ビットコイン(Bitcoin)とは、暗号資産(仮想通貨)の1種である。
概要
「Satoshi Nakamoto」なる存在によって投稿された論文を元に開発された。オープンソースであり、プログラムは公開されている。
Bitcoinは、ネット上での支払いを簡単に、単純化するために生まれた。例えば、「誰々にお金を送りたいけど、口座がない、銀行に行くのがめんどくさい」「そもそもお金を送りたい相手が誰なのかすら分からない」といった事があったとする。これらが、Bitcoinを使うことで家のPCや携帯などから直接、銀行を使わず「誰か」にお金を送ることができる。Bitcoinは口座番号に当たるアドレスがあり、その口座番号からは現実の個人情報に結びつけることができないので、誰もが気軽に口座番号、アドレスを公開してBitcoinを送ってもらえる。
ニコニコで例えれば「振り込めない詐欺」を解消し、匿名性を維持したまま振り込めるようになる。ただし、「どのアドレスからどのアドレスにいくら支払われたのか」は完全に公開されているため、匿名性には限界もあることには注意が必要。
冒頭でも述べたように「Satoshi Nakamoto」という名義で発表された論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」[1]を元にして2009年に初めて発行された。この最初の開発者「Satoshi Nakamoto」の素性は明らかにされていない(詳細は「Satoshi Nakamoto」の記事を参照)。既に「Satoshi Nakamoto」はBitcoinの開発からは身を引いているが、他の協力者たちによってBitcoinの開発は継続されている。
単位はBTC。ただし1BTCが最小単位ではなく、小数点以下8桁の0.00000001BTC(1億分の1BTC)が最小単位。この0.00000001BTCは1satoshiとも呼ばれ、「Satoshi Nakamoto」の名に由来する。
現在10BTC以上を保有しているのは全体の0.7%の人間で、この0.7%の人間たちが保有している額だけでビットコイン市場総額の約86%を占めている。[2]
ここではBitcoinがよくわからない人に対しての解説なので、仕組みは省略します。Wikipediaでも読んでください。
地下銀行[3]
ビットコインは一種の地下銀行として機能する。例えば中華人民共和国では個人の外貨両替の額は制限されており、企業などによる海外送金も許可制にしているので、国内の資産を容易に海外に移すことができない。
しかし中国国内で人民元を使ってビットコインを買い、海外に出てからドルなどの外貨で払い出しを受ける、という形で国内の資産を海外に移すことができる。
ワナクライ(WannaCry)
2017年に発生したランサムウェア。PC内のファイルを勝手に暗号化し、暗号化の解除と引き換えにビットコインを要求する。Windowsの脆弱性を利用して感染を広げた。[4]
これに関連し、アメリカ政府は北朝鮮のハッカーを2018年に訴追している。[5]
入手方法
手段その1「採掘する」
採掘?は?地面掘るの?と思ったアナタ。これはBitcoinを金に例えて作ったために生まれた表現で、実際にはパソコン同士で計算速度を競わせて、その計算速度の比率に応じて新たに生まれたBitcoinが与えられます。
何故こんなことをしなければならないのかといえば、あくまでBitcoinは通貨であり、価値がよく分からなくてもタダで貰えるものは欲しいですよね?Bitcoinは最初、誰も持ってない事が前提ですから、タダでない手段でなるべく公平な方法を使って、コインを皆に配布しなければなりません。その方法が「パソコンに計算速度を競わせる」というものです。電気代をBitcoinに変換する。という考え方をする人も居ますね。
「採掘」に参加するパソコンが増えて、全体の計算量が増えていくと、一人が得られるコインは減っていきます。これは、新たに生まれるコインは一日あたりの数が決まっているからです。
人気が出て「採掘」に参加する人が増えれば価値が上がっていきます。そして、人気と価値が更に上がると高価な専門機材が無いと採掘できなくなってしまいます。(参考記事:Bitcoinマイニングはまさに軍拡競争、素人お断りの現状とは? Gigazine, 2013.10.21)
手段その2「取引所で買う」
では、専門機材を持たない人はどうするのか。
Bitcoinには取引所なるものがあり、「Bitcoinを買いたい人」と「Bitcoinを売りたい人」が毎日取引を続けています。取引所を利用すれば採掘をせずともドルやユーロでBitcoinを買うことが出来ます。専門機材でBitcoinを採掘した人たちはこのような場所でBitcoinを売却し、利益を得ているのです。
日本では2014年のMt.Goxの破綻やその後の国際的な合意を踏まえて2016年に資金決済法などの法律が改正され、2017年4月1日からはBitcoinを含めた暗号通貨の取引所は「仮想通貨交換業者」としての申請と登録が必要になっています。登録済みの業者(取引所)は金融庁のウェブサイトから一覧が確認できます。
ただし2017年3月31日までに仮想通貨交換業を行っていた業者は、2017年4月1日から6か月以内に申請を行えば「みなし仮想通貨交換業者」として業務を継続できることになっています。2018年1月に通貨盗難事件が起きたコインチェックも、事件発生当時はこの「みなし仮想通貨交換業者」でした。
上記の金融庁ウェブサイトの一覧に載っていない取引所は、この「みなし仮想通貨交換業者」か、あるいは日本国外の取引所か、あるいはDEX (Decentralized Exchange:分散型仮想通貨取引所、非中央集権型暗号通貨取引所)にあたります。
手段その3「何かを売る、寄付してもらう」
これは非常に単純です。Bitcoinはあくまで通貨なので、物を売り買いするのが基本なのです。また、評価されるべきことをした人は寄付してもらえるかもしれません。
他にもいくつかありますが、この3つが基本的な手段になります。
Q&A
Q: Bitcoinって円天に似たものじゃないの?
A: 全然違います。
円天はL&Gという会社が作ったもので、会社の都合で幾らでも増えます。Bitcoinは最初のプログラムに定められた2100万枚以上は増えません。
また、円天を使って買えるのはL&Gが提供した商品のみで、お店のポイントに近いものであるのに対し、
Bitcoinは色んな人々が様々な品物を取引しています。ゲームやパソコン、車や果てには家もBitcoinで買うことが出来ます。
Q: ニュースになったMt.Goxやコインチェックって何?
A: 取引所の一つです。
Mt.Goxやコインチェックは「Bitcoinを手に入れる手段その2」で紹介した取引所の一つです。
他にも取引所は数多くあります。
Q: Mt.Goxとかいう所が発行したものじゃないの?
A: 違います。
先述のように、発行するのはプログラムで、採掘をすることによって採掘をしたパソコンに与えられます
このプログラムはネットを通して情報を交換して、全体の採掘を監視し、新しいBitcoinを分配しています。
Q: Mt.Goxが潰れたんだから価値が無くなったんじゃないの?
A: Mt.Goxが預かっていたBitcoinは価値がなくなりました。
あくまでMt.Goxは取引所で、取引をする前に一度Mt.GoxにドルやBitcoinを預ける必要があります。そして、価値が無くなったのは取引をするためにMt.Goxに預けられていたBitcoinだけ。Bitcoin自体は、価値が無くなると言える程値下がりせず、取引されています。2018年2月4日現在は1Bitcoin=900円から1000円の間で取引されていますが、値動きが極端なのでこの価格はすぐに古くなります。最新の価格はチャートサイトなどで確認を。
Q: 発行数が変わらないだって?プログラム書き換えればできるだろ。
A: 出来るもんならやってみろ。恐らく全世界から就職のお誘いが来るはずだ。
何故出来ないかはWikipediaを読むか、ソースコードを読んでください。そんなことが出来るのであれば、Bitcoinは価値を持ちません。
Q: Bitcoinってただのデータでしょ?なんでそんなものに価値があるの?
A: 逆に聞きましょう。何故あなたは本来ただの紙である日本円やドルに価値があると思うのですか?
理由は簡単です。「国が価値を保証しているから価値が有る」というものですよ。逆に、紙幣でも価値がなくなってしまう事もあります。旧ジンバブエドルや戦間期のドイツマルクなどが典型的な例ですね。円天と同様に発行者、つまり政府の都合で幾らでも数が増やせるのが現代で、Bitcoinは書き換えられないプログラムによって数が制限されています。
尤も、普通の状態にある国ならば紙幣が無価値になる事など起こりませんが。
Q: やっぱり何故価値があるのか分からない。
A: 学校で、シャー芯や牛乳瓶のフタなどをお金代わりに使った経験はありませんか?
あれをイメージすれば分かりやすいはずで、「偽造できない子供銀行券」とよく言われます。逆を言うと、価値の保証が曖昧な為、Bitcoinでのトラブルを国などの法的機関が解決する事はできないというデメリットもあります。
Q: なんでここまで値上がりしたの?
A: 上にも書かれているように、ビットコインは本質的には「こども銀行券」と同じであり、現在流通している法定貨幣のように発行主体や、価値を裏付ける「資産」はありません。このことを「ビットコインは「価値があるかもしれない」という幻想によって価格が高騰しているに過ぎない」と揶揄する人も居ます。[6]
つまり「欲しがる人が居るから」という理由のみで値が付いており、「欲しがる人が多くなったから」値が上がったと言えるかもしれません。
より具体的には、キプロスの経済危機、ユーロ危機などの際にビットコインの価格が上昇した前例などから、「自分が持っている法廷貨幣が信頼できない」状況に陥りそうな人が増える時に資金が流入して価格が上がる傾向も見て取れるようです。自分が持っている通貨の価値が旧ジンバブエドルみたいに急落するという恐怖に晒された時に、オンラインで手軽に資産を逃避させることができるビットコインが「受け皿」になっているとも言えるのかもしれません。
また、ビットコインには「価格の変動が激しい」という特徴があり、これを「ボラティリティが高い」等とも表現しますが、その価格不安定性から利鞘を稼ぎたいという投機目的の資金も流入しています。
その他の質問は掲示板に書いておくと誰かが答えてくれると思います。
Bitcoinの派生通貨たち
Bitcoinは確かに新たな通貨の時代を切り開きましたが、数多くの欠点があります。「送金が遅い」「価値が上がりすぎて手数料が高い」「敷居が高い」「採掘に専門機材が必要」などの欠点があり、Bitcoinをベースに、それを改善したコインも出てきました。メリットである「匿名性」「支払いの手軽さ」「手数料の安さ」はどのコインでも引き継いでいます。
- Litecoin
- Bitcoinに次ぐ市場規模を持つ通貨で、「送金が遅い」「採掘に専門機材が必要」といった欠点を解消しました。
- Monacoin
- 日本発の暗号通貨で、利用可能なサービスは全て日本語で提供され、利用者もほぼ全員日本人という日本用通貨。Litecoinの派生のため、専門機材が不要等の改善点も同一。
関連動画
関連商品
外部リンク
関連項目
- Satoshi Nakamoto
- ブロックチェーン
- 通貨
- 仮想通貨
- 電子通貨
- 暗号通貨
- tipbot
- P2P
- オープンソース
- 非代替性トークン (NFT) - 暗号通貨は代替性があるとされ、代替性トークン (FT) と呼ばれる。その対義語として、電子データそのものを暗号資産として取り扱う場合を非代替性トークン (NFT)と呼ぶ。
- マウントゴックス
脚注
- *Bitcoin公式サイト内で英語原文がPDFファイルで読める。また、和訳版を公開しているブログもある。
- *元経済ヤクザが語る、ビットコインが「負け確定のゲーム」である理由 2019.8.9
- *「決裂する世界で始まる金融制裁戦争」渡邉哲也 2017
- *「WannaCry」騒動とは何だったのか? 感染理由とその対策 (1/2) 2017.5.17
- *米が北朝鮮ハッカーを訴追、「ワナクライ」サイバー攻撃などで 2018.9.7
- *元経済ヤクザが、フェイスブック通貨・リブラを「テロ」と見る理由 2019.7.26
- 4
- 0pt