パンジャタワー(Panja Tower)とは、2022年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2歳(2024年): 京王杯2歳ステークス(GⅡ)
3歳(2025年): NHKマイルカップ(GⅠ)、キーンランドカップ(GⅢ)
概要
父:タワーオブロンドン、母:クラークスデール、母父:ヴィクトワールピサという血統。
父はスプリンターズステークスなど短距離で重賞5勝を挙げ、2度のコースレコードを記録した名スプリンター。本馬はその初年度産駒である。
母は未出走で繁殖入りした馬だが、半兄にはダービー馬ロジユニヴァースがいる。
母父ヴィクトワールピサはドバイワールドカップなどGⅠ3勝を挙げ、種牡馬としては桜花賞馬ジュエラーを送り出した。2021年からはトルコで種牡馬生活を送っている。
馬主はパンジャの冠名で知られる株式会社DeepCreek。不動産会社の株式会社サンフェル代表である深澤朝房氏の法人名義であり、2022年に同名義に変更。名称はオーナーがファンである武豊騎手の騎乗馬、ディープインパクトとスーパークリークから取られている。
所属はJBCスプリントを制したグレイスフルリープなどを手掛け、近年はアルナシームやアーテルアストレアなどのアイドルホースの活躍が目覚ましい栗東の橋口慎介厩舎。
馬名の由来は、冠名+父名の一部。語感から馬名を勘違いしている人も多いが、パンジャンタワーではない。
戦績・来歴
デビュー前
2022年2月21日に北海道新ひだか町のチャンピオンズファームにて誕生。同牧場の中村明人代表曰く、産まれた頃はそれほど目立つ存在ではなかったそうだが、育成時代には坂路での動きから「めちゃめちゃ走る」と評判になっていたという[1]。
2歳 (2024年)
9月の中京競馬場芝1200mの新馬戦にて松山弘平騎手を背にデビュー。単勝オッズ1.6倍の人気に応え、直線の叩き合いを制して初勝利を挙げた。
続いて重賞初挑戦となるGⅡ京王杯2歳ステークスは8番人気での出走。発馬を決めて先団に取り付くも中団まで後退する。直線入口で大外に持ち出すと、末脚を発揮して最後はマイネルチケットとの接戦をクビ差で制して重賞初制覇。父タワーオブロンドンとの親子制覇を果たした。
その後は朝日杯フューチュリティステークスに4番人気で出走するも、中団から伸びずに12着に敗れた。鞍上の松山騎手、管理する橋口師ともに距離に敗因を求めた。
3歳 (2025年)
初めは3歳限定スプリントGⅢの葵ステークスを目指すプランもあったそうだが、オーナーの意向からNHKマイルカップを目標に定め[2]、3歳初戦は藤岡佑介に乗り替わって、ファルコンステークスに1番人気で出走。中団前方で進めて直線で脚を伸ばすも、前を捉えきれずに4着に敗れた。
そして予定通りNHKマイルカップに鞍上を松山に戻して出走。ここには2歳マイル王アドマイヤズームやニュージーランドトロフィーの勝ち馬イミグラントソング、チャーチルダウンズカップの勝ち馬ランスオブカオスなど自身を含めて重賞馬10頭が参戦。1番人気はアドマイヤズームで、パンジャタワーは前走の敗戦に加え、朝日杯での大敗と父タワーオブロンドンが1番人気で12着に敗れていたことから距離が長すぎるとみられ、9番人気の評価に留まった。
発馬を決めると中団に控えての追走。途中からヴーレヴーが引っ張る展開となり、前半4ハロン44秒7と超のつくハイペースで差し馬にはおあつらえ向きの展開となった。
パンジャタワーは大外を回って10番手あたりで直線に向く。ここから一気にスピードに乗せ、外から内の馬たちを次々と抜き去り残り200mで先頭に立つ。後方2番手から内を突いて襲いかかってきたマジックサンズと間から差し込もうとするチェルビアットもやってきたが、最後はマジックサンズをアタマ差で振り切って優勝。距離不安を払拭する走りでレース史上3位の1分31秒7という高速決着を制し、父の無念を晴らすGⅠ初制覇を果たした。なお3着に12番人気チェルビアットが残ったことで、3連単150万5950円とNHKマイルカップらしい荒れた結果となった(なお同レースの3連単最高額ランキングではこれでも4位である[3])。
ちなみにレースを見守っていた橋口調教師と担当の五十嵐調教助手はアングルの関係からてっきりマジックサンズに差されたものだと思っていたらしく、池添学調教師から勝っていると教えられるまで2人で落胆していたそうな[4]。
タワーオブロンドン産駒、橋口慎介調教師、生産者のチャンピオンズファーム、深澤朝房オーナーはそれぞれJRA・GⅠ初勝利。鞍上の松山弘平騎手にとっては2021年チャンピオンズカップをテーオーケインズで制して以来4年ぶりのJRA・GⅠ勝利となった。
レース後のコメントでは深澤オーナーから「スタッフ、調教師と相談の下でダービー参戦も視野に入れる」との言及もあったものの、会議の結果、無理せず放牧に出して秋に備えることになった。
秋は早速海外へ飛び出し、オーストラリアの北半球産3歳限定・南半球産4歳限定高額賞金重賞、ゴールデンイーグルを大目標にすることが発表された。オオバンブルマイが同レースを制して以来3年連続の日本馬出走を狙うプランで、札幌のスプリントGⅢキーンランドカップで一叩き入れてから豪州入りするとのことだが、検疫等の関係で豪州遠征が難しい場合はアメリカのブリーダーズカップへ向かう代替プランも示された。
スピードのある豪州への遠征へ向けて試金石となったGⅢキーンランドカップ。古馬と同じ斤量57kgという不安要素とメンバー中唯一のGⅠ馬という上位の実績がせめぎ合い、最終的に8歳馬の古豪ウインカーネリアン、夏の北海道で3連勝中のカルプスペルシュと分け合う形で2番人気となった。
ゲートの出は速くなかったがすぐに中団につけ、前半で3枠ながら外に持ち出す競馬。そのまま大外7~8番手で4コーナーを回る。直線では上がり最速33秒9の末脚を繰り出し、一塊のまま粘り込もうとした先行集団をまとめて差し切りゴール。古馬の壁をあっさり超えて重賞3勝目を挙げ、海外遠征へ弾みをつけた。また、鞍上の松山弘平騎手は史上7人目のJRA全10場重賞勝利を達成した。
前哨戦を快勝し、フライト時間を減らすべくオーナーが用意した特別チャーター便で満を持して豪州遠征へ[5]。現地では同じく海外からゴールデンイーグルに挑むイギリスのSeagulls Elevenと親交を深めつつ
、レースの準備を進めていった。
迎えたゴールデンイーグル当日、この年からローズヒルガーデンズ競馬場に替わり同レースが催されることになったランドウィック競馬場の芝状態は不良一歩手前のSoft 7。パンジャタワーは松山弘平騎手を背に4番枠からスタートするも、やや出遅れ後手を踏む形となってしまう。気を取り直し中団の内に構えて追走していくが、4コーナーでは内枠の宿命とも言うべき前壁がお出迎え。泣きっ面に蜂の中残り250mほどでようやく進路を見つけ脚を伸ばすも、前を捉えるには至らず、5着での入線。25万豪ドル(≒2500万円)の5着賞金は持ち帰ったものの、初の海外遠征はほろ苦い結果に終わった。
2026年は1351ターフスプリント(沙G2)から始動し、安田記念(GI)への継戦から秋にブリーダーズカップ・マイル(米GI)に挑むプランとのこと[6]。ここ数年のNHKマイルカップ勝ち馬は成績が伸び悩む傾向が強かったが、牝限を除く国内芝マイルGIの全制覇を成し遂げた1年先輩のジャンタルマンタルと共に、彼にはその更なる払拭を期待したいところである。
血統表
| タワーオブロンドン 2015 鹿毛 |
Raven's Pass 2005 栗毛 |
Elusive Quality | Gone West |
| Touch of Greatness | |||
| Ascutney | Lord at War | ||
| Right Word | |||
| *スノーパイン 2010 芦毛 |
Dalakhani | Darshaan | |
| Daltawa | |||
| *シンコウエルメス | Sadler's Wells | ||
| Doff the Derby | |||
| クラークスデール 2016 黒鹿毛 FNo.B3 |
ヴィクトワールピサ 2007 黒鹿毛 |
ネオユニヴァース | *サンデーサイレンス |
| *ポインテッドパス | |||
| *ホワイトウォーターアフェア | Machiavellian | ||
| Much Too Risky | |||
| アコースティクス 2001 鹿毛 |
Cape Cross | Green Desert | |
| Park Appeal | |||
| *ソニンク | Machiavellian | ||
| Sonic Lady |
クロス: Machiavellian 4×4(12.50%)、 Mr. Prospector 5×5×5(9.38%)
前述の通り母クラークスデールの半兄にロジユニヴァースがいるほか、曾祖母*ソニンクの一族からはディアドラやソングラインも出ており、ファミリーは非常に活気がある。
そして何よりも父母母のシンコウエルメス。予後不良の宣告を受けたものの藤沢和雄調教師らの尽力で命を繋ぎ止めて繁殖入りに漕ぎ付けた超良血馬であり、同馬がいなければ父タワーオブロンドンやパンジャタワーはこの世に産まれる事も無かった。
余談
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https://twitter.com/thanks_jumboimo/status/1852620448674255125
おパンは駿足
橋口厩舎での担当者は2024年中京記念・2025年中山金杯を制した"アルしゃん"ことアルナシームと同じ五十嵐公司調教助手で、五十嵐助手からは「おパン」「パンちゃん」「おぱんち」と呼ばれており、度々「駿足」の評がなされる。実際調教駆けするタイプで、朝日杯FS前の最終追い切りでは坂路で終い1F11秒7と12秒を切る好タイムを、NHKマイルカップ前の最終追い切りでは同厩の先輩重賞馬セイウンハーデス[7]をCWコースで置き去りにしたうえで終い1F11秒1の猛時計を計時している。
また、同氏担当馬のアルナシーム・フェリーニと同じく、在厩時はX(Twitter)でのオフショット投稿が頻繁になされており、人気に一役買っている。
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https://twitter.com/panja20220221/status/1922424686769512851
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *東スポ競馬『【NHKマイルC】「葵Sに行くプランもあった」パンジャタワー大駆けVの舞台裏 下にはアドマイヤマーズの牡馬も
』より。 - *脚注1に同じ。
- *1位は2007年(勝ち馬ピンクカメオ)で973万9870円。詳細は勝ち馬の記事に譲る。2位は2009年(勝ち馬ジョーカプチーノ)で238万1660円。3位は2022年(勝ち馬ダノンスコーピオン)で153万2370円
- *平松さとし『ゴール前で思い出された19年前の記憶と、同じ夢を追いかけるに至った父の言葉とは?
』より。 - *スポーツ報知馬トク 2025年10月31日記事『パンジャタワー豪州“5億円レース”に参戦 深澤朝房オーナー「今年の3歳馬の獲得賞金1位を狙っている」
』より。 - *脚注5に同じ。
- *なおセイウンハーデスもNHKマイルカップの前日に行われたエプソムカップで稍重馬場にも関わらず東京芝1800mの新コースレコードを樹立して勝利するという強烈な戦果を挙げており、2025年5月第2週の中央競馬は橋口厩舎が府中で両日重賞勝ちを挙げることになった。その後、橋口厩舎は怒涛の祝賀ギフトラッシュに見舞われた
のは言うまでもない。
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