ席が無くなっている他、会社によっては安全の問題からオタ席を設けていないこともある。 - お手軽ノンステ
ノンステップバスのうち、シャーシコンポーネンツにワンステップ車のものを使用した、前ドアから中ドアまでの部分だけノンステップエリアとしているバスを指す。ノンステップバスは登場当初は最後部までノンステップ(正確には、後方部に行くに従ってスロープ状になる)エリアのものを採用したが、専用設計が非常に多く、整備性の面で難ありで導入コストが非常に高かった。その為、割合に導入が広がっていたワンステップバスのコンポーネントを使用し、後部部分をあえて割り切ってコストの大幅なカットと整備性の向上を実現したのが「お手軽ノンステ」である。その後の日本の一般的なノンステップバスは、全てこの方式である。図らずもフルノンステップ車がデッドスペースの増大から定員を減らしていたのに対して、リア部分をワンステップ車相当にした事から、定員が増えた。 - お化け方向幕
1970年代後半に一時的に見られた前方の方向幕の形状。それまでの方向幕と比べても非常に大きくなっており、視認性は格段に向上したが、元々のデザインに無理やりつけた方向幕周りの処理が異様で、その姿が化け物みたいであったのか、それともコントのお化けが付けてるような三角頭巾に似ていたのか(定かではないが)お化け方向幕と言われるようになった。特に日野車体製はその形状からリーゼントと言われる事もある。 - オムニバス・コムニバス
遠州鉄道バスにおけるノンステップバス・ワンステップバスの愛称。コムニバスは中型ロング車を指す社内用語で、小型のオムニバスが由来だとか。 - 開放休憩
長距離を走る高速バスの場合、運転手の休憩も兼ねて特定の場所で少し長く停車して乗客のトイレや買物の便を図ることがある。ドアを開放する休憩なので開放休憩と呼ぶ。貸切バスの休憩であれば多少発車時刻に遅れても待っていてくれることがあるが、高速バスはあくまでも路線バスなので発車時刻になれば全員揃っていなくても容赦なく発車していく事が多い。ちなみに開放休憩なしで長距離を走る高速バスを別名「拘束バス」と言うとか。 - 回転場/転回場
路線バスの起終点でバスが折り返しのため方向転換を行う車庫以外の場所。土地を確保できる場合は駐車スペースや運転手の休憩用の小屋・トイレなどが設置されていることも。
土地が確保できない、その停留所で折り返しを行う本数が少ないなどの理由で道路を右左折して方向転換することもある。 - 神奈中仕様
神奈川中央交通(神奈中)向けに特別な装備が取り付けられたバスの事。神奈中は1980年代以降、三菱ふそうの販売会社が傘下となり、それまで割合に4メーカーまんべんなく導入してた車種構成を8割程度三菱ふそう製にしたほどであり、それによりメーカー側に融通を効かせる程に影響力が強くなった。仕様の特徴の一つに前バンパーの大型化があげられる。清掃時にドライバー氏が足場として利用できるようにしたものである。また、エアロスターの右前は通常、セーフティーウィンドウが標準装備であるが、この部分が料金支払い窓になっている。この他、多くの特徴があり、地方へ行ってもその特徴がそのままであるケースが多く、容易に出自がわかる。なお2002年に小田急グループの鉄道・バスグループの車両購入一元化を目的に小田急グループマテリアルズ社が設立されて以降はグループ内のバス会社で仕様が統一されることとなった為にこれらの特徴を備えた仕様は多くが廃止となり、また乗降方法も統一化された為、現在ではほぼ他事業者と変わらない姿となっている。 - カマボコ
西日本車体で作られた大昔の車体のあだ名。正確には「42MC」であり、昭和42年に登場したので42の数字が入っている。後ろの方向幕周りのデザインからそのあだ名がある。 - 上高地仕様
上高地に通じる唯一の自動車が通過可能な道路である長野県道24号線の途中にある釜トンネルを通過可能とするため、ホイールベースを短くし、車高を低く抑えた観光バスのこと。現在は拡張工事の完了によって通常のハイデッカーは勿論のこと、スーパーハイデッカー車も入線可能となっているが、かつての釜トンネルは狭い上にトンネル高さも低かったためこのような特殊車両が導入されたのである。 - 観光マスク
路線バスで使用する車両のフロント部分を観光バス仕様にしている車両を言う。特に上述したワンロマ車に採用される事が多く、多くが「前面一枚窓+オーバーラップ式ワイパー」の為、見晴らしがよくなったり、ちょっと豪華な雰囲気になる点がある。この他、バケルトン車でも採用が多かった。いすゞのみは「キュービック」に「スーパークルーザー」系の顔と言う風にはいかなかったのか、キュービックのフロントマスクの方向幕部分を前面ガラスの延長にしたものが用意された。現在は観光バスの顔した路線バスは登場していない。但しふそうのみ往年のキュービックのように、方向幕部分まで前面ガラスを延長した仕様が存在する。また、馬匹車に代表されるように観光バスの顔をつけ(られ)る車両があるので、予算次第ではどうにかなる可能性もある。 - キムワイプ(カラー)
キムワイプとは日本製紙クレシアの販売するウエスで、毛羽立ちせず水分や油分をしっかりと吸収する特性から理系の人たちに根強い人気のある商品であるが、バスファン界隈では主に相鉄バスの塗装を意味する言葉でもある。緑と黄緑、そして白が相鉄バスの塗装そっくりであることから名付けられた。またこうした色使いの事業者を称することもある。 - 逆都営
富山地鉄バス、或いはこの会社のバス塗装の事を指す。富山地鉄バスのカラーは都営バスの塗装を前後逆にしたデザインとなっているため、この名称がついた。それ以前の塗装はブルーリボンカラーを青くしたものを採用していた。 - キャブオーバーバス
バスの形態の一つで、エンジンを車体前部に配置した箱型のバスのことである。戦後、ボンネットバスと共に見られた形態で、ボンネットバスやトラックと部品を共用できる部分が多い事や箱型だけあり、客室の収容人数が増やせるメリットがあったが、エンジン本体は客室内に張り出しているので、騒音源になりやすい事やエンジンの熱が伝播しやすい事、構造上の問題で前扉を設けづらくワンマン化に適してない為、より収容人数が大きく、ワンマン化が容易なリアエンジン方式にとって代わられた。例外的にいすゞは小型バスとしてMR型をジャーニーQの名称で販売した。現在ではもっぱら発展途上国などでその姿を見る。 - 9m大型・大型ショート・大型短尺・デブナロ
車体幅が大型車並の2.5mでありながら、車体長が9mと中型車並の車両群のこと。いすゞ自動車のキュービックLT→エルガLT、日野自動車のRU系→HU系、三菱ふそうのエアロスターMM→ニューエアロスターMM、日産ディーゼルのRP系→スペースランナーRPが発売され、主に輸送力をさほど必要としない地域の路線車、自動車学校の大型二種教習車などで使われた。
しかし輸送量の減少、大型二種教習車の11mクラス車への移行などによってどのメーカーも撤退していき、最後まで製造を続けていた日産ディーゼルも2007年8月で路線向けの製造を終了した。
路線向けでは既に製造されていない9m大型車だが、貸切用途の観光バスでは座席幅を大型車と同等に確保できて快適性に優れることから、小口団体用として今も隆盛である。 - 教習車
文字通り、教習の為の車であるが2つの意味がある。
1つめは主にバスで使用される大型・中型2種免許取得時に使用される車である。大型2種用教習車は全長が11mで、中型2種用教習車は全長9mの車両が使用される。後者はかつての大型2種用教習車であり、2007年度の法改正によって中型2種用教習車に規格が変更になった。この際、指定教習所での教習によって実地免除が可能となり、多くの自動車学校で大型2種の教習を開講したが、この際に導入された車両の中にはコストの面から、路線バスの中古車が多く導入されており、出自が一発でわかることもある。教習車の為、ナンバープレートは大判の白の8ナンバーである。余談ながら、免許センターではこれらの車について、いわゆる一発免許で使用する車両のナンバーがレンタカーと一緒の「わ」ナンバーになっている。これは路上試験において「車を有償で貸し出す」という部分の解釈によるものと思われる。
2つ目はバス事業者が新任の乗務員を育成する場合に使用する車両の事で、路線バスをそのまま使用する場合もあるが、近年は車内に各種機器類などを搭載した専用の教習車が登場している。これらを駆使して各々の特性をデータとして評価することで勘や経験だけではない、科学的な面から乗務員の癖や特性をはじき出している。塗装は路線バスとの混同を防ぐために通常の塗装をアレンジしたものやまるっきり異なる塗装になっていることもある。専用の教習車はまず路線を走ることがないのでナンバープレートは大判の白の2ナンバーである。(8ナンバーの車両もある) - 許可制
バスの営業制度の一つで、貸切は2000年・乗合は2002年に規制緩和によって免許制から変更された制度である。免許制も許可制も本来禁止のものに許可を出す点では一緒であるが、大まかにいえば従来の免許制がエリアや路線による需給調整規制に依った排他的なものであったのに対して、要件を満たせば新規参入が容易となり、路線バスでは参入・撤退に掛かる要件の緩和で語られることが多い。貸切バスは白バスからの転向や異業種からの参入もあり規制緩和前の約2300社から2008年の約4100社と10年近くで2倍近く事業者が増えた一方で安全対策がずさんであったケースも見受けられ、たびたび事故が発生していた。また価格競争の結果、老舗事業者が撤退、もしくは子会社へ移管、規模縮小といった具合に良くも悪くも規制緩和の影響をもろに受けた格好となっている。一方、路線バスは古くより鉄道会社直営や子会社というケースが多く、駅前ロータリーやバスターミナルといった収益の要となる拠点への入構許可がその鉄道会社のバス部門であったり、古くより共同運行している事業者に限定されることもあり、大量の新規事業者参入といった貸切バスほどの大きな動きは起きていない。むしろ、子会社を設立して経営を本体から分離してコストを削減したり、参入撤退が容易になったことで不採算路線へ大ナタを振るえるようになったり、発展の見込めるエリアへの開業が迅速にできるようになった点が大きい。 - 草ヒロ
元々は自動車趣味において「草むらに放置された廃車車両(草むらのヒーロー)」を指す言葉であった。おそらくは旧車雑誌である「ノスタルジックヒーロー」を捩ったものと思われる。同じ車と言う事でバスも俎上に上がる事が多い。この場合はダイレクトに「廃バス」と言われる事もある。その用途もまちまちであるが、農家の倉庫代わりに使用されていたり、集会所代わりに使用されていたり、元々商売に使っていたが廃業の後に放置されたなどがある。中には公道でまず見かける事がない古い時代のバスも放置されている事がある。但し、私有地においてあるケースもあり、所有者に無断で敷地内から撮影する事は厳に慎まれる事である。また、仮にそうでなくても老朽化で土に帰ろうとしている車両の場合は車内に入り込んだ際に何かの拍子に崩れて思わぬ怪我をする場合があるので注意しなければならない。 - グラスラ
グライドスライドドアのこと。大型ノンステップバスの前ドアに使われることが多い。戸袋不要で開口幅を広く取れることから、初期のノンステ車では中ドアにも使われていたが、挟み込み防止センサーの兼ね合いから詰め込みが効きづらくなるため、ほどなく中ドアは引き戸に改められた。
なお大型ノンステでもLV/KV290系エルガ・ブルーリボンの前ドアはやや幅が広い折戸となっている。 - クローズドドアシステム
出発点付近では乗車のみ、到着点付近では降車のみの取り扱いのバスを指す。主に空港連絡バスや高速バス、深夜急行バスに見られる。高速バスでは短距離客と長距離客の完全な分離、一般路線バスでは他社エリアでの諍いを避けるなどの目的がある。 - ゲテノン
PKG-代以降(2007年~)の三菱ふそうエアロスターノンステップの別称、もしくは蔑称。それまではほぼ専用設計だったエアロスターノンステップをワンステップベースとした際、フロントマスクと公式側の中扉以降がワンステップ車と同じデザインである一方、非公式側は窓配置が従来のノンステップと同じようなデザインとなった。また乗降扉は従来のノンステップ車の物を使用しながらも、フロントマスクがワンステップと同じなのでやたらドア上に空間が出来てしまった。結果、左右で窓の高さが異なっており、またデザインに統一性がないチクハグしたその様からつけられた。 - 兼用車
主に貸切と路線の兼用を指す。広義にはワンロマと同じであるがより広範囲の車両や仕様に適用される。具体的には高速路線バス仕様の多いバス会社にあっては、車内に冷蔵庫やDVDプレーヤー、後部座席用モニターなど高速路線バスで使用するには必要のない装備があるバスや運賃箱や整理券発行機を装備しているが、登録としては貸切車となっているものをさす。また路線バスの場合はワンロマほど豪華な装備ではなく、ローバック・1人掛けシートが標準仕様の事業者にあって、ハイバック・2人掛け・シートベルト付きの車両を指す。 - 公式側・非公式側
バスファンの画像サイトなどで頻出する言葉。客扱いを行うドアを備える側が「公式側」となる。日本および英国・香港・インドなど、左側通行の国や地域を走るバスのフロントからサイドビューを撮影した場合、画像の向かって右サイドが「公式側」、左サイドが「非公式側」となる。ゆえに、カタログ掲載も「公式側」の画像が優先となる。 - 高出力車
バスに設定されているエンジンのうち、出力の大きい車両を指す。かつてはどのバスにおいてもみられたが、路線バスにおいては絶滅、観光バスでもセレガーラが設定しているのみである。とりわけ路線バスにおいては山間部を走る路線においては高出力車を選択する事が多かった。また、観光バスでも経済性を重視する場合には路線バスの高出力車のエンジン・シャーシを使用する事で、事実上の低出力車として位置付けていた。1990年代まではエンジンの形式や排気量が違いで対応していたが、排ガス規制の強化に伴って圧縮比やターボ車の場合は過給圧のチューニングなどで対応した。 - 国鉄バス
かつて存在した日本国有鉄道のバス部門である。鉄道が根本なので、企業文化の面は鉄道に準じたものになっている(例:自動車駅)鉄道に絡んだ運営に特化しているので、鉄道の補完や培養、代行、短絡、先行を建前としていた。この為、地方を中心にあちこちに路線網を張り巡らせていた。国鉄バス独特な仕様として、国鉄専用形式が知られているが、この他にも日野車体にいすゞのシャーシという物があった。これは日野車体の前身の一つである帝国自工時代からの関係による所が大きいとされる。国鉄民営化に合わせて、JRバスへ移行。 - 国鉄専用型式
国鉄バスが高速バス用に1969年から導入していた特注車両。見た目こそ当時の標準的なバスだが中身はほぼ別物で、例えばギアで見ればバスを含む大型車は1速ギアは貨物・乗客満載時に急勾配で発進する時などにしか使用せず、通常時の発進ギアは2速だが、国鉄専用型式は普段から1速ギアを使用するという大きな違いがある。この他、エンジンでも日産ディーゼル以外自然吸気だけで320馬力以上を叩き出す、車体に軽合金を多用など市販車とは大きく異なる仕様を持つ。
あまりにも仕様が特殊すぎるためにメーカーの採算が取れず、廃車後も引き取るバス事業者はほぼなく、スクラップ業者でもやや持て余し気味だったという。今も3台が保存されている。
ちなみに東京の乗務員は国鉄専用型式のことをダルマ、大阪の乗務員はロケットと呼んでいたとか。
- 国土交通省認定標準仕様ノンステップバス
ノンステップバス普及を狙いに2004年に国土交通省が提唱し、仕様を定めて基準を満たしたノンステップバスを指す。これらの認定車両にはシールが付き、仕様はおおむね統一されている。年度によって、シールのデザインが若干異なる。 - 三角バス
バスの裾から上を絞ったバスの名称で、裾から上を見ると三角形に見える事からこの愛称が付けられた。この車が活躍した当時、地方ではまだまだ道路事情が十分に整備されているとは言い難く、現代の基準でいえば中型バス程度であっても通行するには差し支えがあったトンネルを走行できるように対策した車両である。道路整備がなされた今日ではその姿を見る事はまずないが、奇跡的に西武バスで保存されている。 - サンプルカー
バス製造会社が国交省へ形式認定をするときに実際に製造する車両であり、また事業者への営業で使用する車両を指す。パンフレットなどに掲載される車両でもあり、こうした車両は一定の期間を過ぎれば無用の長物となるので、事業者へ売却されるケースがほとんどである。この手の車両は新古車として一部の事業者で人気が高い。この手の車両で有名なのは長電バスのエアロスターであり、セーフティウインドゥに料金支払い方式の窓の存在など神奈中仕様で形式認定をとったのだが、神奈中にはいかずに長電バスへ売却された。標準の車両とは明らかに異なる特徴で注目されている。 - 三連テール
外側からウインカー・ブレーキランプ・ブレーキランプの順に並ぶテールランプのこと。東海地方の事業者ではよく見かけた。 - CNG車
通常バスの搭載するエンジンはディーゼルエンジンであり使用する燃料は当然軽油だが、中には圧縮天然ガス(CNG)を用いる車両もある。CNG車は燃料タンクを屋根上に持っていくことが出来、ノンステップバスのノンステップエリア拡大などでメリットがある他、環境性能がディーゼルエンジンに比べて良いのが特徴。海外ではもっぱらNGV(Natural Gas Vehicle)と言われている。しかしCNG補給設備を営業所や車庫などに設ける必要があったり、ディーゼル車であればその気になれば30年程度使うことも可能だが、CNG車はタンクを交換しない限り、どんなに長くても15年程度しか使うことが出来ず、また低速トルクが不足しているため、運転にコツが必要である。またガス燃料固有の欠点として燃焼温度がディーゼルと比べても高いため、オーバーヒート気味になりやすく追加でルーバーを設置している事業者もあり、また潤滑性の低さからの部品の摩耗や劣化の速さもあった。結果として高くついたりなどの理由から公営バスとごくごく一部の民間バス事業者に普及したにとどまり、最後までメーカーラインナップにあったいすゞ・エルガCNGもLV290系へのモデルチェンジ時に姿を消した。CNG車のトランスミッションはなぜかATが多い。 - 市町村所有バス
自治体所有バスとも。地方自治体が所有し、自治体主催行事への来場者の送迎、スクールバス、自主運行バスの代車などに広く使われる。カラーリングもメーカーサンプルにアレンジを加えたものだったり、その自治体のマスコットキャラをデザインしたりと様々。 - 自動車駅
国鉄時代における国鉄バスのバス停やバスターミナルのうち、鉄道の駅と同じように鉄道線を含めた乗車券の発券業務や貨物の荷捌きを行える施設を指す。鉄道の駅とほぼ同等の扱いであり、地域によっては鉄道の駅よりメインのランドマークになる事さえあった。分割民営化によってJRバスへ移行後はその数は減ってはいるものの、地域によってはまだまだ現存している所も多い。また神奈川中央交通には国鉄との連絡乗車券を取り扱っていた名残から、バス停に「駅」の名称を付けたものが存在する(金目駅バス停など) - 尺・ホイールベース
前輪から後輪までの長さのこと。バスでは尺と呼ぶことが多い。主に短尺・標準尺・長尺の3種類に分類され、短尺は輸送量がさほど多くない路線、標準尺は汎用車、長尺は輸送量が飛び抜けて多い路線向けに投入されることが多い。よくバスに関するファンサイトなどで「N尺」・「P尺」・「Q尺」などの表現がされているが、これはホイールベースの識別記号を元にした物で、メーカーごとに異なる。よって○尺=●mという共通基準があるわけではないので要注意。
ふそうはK尺、M尺、P尺(ニューエアロスター)の順に長くなり、日野といすゞはL尺、N尺、Q尺の順(統合車種のブルーリボンII・エルガ)、日デはK尺、M尺、P尺、T尺(スペースランナーRA)の順に長くなる。
- 車番・社番
多数の車両を擁する会社では車両の管理のために1両ごとにナンバープレートの登録番号とは別に固有の番号を振ることがあり、これを車番(社番)と呼ぶ。
付け方は会社によってバラバラだが、登録番号をそのまま使う場合、登録番号と英数字を組み合わせる場合、社内で番号を振って連番とする場合、仕様・車種・年式・営業所などで連番とする場合など多彩。事業者によっては車番と登録番号を希望ナンバーを使用して合わせることも - 白バス
自家用バスを有償で使用する行為を言う。ナンバーの色が「自家用の白」と言う所から由来する。言うまでもなく、この行為は道路運送法に違反する行為であるが、かつては格安で利用できたと言う事で少なからず利用する者がいた。ちなみにこれが自家用乗用車で使う場合は「白タク」と言われる。また、「営業用の緑」ナンバーでも車両の名義と実際の使用者が違っている場合、いわゆる「名義貸し」でも白バス(行為)と言われる事がある。2002年のバスの規制緩和にはこうした白バス対策もあったとも言われ、実際に白バスから転じたケースもある。ちなみに自治体が所有する自家用バスも白ナンバーで、これを使用して路線バスが運行されることもあるがこちらは自主運行バスと呼ばれるものである。
2019年のラグビーワールドカップ、2020年東京五輪の開催を記念し、特別仕様のナンバープレートが交付されるようになったが、これは営業車であっても白地のナンバープレートになる。ちゃんと営業車のプレートなので通報しないように。 - 白夜行
西鉄の高速バスのうち、夜行バス用車両に塗られる色。デザインをしたのはあの芸術家岡本太郎である。現在は西鉄の夜行高速車全てが白夜行カラーだが、元々ははかた号・どんたく号用車両のカラーリングだった。 - 深夜急行バス
終電後に都心部の鉄道駅から郊外へ向かうバスを指す。鉄道事業者を親会社に持つバス事業者において運行することが多く、この場合は途中のバス停は止まらず、自社鉄道路線の駅を結ぶ格好となっている。料金は同じ距離の鉄道運賃と比べても10倍程度割高となっている。それでもタクシーと比べても割安であり、根強い人気がある。使用される車両は路線バスと同じものから、リムジンバスに使用される車両を間合いで使用したり、ワンロマ車を使用したりするケースがある。 - 深夜バス
一般バス路線の深夜帯運行を指す。どこでも走っている訳ではなく、駅から住宅街を結ぶような路線で多く見られる。料金は2倍程度である。上記の深夜急行バスとは全く異なる。なお、とある界隈でははかた号のような夜行高速バスを指す - 鈴木カラー
かつての都営バスの塗装の別名。黄色をベースに赤いラインの入った塗装で、このカラーが登場した時の都知事が鈴木都知事だったのでこの別名がついたが、都民からはその強烈すぎるカラーリングに苦情が入ったとか鈴木都知事もバスの色を見て「ウンチ色」と言ったとかなんとか。
最近になって復刻塗装車が登場。 - セレガーラ
現行の日野・セレガといすゞ・ガーラを指す。「セレガ」+「ガーラ」の合成が由来である。元々別個の車両だったこの2台は、バス業界の再編で日野といすゞのバス製造部門が協業(J BUS、ジェイ・バスと称する)となった為、同一車体となった。 車体からは差異を殆ど見出す事が出来ず、わずかにステッカー類やフロントバンパーとリアガラスのデザインに違いがあるのみである。それも注文内容によってはリアガラスは2台一緒というにもなる為、実質違いがない。 - セミデッカー
バス車両の中で前部分は通常のバスと標準床の高さなのに対して、後ろ部分を底上げしたハイデッカー構造のバスのことを指す。標準床と底上げ部分の境界はまちまちであるが、ほとんどのバスでその位置の上部分に窓が設置される。このスタイルはアメリカ・グレイハウンド社に導入されていた高速バス用車両の「シーニクルーザー」に範を得たデザインであり、ヨーロッパ製のバス車両が台頭する1970年末期まではほぼ例外なくどこのメーカーもラインナップに存在していた。 - 続行便
多客によって1台のバスに乗客を収容しきれない場合に設定される。一般路線バスでもラッシュ時に見られることがある他、高速バスでは多客期に頻繁に見られる。概ね予約開始から間もない段階でほぼ満席となった場合に設定される。車両は最近は所定便の1号車と同等の設備を持つ車両が2号車に入ることも増えたが、3号車以降は所定便に比べて設備の劣る車両が使われることも多い。
2012年以降、高速バスの「管理の受委託」が認められるようになり、他社に続行便を委託する例も見られる。ウィラーエクスプレスの続行便であるスターエクスプレスがその一つ。 - ダックス
三菱ふそう・エアロミディMJ9mノンステップ車のあだ名。リアのオーバーハングをそのままに、ホイールベースを延長したため胴長に見え、それがダックスフントを想起させることから。ちなみにMJ9mノンステップは、ホイールベースが長いために小回りが利きづらく、急カーブの多い路線に入る運転手からの評判はあまり良くないとか。 - ダブルデッカーバス
日本語に直すと二階建てバスであり、文字通り上下2階建てのバスを指す。乗車人員を増やせることや二階席は眺めが良いメリットがある。とくに有名なのはイギリスのロンドンバスである。二階建てバスのアイコンとも言えるバスである。また香港でも同じように二階建てバスが多くは知っていることで知られる。翻って日本に関しては全高規制(3.8mまで)があるので、居住性の面で難ありであった。1970年代末期に日野自動車が試作車を製作していたが1980年代前半にのヨーロッパ製バスが入ってくるのと同時期に国産二階建てバスがラインナップされていったが、居住性の問題などで最後まで残ったのは三菱ふそう・エアロキングのみであった。近年は車両当たりの定員を増やせるメリットから、高速バス用途での導入が多かった。現在では国産は存在していないが、スカニアがアストロメガ(貸切用)/InterCityDD(高速バス用)の名前で販売している。 - ダブルトラック
同じ区間を異なる2社が共同運行を行わずにそれぞれ運行を行うこと。競争原理が発揮され、利便性やサービスの向上が期待できる反面、需要を食い合って共倒れになってしまったり、片方の路線が撤退して一人勝ち状態になったりしてしまうことも。 - 中型ロング・中型長尺
車体幅は中型車並の2.3mでありながら、車体長が10.5mと大型車並のワンステップバス・ノンステップバスのこと。
その始まりは西日本鉄道が路面電車の北九州線を全廃した時に電車代替バスとして安価に、輸送力が大きく、乗り降りのし易い低床車を求めたことから。大型ワンステップバス並の価格で大型ノンステップと同レベルの収容力を持つ車両が導入できるとあって、全国で大ヒットした。 - ツアーバス
詳しくは当該項目を参照いただきたい。本来はバスを使った各種旅行(tour)などで使用される観光バスを指すが、つい最近までは通常の高速バスと同じようにA→Bの地点を結ぶバスの事を指すが多かった。運行されるバスが多種多様であり、趣味的にも面白いのだが法律的にグレーゾーン(現在はアウト)であり、また事故が起こるたびに取り上げられるエグい事例が多かったのでバスファンの一部は蛇蝎のように嫌う傾向が強い。また夜行列車の命脈を直接的でないにしろ絶った事例が多いので時には鉄道趣味をする人間からも忌避されている。現在は法改正で事実上締め出され、再び本来の意味で使われるようになった。 - ツーマンバス
通常のバスは運転士だけのワンマンバスであるのに対して、車掌が乗り込むバスの事をツーマンバスと言う。1960年代まではむしろツーマンバスがメインであった。人件費の問題などから現在ではほとんど見られないが、1980~90年代までは都心部でも非常に道幅が狭い個所があったりした為、ツーマンバスが存在した。車両は前扉が無いツーマン専用車と、通常はワンマンバスとして使用して特定路線使用時に車掌が乗り込むツーマン兼用車があった。ツーマンバス独特の装備に「中扉後ろの引き窓・運転士知らせブザー・車掌用ドア扱いスイッチ」がある。 - 東武顔
鉄道界隈では東武8000系に代表される顔つきを指す事が多いが、バスではいすゞ・キュービックの2枚窓車を指している。元々、キュービックの前面ガラスは平面ガラスであり、これを3枚組み合わせたものであった。平面ガラスのデメリットとして反射があり、通常のガラスと比べても夜間時においてはそれが顕著であった。また、正面の窓は大きな1枚ガラスで構成されるのでガラスの破損などの場合、通常ならば割れた側のガラスだけを取り換えればいいのに対して、全部総とっかえとなるので修復コストがかかってしまう。こうした理由から敬遠して富士重工製を採用するケースが多かった。東武バスもそうした事業者の一つであるが、ノンステップバスを導入するにあたっては、純正車体しか選べなかったので苦肉の策として導入したのがこのフロントマスクである。パッと見は中型のLRにそっくりであり、この東武顔は顔の部分だけはコストの兼ね合いから中国製と言う説があったが、真相は定かではない。この他、方向幕部分の処理が後のエルガそのものであるが、いすゞのバスはモデル末期になると次モデルの設計を一部取り入れるケースが多く、CJM系からキュービックに移行する際も札幌市営ほかにキュービックの設計を取り入れたバスが存在した。 - 特定輸送
会社・学校・ホテル・病院などの施設が社員・学生・教職員・宿泊客・患者など施設利用者のために運行する送迎バスのこと。目的地の会社・組織などがバス事業者へ委託する例が多い。車両面では通常の路線バス車両と大差ない事が多いが、途中高速道路を走行する場合はシートベルト付のワンロマ車や観光バスを使用することも。 - 都市型超低床バス・東京都型ワンステップバス
国内バス4メーカーと東京都が共同開発したバス。エンジンやトランスミッション、後輪車軸の配置などを工夫することで最後部までワンステップ構造を実現した。ただし構造が特殊すぎるために車両価格が高額で、肝心の東京都でもノンステップバスの導入に切り替えたため、あまり普及しなかった。
- トップドア
「前乗り中降り運賃先払い」「後乗り前降り運賃後払い」などを目的として、大多数の路線バスは出入り扉が2つ以上付いているが、観光路線や通勤速達路線・近距離高速路線などの車両には(一般路線バスと似たボディであるにもかかわらず)前扉しか付いていない車両を保有する事業者がある。明確な線引きはないが、前扉1枚しか付いていない路線バス車両を他の車両と区別するため、こう呼ぶことがある。
トップドア車は基本ツーステップが多いが、岐阜県の東濃鉄道にはノンステップのトップドア車が在籍している。
- トレーラーバス
そのものズバリ街中を走っているトレーラーをバス用客車に置き換えたもので戦後にあちこちのバス会社が導入した。輸送力はだんちがいであるが、ワンマン運転はほぼ不可能であり、また客車部分に何か起きても運転士が認知しづらい欠点がある。これに伴う火災で多くの犠牲者や負傷者が出たこと、バス専用の車両が設計されたことから廃れていった。日本においては西東京バスでのみ運転されている。なお運転に際しては大型2種免許に加えて、けん引二種免許が必要である。なお、東欧などでは現役なところもあり、またトレーラーでも単体バス車両に客車トレーラーをくっつけた、いわばフルトレーラータイプのトレーラーバスがある。 - 730車
沖縄で1978年にそれまでのアメリカ統治時代から継承されていた右側通行から日本と同じ左側通行に変更した際に大量に導入されたバスを指す。切り替わった7月30日から由来する。1000台近い凄まじい台数口もさることながら、潮風の強い沖縄に耐えうるように防錆対策が施されるなど、非常に作りが頑丈であった。また、常夏な気候に対応する為に本土でも珍しかったエアコンの完備など、その作りも非常に特殊であった。頑丈なつくりのおかげで20年以上現役で運行していたが、さすがに老朽化は隠せず、また各社バス事業の悪化に伴う体質改善で廃車が進んだ。それでも数台は保存がされている。なお、これらのバス会社では主に本土の中古車が代替に当たったのだが潮風のダメージなどがあるのか、通算でも730車より早く廃車になるとか。なお、7月30日以前の右側通行に対応した左ハンドルのバスは729車と言われる。こちらは比較的新しめの車両はハンドルを右側へコンバートしたが、多くの車両は中国などの右側通行・左ハンドル圏へ輸出された。 - なまず
新潟県の北村製作所製のボディを架装したいすゞ・キュービックの通称。由来はそのスタイリングがなまずに似ていることから。ほぼ新潟県内でしか見られず、2012年に最後の1両が引退。現在は新潟市内のとある公園で保存されている。 - 廃止代替バス
利用者減などで採算が取れなくなった路線バスが廃止された後、自治体が高齢者など交通弱者への公共の福祉を確保する目的として貸切事業者に運行を依頼、或いは自治体が自主運行するものを指す。条文より前者を21条バス、後者を80条バスともいわれる(ただし現在、当該法律は別のものとなっている)が両者ひっくるめて自主運行バスともいわれる。また、鉄道が廃止になった場合にバス代替されたものもこう呼ばれることもあるが、ここでは割愛する。
21条バスの場合、元運行事業者に貸切部門があった場合はそちらへ依頼がかかることも多く、車両の融通も利くので一見して廃止前と感覚的に違和感を生まないもの(車体側面の「乗合」表記が「貸切」になっている程度)となっているが、近年では新規参入の貸切事業者が運行に名乗りを上げることも多い。80条バスは自治体が直接運行に携わる形であり、自家用自動車を使っての運行のため、ナンバーが白となっている。本来は自家用自動車を有償で運行できないのだが、道路運送法旧80条の但し書きを根拠として運行が可能となっている。車両もマイクロバスから大型バスとまちまちである。なお、白ナンバーなので実は運転に掛かる免許は運転する当該車両(多くは大型)の第一種でも可能(ただし、要講習)である。 - 排出ガス規制記号
アルファベット1文字~3文字(ポスト新長期規制まで)、アルファベットと数字で3文字(ポスト・ポスト新長期規制以降)で示されるその車両が適合する自動車排出ガス規制を示す記号。
排ガス規制は数年おきに改定され、それに合わせる形でマイナーチェンジやフルモデルチェンジが行われる。
- ハイデッカー・スーパーハイデッカー・ミドルデッカー
客席床面高さを嵩上げし、車内へタイヤハウスの張り出しをなくしたもの。スーパーハイデッカーはハイデッカーよりもさらに床面高さを嵩上げしたもの。ミドルデッカーはハイデッカーより床面高さが低いものの、車内へのタイヤハウスの張り出しが無い床面高さのこと。
主に高速バスや貸切バスに採用例が多く、ミドルデッカーは近距離高速バスや上高地仕様(前述)での採用例が多い。 - バイオディーゼル車
菜種油・天ぷら油・牛脂などの生物由来の油を軽油に混ぜ、それを燃料として走る車輌のこと。一部の事業者で運行されており、専用のラッピングがされていることも。 - ハイバックシート
背もたれが頭まで支えられる程高くなっている座席のうち、リクライニングしないもの。リクライニングする場合はリクライニングシートと呼ぶことが多い。 - ハイブリッドバス
その名の通り、内燃エンジンに加えてモーターなどの動力源を用いたバスを指す。低速域は排ガスの発生が多く、また燃料消費も多い事から、この部分を内燃エンジン以外で補う事で、ローエミッション化や低燃費を狙ったとされる。
バスにおいてはトヨタ・プリウスと同じように電気モーターを用いた電気式ハイブリッドや油圧を動力源とした畜圧式ハイブリッド、内燃エンジンを発電機とし、メインの動力源をモーター(シリーズ式ハイブリッド)とした車両が存在した。これらの車両、特に畜圧式ハイブリッドバスは加速時・減速時に非常に独特の音を発する為、走行音を録音する者にとっては非常に注目される車両となった。
現在生産されている車両は日野自動車が開発したブルーリボンハイブリッド/エルガハイブリッド、連節バス仕様のブルーリボンハイブリッド連接バス/エルガデュオのみで電気モーターを用いたハイブリッド式のみである。トヨタ系なので電気式ハイブリッドのノウハウが応用しやすい事から現在でもラインナップされている。実際、プリウスと共用している部品があった程である。畜圧式ハイブリッドは日野自動車以外のメーカーがこぞって導入したものの、電気式ハイブリッドの様にバッテリーは不要であっても肝心の燃費性能や低公害の面で機器類の重量などからさほど効果が無かった事やバリアフリーに対応できなかったことから、2000年代前半には廃れてしまった。シリーズ式ハイブリッドは三菱ふそうで採用したが、コストが非常に高く、排ガス規制に対応できない事で廃れてしまっている。
なお、最近では燃料電池車もハイブリッドで括られることもあり、日本ではトヨタ・SORAが市販されている(製造は日野自動車) - バケルトン
モノコック車体をスケルトン車体に似せた改造を施したバスを差す。「スケルトン車体に化ける」からその名の由来が来ている。スマートなスケルトン車体が主流になると、何処か野暮ったいモノコック車体は一気に陳腐化していったが地方のバス事業者は新車を導入しようにも導入費用に余裕がない為、ガワだけでも似せようとしこぞって改造が行われた。改造の範囲もまちまちであり、日野のモノコック車に顔をブルーリボン風にして車体全体を直線基調に加工しなおすと言う具合に、新車入れた方が手っ取り早いのでは?と思うような改造もあれば、いすゞ・キュービックに日野・ブルーリボンの観光マスクと言った具合に顔だけ変えた車両など様々存在した。特に沖縄ではこの手のバスが多く存在し「いすゞなのに、UDなのに、顔だけ日野」などというトンデモなバスが多く存在した。 - バスラーメン
廃車になったバスをラーメン屋に改造したもの。ラーメンは調理スペースが少なく済むため、廃バスを飲食店へ転用する場合はラーメン屋になることが多いらしい。 - バスロケ
バスロケーションシステムの略。各車両にGPSを搭載し、バス停・Webサイト・アプリなどでバスの現在地を利用者に伝達する。中には車両番号まで分かるバスロケを公開しているところもあり、マニアには労力をかけずにお目当ての車両を見つけ出せる。 - パンダ
三菱ふそうの初代エアロバスのうち、三菱自動車名古屋工場製の車体を架装する「エアロクィーンM」及び「エアロバス クイーンver.」のこと。由来はヘッドライトの周りを黒く縁取りしたデザインがジャイアントパンダに似ているから。 - BRT
バスの運行システムの一つでBus Rapid Transitの頭文字から由来している。従来のバスとは一線を画した高規格・高速度・道路状況に左右されにくい運行を実現したものである。明確な定義はないが、国際基準では概ね以下のような要素を備えている。
・バス専用道路・専用車線
・鉄道駅に準じたバス停・車外運賃授受
・高頻度運転
・バリアフリーとプラットホームに合わせた高床式バス
・連接バスを使用した大量輸送
このように割合に鉄道に近いシステムとなっている。その起こりはブラジルのクリティバという都市でここでの成功により全世界、特に南米で広がりを見せた。日本では都市新バスシステムや基幹バスが相当しており、その延長線上で作られてるためかBRTの定義に当てはまらない路線がBRT扱いされることもある。
- B高・B型高速
西日本車体工業が開発した近距離高速バスや特急・急行バス用のバス車体。路線用B型をベースにトップドア化、リクライニングシート搭載、床下トランク設置などを行った。B高はほぼ西鉄グループでしか見られないが、シャーシメーカー純正ボディであれば名鉄バス(三菱ふそう)や中国JRバス(いすゞ)などでも見られる。 - 一つ目
初期の日野・レインボー、或いは排ガス規制PKG-以降のブルーリボンⅡやPDG-以降のレインボーⅡを指す。通常のバスが片方が左右、あるいは上下ハイ/ローそれぞれ1灯づつで片側2灯なのに対して、一つ目の車両は片側はハイ/ロー一緒で片側1灯となったことからこの名前がある。日野純正車体以外でも富士重工で架装した車両はごく初期は一つ目であり、非常に強烈な姿であった。なお、初期のレインボーでも特注で片方2灯が選べ、排ガス規制がU-になったころに2つ目が標準となった。 - ブルーリボンカラー
主に国際興業バス系列で導入されている塗装である。具体的には車両上部と下部は太い紺色・基調は白や薄い青など・前ドア付近に赤と白の縞のアクセントを備えた塗装である。本文中にもある通り、元々は日野のセンターアンダーフロアエンジンのバスの車体に採用された塗装である。国際興業バス以外に各地のバスでアレンジを受けながらも採用されていった。今日における採用はかなり少なくなっているが、国際興業系の会社の貸切車で多く見られる。 - ボンネットバス
文字通りボンネットを備えたバスの形態の事である。客室とは隔絶されている為、騒音が比較的少ない事やドライバー視点で見た場合に路肩に寄せやすいなどの運転感覚の掴みやすさから狭隘路線で重宝された。ベース車両の生産中止や道路事情の改善によってボンネットバスは淘汰されたが、箱形車体がメインにあって、ボンネットバスの車両形態は個性的であり、ボンネットバスを観光の目玉として運行する会社も存在する。現存する車両の大部分が人気の車種であり、トラックでも売り上げの多かったいすゞ製である。また観光以外にも岩手県北自動車では冬季限定ではあるが、積雪のある路線に4WDの設定があったいすゞのボンネットバスを21世紀の今日でも路線バスとして運行している。国外ではもっぱらアメリカや南米大陸で見られる。アメリカに限った話ではその国土の広さからボンネット付きでも差し支えが無く、また衝突安全性で優位な事、アメリカ車で人気のピックアップトラックのコンポーネンツを使える点から採用が多いと思われる。 - マーキュリーカラー
東急バス、および系列のバス会社の貸切車両に採用されている塗装の事。白を基調に青や赤、オレンジで構成されており、今なお細かい部分をアレンジしながらも導入がなされている。なお地方の系列会社では路線車両にも採用されている事が多い。由来は登場時の貸切バスの名称である「SSマーキュリー109」から。 - メトロ窓
側面窓が左右引違いで開閉可能になっている窓のこと。アメリカで運転されていた高速列車「メトロライナー」の窓の形状が由来。 - 免許制
かつて存在したバスの営業制度の一つである。需給調整規制に依った制限の下、貸切の場合はエリアにおける免許、路線バスは路線ごとに免許を交付して営業する形式である。規制があるため、新規参入は困難を極め、個人タクシーの権利並みに狭い枠であった。また、路線バスの場合は収益が見込まれる路線の開業、逆に撤退に際しても煩雑な手続きが必要であり、また交付された免許を塩漬けにはできないので運行実績を作らなければならなかった(いわゆる免許維持路線)その代わり、一度免許を取得出来れば余程のことがない限りは取り上げられることもなく、また排他的に経営ができるため利益を独占することもできた。この為、割合に高い水準のクオリティや従業員への給与も保証されていた。貸切については2000年、路線バスは2002年に許可制へ移行し消滅した。現在では免許維持路線という名称に名残を残している。 - モヤシ・ウナギ
先述の中型ロング車のうち、特にノンステップ車のこと。由来はワンステップ車に比べて車高が低く、細長く見えることから。特にレインボーHRの10.5m車を特にモヤシと呼ぶ。 - ユーザー限定供給
コーチビルダーにおいてある特定のユーザー向けに限ってシャーシを供給すること。末期の西工における日産ディーゼル以外のシャーシへの架装はほぼユーザー限定供給だったと言われている。
- 傭車
貸切バスにおいて、繁忙期の為に車両不足となったり、故障などの突発的なトラブルで運行できなくなった場合に同業他社に依頼をして運行される車両の事。庸車とも書く。同じ塗装のバスが隊列を組んでいる中でポツンと1台異なる車両がある場合は多くの場合では庸車であるケースが多い。傭兵の「傭」と「車」の合成語である。なお、対義語は備車である。なお、高速バスにおいては続行便などで貸切事業者が出てくる場合もあるが、こちらは運行委託であり庸車ではない - よだれかけ・バスマスク
バスの前面につけられる垂れ幕のような布の俗称であり、鉄道で言う所のヘッドマークに類似する。用途としては新路線のPRや交通安全運動期間中における交通安全の啓蒙、自社の運転手募集などがある。かわったところでは神奈川中央交通が料金の支払い・バスの乗車方法の変更のPRで使用している。 - 4列ワイドシート・楽座シート・ワイドシート・ゆったりシート
一部の高速バス事業者で導入されている補助席をなくしてその分正座席の幅を広く取り、大きめのセンターアームレストとヘッドレストを設置した座席のこと。ちなみに楽座シートの名称はJRバス関東とジェイアールバステックが使用しており、4列ワイドシートの名称はJR東海バス、西日本JRバスが使用している。それ以外の事業者で同等の座席はワイドシートやゆったりシートという名称を使用している。
- 老狗
こう書いて「ラオクー」と読む。台湾のバスファンが使う言葉ですでに引退したアメリカMCI製のバス車両を指す。アメリカ製のバスがアメリカ大陸以外で運用された非常に珍しい例であり、国光客運にて運用されていた。もともと台湾のバスファンからはこのバスが大量に運用されていたアメリカのグレイハウンドバスをそのまま翻訳した「灰狗(巴士)」のあだ名があり、その塗装もグレイハウンドバスをアレンジしたものになっていた。1980年代ぐらいより導入され新型モデルが出るたびに導入されていた。最後に導入されたのは1990年代初頭である。その後、導入から年数がたつにつれて、老犬を意味する「老狗」というあだ名に変化していった。台湾で走るどのバスよりも大型であり、また桃園国際空港と台北中心部を結ぶバスとして日本国内のバスファンや観光客も知る人ぞ知る存在であった。アメ車らしく頑丈であったが、老朽化のため、2016年初頭を持って20年以上の活躍に終止符を打った(通常のバスは10年少々で引退)引退はニュースとなり、多くの公車迷が最後の姿を写真に収めた。引退の段階で30台程度が在籍していたとされ、大部分は売却、残りは最後まで運用をしていた国光客運と台湾の交通部門で保存されるとのことである。 - 連節バス
通常のバスの後ろにもう一台車体をくっつけた車両を指す。連接バスと表記する場合もある。大量輸送を念頭に置いており、全長が18mになる車両がある。しかし、日本では主に軸重や非常口といった保安関係で基準が欧米よりも厳しいために走行させるにも警察などへの許認可が必要になる。とはいえ、多くの旅客を乗せられることや人件費でもメリットが大きいのでいくつかの都市・事業者では導入が増えている。なお現状、国産メーカーでカタログモデルがないので輸入車が独壇場となっている。欧米では二階建てバスの連接バスという、大量輸送の切り札ともいえるべき車両が存在する。駆動方式は前の車両にエンジンを搭載して第2軸で駆動して後ろの車両をけん引するタイプと、後ろの車両にエンジンを搭載して推進するタイプがある。前者は第3軸を操舵できるため、運転感覚を通常のバスとほぼ同じようにできるのだが、バリアフリー対応に難があるため、採用が減っている。対して、後者の場合はノンステップエリアを確保しやすいといったバリアフリーに対応できる反面、後部車輛の感覚はトレーラーに似ているため、かなり運転に癖とコツが必要である。運転に必要な免許は大型2種免許のみである。これは2両を切り離しての運行が不可能であるという解釈がされているためである。 - レントゲン車・検診車
JRバス関東に在籍していたH658-01415号車のこと。JRバス関東で唯一西工S型車体を架装する車両で、中近距離の高速バスなど運用されていた。由来はS型が検診車のベース車に選ばれることが多いから。
最後は長野原支店に所属し、路線・貸切などで使用されていたが2021年夏に引退し、除籍された。除籍後も長野原支店で保存されている模様。 - ロケット
バスの屋根に乗っかっている円柱状の部品の事で、今ではバスでみることはほとんどなく、もっぱらデコトラに見られる。元々ははとバスがクーラーのダクトを取り付けるために採用したもので、単なる装飾ではなく室内空間を広くとるために採用したのが始まりとされる。その後、アフターパーツとして観光バスで広がりを見せたが、これらはあくまで飾りであった。しかし見た目のインパクトの強さから、1990年代ぐらいまでは結構見られた装飾であるが、最新モデルではロケット部分が浮いてしまうのか、2000年代以降で新車で取り付けている例はほとんど見られない。 - ワンロマ
通常の路線バス車体でありながら、その装備が観光バス並みの車両を指す。「ワンマン・ロマンスシート車」の略であり、実際に社内の用語として使われている。高速道路を経由しての運送ができるよう、各座席に2点式以上のシートベルトが完備されているものも多い。元々、京王帝都電鉄(バス・当時)が自社の運行する中央高速バスの続行便などにも兼用できるようにと、車内設備を良くした所から始まった。当初は路線バスそのものだった外観も、年を追うにつれてだんだん観光バス仕様のものを取り入れたりと大きく変化をしていった。しかし、高速バスとして使用する場合、いかに高出力車をチョイスした所で本格的な車両と比べてもパワー不足は否めず、言わずもがなトイレもなく、また路線バスとして使用した場合は混雑した路線においては詰め込みが効かず、中途半端な立ち位置となってきた。他の事業者では平常時は路線バスとして使用し、日帰りや短距離の貸切や、緊急(車両不足・工事渋滞など)時の高速路線予備車に時々使われるケースが見られるが、「深夜急行バス」を運行している事業者ではワンロマ車(および後述の「トップドア車」)を宛てがうケースが多い。
関連動画
バス走行音。同一形式であるが、左は5速オーバードライブ、右は5速直結である。
車窓。バスの場合は前窓が大きいので前面展望も割かし容易である。
鉄道でおなじみの迷列車シリーズのバス版も存在する。新たなバス趣味の傾向として注目すべきであろう。
関連項目
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- 0pt