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ビッグアーサー
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ビッグアーサー英:Big Arthur、香:大仁大勇)とは、前が壁である。

……もとい、2011年生まれの日本競走馬種牡馬である。鹿毛
GIでのレコード勝利よりも、GIでの伝説的な敗北られる

な勝ち
2016年高松宮記念(GI)セントウルステークス(GII)

概要

サクラバクシンオー*シヤボナ、Kingmamboという血統。
日本競馬史上最強の短距離の一頭。種牡馬としても産駒の中央勝利数が1400勝をえ、父内国産馬種牡馬としてはJRA最多勝を誇る。
アメリカからの輸入繁殖牝馬(自身は未出走)。エルコンドルパサーキングカメハメハとして知られ、キングカメハメハ種牡馬としての大成功で日本において一大勢を築き上げている。
2021年兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)や2023年エルムステークス(GIII)を勝利したセキフウ*ヘニーヒューズ)がいる。

2011年3月18日浦河町のバンブー牧場バンブーメモリーやバンブーエールの生産牧場)で誕生。オーナーは中明(京都不動産会社社長。半セキフウも氏の所有馬)。2012年北海道セレクションセールにて1050万円(税抜)で落札された。

所属は東の藤岡健一厩舎。同厩の同期に、重賞勝利の最多獲得賞記録を持つサウンズオブアースがいる。

名の意味は「大きな+人名より」。アーサー王が由来であろう。

大いなるアーサー王

3歳~4歳・遅れてきた快進撃となぜか勝てない重賞

具体的な理由は不明だがデビューは遅れに遅れ、とっくに新馬戦も終わった3歳4月福島1200mの未勝利戦にて藤岡師の息子藤岡康太上に2身半差の快勝デビューを飾る。
このデビュー戦から既に頭抜けた素質を見せていたが、続く2戦へ向かおうとしていた小倉への輸送中にの中で暴れて栓棒が右トモに刺さるという大怪を負ってしまい、10ヶもの長期休養を余儀なくされる。

明けて4歳、2015年2月小倉八代特別(500万下、芝1200m)で復帰すると、ブランクもなんのその、ノーステッキで2身半差の勝。まともに走れもしなかった3歳までの憤をらすように、ここから彼の快進撃が始まる。

続く3月岡崎特別(1000万下、中・芝1200m)では稍重の馬場も苦にせず残り200mから他を置き去りにする末脚で快勝。勝ちタイムは同日の11RだったGI高松宮記念の勝ちタイム(勝ちエアロヴェロシティ)とべてもコンマ1差しかなく、「11Rに出てれば良かったのに」と言われるほどだった。
続いて中1週で向かった淀屋橋ステークス(1600万下阪神・芝1200m)は浜中俊に乗り替わったが、持ったままで抜け出し接戦ながら他をねじデビュー4連勝。

オープン入りもつかの間、6月にすぐ降級になってしまったが、上が藤岡に戻った同水無月ステークス(1600万下阪神・芝1200m)も楽に抜け出し、追撃してきたフォーエバーモアに詰められたが抜かせずデビュー5連勝であっさりオープン復帰。

10月GIスプリンターズステークスをめざし、続いては8月北九州記念(GIII)へ。敗の5連勝ということで単勝2.5倍の1番人気に支持される。ところがレースでは中団群の中に埋まってしまい、群を割って追い込んだが、前レースを進めた同じバクシンオー産駒ベルカントには届かず2着で初
まあでも収得賞金は確保できたし……と思っていたら、なんとスプリンターズSでは賞順で下にいたレッドオーヴァルがレーティングで出走権を確保した結果、賞不足で除外になってしまう。

仕方ないのでスプリンターズSの翌週のオープン特別、パールステークス(京都・芝1200m)に出走。前走の反省からか前レースを進め、単勝1.7倍の支持に応えコースレコードタイの1:06.7を出して3身差の楽勝。

続いて11月京阪杯(GIII)。単勝1.5倍の1番人気も、中団の最内という位置取りが祟って直線でなかなか進路を確保できず、なんとか抜け出して追い込んだもののサトノルパンをアタマ差差し切れず2着。

年内ラスト12月阪神カップ(GII)。初の1400mでも単勝2.7倍の1番人気。今度は4番手の前で進めたがまたも最内から直線で進路の確保に手間取り仕掛けが遅れ、外から切れ味鋭く伸びたロサギガンティアダンスディレクターに突き放され3着。

間違いなく重賞を勝てるを持ちながら、重賞3戦とも位置取りに起因する仕掛けの遅れというほぼ同じパターンで3連敗。さすがに藤岡師も息子に堪袋の緒が切れたのか、この阪神カップを最後に藤岡康太は降となった。

……後から思えば、この重賞戦線でのもたつきがビッグアーサーというの競走生活徴するものだったのかもしれない。

5歳春・短距離王、聖剣の切れ味

明けて5歳、初戦は1月シルクロードステークス(GIII)上にはミルコ・デムーロを迎え、大外もあって外を回っての追い込みを仕掛けたが伸びきらず、初めて馬券を外す5着。

デビュー2戦からずっと1番人気に支持され続けながら、とうとう重賞勝利のまま、3月高松宮記念(GI)に挑むことになったビッグアーサー。営はこの大一番、初騎乗となるあの男に上を託すことを決断した。福永祐一である。
ここまで重賞勝利ながら、GIミッキーアイルと僅差の1番人気に支持されたビッグアーサー。前3頭がハイペース逃げレースを邪魔の入らない外の4番手という絶好の位置で追走したビッグアーサーは、直線入口で大外に持ち出すと、3番手から抜け出したミッキーアイルを残り200mから一気にかわして先頭に躍り出、そのまま押し切って勝。
タイムロードカナロアコースレコード14更新する1:06.7叩き出し[1]重賞勝利GI制覇で飾った。まあタイムに関してはビッグアーサーが凄いというよりこの日の中異常高速馬場すぎた、と言われていたけれども……。
オーナー藤岡師もこれが嬉しいGI初制覇。上の福永も、2013年天皇賞(秋)ジャスタウェイ)以来2年5ヶぶりのGI勝利であった。

ちなみにウイニングランを行っている時に上の福永騎手は落していたりする。この落コース内で撮していたテレビカメラスタッフが、不意に近づいたためビッグアーサーが驚いて振り落とされた形となる。幸いにも人とも怪かった。福永騎手インタビュー等でときおり笑い話として「ウイニングランで落したことあるから気を付けて帰ってきた」とるのはこの件にあたる。

ともあれ、多少のもたつきこそあったものの、史上最強距離に持つ素質が、偉大な天才騎手を持つ騎手との出会いで覚醒、ついにその素質が大輪のを咲かせ、短距離王者にいた。聖剣の切れ味で短距離界を統一する、大いなる王者の誕生であった。

勝った!第三部

5歳秋・「ビッグアーサー前が壁!」

……そう、そうなるはずだったのである。

4歳から出走スケジュールが詰まっていたこともあり、高松宮記念の後はゆっくり半年休んで、の復帰戦は9月セントウルステークス(GII)上は引き続き福永。最内の11番を引いたこともあってか、なんと初めての逃げの手を打つ。最後まで脚色は鈍ることなく、そのまま々と逃げ切り勝ち。
重賞連勝で、10月スプリンターズステークスへ視界良好……のはずだったのだが、藤岡師は「逃げてほしくなかった」と逃げて勝ったことに渋い顔をしていた。そしてそれが、翌伏線となる。

ともあれ10月、スプリン連覇をして向かったスプリンターズS(GI)。単勝1.8倍の圧倒的1番人気に支持されたビッグアーサーは、またも11番を引いてしまう。そう、全てがあの事件へ向けてフラグとして積み上がっていた。
レースが始まる。スタートは悪くなかったものの、今度はミッキーアイルネロシュウジらがどんどん先に出て前で先頭集団を形成。やや抑えめで中団につけたビッグアーサーは、最内のせいで外に持ち出すこともできないまま、4コーナーではもう全に群に包囲されてしまっていた。
直線に入っても横並びの先行集団には全くスペースかない。なんとか外に持ち出そうとしたときには外への進路はレッドファルクスに塞がれていた。まさに八方塞がりの状況に、ラジオNIKKEI小塚歩アナウンサーの口から、あの伝説フレーズが飛び出した。

群の中に1番ビッグアーサーで直線コースに向きました。
さあ先頭はミッキーアイルリードは1身半、2番手からシュウジ、ネロ、サトノルパン
外に切り替えて1番ビッグアーサー前が壁!

2016年スプリンターズステークス。その全に包囲された。は消えたままだった。ビッグアーサー、お前はなぜ走れなかったのか……。

ここから奇跡など起こるべくもなく、最後にはようやく前にいたスペースに入ろうとしたのすら他に割り込まれ、躓いて失速、結果は12着。ビッグアーサーの馬券を握りしめていたファン阿鼻叫喚福永は「最低の騎乗。悪いことをした」とコメントして消沈し、同日の凱旋門賞ゲスト解説では顔面になっていた。
ビッグアーサー事件とまで称されたこの「前が壁」は、高松宮記念レコード勝利よりもビッグアーサーの代名詞となってしまい、福永にとってもキングヘイロー日本ダービーなどと並ぶ代表的やらかしレースとして伝説となってしまった。

ただ、ミッキーアイルなどがいた時点で逃げることは難しかったにしても、ここまで群に包まれる位置取りになってしまったのは福永のせいというより、前走の逃げ切り勝ちに批判的だった藤岡師の責任では?というもある。
その一方、前戦で逃げたことで他から逃げさせまいとマークされた結果があの群封じ込めだった、もしくは前走逃げたせいでが行きたがり抑えようとした上と喧嘩してしまったせいで必要以上に下がってしまった、など藤岡師の懸念通り前走で逃げたことが問題だったという見方もあり(細江純子などもセントウルSでの逃げ切り勝ちには批判的だった)、結局何が正解だったのかは知るべくもない。

もともと福永騎手キングヘイロー日本ダービーがよほどトラウマなのか折り合いを重視した騎乗の結果、群に埋もれて進路を失うケースが多いこともあり、藤岡師のコメント細江純子批判などから「フラグ乱立」「やらかすんじゃないか」とレース前から疑っていた競馬ファンも結構いた。そしてまさにその懸念そのままの飛び方だったのも、この「前が壁」事件が伝説になった一因であろう。

いずれにせよ残ったのは小塚アナ伝説フレーズ福永ジョッキー黒歴史、そしてになったビッグアーサーの馬券だけであった。

その後・狂った歯車は戻らず

その後は年末の香港スプリント(GI)に向かい、福永が前週に落負傷したためライアン・ムーア上に迎えたが10着惨敗。

6歳シーズン左前脚の故障に苦しみ、高松宮記念、セントウルステーウスと続けて回避。因縁のスプリンターズステークスでようやく復帰し、福永とのコンビリベンジを狙った。
今度は先行策で前にもいない絶好の位置を確保したまま直線へ。今度は前にはない。あとは末脚で差し切るだけ――けれど、もうあのときのスピードはビッグアーサーには残っていなかった。伸びを欠いたまま6着。ああ、昨年、彼の前にこの進路があったなら……。

結局、このレースを最後に現役引退種牡馬入りとなった。通算15戦8勝。
生涯15戦で、1番人気ではなかったのはデビュー戦と引退レースだけ。のようなスプリントの絶対王者にもなれただろう素質を持ちながら、いかんせんあまりにも取りこぼしたレースが多すぎた。GI勝利したとはいえ、なんというか不完全燃焼という言葉が最初に浮かぶような競走生活であった。

種牡馬として

引退後は新ひだか町のアロースタッドで種牡馬入り。*サンデーサイレンスの血が1滴も入っていないという希少性もあってか初年度164頭、2年155頭に種付けと人気を集めた。
初年度産駒デビューした2021年の2歳戦の結果がもうひとつだったため、2022年の種付け数は85頭まで下がってしまったが、2022年、2年産駒トンドール函館2歳Sを勝って重賞初制覇。続いて初年度産駒トウシンマカオ2022年2023年京阪杯を連覇。こうした結果を受け、2023年の種付け数は再び155頭まで盛り返し、100万円でスタートした種付け料は、2023年には150万円に、2024年には300万円アップした。輸入種牡馬を除くアロースタッドの種牡馬ではモズアスコット350万円)に次ぐ価格になっている。
なお、彼の産駒ニコニコ大百科に最初に記事ができたのはブタノカックーニ

かつてトウショウボーイ種牡馬として多くの牧場を救い内種牡馬の評価を高めたテスコボーイ系だが、トウショウボーイの直系は既に絶えている。同じバクシンオー産駒で先に種牡馬入りしたショウナンカンプはこれといった後継を残せず、グランプリボスも大苦戦中で、馬主の繋がりで交配させてもらえているモズ軍団から一発逆転の大物が出ないと厳しい状況にある。
というわけでテスコボーイ系の存続は彼の子供たちにかかっている状況である。短距離サクラバクシンオーの後継種牡馬として、そのスピードを受け継いだ産駒たちの活躍を期待したいところである。

血統表

サクラバクシンオー
1989 鹿毛
サクラユタカオー
1982 栗毛
*テスコボーイ Princely Gift
File
アンジェリカ *ネヴァービート
スターハイネス
サクラハゴロモ
1984 鹿毛
*ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
*クリアアンバー Ambiopoise
One Clear Call
*シヤボナ
2005 鹿毛
FNo.10-e
Kingmambo
1990 鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
Relish
1999 鹿毛
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
Reloy Liloy
Rescousse

クロスNorthern Dancer 4×5×4(15.63%)、Special 5×5(6.25%)

主な産駒

関連動画

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関連項目

脚注

  1. *このレコード2022年セントウルSメイケイエールが1:06.2を出して更新
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41 ななしのよっしん
2023/09/13(水) 00:14:45 ID: SdgrGCLC58
めて体見てみたが凄いなビッグアーサー
胴体が寸詰まりどころじゃない、アバラから先の胴体がレベルで短い
こりゃ産駒距離持たないわ
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42 ななしのよっしん
2023/10/08(日) 15:39:06 ID: tgKWb6NCeP
ビッグシーザーもやらかして
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43 ななしのよっしん
2023/10/08(日) 17:07:59 ID: tgKWb6NCeP
ビッグアーサー16年スプリンターズS福永(初GⅠ桜花賞1976年生まれ)1番人気12着、勝ち713番

ビッグシーザー23オパールS→幸英明(初GⅠ桜花賞1976年生まれ)、1番人気12着、勝ち713番
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44 ななしのよっしん
2023/11/28(火) 07:00:33 ID: ji7bmGjt2w
トウシンマカオ京阪杯連覇
スワンSはいったいなんだったんだ…
とまれ、来年の高松宮記念勝って系を繋いでほしいとこ
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45 ななしのよっしん
2023/12/16(土) 22:27:05 ID: 0cjTmaIfHM
中京2歳S産駒ワンツーかました上に連覇してて

しかしほんと気持ちいいぐらい成績が芝1200に偏ってんなあ
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46 ななしのよっしん
2023/12/18(月) 20:50:07 ID: UBI970nCzk
間違いなくバクシンオー並のポテンシャル持ってるな
これで中距離も走れたら種牡馬の勢図が変わるんだが
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47 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 15:58:29 ID: eB9QjSv4AN
また重賞ビッグアーサー産駒ワンツー決めたんか
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48 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 16:05:43 ID: iqQEKy2CPv
この調子G1でも産駒ワンツー見てみたいなぁ!
今年種付け料が150万から300万に倍増してるし、間違いなく流れは来ているはずなんだ
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49 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 16:28:05 ID: SdgrGCLC58
ビッグアーサー産駒プリント特化で日本プリント制圧するんちゃうかって勢いだな
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50 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 19:22:19 ID: v+4aQihLPg
距離門だけど仕上がりで古になっても活躍し、サンデーの血が流れてると相性がいいとなると需要がなくなることはないなぁ

贅沢いうなら1600mくらいまで距離もつ産駒が欲しいくらいかな?配合次第でなんとかなりそうな気もするけど
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