バトルシップ(英:Battleship)とは、以下のものを指す。
- 戦艦。軍艦のうち、水上戦闘艦艇の中で最も大砲火力と装甲防御に優れる艦種を指す。
なお、「Battle Ship」はスペルミスとされる。 - ボードゲーム。5×5のマス目に艦艇ユニットを配置し、お互いに相手の艦艇を狙うゲーム。ハズブロが版権を保有する。
- 2012年春にアメリカで製作されたSF映画。上記2のボードゲームを原案とする。
もしかして:SPACEBATTLESHIPヤマト
本記事では3について解説する。
映画「バトルシップ」
概要
ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品。2億ドル以上の高額な制作費が投入された。
日本でのキャッチコピーは、「人類の明日をかけた戦いは、海から始まる—」
- 製作会社:ハズブロ、ブルーグラス・フィルムズ
- 監督:ピーター・バーグ
- 音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
- 挿入歌 AC/DC 「Thunderstruck」、CCR 「Fortunate son」、ピンクパンサーのテーマ
「戦艦が簡単に沈むか!」
あらすじ
21世紀初め、太陽系外に地球型惑星「プラネットG」が発見された。
プラネットGに存在するかもしれない知的生命体との交信を試みる国際ビーコンプロジェクトが立ちあげられ、ハワイ・オアフ島に造られた送信施設より、通信衛星を介した交信電波送信が開始された。その頃主人公は窃盗罪で現行犯逮捕をくらってた。
2012年、パールハーバーにて世界14ヶ国の軍艦が集結し、環太平洋軍事演習「リムパック(英:RIMPAC)」が始まる。
そんな中、主人公アレックス・ホッパー大尉は因縁のある海上自衛官ナガタ一佐と開催式が行われた戦艦「ミズーリ」内で喧嘩騒ぎを起こす。もともと素行に問題があったアレックスは恋人の父親にして、自身の上官であるシェーン提督からリムパック終了後の懲戒免職処分を突きつけられる。
リムパック開始2日目、プラネットGの方角から編隊を組んだ謎の飛行物体5個が地球に飛来、そのうち1個が人工衛星と衝突し香港に落下、甚大な被害をもたらす。
残り4個はハワイ沖に落下し、リムパック参加艦からアレックスの乗艦する「ジョン・ポール・ジョーンズ」、ナガタ一佐の「みょうこう」及びアレックスの兄ストーン・ホッパーが艦長を務める「サンプソン」の3隻が確認に向かうと、そこにはレーダーに映らないエイリアンの母船が鎮座していた。
突如、機動した母船から発生したバリアにより物理的・通信的に隔離されるハワイとイージス艦3隻。
そしてエイリアンたちの作戦が開始される。
通信を妨害され、高度な戦闘システムも利かない最悪の状況で、アレックスたちの戦いが始まる!
登場人物
- アレックス・ホッパー(演:テイラー・キッチュ)
- 本作の主人公。米海軍大尉で「ジョン・ポール・ジョーンズ」の武器士官。
定職に就かずフラフラしていた所を兄ストーンに見咎められて海軍に入隊。現在上官のご令嬢のサマンサと恋愛中。非常にすぐれた知性をもっているが粗暴で衝動的な性格からトラブルやミスが絶えない。 - ユウジ・ナガタ(演:浅野忠信)
- 本作の準主人公。海上自衛隊1等海佐で「みょうこう」艦長。
小説版によると前回のリムパックにおいてアレックスの乗るボートとニアミスを起こしておりそれ以来犬猿の仲。
上官の艦隊司令は「みょうこう」ではなく別の艦に乗艦している。 - ストーン・ホッパー(演:アレクサンダー・スカルスガルド)
- アレックスの兄。米海軍中佐で「サンプソン」の艦長。劇中前年のリムパックでは「サンプソン」を最優秀艦に導いた、超優秀な艦長。弟アレックスを気にかけてはいるが一向に成長しない彼に失望している。
- サマンサ・シェーン(演:ブルックリン・デッカー)
- アレックスの恋人。愛称はサム。米軍の施設で理学療法士をしている。アレックスとの恋のきっかけはチキンブリトー。
- シェーン提督(演:リーアム・ニーソン)
- サマンサの父親にしてアレックスの上官。米海軍大将でリムパックの演習指揮官として空母ロナルド・レーガンに乗艦する。アレックスとサマンサの交際を認めてはいない模様。この映画では宇宙人に対して96時間はしないしライトサーベルを振り回したりもしない
- コーラ・レイクス(演:リアーナ)
- ウォルター・“ビースト”・リンチ(演:ジョン・ツイ)
- ジミー・“オーディ”・オード(演:ジェシー・プレモンス)
- アーレイバーク級駆逐艦「USSジョン・ポール・ジョーンズ」の乗組員。アレックスの部下。
- ミック・キャナルズ(演:グレゴリー・ガドソン)
- 米陸軍退役中佐。過去の負傷で両足を失い、現在義足によるリハビリを行ってるが本人の気持ちは立ち直っていない。サマンサとリハビリのため山登りをしていた際にエイリアンの事件に巻き込まれる。
演じるガドソンは本物の退役軍人(陸軍大佐)で、義足もイラクでの仕掛け爆弾による負傷によるものである。 - キャル・サバタ(演:ハミッシュ・リンクレイラー)
- ハワイの国際ビーコンプロジェクトの観測員。典型的ヘタレアメリカンオタク。宇宙人とのコンタクト計画はあまり気乗りしていなかった。
登場兵器(地球側)
- アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦
- 本映画の準主役艦。アレックスの乗艦として3番艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」と、兄ストーンが艦長の52番艦「サンプソン」が登場する。なお実際のジョン・ポール・ジョーンズにはヘリ格納庫、サンプソンには前甲板にCIWSを装備していないのだが劇中では気にしてはいけない。
- こんごう型護衛艦「みょうこう」
- ナガタ一佐が艦長を務める海上自衛隊イージス護衛艦。外見があたご型護衛艦なのは気にしてはいけない。
- ニミッツ級原子力空母「ロナルド・レーガン」
- リムパック演習の指揮艦として登場。シェーン提督が乗艦している。
- F-18Eスーパーホーネット
- 「ロナルド・レーガン」の艦載機として登場。
- CH-53スーパースタリオン
- オアフ島の海兵隊機として登場。
- アイオワ級戦艦「ミズーリ」
- 本映画の主役艦。太平洋戦争以降の様々な戦争に従軍し、1992年、スティーブン・セガールの名作アクション映画「沈黙の戦艦」の登場を最後に退役。パールハーバーにて記念艦として余生をすごしていたが......
解説
ユニバーサルピクチャーズ100周年記念として製作された超大作.....ではあるが、近年の「ダークナイト」「アバター」を筆頭とするリアリズムとダーク性が売れ線な昨今において、「コマンドー」「インディペンデンス・デイ」、そしてマイケル・ベイ監督作品に代表されるような大味なアクションや90年代のエンターテイメントSF映画のノリをそのまま持ち込んだSFアクション映画として完成された。
興行収入はアメリカでは「アベンジャーズ」の公開が重なるなどして苦戦したが、日本では14億を超えるヒットとなった。(ちなみに世界最速公開は日本である)
公開に先立ち隣国から旭日旗に関するクレームがネチズンの間で盛り上がったが、その隣国においてもヒットしている。
日本における本作の愛好家をネットでは「バトルシッパー」と自称している様である。
なお本作は批評家のウケは芳しくなく、その年のゴールデン・ラズベリー賞6部門にノミネート、最低助演女優賞を受賞したが、バトルシッパー達はこれを歓迎している節がある。
参考:ラジー賞ノミネートに湧くバトルシッパーたち(Togetterまとめ)
なお防衛省は本映画には公式な協力は行ってない。のだが....
トリビア(多少ネタバレ含みます)
- 本作の主役俳優であるテイラー・キッチュは同年春のディズニーの超大作映画「ジョン・カーター」でも主役をつとめている。なおその映画も酷評されている模様
後に彼はバーク監督の「ローンサバイバー」においても海軍シールズ隊員として出演している。 - 本作で出てくるチキンブリトーとは、トルティーヤの一種である。
- 本作の字幕は迷翻訳家・戸田奈津子女史。吹替は「コマンドー」「ダイ・ハード(野沢那智版)」でお馴染みの平田勝茂氏が担当している。バトルシッパーの間では吹替版の方が好まれている。
- アレックスの吹替を担当する置鮎龍太郎氏は本作が外国映画初主役である。レックス役のリアーナは土屋アンナが芸能人枠で担当している。
- 劇中において登場する護衛艦「みょうこう」は本来こんごう型護衛艦であるが、CGモデルはあたご型護衛艦である。これは撮影が行われた2010年のリムパック演習の参加艦があたご型護衛艦「あたご」であったためと思われる。
2010年のリムパックの資料映像が使われているため、同年参加したむらさめ型護衛艦「あけぼの」も出演している。ちなみに現実の2012年のリムパック参加の海上自衛隊の艦船は「みょうこう」「しらね」「ぶんご」である。 - 劇中冒頭において、サッカー応援をする護衛艦乗組員の姿が確認できるが、これは本物の海上自衛隊こんごう型護衛艦「きりしま」の乗組員である。撮影時期の2010年秋、「きりしま」は弾道ミサイル迎撃試験のためパールハーバーに寄港しており、監督の要請によって撮影にエキストラ参加した。浅野忠信によれば隣に停泊していたアメリカ海軍艦の応援にくらべ行動が早い上にノリがよく監督が大変に喜んでいたとのこと。流石だ海上自衛隊!ちゃんとクレジットにも載ってます。
ちなみにきりしまのミサイル迎撃試験は無事成功をおさめている。 - 本作の敵は地球を侵略しに来たエイリアン…のはずだが、侵略に来た割には武器が貧弱、子供や逃げる敵には手出ししない、自身を攻撃してくる敵や軍事基地など危険度の高い物だけをピンポイントに排除するなど侵略者とは思えない紳士的な描写がある。このためバトルシッパーの間では様々な考察が交わされている。ちなみに小説版では完全な悪として描かれているとか。
- エイリアンが使用する自律攻撃兵器が、イギリスが開発した迷兵器「パンジャンドラム」にどことなく似ており、映画を観たバトルシッパーの間では「スペース・パンジャンドラム」などと名付けられ、迷兵器・珍兵器愛好家などから愛されている。(また当該兵器は機動戦士ガンダムF91の兵器「バグ」に似ているという意見もある)
- 劇中のミズーリが××するシーンが見られるが、これは2010年、実際に定期検査のためドック入りするために回航した時の映像も用いられている。
- 本作は日本のSFアニメの「宇宙戦艦ヤマト」を彷彿させるシーンや酷似している演出が多々あり、一部からは「アメリカ人が宇宙戦艦ヤマトをつくったらこうなる」と評されている。なお劇中クライマックスの「戦艦ドリフト」なるシーンがあるが、リメイク版の「宇宙戦艦ヤマト2199」のスタッフが似たような演出のシーンに対して「先をこされた」とコメントしたりしている。
- エイリアンが射出する円筒状の砲弾は、ボードゲームで使用されるコマとそっくりな形状である。また主人公の名前「アレックス」は、ボードゲームの取扱説明書に登場する少年の名前であるなど、実際のゲームをきちんと反映した描写が点在している。出来ておる喃.....
この映画を三つの単語で表現するなら
「戦艦ミズーリ」
「チキンブリトー」
「Thunderstruck(AC/DC)」
といえるだろう。
地上波初登場
浅野忠信出演の話題作!地上波初放送
日本とアメリカ、国を超えた絆で正体不明のエイリアンに立ち向かう!
興奮と感動の超ド級エンターテインメント!!
2015年5月3日、テレ朝『日曜洋画劇場』にて本作が放送され、各界が『コマンドー』もかくやの勢いで湧き上がった。
なんといっても、軍艦、爆発、友情、勝利の、史上屈指の実況向き映画である。映画館では心のなかにグッと抑え込んで封じた興奮の叫び声を、友人と、国民と分けあえる時が来たのだった。
待ちに待ったこの時を喜び、バトルシッパーたちはチキンブリトーを山のように買い込んで祝杯を上げたとかなんとか。
ニコニコ実況ではテレ朝チャンネルで祭りが勃発し、23時05分頃に最高コメント率を記録。毎分993コメの超密度で、該当シーンは「(終盤ネタバレにつき反転)戦艦ドリフト~最後の砲撃を終えたミズーリ号に襲いかかる3機のパンジャンドラムを、友軍の戦闘機が撃ち落とすシーン」であった。
2ちゃんねるでは番組ch(朝日)にて実況スレが用意され、本スレとマターリスレを合わせて30弱を消化。本スレはひとつのスレッドが埋まるのに10分もかからず、特に上記反転と同じシーンに至っては4分で埋まったほど。
Twitterも大盛況で、国内トレンドワードランキングを「チキンブリトー」、「パンジャンドラム」、「みょうこう」、「戦艦が簡単に」などが10位以内を占領。中でも「バトルシップ」は当然の1位で、放送開始前から放送終了後、更に深夜過ぎまで首位を譲らなかった。放送時のバトルシップ祭りはすさまじく、世界中のツイートを総合したトレンドワードランキングに「バトルシップ」が食い込んだほど。(筆者が確認した最高順位は5位) 英語が並ぶランキングにぽつんと「バトルシップ」とカタカナが並ぶ様子はとってもシュールだったが、アツいものが込められたランキング入りであった。
アメリカでの酷評と、一部からの熱狂的な支持の2面性を抱えた本作。放映後、ある者は「深く考えたら負け?」と首を傾げ、ある者は「ただの娯楽映画だった…」と肩を落とし、しかし、ある者は目を輝かせ、脳内麻薬ドバドバで「バトルシップ最高!チキンブリトー!USA!」と叫びながらシッパーへの道に飛び込んだ……そんな2時間15分であった。
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地上波2回目、しかし……
2017年6月23日、日本テレビ『金曜ロードショー』に再登場と発表。2度目の地上波放送に備え、訓練されたバトルシッパー達はその日を心待ちにしていた。
ところが直前の6月19日になり、日本テレビは放送中止を決定。
その理由は「6月17日に静岡県・伊豆半島沖で起きた米海軍イージス駆逐艦の衝突事故を連想させる」として「放送時期として正しくないと判断したため」とあったが、
「クレームに委縮しすぎでは」「果たしてそれが本当に配慮になるのか」
「もしかしてあの事故は宇宙人の仕業だったんじゃないか」
「つまりバトルシップは現実だったのか」
「バトルシップを放映しないならバトルシップを放映するべき」
などの様々なイカれた激論が交わされる事となった。
しかし転んでもただで起きないバトルシッパーにより、Twitterを利用した「バトルシップ放送中止代替同時鑑賞祭り」が非公式で開催。
DVDを求めてレンタルショップに走る者、Amazonプライムに加入する者、YouTubeで購入する者、チキンブリトーを抜かりなく用意した者などが、各自21:00に一斉に再生スタートしながら実況するという祭りが発生したのであった。
開始10分にして、当該のハッシュタグは日本国内トレンド1位を記録。
更に主人公・アレックスの吹替を担当した置鮎龍太郎氏や、ナガタを演じた浅野忠信氏らもTwitterでこれに反応し、盛況のうちに幕を閉じた。また、浅野氏はTwitter上で感謝の意を述べた上で「監督にも今夜の事は報告しておきました!」とコメントしている。マジで?
なお『金曜ロードショー』ではジョニー・デップ主演の「ダーク・シャドウ」が代わりに放映された。「世界侵略:ロサンゼルス決戦」を放送すればいいのにという意見もなくはなかったけど。
ともあれ、「バトルシップ」がいつか再び地上波に登場する日は近い、のかも知れない。備えよう。
地上波2回目、そして……
その後、2017年9月8日の『金曜ロードショー』にてめでたく放映。ただし「バレーボール・ワールドグランドチャンピオンズ杯女子大会」の生中継の延長により、開始時刻が21:55からになった。
バトルシッパー達もこれに応え、折角なのでバレーボールを応援するもの(ブラジル相手に30年ぶりの連勝達成おめでとうございます)、空腹に耐えかねて先にチキンブリトーを食すもの、待ちきれずにDVDを再生するものが確認された。
「戦艦と駆逐艦の違いをアツく説明するアレックス」「マイク・タイソンとドナルド・トランプ」「戦艦ミズーリ出港準備」など、細かい所がカットされてはいたものの、SNS上では大いに盛り上がり、前回同様リアルタイムで浅野忠信氏もTwitter実況に参加。前回の同時鑑賞祭り以上の賑わいとなった。
最終的に、ハッシュタグ「#バトルシップ」が世界トレンド1位を記録。合わせて「チキンブリトー」「パンジャンドラム」も世界トレンド入りするという快挙を達成したのであった。
(放映当日はメキシコで発生した巨大地震、過去11年間で最大級の太陽フレア発生、およびそれによる通信障害の可能性など、それなりに深刻な話題が多かった筈なのだが……)
関連動画(一部ネタバレアリ)
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