バットマン(BATMAN)とは、DCコミックス社のアメリカン・コミックスのタイトル、及びその主人公の名前。
概要
原作はアメリカのDCコミックス社が1939年から出版している人気シリーズ。アメリカの架空の都市ゴッサムシティを舞台に、大富豪ブルース・ウェインが黒衣のヒーロー・バットマンに扮して悪と戦う。
ボブ・ケインとビル・フィンガーによって生み出された本作は、発表当初から好評を以て迎えられた。だが50年代に制定されたコミックコードが影響し、次第に明るくかつ当たり障りのない雰囲気にシフトしていく(66年から68年にかけて放送された実写ドラマはその象徴と言える)。転機は70年代、デニス・オニールとニール・アダムズのコンビによりもたらされる。彼らの写実的かつスタイリッシュな作風は、バットマンを暗黒街のクライムファイターへと回帰させた。
そして決定打となったのが1986年、フランク・ミラーが発表した外伝コミック『バットマン:ダークナイト・リターンズ』である。そのリアルかつダークな世界観は、シリーズそれ自体の認識を根底から覆すのみならず、アメコミ界にかつてない衝撃を与えた。
実写映画
1989年にティム・バートンによる映画『バットマン』が公開、日本にも配給されて大ヒットした。
その後も『バットマン・リターンズ』『バットマン・フォーエヴァー』が作られ、その都度人気を博すが、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』で興行成績が低迷。シリーズは一旦途切れるものの、クリストファー・ノーラン監督の『バットマン・ビギンズ』にて設定を一新の上で再開。2008年には続編『ダークナイト』が公開され、高い評価を得た。2012年の『ダークナイト ライジング』をもってノーランによるダークナイト三部作は完結。2016年、ベン・アフレックを新たなバットマン役に据えた『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開、2017年には『ジャスティスリーグ』でも中核を担う。2022年にはロバート・パティンソンをバットマン役に据え『ザ・バットマン』のタイトルで再度リブートされた。2025年には『ザ・バットマン』の続編が予定されているほか、2025年以降にDCユニバースのメインストリームでもブルース・ウェインの物語『ブレイブ&ボールド』が予定されている。
アニメ
また、1992~1999年にかけて製作・放映されたTVアニメ『バットマン:ジ・アニメイテッドシリーズ』も好評を博し、同作オリジナルヴィランのハーレイ・クインは本家コミックへと逆輸入もされ、2016年に『スーサイド・スクワッド』にて実写デビューを果たした。
ゲーム
2009年にはゲーム『バットマン:アーカム・アサイラム』が発売。「世界でもっとも販売されたヒーロー・ゲーム」としてギネスに登録された。『バットマン アーカム・アサイラム(ゲーム)』の記事を参照。
バットマンのキャラクター像
※イヤーワン以降のおおまかな設定を書くが、各媒体ごとに細かな設定は異なる。
あらすじ
アメリカ東海岸ゴッサムシティの大富豪ウェイン家の一人息子、ブルース・ウェインは映画『怪傑ゾロ』を観に行った帰り道に強盗に襲われ、両親を失ってしまう。
復讐を誓ったブルース少年は世界放浪の旅に出、数年かけて世界各地であらゆる格闘技と知識を学びゴッサムシティに帰還する。
ブルースは当初顔を隠す程度の変装で犯罪と戦おうとするが失敗。
より強烈な方法で敵に恐怖を与える必要を覚え、コウモリからインスピレーションを受けバットマンとなることを決意する。
バットマンの戦いによりゴッサムシティから当初いたギャングは一層されるが、バットマンを恐れないより凶悪なギャングと狂気を抱いた犯罪者達が現れ、街の状況は混沌としていく。
設定
- 現在のバットマンには主に二つのルールがある。「人を殺さないこと」「銃器を使わないこと」である。
これは少年時代、強盗の拳銃により両親の命を奪われたことが原因となっている。しかしながら作品によっては銃器を、人を殺めない形で使ってるシーンや間接的に使ってるシーンもある。
人殺しも同様で、映画『バットマン ビギンズ』のラストではヴィランを見殺しに近い形で始末している。 - 同じくDCユニバースのヒーローであるスーパーマンやワンダーウーマンなどとは違い、彼自身は一切の特殊能力を持たない普通の人間である。
だが極限まで鍛え上げた肉体と鋭敏な頭脳、各種ガジェットと金の力を駆使していかなる敵にも敢然と戦いを挑み、難事件を解決に導くその姿から、「闇夜の騎士」「世界最高の探偵」との異名を取るに至る。 - 現在のバットマンで度々取り扱われるテーマが「バットマンとヴィラン(悪役)の狂気」である。
バットマンは狂気を抱いた犯罪者達と戦うが、コウモリの装束で犯罪者に私的制裁を加える彼もまた、法律を犯している点では犯罪者も同然であり、ひいては狂人なのではないか…という問いが作中で度々なされており、これについてはいまだ明確な答えは出ていない。
登場人物
コミックシリーズ一覧
末永く続いているシリーズのためニコニコ大百科に記事がある作品だけを載せる。
実写映画シリーズ一覧
初期4作
ティム・バートンの実写化作品に始まる4作品。
バートンの監督した1作目、2作目は評価こそ高かったがバートンらしいダークでクリーピーな世界観で、一般受けという面ではいまひとつだった。
そのためかシューマッカー監督の3作目以降は、ノーテンキなアクションムービーになっている。
しかしそのノーテンキさがバットマンの作風にイマイチ合わなかった上、4作目の評価と人気が非常に低かったので打ち切られた。
バットマンを演じたのは『バットマン』『バットマン・リターンズ』ではマイケル・キートン。『バットマン・フォーエヴァー』ではヴァル・キルマー。『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』ではジョージ・クルーニー。
- バットマン(監督:ティム・バートン)
- 1989年公開。ヴィラン(悪役)はジョーカー。
- バットマン・リターンズ(同上)
- 1992年公開。ヴィランはペンギン。キャットウーマンが登場。
- バットマン・フォーエヴァー(監督:ジョエル・シュマッカー)
- 1995年公開。ヴィランはトゥーフェイスとリドラー。バットマンの相棒ロビンが初登場。
- バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(同上)
- 1997年公開。ヴィランはアーノルド・シュワルツェネッガー扮するMr.フリーズとポイズン・アイビーとベイン。
ノーラン3部作
クリストファー・ノーランを監督に迎え、レジェンダリー・ピクチャーズとワーナー・ブラザーズによって、世界観を一新して製作された新シリーズ。通称『ダークナイト・トリロジー』。
2作目『ダークナイト』は特に評価が高く、アメコミムービーの枠を超えた傑作として認知されている。
2012年公開の第3作を持って完結、下記のDCエクステンデッド・ユニバース作品群へとバトンを渡す。
バットマンを演じたのは三作ともクリスチャン・ベール。
- バットマン ビギンズ(監督:クリストファー・ノーラン)
- 2005年公開。バットマンの誕生秘話を描く。ヴィランはラーズ・アル・グール、スケアクロウ。実はMr.ザズーも。
- ダークナイト(同上)
- 2008年公開。映画シリーズで初めてタイトルから『バットマン』が外された。ヴィランはジョーカー、トゥーフェイス。5分間だけスケアクロウ。
- ダークナイト ライジング(同上)
- 2012年公開。キャットウーマンとロビンが登場。ヴィランはベイン、タリア(ラスボス)。時々スケアクロウ。
DCエクステンデッド・ユニバース関連作
2016年に公開された『バットマンvsスーパーマン』は、『マン・オブ・スティール』の続編となっており、DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)の一作として後のDC版アベンジャーズといえる『ジャスティス・リーグ』に繋がっていく形となっている。この項ではバットマンが登場したDCEU作品を記載する。
バットマンを演じたのはベン・アフレック。
- バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(監督:ザック・スナイダー)
- 2016年公開。原題は『Batman v Superman: Dawn of Justice』であり、本編の内容を踏まえてあえて「v」としたのが「vs」になっていたり、『ジャスティスの誕生』とちょっとイミフなサブタイになっていたりと邦題については批判が多い。ヴィランはレックス・ルーサー、ドゥームズデイ、そしてスーパーマン(?)。ワンダーウーマンも登場。
- スーサイド・スクワッド(監督:デヴィッド・エアー)
- 同じく2016年公開。上述した『ジャスティス・リーグ作品群』の正史に収まるヒーロー映画ならぬヴィラン映画。監督は『エンド・オブ・ウォッチ』や『フューリー』等で有名なデヴィッド・エアー。デッドショット(演:ウィル・スミス)、ジョーカー(演:ジャレッド・レト)、ハーレイ・クイン(演:マーゴット・ロビー)など有名ヴィランが数多く登場!バットマンはハーレイクインとジョーカーの逮捕シーンやラストのブルース・ウェインとしての登場など、カメオ出演に近い扱い。
- ジャスティス・リーグ(監督:ザック・スナイダー、ジョス・ウェドン)
- 2017年公開。元祖ヒーローチームが待望の実写化。ジャスティス・リーグのメンバーはワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュ、サイボーグ、そして彼らのまとめ役としてバットマンが奮闘する。ヴィランにはパラデーモンの軍団とBvSアルティメット版追加映像で顔見せしたステッペンウルフ。
このあとのDCEUのバットマン単独作として『ザ・バットマン』が制作される予定でベン・アフレック監督・脚本・主演という企画だった。が、アフレックが多忙のため監督を降板。代わりに「猿の惑星:新世紀」等で知られるマット・リーヴス監督が引き継ぐことになった。当初予定されていた脚本などを白紙に戻して一から制作をスタートしたものの、その後アフレックは主演も降板。のちのインタビューでは飲酒問題に苦しんでの事だったという。結果的に『ザ・バットマン』は下記の再リブート作として完成した。
- ザ・フラッシュ
- 2023年6月23日公開予定。『ジャスティス・リーグ』で登場したフラッシュの単独作だがバットマンも登場する。今作では2名のバットマンが登場すると発表されており、演じるのはベン・アフレックに加えて、『バットマン・リターンズ』以来のマイケル・キートン。二人のバットマンがどのように絡むのかも見どころである。
- 『ジャスティス・リーグ スナイダーカット』という例外を除いて、長くDCEUを離れていたベン・アフレック演じるバットマンの復帰作となる。
- アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム
- 2023年12月25日公開予定。『アクアマン』の続編。2022年7月まで登場は秘匿されていたが、7月末にベン・アフレックが追加撮影現場に来ているという情報が洩れ、アクアマンを演じるジェイソン・モモアがSNS上で情報を追認する投稿を行った。
2022年12月のDC映画の新体制構築に伴い、2024年以降のDCEUでのバットマンの扱いがどうなるかは先行き不透明となっている。2023年2月のジェームズ・ガンによる発表ではDCユニバースメインストリームのバットマンの映画は『ブレイブ&ボールド』で2025年以降に予定されている。
再リブート作
- ザ・バットマン(監督:マット・リーヴス)
- 2022年3月公開。若き日のバットマンを描く。DCEUとは独立した作品。
- バットマンとして活動を始めて2年目という時期を描いており、これまでのベテランヒーローだったバットマンとは異なる描写が期待される。
- バットマンを演じるのはロバート・パティンソン。
- ヴィランはリドラー、キャットウーマン、ペンギン。
- ザ・バットマン続編
- 2022年4月に制作が発表された。公開日時などは2023年2月時点では2025年10月3日となっている。
- 監督のマット・リーヴスと主演のロバート・パティンソンは続投する。
外伝作
- GOTHAM/ゴッサム
- 2014年から2019年に放送されたTVドラマ。若き日のゴードン刑事を主人公に据え、ウェイン夫妻殺害事件を軸にゴッサムシティで巻き起こる事件を解決していく物語が展開される。後にバットマンとなるブルース少年との友情や悪役達のバックストーリーも語られる。メインキャラとしてペンギンことオズワルド・コブルポットがフィーチャーされている他、ジョーカーを連想させる少年犯罪者ジェロームの存在も見逃せない。
- キャットウーマン(監督:ピトフ)
- 2005年公開。キャットウーマンはハル・ベリーが演じたが、いずれの映画シリーズの正史にも組み込まれず、ラジー賞を受賞してしまうなど評判は良くない。本作のキャットウーマンは「ゴッサムシティのセリーナ・カイル」とはまったくの別人である。
レゴシリーズ
映画
レゴを題材にした3DCGアニメ映画のシリーズ。レゴバットマンの人気によりバットマンの存在感は強い。
以下の2作は本物のレゴがそのまま動いているかのような映像やユーモア溢れる脚本で非常に評価が高い。
- LEGO ムービー(監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー)
- 2014年公開。主人公エメットと共にメインキャラクターとして活躍するのだが、今作のバットマンはタフガイ気取りのナルシスト、いわゆる中二病といった性格づけになっている。一人称は「俺様」。
声の出演:山寺宏一。ジャスティス・リーグの仲間達も登場。 - レゴバットマン ザ・ムービー(監督:クリス・マッケイ)
- 2017年公開。前作に引き続きバットマンに対するパロディや皮肉が満載なのだが、今回はそれと同時にある意味でバットマンシリーズの核心に迫る、愛に満ちた作品でもある。ロビンにバットガールや大量のマイナーヴィラン等のバットマンファミリー、DCキャラクターに加えて、サウロンらレゴ世界の大物ヴィランたちも登場するオールスターとなっている。四足歩行のバットビークル「スカットラー」が新登場。
ゲーム
ニンジャバットマン
それは、予想外の化学反応<ケミストリー>――
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