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ヒグマ(羆、かつてはシグマとも)とは、ネコ目クマ科に属する大型の肉食獣である。
概要
三毛別羆事件を起こしたことで有名なクマの一種。日本の獣害事件ワースト3を制覇しているのは、このヒグマである。
漫画家のいがらしみきおも、ぼのぼのの作中で間違えるくらいツキノワグマと混同されているが、胸に白い三日月模様があるまっ黒い毛を持っているのはツキノワグマであり、特に模様がない褐色の毛を持つのがヒグマである。
体長は2mから3m、体重300kgから500kgという巨体を持ち、大自然の中で鍛えられたことによって筋肉の塊となっている身体から繰り出される怪力は人の首をワンパンで吹き飛ばしかねない威力を持つ。
巨体はほとんど強靭な筋肉で出来ているため脚も速く、時速50km(100mを7秒程度で走り切る程度)も出る。
また、嗅覚が非常に優れており、嗅覚が鋭いことで有名な動物である犬の何倍も優れている。一度匂いを覚えればどこまでも追ってこれるのはこの嗅覚があるからである。
一応肉食獣だが、クマという生き物は草でもなんでも食べる雑食性である。本来は森林地帯に生息し、肉よりも手に入りやすい草などを食べて過ごしている。ただしヒグマは本州に生息するツキノワグマに比べると肉食性は強い。
よく知られているように、冬になると冬眠を始める。この間は巣の中で身体機能を極限まで低下させて眠りに入り、春がくるのをじっくりと待つ。稀に冬眠に失敗した個体(穴もたず)が出てくると、空腹から凶暴性が増す。
が、近年は人間の捨てた・あるいは餌付けによって甘いものなどの味を覚えてしまう個体が出始めたこと、そして何よりも自然破壊の影響で食べ物がなくなるなどの理由で、クマが人里に降りてきてしまうことが増えている。
特にヒグマの生息地となっている北海道においてそれが問題になっているのは有名な話。そもそも北海道は、自然が残っていた頃から、上記の三毛別羆事件を初め様々な痛ましい人的被害が出た事件が起こりまくっている。
今でこそ人的被害が報じられることは稀になったが、住宅地への侵入など、やはり開発の影響によって、山が年々ヒグマにとって住みにくい場所になっていることがわかる。
非常に賢くもあり、例えば北海道ののぼりべつクマ牧場にいるヒグマは、人間に対してどういう仕草をすれば餌が貰えるかということを長年の生活で理解・学習しており、あの手この手で客の気を引こうとする。
「こんなかぁいい生き物が人を食い殺すなんて思えない!」というくらい愛くるしい姿を見せるクマ達なので、現地に足を運んで一目見る価値は十分にある。
おっかないイメージが強く、実際恐ろしい生き物なのだが、基本的には他の野生動物の例に漏れず臆病な生き物である。しかし彼等との付き合い方を間違えると、人側はとんでもない被害を被ることになる。
ヒグマの恐ろしさ
執着心
ヒグマは自分の餌、もとい所有物に対する執着心がかなり強い、ヒグマが起こした事件で被害が増加した原因の一つとして、遺体を事件現場から運んでしまったなどして、ヒグマが自分の所有物と認識しているものを人が奪ってしまった、身近に置きっぱなしにしたことが原因となっていることもしばしば。
また先のように一度味を覚えるとそれが忘れられなくなり、手に入れるためなら手段を選ばなくなる。
こういったヒグマの執着心を忘れさせるには、人間が怖い生き物であるということを認識させるところから初めなくてはいけない。
保護団体ではエアガンを使ってあえてヒグマを執拗に攻撃することで、人間の怖さを教えこむという方法も行われている。学習能力の高いヒグマなら、これによって人里に降りてくることはなくなる。
ただしそれでも人里に降りてくる癖がなくならないヒグマは、猟友会などによって射殺されることもある。残酷で身勝手な話ではあるが、これも人命を守るため、そしてこれ以上不幸なヒグマを増やさないための措置である。
好奇心
ヒグマはとかく好奇心が強い。物珍しいものを見たらまずは伸し掛かってそれが何かを探る。よく分からなければ牙で中身を引き裂く。
ヒグマの前で全力で逃げると追ってくるのは、警戒心と同時にこの強い好奇心が理由である。捕まったら最後、その怪力と体重で押しつぶされ、人間などひとたまりもない。
あげく、好奇心だけで終わって、人を食べずにズタズタにして放置することすらある。ヒグマは雑食なので、あまり腹が空いていなければ人間とて興味の対象以上にはならない。
逆にそれを利用して逃げる手段もあり、あえてヒグマが興味を持つものを落として去ると、ヒグマは意外とそれに興味を示してくれることがある。
子連れは非常に危険
ヒグマに限らないが、子熊を連れている母熊は子供を守ろうとする本能を持つ為に非常に気性が荒く、遭遇したらほぼ確実に襲ってくる。
また、子熊だけ見かけても近くには必ず母熊がいる筈なので、絶対に近づいてはならない。そういう状況に遭遇した時点で、自分の首筋に刃物が突き立てられているようなものだということを理解しよう。
ヒグマの仲間達
ヒグマ(brown bear, Ursus actros)の仲間は日本や北米大陸の他、北アジアや中央アジア、小アジア近辺やヨーロッパの一部に広く分布しているが、絶滅の危機に瀕しているものや、北アフリカなどでは既に絶滅しているものも多い。
- エゾヒグマ (Ursus actros yesoensis)
日本に生息する最大の陸生生物で、前述の通り獣害事件ワースト3を起こしたヒグマである。中国東北部を中心に広く分布するウスリーヒグマ(U. a. lasiotus / Ussuri brown bear, black grizzly (bear))に分類する意見もある。本記事は日本人的に馴染みのあるこのヒグマを念頭において記している。また、アイヌは「(生活圏としての)山の神」を意味するキムンカムイ(kimun kamuy)と呼び、毛皮・肉脂・臓腑などの多くの恵みをもたらす最も力のあるカムイ(獣肉を纏った神)として畏れ敬い、子熊であっても丁重にもてなした後にカムイの国(カムイモシリ、kamuy mosir)へ送り返す屠殺の儀式(イオマンテ、iomante、熊送り)を行い再訪を願う。なお、伊藤久男の戦後のヒット曲「イヨマンテの夜」はあらゆる面でイオマンテの実像とは異なっているので注意。 - ハイイログマ (U. a. horribilis / 英: North American brown bear, mainland grizzly (bear))
グリズリー(「暗灰色の毛を持つ(もの)」の意)と総称される北米大陸のヒグマの代表(かつては幾つかの近縁種が含まれていた)。エゾヒグマよりやや大きい個体もいるが、平均ではそう変わらない。かつての北米大陸にはメキシコ北部に至るまでハイイログマの仲間達が広く存在していたが、現在ではカナダ西部とモンタナ州の一部にいるハイイログマや下記のコディアックヒグマ、他数種を残して絶滅している(例えばカリフォルニア州の州旗や州章にはカリフォルニアヒグマ(U. a. californicus / California grizzly (bear))の在りし日の姿が残され、州立大学バークリー校は別名のゴールデンベアー(golden bear)を異名に取る。何の皮肉か判らないが、ゴールドラッシュによる人口急増とそれに伴う畜産物の保護がこの種の絶滅の要因であり、当州は現在に至るまで州人口ナンバー1だったりする)。 - コディアックヒグマ (U. a. middendorffi / 英: Kodiak (brown) bear, Alaskan grizzly (bear))
アラスカ南西部のコディアック諸島に棲息するグリズリーの固有種で、1万年以上前に島嶼部に分断されて独自の進化を遂げた。ヒグマの仲間ではエゾヒグマやハイイログマをさらに上回る最大の巨体を誇り、ホッキョクグマレベルのものまで存在する。ちなみに秋田八幡平クマ牧場事件で逃げ出した中にはこいつもいた。また、生活の大半(年間8ヶ月以上)を冬眠に費やしながらも目覚めた後にほとんど肉体が衰えていないことから、NASAの医療チームにより宇宙飛行士の長期間宇宙滞在などへの応用を目指した研究対象となっているとか。なお、RPG『ウィザードリィ』(国産PC版等)では敵モンスターとして登場し、そこそこ強い。 - ヒマラヤヒグマ (U. a. isabellinus / 英: Himalayan brown/red bear, Isabelline bear)
ヒマラヤ地方に棲息するやや小柄なヒグマの仲間だが、その一帯では最大の動物。雪男伝説の正体の一つとされている。 - ゴビヒグマ (U. a. gobiensis / 英: Gobi Bear)
モンゴル南西部(ゴビ砂漠北部)に棲息する小柄なヒグマの仲間。詳細は「ゴビヒグマ」の記事を参照。
ヒグマによる獣害事件一覧
- 三毛別羆事件
言わずもがな、日本史上最も被害を出した獣害事件。記事参照。 - 石狩沼田幌新事件
日本史上二位にあたる規模の獣害事件。祭りの後を襲った恐ろしい事件。 - 札幌丘珠事件
日本史上三位にあたる規模の獣害事件。冬眠中のヒグマを討ち損じて大惨事。かつてはこれが一番有名だった。 - 下富良野事件
留守中に少女がヒグマにさらわれ、藪の中で食い殺された事件。 - 風不死岳事件
警報を無視して登った結果の惨事。 - 福岡大ワンゲル部・羆襲撃事件
ヒグマの習性を世に知らしめる結果となった事件の一つ。 - 秋田八幡平クマ牧場事件
クマ牧場のヒグマが起こしたものとしては最大の事件。 - グリズリーマン
クマを愛する男が起こした、自業自得と言えなくもない事件。 - OSO18
家畜牛を60頭以上殺傷し続ける神出鬼没のヒグマ。 - 令和3年札幌市東区ヒグマ襲撃事件
ヒグマとはおよそ無縁と思われた都会で発生し、社会に衝撃を与えた熊害事件。
その他いろいろなこと
- 餌付けをしてはいけない
これは大前提の禁止事項である。山においてポイ捨てをするなどの行為も厳禁。食べ物の残りカスの味であってもヒグマが気に入ってしまったが最後なのだ。 - 一度ヒグマが手をつけたものを取り戻そうとしてはいけない
人間の法律的には所持者のものであっても、ヒグマにとってそんなのは関係ない話だ。ヒグマに襲われかけて逃げてきたはいいが、荷物を置いてきてしまった!なんてことがあっても取りに戻ってはいけない。 - 熊鈴を鳴らせ(ただし人の味を覚えていない個体に限る)
鈴を鳴らすのは、おっかない奴=人間がいるということをヒグマに知らせるためである。しかし人の味を覚えているとむしろ人間がいるんだ、とやってきてしまうこともある。基本的に熊対策としては有効。 - 火を怖がる、は迷信
ヒグマどころか、ツキノワグマですらも火を怖がらない。むしろ熊鈴以上に人がいることをただ知らせてしまうだけの場合が多い。 - 死んだふりは通用する?しない?
ヒグマは死肉も食べるので別に際立った効果はないのだが、怒り狂っていなければヒグマの興味を削ぐ場合もなきにしもあらず。基本的には急所を必死にガードしてヒグマが去るのを待つのがベターだが、そもそもヒグマさんを怒らせないように注意しよう。 - 人の味を覚えた羆は殺さなければならない
再三記したように、一度味を覚えたヒグマは多くの人を襲いかねない危険な存在となる。よって必ず仕留めなくてはさらなる大惨事になりかねないのである。ヒグマがそういった悲しい運命を辿らないためにも、ヒグマと人間の距離はしっかり保たなくてはならない。 - 目で殺せ!
相手の動きを、目で殺すんだ!(某ゴリ曰く)昔の猟師さんはこれでヒグマは逃げると話す。これは100%正しいとは言えないが、背中を見せるよりはマシである。目でしっかりと睨み、「俺はお前よりもおっかねぇんだぞ!」ということを示せば臆病なヒグマは普通襲ってこない。ただし何度も言うが、人を食べたことがある熊は、人間がそんなに怖くないことを知っているので、これだけでは不十分である。 - 撃退スプレーを使え!
最近注目されているのがこのスプレーである。赤唐辛子から抽出したカプサイシンをヒグマに吹きかけることでヒグマを戦闘不能にさせるという手段で、命中させればほぼ間違いなくヒグマの戦意を削ぐことが出来る。ただし所詮はスプレーであり、まず命中させる練習をしないと緊急時に当てるのは難しく、人にも大きな効果があるので諸刃の剣である。 - 実は臆病過ぎる奴もいる
一時期ニュースで話題になったことだが、猫によって撃退されたり、樹の上に追い詰められた個体がいたりする。後者はニュースサイトでも話題となり、猫が座って見上げた上でヒグマがおっかなびっくりで下をチラチラ確認している姿は正に笑いの神様が降りてきた瞬間だった。ヒグマはただおっかないだけの動物ではないのである。 - 何故か年配の人によく投げられる
度々ニュースで取り上げられることだが、柔道の心得がある年配の人が、襲いかかるクマを投げ飛ばして撃退するという話がよく見られる。ただしこれらは運が良かっただけに過ぎない側面もあるので、わざとヒグマと格闘しにいこうなどとは考えてはいけない。ちなみに投げられる率はツキノワグマのほうが多め。
怖いだけじゃないよヒグマかわいいよヒグマ
上記であげたビビリのヒグマだけではなく、ヒグマは愛嬌を振りまいてくれる生き物でもある。
特に小さい頃から人間に手懐けられたヒクマは、人間に愛嬌を見せていれば安定した生活が送れると学習しているのか、ジャレたり甘えたポーズを見せて人間を悩殺する。
野生のヒグマではまずそんなことはない。人工飼育されたクマがその悪知恵の働く賢さによって、いかに我々人間がいいように扱われているかがよくわかる。
でも、ダメ…………キュンキュンせずにはいられない!
あと下記の動画にもあるように、人と一緒に育ってきたヒグマは、ジャレついても加減というものを覚えてくれている。安全とは口が裂けても言えないが、人と生身で接する姿は、まるで犬のようである。
関連動画
可愛いヒグマ
関連商品
関連項目
- ゴビヒグマ
- クマ
- ツキノワグマ
- ホッキョクグマ
- ジャイアントパンダ
- 三毛別羆事件
- 石狩沼田幌新事件
- 札幌丘珠事件
- 福岡大ワンゲル部・羆襲撃事件
- 風不死岳事件
- 秋田八幡平クマ牧場事件
- 令和3年札幌市東区ヒグマ襲撃事件
- グリズリーマン
- のぼりべつクマ牧場
- OSO18
- 動物の一覧
- ヒグマ(けものフレンズ)
- エゾヒグマ(けものフレンズ)
- コディアックヒグマ(けものフレンズ)
- カムチャッカオオヒグマ(けものフレンズ)
- ハイイログマ(けものフレンズ)
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