『ビューティフル ジョー』 (VIEWTIFUL JOE) とは、カプコンより発売されたアクションゲームである。
概要
2003年に第1作目が発売。ジャンルは「VFXアクションゲーム」。
そのジャンル名が示す通り、ステージ名や演出など作品中の所々に映画を題材にした要素が見られる。
第1作目が発売した事により、クローバースタジオの作品として幾つかの続編が製作されたのだが、2007年に同社は解散してしまったので、現在はカプコンに版権がある。
ゲームの内容としては、オーソドックスな横スクロール式のアクションゲームではあるが、本作の最大の特徴は「viewtiful(view + beautiful)」という造語からも解るように、「華麗に魅せる」事にある。従来のゲームと違い、力押しの戦いではなく相手の攻撃を避け、隙を突いて戦うところに重点を置いており、普通に攻めているだけでは敵は殆どダメージが入らないばかりか、怯む事無く攻撃してくるようになっている(ボス戦の場合は、その傾向がより顕著である)。
それ故、ゲームの難易度は決して甘くない上に所謂初見殺しな演出も多いが、繰り返しやり込む事で敵の攻撃パターンを覚え、「魅せる」戦いを演出していけるようになるのが醍醐味の1つでもある。そういった戦い方を実現する事で、それは見た目の美しさ以外にもゲーム中のさまざまなボーナス要素にも繋がる。
作品一覧
登場人物
主要人物
- ジョー / ビューティフルジョー
本シリーズの主人公。映画やヒーローが大好きな青年。シルヴィアが映画の世界へ攫われたのを契機に、映画の中へ入り込んだ彼はキャプテンブルーにVウォッチを譲り受け、正義のヒーロー「ビューティフルジョー」へ変身する事で悪と戦うようになる。ちなみに「ビューティフルジョー」という名前を名直るのはストーリー後半からで、アラストルが散り際にジョーの戦いぶりを「ビューティフル!」と評した事が直接のきっかけで命名へと至るのだが。
パンチ・キックを始めとする格闘戦のみならず、時にブーメランやショッキングピンクなどといった小道具を用いたり、キャプテンブルーから譲り受けた愛機・シックスマシン(シックス魔人)に乗って戦う。
「ピンチの末の逆転ハッピーエンド」をヒーロー映画の醍醐味としていて、強大な敵が相手でも軽快な台詞を飛ばし、悪が蔓延る状況を覆す事を楽しんでいる余裕すら見える。しかし一方、怒ったシルヴィアは何より苦手。
アニメ版の声優は関智一。 - シルヴィア / セクシーシルヴィア
本シリーズのヒロイン。ジョーの幼馴染みにして、ガールフレンド。第1作目では悪者によって映画の中へ攫われた捕われのヒロインであったが、同作のエンディングで捕われのヒロインという役に嫌気が差した挙句、ジョーと同じくVウォッチをもらい、2作目からは「セクシーシルヴィア」へと変身してジョーと共に悪と戦うようになる。
1作目ではゲームクリア後に解禁される隠しキャラという扱い故スピードに優れる反面攻撃力と体力が弱いキャラであったが、2作目からは銃を使って戦うなど、攻撃方法などもジョーと区別されるようになった。
アニメ版の声優は桑谷夏子。 - キャプテンブルー
ジョーが憧れている伝説のヒーロー。パワーアップした敵組織「ジャドー」に敗れ、映画の世界の未来をVウォッチと共にジョーに託す。ジョーをサポートする「シックスマシン」及び「シックス魔人」の本来の持ち主。
(以下、「」内ネタバレ↓)
「その正体は映画の世界へ取り込まれたアクションスター・映画監督にしてシルヴィアの父・ブルーであり、キャプテンブルーの映画では監督兼主演を務めた人物であった。いうなれば映画の中の世界における創造主たる存在であり、ムービーランドや悪役など登場人物達も全ては彼によって生み出された。やがて映画の世界にてヒーローとして活躍していくうちに現実世界への不満が集積し始めた結果、自分自身が悪の大ボス「キングブルー」と成り、自分の娘と若きヒーローを手にかけるという絶望に満ちた映画を作りあげる事で現実世界へ侵攻しようとするも、ビューティフルジョーに敗れ自らの暗黒面から解放される。
その後は映画の中の世界における映画監督として、ジョー・シルヴィア達に冒険の舞台を提供する。」
1作目では最高難易度をクリアした後に解禁される隠しキャラであった。アニメ版の声優は銀河万丈。 - シックスマシン
飛行機型のサポートマシン。元はキャプテンブルーが所有していたが、ジョーの愛機となる。
戦闘の際は、飛行機以外にも様々な形態へ変化し(1作目では飛行機形態のみの登場だが)、最終的には後述の「地球ロボ・シックス魔人」の頭部へ変形・合体する事でシックス魔人と成る事も。
機械ではあるが何故かラーメンが好物で、ラーメン屋台巡りを趣味としている。屋台巡りの最中に突如ジョー達に呼び出される事に少なからず不満があるらしい。
実はゲーム中で開発者自身が声を当てている。無論、唯一の日本人キャスト。 - 地球ロボ・シックス魔人
シックスマシンと同様でキャプテンブルーに譲り受けた、人型の巨大ロボット。ゲームの最終局面でシックスマシンと合体する事で正式に稼動し、スパロボシリーズも裸足で逃げ出す超大スケールの最終決戦を繰り広げる。
ジャドー構成員
- ビアンキー
悪の組織ジャドーの一般戦闘員。所謂ザコ敵。空中戦に特化した戦闘員バーディや、銃撃兵ビアンコビリー、紅一点ロゼッタ、黒ずくめのエリート戦闘員クロマティ、怪力兵ゲルビーなどなど、様々なバージョンが存在。 - ジョーカー
ジャドーの中級戦闘員。出現の際はスロットマシンから登場。ゲーム中では何度もジョーの前に執拗に立ち塞がり、戦闘ではスロットマシンや銃、剣など様々な攻撃パターンを持つ。
こらそこ、タキシード仮面とか言わない。 - ブラックサンダー
ジャドーが所有する戦闘ヘリ。多くのゲーム初心者を苦しめた最初の難関。ビギナーキラー。戦闘ヘリ以外には、戦車やハリアーも所有しているようである。マシンガンやミサイルの他、機内からビアンキーを出動させる事もある。ミサイルを跳ね返し、着弾時にスローを発動するか、気絶状態のビアンキーをぶつけると有効打と成りうる。
ちなみに最初のステージではシャンデリアを破壊するとチーズバーガーが出てくる事を覚えておくと便利。 - 翼翔怪人チャールズⅢ世
ジャドー幹部の1人で、蝙蝠の姿をした1面のボス。空中戦を得意とし、回転体当たりや岩落とし、ブーメランなど様々な攻撃パターンを持ち、最初のボスとはいえ侮れない戦闘能力を誇る。
無闇に攻撃しても小さな蝙蝠に分裂されるので、有効にダメージを与えるには地上へ引きずり下ろすところから。ブーメランなんて邪道です。偉い人にはそれが(ry
アニメ版の声優は小形満。ところでⅢ世って事は、Ⅰ世とⅡ世もいたのだろうか。 - 剛力怪人ハルクダビッドソン
ジャドー幹部の1人。怪力に定評がある、2面のボス。巨大な斧を振るって戦う。キャプテンブルーの右目に傷を付けたのも、彼の得物である。ただしその真相は、ブルーが斧を盗んで遊んでいた拍子に誤って傷を負ってしまったというマヌケなものであったが。
重たい一撃を放ってくるので、上手くかわし隙を突いて戦う事になる。「塊」とプリントされた一張羅がトレードマークだが、ある事情からズボンを履いた事がない。
アニメ版の声優は高瀬右光。 - 頬白怪人グランブルース
ジャドー幹部の1人。鮫の姿をした、3面のボス。水中戦を得意とするので、戦闘では敵を水中へ入れない事が肝心となる。追い詰められると水中へ逃げて体力回復を図るのだが、一見何もしていないように見えても敵のライフゲージをよく見ると回復している!?という展開に驚かされたプレイヤーは少なくない。
その独特のキャラクターや喋り方から、敵キャラながらどこか愛嬌がある。
アニメ版の声優は樫井笙人ズラ。 - アナザージョー
ジョーと全く同じ姿を持つ謎の敵。4面のボス。戦闘でもジョーと同じくVFX能力を用い、分身を使った攻撃や「アナザーシックスマシン」を召喚してくるなどの戦法を取る。その正体は次のステージのボスキャラ・アラストルである。
「いいぜ、かかってきなよ、赤は2人もいらねぇ 負けた方は明日から黄色だ、いいな?」 - 電刃魔神アラストル
5面のボス。雷を操る魔神。本作における、ジョーのライバル的存在。
「Devil May Cry(以下、DMCと表記)」にも同名の悪魔・魔剣が登場するが、設定上は同一人物である。
詳しくは「アラストル」を参照。
アニメ版の声優は三木眞一郎。ちなみに1ではハードモードをクリアすると隠しキャラとしてアラストルが使用でき、こちらでは悪魔の力を発現していない、人間形態のアラストルが見られる(アニメでも登場)。 - 灼熱王ファイヤーレオ
6面のボス。ジャドーの最高幹部。ジョー曰く「火だるまネコ」。初見殺しその2。
常時全身に炎を纏っており、触れただけでダメージを負ってしまう。ジャドーの大ボス故攻略も一筋縄ではいかず、恐らく本作で最も攻略法が解りにくいボスキャラ。ジョーの「俺に触れて火傷するなよ?」がヒントとなっているとは思いもしなかった事だろう。
灼熱の火炎弾や、両腕の鋭い爪を使った格闘戦で戦い、ジョーの攻撃は手甲で防御するなど徹底した強さを誇り、攻略法が解っても撃破は簡単にはいかないため、人によっては「ラスボスよりも強い」という声もある。
ちなみに最終面では「メタルレオ」という量産型ファイヤーレオとでも言うべきザコ敵が登場し、また2では彼の弟「氷烈獣フロストタイガー」がボスキャラとして登場する。
アニメ版の声優は上田陽司。なおアニメに曰く、「俺の炎(の鬣)は、空気ではなく俺自身の魂で燃えている」らしい。 - 全能帝王「キングブルー」
ジャドーの黒幕にして、本作のラスボス。ゲームのOPでキャプテンブルーを破り、シルヴィアを連れ去った張本人でもある。その全貌は、月と同じくらいデカい。
その他
- ダンテ
PS2版ソフト「新たなる希望」に登場。トリッシュ共々、DMCからのゲスト出演。そのため、キャスト(CV)もDMCと同じ声優が担当している(イベント等、一部の台詞を新規に収録している)。
ジョーと違い原作(DMC1)と同様に、銃や剣で戦うためジョー達とは違う戦い方が楽しめるのが大きな特徴。ちなみにVFXゲージが空になると黒ブリーフ一丁の姿になる。
またシックスマシンを持たない代わりに飛行機はDMC1のラストでマレット島から乗ってきた複葉機「カーニバル号」を操縦するのだが、マレット島から帰った後にダンテが独自に改造を加えたのかシックスマシンと同様の武装や攻撃が繰り出せるようになっている。シックス魔人との合体機能が備わっていることにはツッコんではいけない。
ステージ5での、アラストルとの専用会話はDMCファンなら必見である。
PSP版「バトルカーニバル」でも出演。
ゲーム内容
VFXパワー
作品中にてジョーは、Vウォッチに秘められた能力「VFXパワー」を使って敵を倒したり、謎を解いていったりする。
ここでは、その能力について解説する。
- スロー
Vウォッチで変身能力を得ると同時に、最初から使用可能な能力。時の流れを遅くすることで、衝撃が伝わる速度も遅くなり攻撃力が上昇する。気絶した敵などを吹き飛ばす事もできるようになるので、恐らく最も使用頻度の高い能力である。また、能力発動中に攻撃を受けた場合はVFXゲージを一定量消費して攻撃を回避する「Vダッジ」が発動可能。バグか仕様か、地上でマックスピードを併用すれば早く移動できるという利点もある(これは2以降は仕様になった模様)。
仕掛けでは、水流やブースターの噴射などがゆっくりになる事で放射力が強力になったり、プロペラの回転速度を遅くして空中から地上へ下ろす、といった使い道がある。 - マックスピード
時の流れを加速する事で高速移動が可能になる、スローとは真逆の能力。高速状態で攻撃し続ける事で、ジョー自身が体に炎を纏うようになり炎属性のダメージを受けなくなる。また、残像を発生させて遠くの敵や障害物を攻撃・破壊する事も可能。戦闘以外では、プロペラの回転速度を加速して上昇させたり適当な物を殴り続けて残像を発生させる、など。2以降は、ジョー専用の能力となった。 - ズーム
画面がジョーにズームアップする事で、より一層派手な攻撃が発動できるようになる。一例を挙げると、強力な無数の拳を叩き込む「ワンハンドレッドパンチ」、360度のオールレンジ攻撃を繰り出す「ズームキック」、さらには必殺技レッドホットキックをズーム効果で強化した「ドラゴンレッドホットキック」などといったもの。ザコ戦闘からボス戦まであらゆる局面で用いる能力で、さらには謎解きの場面でも頻繁に使用する。
また、発動時のポージングに見とれて一部の敵が動きを止め隙だらけになるという利点も。
ゲームモード
- KIDS / SWEET
ADULTSと同様で最初から選択可能な難易度で、イージーモードに相当。名前は『子供向け』の意。
ライフがADULTSモードの倍(10個)でスタートできるので、初心者はここから始めるといいかもしれない。
もっとも「KIDSでも十分難しすぎる」という意見も少なくなかったようで、リメイク版『リバイバル』及び『新たなる希望』ではKIDS以上に難易度が易しくなった「SWEET」モードが登場した。 - ADULTS
KIDSと同様で最初から選択可能。ノーマルモードに相当。名前は『一般向け』の意。
ノーマルモードとはいえ並みのアクションゲーム以上の高難易度であるため、ボス戦などではやられ続けても挫ける事無く挑み続ける事も要求されるだろう。アクションゲームの腕に自信がある人向け。 - V-RATED
ADULTSをクリア後に解禁される、ハードモード。敵の攻撃力がADULTSモードの2倍になっており、さらに敵の配置が全体的に強化されているため序盤ステージから強敵が出現するようになっている。その上ボス戦ではボスのライフも1.5倍程度まで増加しているため、ADULTSをクリアしたプレイヤーでも手こずらされる事だろう。
やろうと思えば、このモードからゲームを開始してクリアする事も不可能ではない、かもしれない・・・? - 超V-RATED
V-RATEDをクリア後に解禁される、本作の最高難易度。
DMCシリーズの「Dante Must Die」モードを連想させられるという声すら聞かれるだけに難易度は尋常ではなく、ハードモードの要素に加えて受けるダメージはADULTSモードの4倍、ボスのライフはノーマルモードのほぼ2倍、そして最大の特徴として敵の攻撃時に攻撃の合図(ドクロマーク)が表示されない、というものがある。そのため、攻撃を避けるには敵の動きをよく観察しないと、ザコ敵との戦闘ですらもVFX能力にものを言わせてゴリ押し、などという戦法を取らざるを得なくなってしまう(敵の攻撃は、上段と下段でそれぞれ敵ごとに動きなどが異なるので挙動や音をよく見れば(聞けば)ドクロマークに頼らなくても判別は可能)。
そのあまりの超難易度ゆえ、リメイク版『リバイバル』及び『新たなる希望』では超V-RATEDをクリアしないと解禁されない隠しキャラクター・キャプテンブルーを隠しコマンドを入力する事で使用可能にできる、という救済措置が用意されるほどであった。どうせブルーも攻撃の時にドクロマークが出てこないんだけどね。
ついでの知識
- 敵の攻撃を避けるというゲーム内容は「パンチアウト!!」から発想を得たと言われている。そのためか、作品中でも任天堂作品をリスペクトしたような小ネタが随所に見られる。例を挙げると、ジョーがショッキングピンクを発動する際にジョーが口ずさんでいる口笛(ゲームキューブ版のみ)や、最終面の最初の部屋に登場するアイテムを抱えたロボットなど・・・
- またクローバースタジオの作品「大神」でも、ビューティフルジョーをセルフリスぺクトした内容が各所に見られる。こちらの例は道場の師範が技伝授の際にhenshinする演出など(ポーズまで再現されている)。また、イリワク神殿での双魔神との決戦時のイベントでモシレチクが時を止める演出があり、これはジョーの操るVFXパワー「マックスピード」と同種の能力らしい(「大神」サウンドトラックに収録されたコメントより)。
関連動画
ゲーム
アニメ
関連項目
- カプコン
- クローバースタジオ
- Devil May Cry
- アラストル
- 大神
- ヒーロー
- ゲームのタイトル一覧
- ビューティフルジョー2
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