バス停[―てい]とは、バス乗降客のために規定された停車場所、またはそこに設置されている標識や施設のことである。
概要
「バス停留所」の略称だが、日常会話では「バス停」と呼ばれることが多い。特に高速道路本線上に存在するものは「バスストップ」とも呼ばれる。
一般的には、標識(ポール)でその場所が示されるのであるが(例外あり:後述)、バス停によってはベンチや屋根も設置されている。
基本的に乗車・降車のいずれも可能であるが、場所や道路の規制(一方通行など)、出発地近く(乗車専用)や終着地近く(降車専用・バス停の建植や、それ自体はあっても通過時刻表示については省略する場合もある)、座席定員制の都市間高速バス(都市内完結の輸送は引き受けない場合が多い)や、都市部の事業者が既得権を持つ地域への乗り入れ、過去に離島であった島内のみで営業していたバス事業者が、架橋などの理由で本土で既に営業していた他社エリアに乗り入れた場合などといった「クローズド・ドア・システム」を取る場合などによっては、乗車または降車の一方のみを取り扱う、というバス停も見られる。これも事業者同士の「大人の事情」が多く見受けられるので、研究対象となる。
バス停は一般道に設置されていることが多く、これが複数のバス停の集合体となっている大規模施設である場合は、「バスターミナル」などと呼ばれ、主に都市部の駅前・繁華街および商業施設内などでよく見られる(以下で詳述)。
特性上、地名などが由来の変わった名前のバス停が存在し、しばしば「ナニコレ珍百景」でも取り上げられることがある。
加えて、近年は路上に新規の停留所を設置する場合、事業者や自治体が、そこに面した住宅・事業所および、町内会などの住民自治組織などから許可を得る(あいさつ回りを済ませる)場面も少なくないようだ。後述するように、喫煙・ゴミなど、バス停が建ち、路線が走り始めてから、バス利用者が目の前の住民などに迷惑をかける可能性も否定できないからである。
形状などいろいろ
一般的に「(社章・CIマーク)事業者名」「バス停名」「路線名や系統名・主たる行先・通過予定時刻」の表示は事実上必須である(順序は各事業者によって異なる)。材質は鋼鉄・軽金属・アクリル板やFRP、果ては木製など、形状はいかに有り体な「バス停」然としている円板に金属管とコンクリート製土台を組み合わせたものから、オリジナリティあふれるものまでさまざま。コンクリートの土台で少々の風でも倒れないよう工夫されている場合が多いが、大都市部には主に「行灯式」など(一般形状のバス停でも見られる)で、土台ごと道路にコンクリートで建植されることを許諾(悪ふざけで倒して放置、などの悪戯対策と類推される)している例も見られる。
また、平成14年に公布された「健康増進法」の施行により、大多数のバス事業者が管理するバス停には「バス停周囲での禁煙」をお願いする旨の文、もしくはピクトグラムの掲示がなされることと併せて、バス停自体やその近傍(ガードレールなど)から灰皿あるいは、たばこの吸い殻を処分する目的で付けられていた容器(業務用油脂類や調味料の空き缶など)は、バス停前がたばこ取扱店でもない限り2000年台初頭から姿を消しつつある。飲料空き容器などのポイ捨てを戒める同様内容の表記がなされること、およびゴミ箱の撤去なども同様である。
この先はあくまでも事業者側のオプションで「(停留所名の)ひらがな(または第1外国語・第2外国語・第3外国語…キリがないので割愛)」「路線バスのピクトグラム」(類似地点に複数の系統が発着してそれぞれ別の箇所に発着する場合は「丸囲みの数字」)「系統図・路線図」「運賃」などがあれば、初見の客も比較的乗りやすいであろう。更には「乗降方法の説明(通用する交通系ICカード)」「自社サイトのURL/モバイルサイト・高速バス予約サイト誘導へのQRコード」「近隣出稿元の広告(◯◯入口)など」「自社高速バスの広告」「次のバス停名」など。
変わった例では「時刻表横ボタンを押すとLED光で光る」(両備グループ・しずてつジャストラインなどの一部基幹路線かつ、ある程度本数が設定された暗めの場所)、防水クリアケースを据え付け、中に高速バスのチラシを込めて「ご自由にお取りください」(JR東海バスと他社との共管路線ほか)などもある。
- 俗に「しらゆり型」と呼ばれるもの(首都圏の私営事業者や、静岡県西部の遠州鉄道などで見られる。東京キー局制作のTVドラマ・CMやアニメなどにも頻出する、一般的なアルミの枠に、上から運行事業者名・バス停名・系統図・時刻・連絡先などが記され、アクリル板であしらった、首都圏居住者および、関東地方の事業者などでオーソドックスなスタイルのバス停)。遠州鉄道には「バスロケーションシステム」を内蔵した珍品もある。なぜか関東公営3局(都営バス・川崎市営・横浜市営)では、他社と共用のものを除いて採用例が少ない(ようだ)
- 「PFI方式」で2003年から主要都市中心部のバス停に広がる「大型電照広告・風防付きバスシェルター」(基本は電照広告幕が横浜市のように1~2分間隔で回転して、出稿元が別の広告に変わるのであるが、他都市では夜半に1回転するだけなど、まだまだ保守的である。機構としては、同様広告があるイオン旗艦店各店や、諸外国に設けられたそれのように10~30秒間隔で高速回転可能)
- 茨城交通や中国地方標準(それぞれ意匠は別)で見られる、昭和デザインにしてはお洒落なスタイルのもの
- 富士急行グループで使われる、鉄製で寸胴、堅牢なもの
- (以前)山梨交通などで見られた、黒地の時刻表に白ペンキで時刻を記すもの
- 伊豆半島や四国などで見られる、木製で簡易な「卒塔婆」形式のもの
- 都市部でオーソドックスな「行灯型」
- 「バスロケーションシステム」のシステム比較研究
- 昔懐かしい「酒」「切 〒 手」の軒先ホーロー看板…のような、民家や商店などの軒先への吊り下げ式バス停(長野県伊那谷・広島県瀬戸内地域、ほか)
- ほかにも、関西地区の事業者のものは社局ごとに独自仕様が数多い
- 記された情報が適正量か、実際の白黒地図にカラーで路線をトレスするなどの表示がなされ、初見客にも親切か、逆に内部資料を貼り付けただけのように見えるだけで、破滅的なまでにわかりづらいか
- 「バス『ターミナル』」であるか、「バス『センター』」であるか? 他にも、東北地方には「バスプール」と呼ばれる施設があったり、北海道・道東方面には「バスタッチ」という案内表記(道外者から「わかりづらい」との声を受け減少傾向)、福岡の博多駅前には、かつて「博多駅交通センター」(やはり「博多バスターミナル」に改称)が施設名として存在した。
などがある。
ほかにも、郊外や山間地(特に冬場の天候が安定しており、バス停に雪除けなどの必要がない太平洋側)などには、道路の片側だけにバス停があり、逆行きのバス停設置を省略しているパターンが見られる。都市部居住者がこれを見ると驚いたり、中には非常識と感じる人もいるようだが、田舎では別に非常識なことでもなく、ローカルバスにありがちな光景である。これを「片停」(かたてい)などと呼ぶ。よく見ると1本のポールに、双方向のバスの時刻が明示されているはずである。この場合、通常なら主に市街地行きの車線の脇に置いてあるのだが、あてはまらないパターンも間々あるのでなかなかの初見殺しである。このようなバス停の反対側車線を通るバスに乗車したい場合は、見通しが悪いような箇所を除いて、原則その目の前で待っていれば乗降扱いをしてくれるはずである。
最近は監督諸官庁が色々とうるさいので、バス停近くでボッ立っている人がいるだけでも通過しようとするバスが、律儀に一旦停車し、乗り口の扉を開け閉めしてから発車することが多い(特に複数の系統を持つバス停)。これに気まずい思いをした読者や、その家人も結構いるのではなかろうか。途中バス停から単独で乗車したい意思を示す場合は(正面の行先と自分の目的地を確認して)恥ずかしがらずに挙手したり、乗車カードを横に差し出したりしてみよう。これが現業の運転士としてみれば、意外に有難いものらしい。
たすかります あげてください あなたの手
複数系統ある郊外行きバス停、日中、好天で、意中の系統ではない車両が来た場合に腕で大きく「×」…これは「プロ向け」。もし物陰に、別の誰かがそのバスを待っていた…なんて事になると、割と洒落にならないのでお勧めできない。あくまでもテクニックのひとつとして参考までに記述しておきたい。
また、厳密にはバス停とは異なるが、都市部の住宅街などに交差点での進路変更が数多い新設路線が開設されると、しばらくの期間、交差点直近に「← バス」などと記載されたバス停標識を流用した表示が掲出されることも珍しくない(各自治体が所管するコミュニティ路線など)。もちろんこれは専らバス運転士に宛てた表示であり、バス停ではないが、スタイルはバス停留所そのものを流用している場合が多いため記しておく。
基本的に路線バスは、停留所(道路が混雑している場合は停留所前後)以外での乗降は取扱わない(この点も監督諸官庁の目が厳しくなっている・乗り間違いなどを乗客が申告し、運転士裁量で無賃乗車を認めた場合でも「次のバス停で下ろしますから待ってね」となる)のであるが、観光地・山間部、および夜間の住宅団地内など(降車扱いのみ、防犯の観点もある)を中心に「自由乗降バス」などと呼ばれる、バス停以外の任意の地点で乗降(夕刻以降時間を定めて限定、降車のみ任意の場所、乗車は所定のバス停のみ、などというパターンもある)を取り扱うバス・路線も存在する。この場合であっても、ほとんどの場合正規のバス停が存在し、時刻や系統の公衆への掲示と、運賃区界のために設置されている。またこれら路線で本数設定が僅少の場合、運用に就く車両の屋根上には、移動販売車のようにスピーカーを付けて何らかのメロディを鳴らし、区間内で接近・通過を知らせるものも存在している。もちろんトンネル・交差点の前後など、道路交通法に抵触する場所および、その他不適切な場所では乗降できない。この制度をフル活用して乗下車した場合の運賃は「乗車地点が含まれる運賃区間(乗車場所手前の正規のバス停)」から「下車地点のそれ(下車場所の先の直近の同じく)」まで。
関連動画
関連静画
何気に「バス停」を題材にした絵は多く、様々な様態のバス停を見ることができる。
主なのは「バス停で待つ人物」を描いた絵で、「雨宿りの風景」として描かれているものも多い。
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関連項目
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