ビジネスホテルとは、ホテルの形態の一つである。「ビジホ」と略される事が多い。
概要
言ってしまえば「現代的でチェーン店形態となった駅前旅館」。不要なものを可能な限り省き、宿泊料を徹底的に安くしたビジネスマン向けのホテルである。
ビジネスホテルの大まかな特徴を挙げると、
- 客室はシングルとダブルが基本、スイートルームなんてものはない
- 客室にあるものはベッド・TV・空の冷蔵庫・机のみ
- 風呂は客室にあるユニットバスを使うのが基本
- 髭剃りや歯ブラシなどは基本的に備え付けられているものの、フロントから必要な分だけ持っていく形式もある
- 大抵は鉄道駅から徒歩10数分圏内(ルートインのようなロードサイド型の場合は高速道路ICの近く)や飲み屋街にある
- ルームサービスは無し
- 有線/無線LANが整備されており宿泊者は使い放題
- 予約はインターネットからが中心(自動化してコストダウン)
- 宿泊料は1泊4,000~6,000円、高くても1万円くらい
- 食事は朝食のみ(別途支払が必要だが、ホテルによっては宿泊料に含まれている場合がある)
大体こんな感じである。
ビジネスマンの利用が主眼とは言え、観光ホテルなんかよりはよほど安価に宿泊できる上に大抵は鉄道駅や高速道路ICの近くといった交通の要所にあるため、ビジネスユース以外でも使い勝手はいい。
鉄道駅の近くにあるということは、(飽くまで線路の見える部屋を取れたらの話であるが)鉄道ファンにとっても嬉しい存在と言えるかもしれない。某京急EXインみたいに明らかにその手の需要を狙ったプランを用意しているチェーンも実際ある。
また、コストと宿泊料金を可能な限り抑えるためサービスは徹底的に簡素化されているが、これは考え方を変えれば「宿だけ確保して、あとは自分で好きなようにプランを組める」という自由度の高さがあると受け取ることもできる(ホテルお仕着せの食事やエンタメではなく、その土地の名物料理や観光スポットを堪能することができるという見方も可能)。
主なビジネスホテルチェーン
東横イン
国内のビジホ業界最大手。ほぼ日本全国にホテルを構えている他、海外にも進出している。
なお、東急電鉄グループ傘下の「東急ホテルズ」のビジネスホテル「東急イン」とは全く無関係のチェーンである。東急インは2015年4月、ブランド再編に伴いホテル東急ビズフォートと統合。東急イン・ホテル東急ビズフォートのブランド名は消滅した。今後は「東急REIホテル」となり、混同する恐れはなくなると思われる。
→東横イン
法華倶楽部
東横インが業界最大手のチェーンなら、こちらは「ビジネスホテル」という業態の草分け的存在。
「宿泊特化でサービスは最低限、その代わり安い」とか「部屋はシングルとダブルが基本」とかをなんと1920年代にやり始めた。つまり今時のビジネスホテルの常識を形作った。
ルートインホテルズ
ロードサイド型のビジホチェーン。主に高速道路のインターチェンジ付近に出店するが、鉄道駅の近くにホテルを構えることもある。
ビジホながら多くのホテルが大浴場を設けている。
イオングループの電子マネー・WAONが使用可能。また、共通ポイントサービス「Ponta」にも加盟している。
アパホテル
アパグループが運営するビジホチェーン。女性社長が出てくるCMでお馴染み。
他のホテルを買収するなどして急速に成長をした。ホテル業界のゼンショー。
R&Bホテル
東横インもびっくりの「超」宿泊特化・ローコスト仕様で他のチェーンよりも一回り安いお値段が売り(全室シングルルームが基本・髭剃りなどは持ち込みが前提・部屋によっては机は荷物棚を兼ねた移動式のテーブルを使用など)。
スーパーホテル
「快適に眠れる」ということをアピールしており、枕のレンタルがある他、睡眠に特化したその名も「ぐっすりルーム」を設けたホテルもある。
コンフォートホテル
外資系のチェーン。
スーパーホテル同様「快適に眠れる」という点をセールスポイントとしており、独自開発の安眠枕を客室に標準装備。
ドーミーイン
ビルメンテナンス業の「共立メンテナンス」が運営。天然温泉を用いているホテルが多い。
プリンスホテル
西武ホールディングスの「西武・プリンスホテルワールドワイド」が運営。
日本最大級のホテルブランドとして知られており、リゾート地や都心部に多く分布する。中でも「品川プリンスホテル」は系列ホテルの中で最も有名なホテルで、「品プリ」(しなぷり)の略称で親しまれている。また、ホテル付属施設としては珍しいボウリング場(品川プリンスボウル)や水族館(アクアパーク品川)があるホテルとしても有名である。
ホテルブランドとしては、ベーシック路線の「プリンスホテル」、ハイグレード路線の「グランドプリンスホテル」、スーパーグレード路線の「ザ・プリンス」がある。
JR東日本ホテルズ
JR東日本グループの子会社である「日本ホテル」が運営するホテルチェーン。
「JR東日本ホテルメッツ」、「メトロポリタンホテルズ」の2大ホテルブランドを抱える。また、東京駅にある東京ステーションホテルも系列ホテルである。
ヴィアイン
JR西日本グループの「JR西日本ヴィアイン」が運営するホテルチェーン。
JR西日本共通ポイントであるWESTERポイントが宿泊する際に貯められて、支払いの際にも使えるのがメリットとなっている。なお、同じJR西日本傘下ホテルである「グランヴィア」、「ヴィスキオ」は別の子会社が運営している。(後述参照)
JR西日本ホテルズ(グランヴィア、ヴィスキオ)
JR西日本グループの子会社である「ジェイアール西日本ホテル開発」が運営するホテルチェーン。
かつては「ヴィアイン」も運営していたが、2017年4月に開業した「ヴィアインあべの天王寺」が「JR西日本ヴィアイン」となったことを皮切りに、既存の営業中のヴィアイン系列ホテルを「JR西日本ヴィアイン」に経営移管を行っている。このため、残った「グランヴィア」、「ヴィスキオ」系列のホテルを引き続き運営している。「グランヴィア」は、リーズナブルな「ヴィアイン」に比べてハイグレード路線のホテルブランドとなっている。「ヴィスキオ」は宿泊特化型で、個人でのビジネスマン向けに狙ったホテルブランドである。
関連項目
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