バランスオブゲーム(Balance of Game)とは、1999年生まれの日本の元競走馬・元種牡馬である。愛称はバラゲー。
掛け値なしに希代の名馬である。(※ただしレースのグレードがGⅡの時に限る)
主な勝ち鞍
2001年:新潟2歳ステークス(GⅢ)
2002年:弥生賞(GⅡ)、セントライト記念(GⅡ)
2003年:毎日王冠(GⅡ)
2005年:中山記念(GⅡ)
2006年:中山記念(GⅡ)、オールカマー(GⅡ)
輝くクラシック候補?
父は音速のダービー馬フサイチコンコルド、母ホールオブフェーム、母父アレミロード、近親にサッカーボーイやステイゴールドがいるなかなかの血統である。近親…あっ…(察し)
浦河町のヤマダファームで1999年4月22日に生まれ、いい感じの形を持ち牝系がダイナサッシュ系であることなどからセレクトセールに出品が叶い、そこで870万円でダビスタの開発者で自身も馬主として馬を持つ薗部博之氏に落札される。
ちなみに、最後まで競っていたのはラフィアンの岡田繁幸氏で、落札後売却交渉を受けたという。薗部氏はこれに自信を深めたか売らずにそのまま所有したため、薗部氏の早稲田大学をイメージした勝負服で走る事になった。
美浦の宗像義忠厩舎に入厩し2001年の夏に新潟でデビュー。新馬戦を快勝するとそのまま新潟2歳ステークス(GⅢ)に向かい、ここを圧巻のレース運びで圧勝。一躍クラシック候補に踊り出る。
その後、骨膜炎でしばらく休んだ後、ぶっつけで朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)に出走するが後のダートの首領・アドマイヤドンの前に敗れる。
クラシック戦線を目指し休養後、皐月賞トライアル報知杯弥生賞ディープインパクト記念がつくのはずいぶん後(GⅡ)に出走。逃げてローマンエンパイア、ヤマニンセラフィム、ヤマノブリザードら重賞勝ち馬を完封。鮮やかに重賞二勝目、GⅡ初勝利を飾る。
しかし皐月賞(GⅠ)では前走は評価されず7番人気。ペースを操っての逃げ切りがまぐれと思われたようである。弥生賞は皐月賞より少頭数なので実力に劣る馬がスイスイ行っちゃうこともあるし仕方ない。ここは奮起したい所であったが先行するも伸びず理由なき反抗・ノーリーズンのレコード駆けに完敗し8着。
日本ダービー(GⅠ)ではやはり2番手から進める積極的競馬で勝負するが後続の末脚に飲まれ7着。春は不本意なままシーズンを終える。
秋はトライアルのセントライト記念(GⅡ)から始動。春のクラシック上位であるタニノギムレットが引退、関東のエースシンボリクリスエスは神戸新聞杯から古馬との対決に向かうなどスカスカだったとはいえきっちり勝ちきり重賞3勝目を挙げ
菊花賞(GⅠ)に向かうが、人気はやっぱりあんまりなく、レースでも距離が長かったか大荒れの中グイグイグイグイグイグイグイグイ押して押して押して押しまくって鞍上角田晃一が絶望的に疲労したヒシミラクルの5着。その後は休養となった。
トライアル戦では先行して強い競馬を見せるのだが、GⅠではコロッと負けていいとこなし。そんな3歳までであった。
誕生!GⅡ王バラゲー
休養後、アメリカジョッキークラブカップから復帰予定であったが当週に顔面を負傷し回避。中山記念(GⅡ)から復帰するがローエングリンに逃げ切られ、次走の日経賞(GⅡ)では1番人気に推されるがイングランディーレとの押し上げあいで遅れを取り2着。
金鯱賞(GⅡ)では開花したタップダンスシチーの前に4着。宝塚記念(GⅠ)ではミラクルおじさんが話題になるが彼は話題にもならず11着。てんでいいとこなしである。
しかし秋初戦の毎日王冠(GⅡ)ではジェットスキーみたいになって制御不能状態に陥ったファインモーションをあざ笑うかのように鮮やかな先行抜け出しでレコードまで叩き出し快勝。
GⅠ制覇を期待されたが、マイルチャンピオンシップ(GⅠ)ではデュランダルの末脚に完敗し4着。GⅡまでというイメージが定着し始めた。
翌年も現役続行するが、中距離馬のツルマルボーイの追い込みが炸裂した雨の安田記念(GⅠ)3着・またファインモーションをぎゃふんと言わせたると思ったらぎゃふんと言わされた札幌記念(GⅡ)2着以外はGⅡでも連絡みせず。安定感はあったが勝ちきれず、衰えたかに思われた。
しかし、6歳になって中山記念(GⅡ)では鮮やかに勝つ。その後はまた不振に陥りイマイチ。7歳になると新境地開拓を目論み根岸ステークス(GⅢ)でダート挑戦するが惨敗。いよいよ本当に終わったのかと思われたが
中山記念(GⅡ)では重馬場を上がり最速で華麗に逃げ切りダイワメジャー以下を完封。グレード制導入後初の中山記念連覇を達成。
しかし安田記念(GⅠ)では前年と違って雨もなくマイラーの流れになったためスピードが足りず17着惨敗。宝塚記念(GⅠ)では稍重の馬場を利して逃げ切ろうとするがディープインパクトの捲りの前に完敗。しかし3着に粘りこむ。
秋はオールカマー(GⅡ)から始動。6着まで着差最大クビという僅差の戦いになるが競り勝ち、中央競馬GⅡ最多勝記録となる6勝目をマーク。薗部氏は彼が4歳の頃に「GⅠじゃ足りないからいっそGⅡ最多勝を目指して欲しい」とTVの取材に述べていたが
図らずも馬主の期待に応えることになった。この後は天皇賞・秋(GⅠ)を目指すが、レース直前追い切りで左前浅屈腱不全断裂・競走能力喪失と診断される重傷を負い引退。種牡馬入りとなった。最終成績は29戦8勝。
GⅡ以外ではいいとこなしと書いてしまったが、本当にどうしようもない惨敗はゼンノロブロイが勝った5歳時の天皇賞・秋、究極の上がり勝負になってしまったため小細工も何もなくなった6歳時の天皇賞・秋と幸四郎が乗ってヒシミラクルの角田晃一殺しの超ロングスパートに再び敗れた一回目の宝塚記念、初ダートで砂被ってウーンとなってしまった根岸ステークスくらいで、他のGⅠでは言うほど悪くない感じに走ってはいた。
馬場が稍重で先行有利となった2006年宝塚記念や、同じく稍重の2004年安田記念では3着に入るなど惜しいレースもあった。
ただ勝ち切れないのは、 府中のような多少不器用でも実力があれば非力な馬の小細工を粉砕される大きな競馬場より中山のように小回りでセンスが求められ、実力馬をコース形状や展開利、位置取りで封殺して勝ちきれる競馬場のほうが得意という事が大きい。
距離の面でもGⅠ施行距離のいわゆる根幹距離、1600・2000・2400だと甘くなるところもあった。最も得意としていた中山1800mや2200mで施行されるGⅠがあったら、巧みな立ち回りで同期のタニノギムレットやシンボリクリスエスあたりも倒せたであろう。
そう考えると2002年のジャパンカップはチャンスだったのではなかろうか…。
サッカーボーイやステイゴールドの近親の割にここまでの話を聞く限り、あの(皆さんご存知)血統らしくないとか癖が少ないんじゃないかと思われるかもしれないが、
内馬場にいたカラスを見つめていたから折り合いがついたというエピソードを見るあたり、やっぱり彼も曲者であった。
そもそもGⅡばっかり勝つ時点で凄まじい癖馬感はあるが。
種牡馬としては産駒の数が少ないという理由はあれど、2013年1月半ばまで中央で2勝しかできないなど振るわずに2012年に引退。後述するように母が移籍した縁からかノーザンホースパークから振り出して乗馬となり、今は茨城県龍ケ崎市にあるクレイン竜ヶ崎にて余生を送っている。
だいたい年間5戦から6戦のみとこの手の馬にしては比較的大事に使われたという理由もあれど、7歳まで元気に走ってGⅡを6勝し総賞金6億円越え(GⅠ勝ちなしの馬としては破格の稼ぎ)を叩きだしたタフネスを引き継ぐ産駒は出なかった。残念である。
余談になるが社台ファーム生産ながら繁殖セールで放出された母ホールオブフェームはバラゲーの活躍もあってか門別町のマル良ファームを経てノーザンファームに買い取られ、社台系列の牧場に帰ることに成功。6頭の産駒を産んだ後また放出されたものの
その中から同じく宗像厩舎に入厩した半弟、ノーザンファーム移籍後に生まれたフェイムゲーム(父ハーツクライ)が2013年に中山の重賞京成杯(GⅢ)を豪快に差して勝ち、一瞬兄の再来を感じさせた。まあフェイムゲームはバラゲーとは当然違う形で成長し、ハーツクライのステイヤー性が全面に出たド級の長距離砲・府中最長距離重賞ダイヤモンドステークスの鬼となったわけだが。
また、繁殖牝馬としてノーザンファーム残留しているフェイムゲームの全姉・インダクティはケイデンスコール(父ロードカナロア、マイラーズC他重賞3勝)やインダストリア(父リオンディーズ、ダービー卿CT勝ち)を輩出し、名繁殖牝馬になりつつある。しかしインダクティの子はバラゲーみが強い気がしないでもない。インダストリアの中山巧者ぶりやケイデンスコールの息の長さなんかは。
血統表
フサイチコンコルド 1993 鹿毛 |
Caerleon 1980 鹿毛 |
Nijinsky | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Foreseer | Round Table | ||
Regal Gleam | |||
*バレークイーン 1988 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer | |
Fairy Bridge | |||
Sun Princess | *イングリッシュプリンス | ||
Sunny Valley | |||
ホールオブフェーム 1991 黒鹿毛 FNo.1-t |
*アレミロード 1983 鹿毛 |
Tom Rolfe | Ribot |
Pocahontas II | |||
Why Me Lord | Bold Reasoning | ||
Tomorrowland | |||
ベルベットサッシュ 1986 鹿毛 |
*ディクタス | Sanctus | |
Doronic | |||
ダイナサッシュ | *ノーザンテースト | ||
*ロイヤルサッシュ |
クロス:Northern Dancer 4×4×5(15.63%)
関連動画
関連項目
- フサイチコンコルド
- サッカーボーイ
- ステイゴールド
- ローエングリン(同期のイマイチ君仲間)
- イングランディーレ
- ヒシミラクル
- ファインモーション
- ダイワメジャー
- 競走馬の一覧
- 2002年クラシック世代
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