ビリー・カーン(Billy Kane)とは、SNKの格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズに登場するキャラクターである。
概要
初代『餓狼伝説』でラスボス戦前で初登場し、以降のシリーズおよび『THE KING OF FIGHTERS』シリーズに度々出演している。年齢は『餓狼伝説2』の時点で26歳。イギリス出身(『餓狼伝説SP』以降の後付け設定)。戦闘スタイルは棒術で、格闘ゲーム黎明期では珍しかった武器使いの格闘家。
元々はギース・ハワードの経営する工場で働いていた下っ端労働者で、そこで大喧嘩を起こして大人数を鉄パイプでボコボコにしている。この喧嘩強さをギースに買われ、それ以降用心棒として取り立てられた。以後、それを超えた主従関係・信頼関係となり、ハワード・コネクションの実質ナンバー2にまで登りつめた。
棒術はサウスタウンにいた東洋人を師匠として学んだものであるが、その技をすべて習得したのちに、ギースの命令で自ら師匠を葬っている。この師匠殺しは、かつてギース自身もやったものである。
これだけ暴力的なキャラクターながら、趣味が洗濯というほほえましい一面もあったりする。
リリィ・カーンという妹がおり、ビリーにとても大切にされている。一部作品ではプレイヤーキャラとなってビリーばりの棒術を使ったりする。リリィはよりにもよってパンツ男ジョー東といい関係にあるらしく、ビリーのエンディングなどではその進展を阻止しようと奮闘するビリーの姿が出たりもする。
声優は複数いるが、どのビリーも戦闘中はほとんど「イヤーッ!」とか「ヒェーッヘッヘッヘッ!」などと奇声しか上げていないので区別がつけにくい。『KOF2003』からせいじろうが声優となり、「上からくるぞ」とか「せっかくだから選んだ赤い棒」とかネタにされていたが、やっぱりビリーはビリーだった。
『餓狼伝説2』のロンドンステージで使われていた「ロンドンマーチ」はビリーのテーマ曲としても有名。のちの作品でビリーが出てきたときには、アレンジされた同曲がよく使われる。
服装
毎回つけている紅白縞のバンダナがトレードマーク(そのバンダナは妹が自分を養ってくれた兄への感謝のプレゼントとして初めて働いて得たお金で購入したもの)。登場以来ずっとバンダナを取らないキャラだったが、『KOF97』あたりからバンダナを取る勝ちポーズも見せるようになった。ちなみに、バンダナの下は短く刈った金髪だが、一部作品では黒髪だったりする。かつては「バンダナを取らない=実はハゲ」というひどい二次ネタもあった。さらに中国製のCGアニメ『KOF Destiny』では黒髪でなんとも言えない珍妙な髪型に……。
初代『餓狼伝説』『KOF95』では上半身裸でオーバーオール、『餓狼伝説2』『餓狼伝説SP』ではユニオンジャックのシャツにジーパンという衣装であった。『リアルバウト餓狼伝説』以降は禁煙マークの描かれた革ジャンを着用(なお当人はヘビースモーカー)、登場シーンにギターを持ってたりとパンクなイメージが強くなった。
ポスターやステージ間の演出で、ギースのそばに立って護衛しているときにはスーツを着用している姿が見て取れる。それでもバンダナは外さないところにこだわりがある模様。
初代『餓狼伝説』時点では特にギミックのない六角棍であったが、『餓狼伝説2』以降は分離機能・発火装置を備えた三節棍を使用している。銃撃されても折れないくらいには頑丈なようだが、時間切れ負けするとビリー自身が叩き折っていたりするなど強度が安定しない。ほかにも一部必殺技で分裂したりもするなど突っ込みどころが多い。
人間関係
- 上司であり恩人でもあるギース・ハワードには深い忠誠心を抱いており、本来命令されることを嫌うビリーでも、ギースの命令には嬉々として従う。KOFなどに参戦するときも、基本的にギースの差し金である。「ギースの犬」とも呼ばれる。
対ギース戦では、戦闘前にビリーがお辞儀をする演出が入る。
しかし『餓狼伝説SP』の頃は、ギースと戦う時には「アンタと戦えるなんて夢のようだ」、勝つと「アンタの腕も落ちたもんだな」とタメ口のセリフだった。以降の作品とだいぶ人間関係の設定が異なる。 - 『餓狼伝説2』ではギースの仇をとるという名目で、ギースとは異母兄弟の関係にあるヴォルフガング・クラウザーの下で三闘士として登場した。後付け設定だが『餓狼伝説SP』では、実は生きていたギースの指示により、クラウザーの内情を探るためにクラウザーの傘下に入ったということになっている。またこれも後付けになるのだがクラウザーが所有していた「秦の秘伝書」の一つで経絡に関する事が書かれているという「鳳凰の書」を入手せよという指令を受けていたことが『餓狼3』にて明らかになり、クラウザーがテリー達と戦っていたドサクサに紛れ秘伝書を盗みギースのもとに送り届けることに成功、主の負傷の回復に貢献した事で彼はギースの片腕として重用される様になった。
- ギースの敵であるテリー・ボガードとアンディ・ボガードの兄弟は、ビリーにとっても当然敵。ただ、ゲーム中では特別演出などはあまり多くない。
- 『KOF95』でビリー・如月影二・八神庵の3人でライバルチームを結成したが、そのエンディングで特に理由もなく庵にボコボコにされている。このため庵を強く恨んでおり、KOFシリーズで対面すると喧嘩を吹っ掛ける特別演出が入る。ちなみにKOF設定では影二とビリーはどちらも12月25日生まれの28歳なので、二人は同じ日に生まれたことになる(龍虎の拳2の影二はギースと同い年)。
- ギースの息子であるロック・ハワードのことも知っており、ハワード・コネクションの次期当主になってほしいと願っているが、当のロックは非常に嫌がっている。
- 『リアルバウト餓狼SP』では、数名のキャラに性能どころか性格も違う「EXキャラクター」(いわゆる裏キャラ)が存在した。ビリーの場合はギースの死にショックを受けて、精神が壊れてしまった「EXビリー」がおり、勝ち台詞がいずれもおかしくなっていた。棒に「カトリーヌちゃん」という名前を付けていたことがわかるエンディングは必見。
- 『リアルバウト餓狼伝説SP DOMINATED MIND』では、やはりギースの死でできた心のスキマを突かれて、黒幕・ホワイトに洗脳されてしまう。ナイトメア・ギースと戦わせると普通にお辞儀をするので「顔を見た瞬間洗脳が解けた」と突っ込まれる。
おもな必殺技
- 旋風棍
- 棒をグルグルと回す。パンチ連打というコマンドからとっさには出しづらいが、出てしまえば判定の強い技である。ガードさせて削る技としても有用。
- 初代『餓狼伝説』の頃は「旋風飛翔棍」という技名で、グルグル回してから投げ飛ばす飛び道具であった。ただ、棒を飛ばすと怯えながらガードし続ける状態になり、仲間の投げてくれる棒を受け取るまでその情けない姿をさらしていた。
- 棒を受け取るときジャンピングキャッチするのだが、その着地を投げるとまた棒を落とすので、延々とハメられる。
- 三節棍中段打ち
- 三節棍を伸ばして突く技。連続技・牽制技として使われ、シリーズによっては飛び道具と相殺する。後の作品ではヒット後に「火炎三節棍中段打ち」に派生する。
- 雀落とし
- 三節棍中段打ちの対空版。斜め前に三節棍を伸ばす。先読み対空技。
- 攻撃判定が小さく、無敵もないなど性能はいまいちで、技リストから除外されていることもしばしばある。
- 強襲飛翔棍
- 棒高跳びの要領(?)で画面外へとハイジャンプし、相手の頭上から降りかかる技。
- シリーズごとに仕様が少しずつ異なるが、多くは上昇するときにも攻撃判定があり、対空技としても機能することもある。落ちてくる前にレバーの前後で着地地点を変えられ、これによってガードの表裏を惑わすこともできる。下降時のヒット状況によっては追撃も可能。
- 水龍追撃棍・火龍追撃棍
- 『リアルバウト餓狼伝説』の頃から使い始めた当て身技。水龍が上段当て身(対空)、火龍が中段当て身(地上)に相当する。
- KOFシリーズだと水龍が対地に、火龍が対空にと性能が逆になっているが、理由は不明。
- 超火炎旋風棍
- 炎をまとった旋風棍を繰り出し、最後に炎の輪を投げつける。『餓狼SP』の頃からの伝統の超必殺技。攻撃判定が強く、対空や連続技にも使われる切り札。
- 『KOF97』の時は、技の出かかりでビリーが投げられると、出した炎がずっと付いたままになる(攻撃判定付き)バグ技があった。
性能
初登場時はCOM専用で、使用可能になったのは3作目の『餓狼伝説SP』となる。
どの作品でも棒術により通常技・必殺技のリーチが長く、飛び道具をかき消す技もあり、中~遠距離で近寄らせず戦うのが強いキャラクター。ただしバランス調整のためか、棒にも謎の喰らい判定があり、意外と相打ちになったり打ち負けたりすることもある。もちろん、当て身投げでも取られてしまう。
シリーズ通して上位に入る性能だが、対空技の性能が作品ごとにまちまちで、ここに泣かされることも多い。また、無敵のある技に恵まれないことも多く、ノーゲージでの起き上がり・切り返しなどは苦手な傾向にある。
関連動画
関連項目
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