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パンデミックとは、ある感染症や伝染病が世界的に流行することを表す用語である。
概要
日本語に訳すと「感染爆発」や「汎発流行」となる。
類義語として「エンデミック」や「エピデミック」がある。規模としては、
エンデミック(一部の地方) < エピデミック(より大きな社会や地域) < パンデミック(世界的規模) くらい。
そのため、いくら大規模な流行であっても、それが一国内に限られている場合はパンデミックとは呼ばない。
主に、複数国に渡って深刻な被害が確認された場合、その流行をパンデミックと言い表す。
現代では、大規模な伝染病が発生した場合、基本的に、WHOがその流行の度合いを調査した上で各国に通達する。その病気がパンデミックの状態にあるかどうかは、WHOの判断にゆだねられているといっていい。
特にインフルエンザに関しては、WHOは6段階のフェーズを設定しており、最大レベルであるフェーズ6に達したと発表した場合、正式にパンデミックとみなされる(フェーズ1~2は「前パンデミック期」、3~5は「パンデミック・アラート期」とされている)。
ちなみに、同義っぽい言葉として「アウトブレイク」があるが、アウトブレイクは感染の“発生”、あるいは“拡大”を指す言葉であって、流行そのものを指す言葉ではない。
やたらと「ミック」が付くがミック・ジャガーやみっくみくにしてあげる♪は一切関係ない。
有名なパンデミック
- ペスト - 6世紀の東ローマ帝国、14世紀のヨーロッパ、そして19世紀末から現在に至るまでの世界全域(特に中国・インド)で3度猛威を振るった伝染病。特に14世紀のヨーロッパ流行は、人々に「黒死病」と呼ばれて恐れられ、全世界で8500万人、ヨーロッパでは2~3000万人が死亡(当時の人口の1/3~2/3)。当時の政治や宗教にまで大きな影響を与えた。
- 天然痘 - ペストと並び古くから猛威を振るった伝染病。17世紀にインドで強毒化したことでさらに恐れられるようになり、19世紀初頭には数億人が死亡したとされる。旧大陸由来の伝染病で新大陸には存在しない病気であったため、アフロ・ユーラシア大陸から天然痘を持ち込まれたアメリカ大陸では抗体の関係で一説には土着の部族によっては致死率は9割に達したともいわれ、多くの犠牲者が出た。日本でも戦後直後まではたびたび流行していたが、衛生状態と医療体制の改善とともに戦後急速に減少し、1956年以降の発生はない。主に致死率の高いタイプ(20~50%)と低いタイプ(1%以下)があるが、株の区別はつきにくい。1958年にWHOが根絶を掲げ徹底的に対策を行った結果、約20年をかけて自然界から根絶された。根絶宣言から40年以上がたち、現在はワクチン接種が廃止されたことから耐性を持たない人が増えたため、バイオテロによるパンデミックが警戒されている。
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インフルエンザ - 新型インフルエンザの項も参照。
- スペインかぜ - 1918~19年。全世界で6億人が感染し、5000万人近くが死亡。人類が体験した最初のインフルエンザ・パンデミック。ちなみに発生源はスペインではなくアメリカ。
- アジアかぜ - 1957年。中国を中心に200万人が死亡。スペイン風邪に比べるとその被害は小さいが、抗生物質発見後としては最悪である。
- 香港かぜ - 1968年。香港から発生した流行で100万人が死亡。
- 2009年新型インフルエンザ - いわゆる「豚インフルエンザ」。世界全域・130カ国以上で感染が確認される異常事態で、死亡者の数こそ15000人弱に抑えられたが、これは各国が流行阻止のために必死に対策した結果であった。
- コレラ - 19世紀~。1817~23年の流行など、現在に至るまで7度に渡ってくり返し発生。現在も発展途上国を中心に7回目のパンデミックが進行中。衛生環境の発達と、コレラ菌の発見により、先進国を中心に大規模な感染は押さえられてきている。
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コロナウイルス - 常在菌でほとんどは普通の風邪を引き起こすウイルスだが、稀に変異した新種が大流行、肺炎を含む重症化を引き起こし、死亡にいたるケースがある。21世紀に入り3度発生。
- SARSコロナウイルス - 2002-03年にかけて中国で発生した重症急性呼吸器症候群を引き起こす要因となり、774人または916人が死亡した(致死率10%前後)とされる。終息後は管理ミスなどによる散発で発生するにとどまっている。
- MERSコロナウィルス - 2012年に中東(主にサウジアラビア)で発生した中東呼吸器症候群を引き起こす要因となった原因ウィルス。感染力・重症化率が極めて高く、致死率は4割近くとされる。発生源の中東での封じ込めが成功したため世界規模の流行は抑えられたが、渡航先でキャリア疑いのある人物が2015年に無断出国したため、ほかの国にも持ち込まれる羽目となってしまった。流行終息後も患者は継続して出ているため、予断を許さない状況は続いている。
- SARS-CoV-2(SARSコロナウイルス-2、2019新型コロナウィルス) - 2019年に中国武漢で発生した新型肺炎の原因ウイルス。非常に感染力が強く、また初動の動きが鈍く封じ込めに失敗したため、大規模なパンデミックを引き起こした。SARSやMERSより軽症であり、また不顕現に終わることも多いが、持病持ちだと重症化のリスクが高く死亡に至るケースもあり、発生地の武漢では致死率は一時5%弱を記録した。地域によって致死率に差が出ており、上限の5%に近い地域もあれば、1%未満にとどまっている地域もあるが、平均で2%と言われている。日本の致死率は20年4月現在で1~2%とやや低い数値で推移しているものの、日本は新型コロナの検査に消極的な体制のために正確な数字とは言い難い。また変異が早く流行株が置き変わることも特徴で、特に被害をもたらしたのは2022年現在、主にイギリス国内で深刻なエピデミックを引き起こしたアルファ株、インドで発生して過去の株を駆逐して流行したデルタ株、南アフリカで発生して現在デルタ株を駆逐して大流行しているオミクロン株が主に知られる。
- 汚れた血事件 - 2005年。「ワールド・オブ・ウォークラフト(wow)」で発生したオンラインゲーム上でのパンデミック。原因は「近くの人物に伝染する効果を持った、体力が減少する状態異常」でありその持続時間はたった10秒であったが、「状態異常にかかりながら永遠に死なないNPC」「ニュースを知らず動き回ったり死亡→復活し続ける人」「わざと伝染させるテロリスト」などの要因が合わさりまともなプレイが一切できなくなるまでにゲームは完全に壊滅。運営はサーバーを一時全体停止して修正パッチを出さざるをえなくなった。仮想空間での事件でありながら現実の伝染病媒介のサンプルとして心理学・伝染病で論文が発表されるほどに有名な出来事となった。
2013年10月現在恐れられているもの
- H7N9型インフルエンザ - 2013年3月に、それまでヒトへの感染が確認されてなかったはずのタイプのウイルスのヒトへの感染が中国で確認された。このウイルスのヒト-ヒト感染は今のところ確認されていないが、WHOはフェーズ3(=パンデミック・アラート期)にあるとして警戒している。
- エボラ出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱
- 南米出血熱
- ラッサ熱
- マールブルグ病
- 志麻病
- 澪インフルエンザ(萌え萌えキュン♡)
- ななひらウイルス
- 虻インフルエンザ
- 釘宮病
関連動画
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関連項目
- ニコニコ大百科:医学記事一覧
- インフォデミック
- 新型インフルエンザ
- 萌え死
- 虻インフルエンザ
- パンデみっく
- まさゆきの地図
- パンデミック(ボードゲーム)
- Plague Inc.
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