ピカピカとは、2015年生まれの日本の競走馬、現繁殖牝馬である。
概要
ウイニングチケットという馬はみんなご存じだろう。
一人の騎手に、ひとつのレースをプレゼントするために生まれた馬、と言われる競走馬の代表格である。
なかなかダービーを勝てなかった柴田政人騎手に、最高の「勝利のチケット」をプレゼントした物語は、現在も美しく語り継がれている。
それから四捨五入して30年になろうかという2019年、同じくたったひとつのレース、たったひとりの騎手、そしてたったひとりの馬主、たったひとつのコースのために生まれてきたかのような馬が現れた。
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その馬の名は、ピカピカ。そのレースとは、雷光特別。その騎手とは、西田雄一郎。
そんなレースあったっけ、と思うのも無理はない。新潟の1勝クラスである。
西田雄一郎は、アイビスサマーダッシュを2度勝利した千直マイスターとして新潟競馬場ファンには有名である。
ピカピカは、通算成績15戦2勝。繁殖入りを予定している牝馬としてはごく普通の成績である。
しかし、彼女の2勝目がもたらしたのは、間違いなく新潟の千直の伝説であった。
千直大好きミルファーム
ミルファームという法人馬主がいる(個人名義の清水敏名義でも所有している)。
この白地に赤格子の勝負服が新潟競馬場で有名なのは、独自の直線1000mコースに自身の所有馬をすさまじい数出走させるためである。
すさまじいなんてもんじゃない。こんな感じに12頭。ちなみに当該レースは、同一馬主による同一レース出走記録でJRA最多である。ただでさえ同じ勝負服が並ぶのに、新潟直線コースは前からのカメラが多いためゼッケンが見づらく、帽子で区別するしかないがこれも染め分け帽まみれと実況泣かせの馬主である。
牝馬には共通して、おでこにハートマークがついた白いメンコをつけることでも有名。事実上の勝負服扱いをされてグッズまで出ている。
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千直軍団の輝ける星
こんな馬主の元にやってきたピカピカもまた、新潟の千直を走りまくる運命にあった。結論を言えば、通算15戦中6戦が新潟千直である。
新馬戦こそ福島1200m(鞍上岩部純二)だったが、続く未勝利戦2回は共に新潟千直、鞍上も「千直の鬼」西田雄一郎に乗り換えて突破。しかしその後は勝てず、まる2年、1勝クラスをさまようことになる。
その間も、一度カツーラ正樹騎手に乗り換えたこと以外は、西田との名コンビを維持してきた。
西田ピカピカ雷光伝説
2019年雷光特別。新潟1000mの1勝クラス。「ピカピカ」の名を持つ馬と、鞍上西田雄一郎にとってはこれ以上ない舞台である。
レースは中団で進めていたが、残り400mほどで蓋をしていたウインアイルビータが外ラチに向かったのを突いて抜け出し先頭に。2番手のエムオールビーが差し返し、デッドヒートの末ハナ差1着。
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ウィナーズサークルには、ピカピカのゼッケンを頭上に掲げた、ピカピカの西田雄一郎がいた。
このパフォーマンスは2歳未勝利戦を勝ったときにも行っており、西田&ピカピカコンビの鉄板ネタであったようだ。願わくばこのまま定番になってほしかったが…
「石毛厩舎所属ピカピカ西田雄一郎、雷光特別1着」のニュースは、競馬サイトではあまり取り上げられなかったが、Twitterや5ちゃんねる、まとめサイトでは格好のネタにされた。コアなファンの多い新潟千直とはいえ、1勝クラスのレースがここまで注目されたのは前代未聞である(強いて言うならサウンズオブアースの「主な勝ち鞍」・はなみずき賞とか?)。
伝説の後
その伝説から1ヶ月も経たないうちに、ピカピカは西田雄一郎と共に中山競馬場に現れ、カツーラ特別を11着で駆け抜けた。同競走は2勝クラスなので、雷光特別を勝った後にふさわしいレースといえる。
その後は内田博幸を背に福島の会津特別を走ったが、16着とシンガリ負け。競走馬を引退する。3勝クラスには新潟の千直に「稲妻ステークス」があるのだが、自分はともかく主戦と一致しないので諦めたのだろうか。
現在は繁殖牝馬となり、2021年にロゴタイプとの仔を出産した。
繋養先はミルファームなので、産駒もまた新潟の千直を走るのであろう。
鞍上の西田もまた、2020年末、中山のハッピーエンドカップを最後に騎手を引退。2022年より調教師として活躍中である。
今府中や阪神のG1を駆け抜ける若き騎手たちが、その黒いヴェールを脱ぎ捨て、輝きを増したとき。彼らがピカピカの産駒に乗り、新潟の1000mを雷光のごとくに駆け抜ける日が来るのかもしれない。
もしあなたがサイン馬券を買おうとして、「そんなのオカルトじゃん!」と笑われたならば、彼女と鞍上が見せた雷光特別を見せてあげよう。間違いなくサイン馬券はある。そして、これほどみんなが笑顔になれるサイン馬券は他にないだろう。
騎手との名コンビと奇妙な偶然が重なり、秋の新潟に爆笑をもたらしたピカピカ。
血統表
トーセンホマレボシ 2009 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
エヴリウィスパー 1997 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
*クラフティワイフ | Crafty Prospector | ||
Wife Mistress | |||
*ダンゼロゴールド 2002 鹿毛 FNo.13-b |
Danzero 1991 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig |
Razyana | |||
Confidentially | Kaoru Star | ||
Idesa | |||
Minegold 1993 鹿毛 |
Geiger Counter | Mr. Prospector | |
Thong | |||
Ginseng | Luskin Star | ||
Hippety Hop |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)、Kaoru Star 4×5(9.38%)、Mr. Prospector 4×5(9.38%)
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関連項目
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