ビップデイジー(Vip Daisy)とは、2022年生まれの日本の競走馬。父譲りのダイヤ型の星が特徴的な鹿毛の牝馬である。
概要
父サトノダイヤモンド、母ローズベリル、母父キングカメハメハという血統。
父は菊花賞に加えて3歳で有馬記念を制し、JRA最優秀3歳牡馬に選出された競走馬。5歳で引退後、ディープインパクトの後継種牡馬として期待されながら種牡馬入りしたが、初年度産駒は総じて苦戦し、現在は社台スタリオンステーションからブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移動して種牡馬生活を継続している。ビップデイジーは彼の3年目産駒である。
母は現役時代中央ダートで2勝。半兄に東京新聞杯を制したブラックスピネルがおり、さらに牝系を辿ると(ローズベリルから見て)3代母キャサリーンパーから続く名牝一族出身で、近親にはマリアライトやクリソベリル、アロンダイトといった芝・ダートの活躍馬が並んでいる。ビップデイジーはローズベリルの初仔。
母父は2024年に顕彰馬入りを果たした非*サンデーサイレンス系の大種牡馬。
なお父サトノダイヤモンド、母父キングカメカメハは2024年に新潟記念を制したシンリョクカと同じ組み合わせである。
2022年2月15日、ノーザンファームで誕生。2023年のセレクトセールで1500万円スタートで上場され、5200万円(税抜)で落札された(下記動画の10:47ごろから)。
オーナーは「ビップ」冠を用いる鈴木邦英(「テリオス」冠の鈴木美江子オーナーの夫)。鈴木オーナーは静岡県で株式会社ビップという運送業を営んでおり、冠名は社名をそのまま付けた模様。なおニシノ/セイウン冠で有名な西山茂行オーナーの知人らしい。
馬主登録は2007年。彼の持ち馬をnetkeibaで検索してみると、後の有名高額種牡馬でも産駒がお手頃価格になりやすい1年目から3年目の産駒だったり、お値段低めでよく言えば"味わい深い"種牡馬の産駒だったりと癖が強い。馬主として後輩の妻に重賞勝ちを先んじられたのも、彼の馬主としてのこだわりが足を引っ張った故かもしれない。イヤ、奥様も同じ傾向で馬を選んでいる上にセリで買うのほぼ牝馬縛り状態ですがね……。
金剛石の希望[1]
2歳
2024年7月11日にノーザンファームしがらきから栗東・松下武士厩舎に入厩。7月19日にゲート試験に合格。セレクトセール出身のノーザンファーム生産馬だがデビュー前の評価は(非有力個人馬主のサトノダイヤモンド産駒牝馬ということもあり)高くなく、netkeibaのPOG指名ランキングは1564位(15人)、JRA-VANでも1109位(53人)とほぼ無名の状態でのデビューとなった。
デビュー戦は8月18日中京第5レースの新馬戦(芝1600m・牝馬限定)で鞍上は幸英明。同じノーザンファーム産のベルディヴァン(父アドマイヤマーズ)が単勝2.9倍の1番人気、素質馬と評価が高かったマリエンプラッツ(父ハービンジャー)が単勝3.8倍の2番人気に支持される中、ビップデイジーは5番人気の単勝18.5倍に留まった。レースはベルディヴァンが逃げ800m46.3秒という緩みの無いハイペース展開のなか、ビップデイジーは内枠(2番)から序盤は中段から後方に控える。4コーナー出口で16頭立ての10番手ほどだったが、直線の残り200mで外に出した後は直線一気で前の馬を差し切り1着。調教師の松下師にJRA通算200勝目をプレゼントした。
2戦目は10月12日京都第8レースの1勝クラス紫菊賞(芝1800m・牡馬混合)。鞍上は幸英明が継続騎乗、6頭立てと例年通りの少頭数レースとなった。札幌2歳ステークス6着から転戦してきたマテンロウサンが自信ありげな調教師コメントもあり単勝2.2倍の1番人気に支持され、大外6番を引いたビップデイジーは単勝4.0倍の3番人気。レースは1000m62.6秒というスローペースの展開となり、ビップデイジーは多少かかりながらも好位外目を追走。4コーナー出口で4頭がほぼ揃った形で直線に入ると、外から先行馬に並びかけると決め手勝負を制して1着。無傷の2勝目を挙げた。戦後幸も「さらに良くなっています。しまいはいい脚だったと思います」と笑顔でレースを振り返った。
連勝に気を良くした陣営は次戦に2歳女王決定戦阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)を選択する。鞍上は引き続き幸英明が務めた。人気の中心は前走アルテミスS組もしくは有力厩舎所属馬が占め、最内1番を引いたビップデイジーは単勝18.3倍の8番人気。隣の2番にテリオスララが入り、1枠は鈴木夫妻の夫婦対決となった。レースはスタートは出たがそのままポジションを下げ、向こう正面ではイン後方で待機。3コーナーから進出を開始し、4コーナー出口の段階ではダンツエランの後ろでイン中段、全体の9番手の位置にいた。
普通なら内から馬群を割って前を伺う場面だが、ここで鞍上幸は曲芸じみた進路を選択する。右鞭と左手の手綱のみでインから大外近くまで渾身のカニ歩き横移動という2歳牝馬らしからぬ操縦性を披露しつつ、前壁の無い外からゴーサイン。ただし外に出した分のロスも響いたのか、さらに外にいたアルマヴェローチェの差し足に屈して2着。なお3着がテリオスララだったため馬主夫婦でワイド馬券(2着と3着)という珍事例が成立した。
3歳
阪神JF2着の実績により、一気に牝馬クラシックの有力馬となったビップデイジー。牝馬クラシックへはチューリップ賞をステップにして桜花賞を目指すという王道ローテーションを歩むこととなった。
芝1600mは適性距離よりも少々短いと目されてはいたが、実績が買われた結果単勝2.7倍の1番人気に推された。レース前に主戦の幸がゲート練習を行うなどスタートに気を配っていたのが伏線だったのか、今までとは一転して先行でレースを進めた。しかし先行した分末脚が鈍り、直線の伸びが足らず3着。既に賞金面で桜花賞出走可能ラインを超えていたが、優先出走権を確保して前哨戦を終えた。
余談
2戦目の紫菊賞勝利により陣営は彼女にかなり期待をかけたようで、2024年10月25日に締め切られた3歳馬5大特別競走(クラシック競走)の第1回登録で牡馬クラシック3戦を含む全5戦全てに登録していた。[2]
流石に2回目の登録では牡馬クラシック3戦の登録は無く、牝馬路線に絞ったようである。
血統表
サトノダイヤモンド 2013 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*マルペンサ 2006 鹿毛 |
Orpen | Lure | |
Bonita Francita | |||
Marsella | *サザンヘイロー | ||
Riviere | |||
ローズベリル 2015 黒鹿毛 FNo.16-a |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
モルガナイト 2006 黒鹿毛 |
*アグネスデジタル | Crafty Prospector | |
Chancey Squaw | |||
タンザナイト | *サンデーサイレンス | ||
*キャサリーンパー |
クロス:*サンデーサイレンス 3×4(18.75%), Halo 4×5×5(12.50%), Mr. Prospector 4×5(9.38%)
- 母の半兄に東京新聞杯を制したブラックスピネル(父タニノギムレット)
- 祖母モルガナイトの半弟にAJCCと京都記念を制したダンビュライト(父ルーラーシップ)
- 祖母モルガナイトの叔父にジャパンダートダービーを制したアロンダイト(父エルコンドルパサー)
- 同じく祖母モルガナイトのいとこにジャパンダートダービーなど重賞6勝のクリソライト(父ゴールドアリュール)、宝塚記念などGIを2勝したマリアライト(父ディープインパクト)、神戸新聞杯を制したリアファル(父ゼンノロブロイ)、チャンピオンズカップなどGI級を4勝、重賞を6勝したクリソベリル(父ゴールドアリュール)
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
- *デイジーの花言葉は「希望」「平和」「美人」「純潔」
- *2025年第1回クラシック登録で牡馬クラシックに登録のある牝馬はウインクルキセキ(皐月賞)、ミストレス・ラーナローザ(皐月賞・日本ダービー)、エピファランド・エリカアンディーヴ・エリカエクスプレス・サラニキケン・ビップデイジー・レーヌデプレ(全て)の9頭のみである。
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