『パラサイト・イヴ2』(PARASITE EVE2)とは、1999年12月16日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたプレイステーション用ゲームソフトである。
また2010年11月には前作『パラサイト・イヴ』と共にゲームアーカイブスの配信タイトルに加わった(現在の配信価格は628円である)。
概要
プレイステーション用アクションRPGとして発売された「パラサイト・イヴ」の続編。前作から3年後のロサンゼルス、他いくつかのロケーションを舞台として主人公「アヤ・ブレア」が大きな陰謀に立ち向かっていく。
前作同様、一枚絵の背景CG内をプレイヤーが「アヤ・ブレア」を操作して戦闘や探索を行い、ゲームを進めていく。
本作はプレイステーション用ソフトとしては最後期の作品であり、同時代の同ハードの他作品と比較してもグラフィックやCGの美しさは相当なレベルに達している。中でもCGムービー(特にアヤのシャワーシーン)は高く評価されている。
またゲームシステムは前作とは大幅に変更されており(詳細は後述)、特に操作方法がバイオハザードシリーズ等で知られる、所謂ラジコン式(方向キーまたはスティックの上で前進、左右のキーで方向転換)に変更されている。そのため「~RPG」と銘打ってはいるものの、前作と比較してかなりアクション性が強まっている。
あらすじ
1997年にニューヨークで発生した「マンハッタン島封鎖事件」から3年、事件収束後も各地では散発的にN.M.C(ネオ・ミトコンドリア・クリーチャー)の発生事件は続いていたが、確実にその件数は減りつつあった。
ニューヨーク市警17分署に勤務する「アヤ・ブレア」は事件後、FBIの対N.M.C専門機関である「M.I.S.T」にスカウトされたのを受けて警官を退職。ロサンゼルスの「M.I.S.T」センターに所属し、N.M.Cハンターとしての生活を続けていた。
少しずつではあるものの、かつての平穏な生活に戻りつつあったアヤだが、ある時発生した重大事件に関わった事により、再び凄惨な戦いの世界へと引き戻される。そしてその事件の裏ではある恐るべき陰謀が進められていた…。
主な登場人物
- アヤ・ブレア
- 本作の主人公。マンハッタン島封鎖事件後、M.I.S.Tからのスカウトを受けたのを機に、同僚への配慮等から警官を退職、ロサンゼルス「M.I.S.T」センター所属のN.M.Cハンターとして生活している。27歳という年齢ながら体内のミトコンドリアが活性化している為、3年前と全く変わらない美貌を誇る。シャワーシーンでは更に若返る。自身の持つ「力」に対する畏れもあってか、時たま自嘲気味な独り言を呟く事も。ちなみにコーラが好きで、ゲーム中にもコカ・コーラが回復アイテムとして至る所に登場する。戦闘中にコーラを一気飲みする様はなかなかに豪快である。
- カイル・マディガン
- 29歳。自称私立探偵。以前合衆国空軍に勤務していた経緯がある事から、ハンターであるアヤと比較しても遜色の無い高い戦闘技術を持つ。公式イラストの彼はなかなかに爽やかな笑顔を見せてくれている。しかしどこか胡散臭い。本作のキーパーソンであり、物語に深く関わってくる。
- ピアース・D・キャラダイン
- 31歳。M.I.S.Tの情報処理担当官。元ハッカーだが、FBIに逮捕されたのち司法取引でM.I.S.Tに引き渡された。戦闘技術は皆無であり、リボルバーに9ミリ弾を装填しようとした事もあるほど。アヤに好意を寄せており、彼女を熱心にサポートする。また時には大胆な行動を取る事も。細身でインドア派っぽい容姿とは裏腹に趣味はアウトドアで、赤いRV車に乗っている。
- ルパート・ブロドリック
- M.I.S.T所属のハンターでアヤの同僚。37歳とは思えないほど貫禄のある顔立ち…こら、そこハゲって言うな!過去に妻と娘をN.M.Cに殺害されており、N.M.Cに対しては残忍とも取れる程の容赦なさを見せ付ける。普段は温厚な性格らしい。44口径のリボルバー「マングース」を愛用しており、ゲーム中でも特定の条件を満たせばプレイヤーも使用可能になる。
- エリック・ボールドウィン
- M.I.S.Tを指揮する捜査官で、アヤ達の上司。常に冷静かつ、厳格な性格の持ち主である事から部下に「HAL」という愛称で呼ばれる。…しかし公式イラストの彼は額に青筋を浮かべている。何か腹に据えかねる事でもあったのだろうか。
- ジョディ・ブーケ
- M.I.S.T所属の火器管制担当官。アヤの事を「せんぱい」と呼ぶ。おっとりした性格。巨乳…に見える。
- ギャリー・ダグラス
- アヤが捜査に向かったモハーヴェ砂漠の集落「ドライフィールド」に住む老人。56歳。片足を失っているが、全く意に介さない程の豪快な人物。ガンマニアでもあり様々な銃器を所持している。アヤの協力者としてそれらの武器を譲ってくれる(残念ながらタダで譲ってくれる訳ではない)。
- No.9
- 序盤に発生した事件で遭遇して以来、アヤの前に度々立ちふさがる、謎の男。N.M.Cを簡単に倒してしまうほどの手練である。本作の物語に関わってくる重要人物の一人。はたして彼の正体とは?その目的とは?
ゲームシステム
概要にて前述した通り、前作「パラサイト・イヴ」とは多くの点が異なっている。以下に代表的な物を挙げる。
- 武器、防具の強化、合成が出来なくなった
- 前作では「ツール」やステータス強化アイテムを使用することで、装備品の強化や、合成が可能だった。これにより自分だけの最強武器、防具の作成が可能だったが、本作ではそういった強化等は出来なくなっている。ただし悪い面ばかりでは無く、例えば全ての武器、防具、アイテムに固有のグラフィックが追加され(前作は武器種毎に使いまわしだった)、更にアタッチメント(例:グレネードランチャーや追加弾倉)を装着する事で機能を拡張出来る様になった。その為前作と比較して各装備品の個性がより強まったと言える。
- 経験値の用途の変更
- 前作では戦闘終了時に経験値が入り、一定の数値に達するとアヤのレベルが上がる、というオーソドックスなRPGとしての要素を持っていたが、本作では入手した経験値はアヤの使用する「パラサイトエナジー」(PE)の開放、強化に使用する。アヤ本人のステータス(最大HPやMP)は防具を装備する事で各防具に設定されたHP、MPの上昇数値分だけ強化される。またHPの最大値を上げるアイテムも存在する。
- マルチエンディング
- 本作ではマルチエンディングを採用しており、ゲーム中のプレイヤーの行動によって3つの異なる結末が用意されている。前作の様な2周目以降限定のエンディングは無い。
- 2周目以降のやりこみ要素
- 2周目以降は敵のステータスやショップの品揃えが変化する様々な難易度に応じたゲームモードが用意される。敵が弱体化して俺TUEEEE出来る物から、一撃でも食らうとほぼ致命傷という、オワタ式の様なストイックな物まで4種類から選択可能に。ちなみにどの難易度を選んでもエンディングには影響しない。
主な武器
本作には前作同様、様々な銃器が登場し、プレイヤーを楽しませてくれる。また一部の武器にはR1ボタンで使用するメインの攻撃と、R2ボタンでサブアームを使用出来る。また武器自体に攻撃力は設定されておらず、敵に与えるダメージは装填した弾薬の火力に依存する。
ハンドガン、サブマシンガン
最もスタンダードな武器。9ミリ弾を使用する。9ミリ弾は3種類存在し、それぞれ攻撃力が異なる。
- M93R
- アヤの初期装備。メイン射撃は3点バースト、サブアームは単発射撃になる。後述のパラサイトエナジーと組み合わせて上手く活用出来れば終盤でもある程度は通用する武器。
- P08
- ルガーP08。ショップで購入出来る武器の中では最も安価。9ミリ弾を使用する。価格通り性能も一見低く、8発と少ない装弾数、9ミリ弾自体の低火力、遅い連射速度と相まって使いにくい印象を受ける。…のだが、ある場所で手に入る強化パーツを装着すれば装弾数が大幅に増え、また武器自体のクリティカル率がかなり高く設定されている為、実は結構強かったりする。
- P229
- ゲーム中盤で入手可能。9ミリ弾を使用。サプレッサーが装着されており、撃った相手以外の敵には射撃音で気付かれにくいという特性がある。…が、視認される・接近しすぎる・他の音を立てるなどすると普通に気づかれるのであまり意味はない。サブアームは銃身下に装着されたフラッシュライトで、使用すると敵を怯ませる事が可能。一部の光に弱い敵相手には一方的に攻撃できる。
- M950
- 装弾数100発という、規格外の容量を誇るマシンピストル。連射速度こそマシンガンには劣るものの、ダメージ源としては大変優秀。ただ、そのせいかリロードがかなりもっさりしている。実銃はサブマシンガンであるキャリコM100のピストルタイプ。バイオハザード・コードベロニカにもM100Pというモデルが登場している。
- MP5A5
- 本作唯一のサブマシンガン。高い連射速度を誇り、火力の低い9ミリ弾のイメージを覆す。序盤でSWAT隊員の遺体から入手出来るが、あくまで借りるだけなので次の日には没収されてしまう。残念。サブアームにフラッシュライトが付いており、アタッチメントで装弾数を最大90発まで増やせる等優秀な武器なのだが、ショップの販売価格が高価なせいで購入に二の足を踏んでしまうかもしれない。
ライフル
5.56ミリライフル弾を使用する。ライフル弾は一種類のみだが、ハンドガンよりも火力が高く、愛用した方も多いのではないだろうか。ライフル系は2種類登場。
- M4A1
- 扱い易いアサルトライフル。メイン射撃で3点バースト、サブアームは単発射撃と、そのままだとM93Rの上位互換の様な能力だが、銃剣やグレネードランチャーを始め、非常に豊富な種類のアタッチメントが用意されており、プレイヤーの好みに応じて様々な形に姿を変える。
- M249
- またの名を「ミニミ軽機関銃」。装弾数なんと200発という驚愕のスペックを誇るLMG(ライトマシンガン)。当然作中の武器では最大の装弾数である。
- 連射速度も凄まじく、200発全てを撃ち込めば1000を超えるダメージを叩き出すのも不可能ではない。しかし、連射速度とは反対にリロードは物凄くゆっくりしている。
ショットガン
近接戦闘向けの散弾銃。その特性上、複数の敵に対して同時に攻撃可能。使用弾種は12ゲージショットシェル。ショットシェルは威力が高く、特に高威力なものはボス戦で猛威を振るう…かもしれない。
- PA3
- 最初からショップで購入可能なポンプアクション式のショットガン。装弾数が3発と少なく、アタッチメントもサブアームも無い。…つまるところ余り出番が無い。愛があれば使えるかも?
- SP12
- ある条件を満たすと入手可能なショットガン。外見はSPAS12である。PA3より高性能で装弾数も7発に増えている。
- AS12
- ショットシェルを連射出来るぶっ飛んだ性能の銃。ショットガンらしからぬデザインが特徴。ごついドラムマガジンも印象的。装弾数も20発と非常に多い。かなり高価だが、終盤のボス戦等で大活躍してくれる。実銃は韓国デーウー(大字)社が1970年代にアメリカで開発されたAA12自動ショットガンをベースに、AS12として製造したもの。
- 上の動画は後にアメリカで再び製造された新型AA12のものであるが、ゲーム中でもほぼこれと変わらないデザインで登場する。その性能が気になる人は是非確認して欲しい。
グレネードランチャー
40ミリグレネード弾を使用する。重火器。性質上他の銃とは比較にならない単発火力を誇る。グレネード弾は3種類存在し、それぞれに特殊な属性が付加されている。
- グレネード・ピストル
- 単発式のグレネードランチャー。一発撃つ毎にリロードしないといけない為、隙が出来易い。外見はH&K HK69に似ている。
- M203
- M4A1にアタッチメントとして装着可能なグレネードランチャーで、単体では使用出来ない。扱い易いがやや決定力に欠けるM4A1の火力の大幅な底上げが出来る。
- MM1
- グレネード弾を連射出来る素敵ウェポン。装弾数はなんと12発である。ただしリロードは勘弁な!砲身に回転弾倉がくっついた様な外見が特徴。よく似た武器が「ターミネーター2」に登場している。
その他の武器
- マングース
- アヤの同僚、ルパートが使用する44口径のリボルバー。サイズこそハンドガンクラスだが火力は桁違いである。そう、マグナムは男の浪漫なのだ。余談だが、この銃の専用弾に44マエダSPという弾薬が登場する。前作をプレイした人は思わずニヤリとしたはずだ。
- トンファ・バトン
- M93Rと並ぶ初期装備の武器。アメリカの警察組織では一般的なT字型のデザインを持つ特殊警棒。格闘武器なので非常時に使用すればいい…と思いがちだが、本作では弾薬を無限に供給出来るポイントが至る所に存在するため、縛りプレイでもない限り、まず出番は無い。また、ここで記した以外にも本作には強力な隠し武器が存在する。その全容は実際にプレイしてみて確認して欲しい。いや本当に。
パラサイト・エナジー
前作同様、本作でもパラサイト・エナジー(以下PE)を使用可能。なお、前作の事件後アヤが自発的に能力を封印した、という設定があるため、前作とは使用出来るPEが大きく異なっている。
PE使用時には魔法でいう詠唱時間が存在し、途中でダメージを受けたりすると発動し直さないといけない。なお本作では戦闘で入手した経験値を消費してPEの習得、強化が可能となっている。レベルは未開放状態の0から始まり、最大3まで強化する事が出来る。PEを強化することによって詠唱時間が短縮されたり効果が上昇したりする。またPEは火、水、風、地の大きく分けて4つの属性から構成されており、属性ごとにそれぞれある程度性能の傾向が決まっている。
また各属性とも最初は2つずつしかPEが表示されていないが、ある条件を満たすと隠された3つ目のPEが開放される。これらのPEはどれも「隠し」というだけあって非常に強力な性能を誇る。以下は代表的なもの。
火属性
- パイロキネシス
- 最初から使用可能な唯一のPE。掌から前方に火炎弾を発射する。レベルアップで最大3連射になり、射程も延びる。
- コンバッション
- アヤの前方を扇状の炎で焼き払う。レベルアップで効果範囲が広がる。威力も高め。
水属性
風属性
敵をステータス異常にしたり、怯ませたりと、戦闘補助の色合いが濃い属性。
- ネクローシス
- 前方に緑色のオーラを撃ち出す。その名の通り当たった敵の細胞組織を壊死させて継続ダメージを与える。詰まるところ、敵を毒状態にするPE。レベルアップで威力が上昇し、発動までの詠唱時間がかなり短縮される。
- プラズマ
- アヤを中心にドーム状の衝撃波を放つ。衝撃波に当たった敵にダメージを与えると共に転倒させたり、怯ませたり出来る。一般的な敵は勿論、一部の強敵との戦闘でも有効な、非常に使い勝手の良いPEである。
地属性
風属性と並ぶ補助タイプの属性。こちらはアヤの防御力や攻撃力を強化するタイプ。
- アンチボディ
- 被ダメージを軽減する。発動すると被弾時に黄色いバリアが発生する。重ね掛けも可能で、強敵との戦闘では非常に重宝する。
- エナジーショット
- 前作から唯一続投したPE。ただし効果は変わっており、本作のエナジーショットはアヤの攻撃力を強化するものである。こちらも重ね掛けが可能。発動すると細かい光の粒子がアヤの体を覆い、攻撃時のエフェクトも派手になる。
関連動画
プレイ動画・実況プレイ
TAS
RTA
BGM
アヤさん
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関連項目
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