ピコカキコ:LFOで遊ぶ単語

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ピコカキコ:LFOで遊ぶとは、ピコカキコで音をいじる際に使われるLFO(@L)を使って遊ぶ記事、すなわちこのページのことである。

なお、この記事はピコカキコについてある程度知っている事を前提に書かれている。これからピコカキコを始めてみようとお考えの方は、まずは「ニコニコ大百科:ピコカキコヘルプ」辺りの記事を見ることをお薦めする。

また、FM音源(@14)でLFOを使いたい場合、@Lではなく@MHというコマンドを用いるのだが、@MHに関しては当記事では扱わない。

概要

LFO(Low Frequency Oscillator)とは(ピコカキコを含む)電子音楽において、音の様々な要素を周期的に「揺さぶる」ためのコマンドである。典的な例は、音程を周期的に揺さぶることによるビブラートである。

LFOのコマンド

LFOのコマンドは、[Depth][Width][Form][Delay][Time][Dest]の6つのパラメータで構成されており、以下のように定する。

@L[Depth],[Width],[Form],[Delay],[Time],[Dest]

[Form]以降のパラメータは後ろから省略である(省略した場合、0を定したものとみなされる)。デフォルト値は@L0,0である。また、@Lにはトラックをまたいだ効果はない。

[Dest]=0(音程を揺らす)の場合、それぞれのパラメータを図解すると以下のようになる。

LFO パラメータ

各パラメータの説明は以下のとおりである。

[Dest]

パラメータの順番通りとするならDepthから説明すべきなのだが、Depthの意味はDestの値によって異なる。そのため、まずDestから説明する。

Destは揺らす対定するためのものである。定した値により、揺らす対がそれぞれ以下のようになる。

Destの値 揺らす対
0 音程
1 音量
2 フィルタカットオフ周波数(@FにおけるFrequencyのこと)
詳しくは「ピコカキコ:フィルタで遊ぶ」を参照
3 パルス幅(パルス波である@3のパラメータ、@Wのこと)
詳しくは「ピコカキコ:波形で遊ぶ」を参照
4 FMレベル(音変調のためのパイプから波形を入するコマンドである@I,@Rで用いる)
詳しくは「ピコカキコ:FMで遊ぶ」を参照
5 パン@Pのパラメータ、すなわちステレオの左右への偏り具合)
詳しくは「ピコカキコ:基礎コース(1級)」を参照

Dest定が省略された場合、0が定されたものとみなされ、揺らす対音程となる。

[Depth]

Depthは揺らす大きさを定するためのものである。値が大きいほど大きく揺らし、小さいほど小さく揺らす。では、具体的にどのくらいの大きさで揺れるのだろうか。

[Dest]=0(音程)の場合には[Depth]セントの振幅で周波数を揺らすことになる。すなわち、振幅を半音単位にしたければ、[Depth]=100とすればよい。

[Dest]=1(音量)の場合には、変調度[Depth]/127で振幅変調することになる。
次のグラフ@L[Depth],[Width],0,[Delay],5,1 ([Delay]>0)とした場合のもの(横軸が時間・縦軸が振幅)である。

Dest=1

[Dest]=3(パルス幅)の場合には、デューテ@W[n]に従い、デューテが[n]+[Depth]から[n]-[Depth]の間で変化する。

[Dest]=5(パン)の場合には、パン@P[n]に従い、パンの値が[n]+[Depth]から[n]-[Depth]の間で変化する。

[Width]

Widthは揺らす速さ定するためのものである。

[Width] ticks[Width]/127ではない!)が揺らす周期になる。したがって、Widthの値が小さいほど速く、また値が大きいほど遅く揺らすことになる。さらに、tick数(全音符は384ticks)が基準であることから、テンポが速くなればそれだけ周期も短くなる。

[Form]

Formは揺らす形を定するためのものである。音色に使える波形(「ピコカキコ:波形で遊ぶ」を参照)と同じ波形を使用することができる。波形番号は、波形コマンドの先頭の@を取り除いたものである。ただし、FM音源@14)の波形はLFOに使用できない。

また、波形番号の前に-(マイナス)を付けると、波形の上下が反転する。これは音程の例でいえば、通常ならば高い音程に変化する揺らし方だったものを、マイナスを付けることで低い音程に変化する揺らし方にできるということである。

特筆すべきこととして、波形メモリ音源@13-n)の波形をLFOの波形として使用できる。これにより、ピコカキコにおけるLFOの可性が大きく拡がっている。

Form定が省略された場合、0が定されたものとみなされ、揺らす形が正弦波(@0)となる。

[Delay]

Delayは揺らしはじめる時間を定するためのものである。

音の鳴り始めから[Delay] ticksの間は音を揺らさず、その後から揺らしはじめる。

Delay定が省略された場合、0が定されたものとみなされ、音の鳴り始めから揺らしはじめる。

[Time]

Timeは揺らす回数を定するためのものである。

ただし0を定した場合は特例として、揺らす回数が無限となる(0回ではない)。

Time定が省略された場合、0が定されたものとみなされ、揺らす回数が無限となる。

使用例

音程

ビブラート

11955
ビブラート

@2-1 @E1,2,3,118,6 @L50,32,-2-1,48 X1
@V127 L2 O6 cdefgab<c>

長い音のときはビブラートを掛けると良い感じになる。LFOの最も典的な使用法である。

ピッチベンド

11967
ピッチベンド

@2-1 @E1,2,3,118,6 @L200,24,-0-1,12,1 X1
@V127 L2 O6 cdefgab<c>

上の例では、音の途中で一時的に音程を下げている。

ピッチベンド - 波形メモリ使用

11956
ピッチベンド - 波形メモリ使用

#WAV13 31,00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0A 0B 0C 0D 0E 0F 10 11 12 13 14 15 1617 18 19 1A 1B 1C 1D 1E 1F 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2A 2B 2C 2D 2E 2F 30 3132 33 34 35 36 37 38 39 3A 3B 3C 3D 3E 3F 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 4A 4B 4C 4D 4E 4F 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 5A 5B 5C 5D 5E 5F 60 61 62 63 64 65 66 6768 69 6A 6B 6C 6D 6E 6F 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 7A 7B 7C 7D 7E 7F 80

@2-1 @E1,2,3,118,6 @L200,12,13-31,0,1 X1
@V127 O6 cdefgab<c>

上の例では、音の出だしの部分で音程を下げている。この応用として、波形メモリ音源

#WAV13 n,80 79 78 ... 02 01 00 01 02 ... 78 79 80

のように定義し、音の途中で一回だけ音程を下げるといった使い方も可である。波形メモリ音源定義を変更すれば、自分の好きな形で音程を変化させることができる。

スイープ

11957
スイープ

@3 @E1,0,50,0,0 @L9600,768,2-1,0,1
@V127 O5 c<c<c<c

FC音源におけるスイープを再現するためのテクニック[Width]/4がターゲットとなる音の音長をえないよう定し、Formには2-1(下降の場合)または-2-1(上昇の場合)を定する。スイープの速度Depthの値で調整する。

なお、FlMMLではポルタメントを使ってもほぼ同じことができる。

音量

リングバックトーン

11958
リングバックトーン

@0 @E1,0,0,127,0 Q16 @L108,12,0,0,0,1
@V127 O5 @D35
/:5 @X127 g2 @X0 g1:/

日本電話におけるリングバックトーンを再現したもの。

フィルタカットオフ周波数

まだありません。

パルス幅

デューティ比切替

11960
デューティ比切替

#WAV13 30,FF

@3 @W25 @E1,0,50,0,0 @L25,3,13-30,0,1,3
@V127 O5 cdefgab<c>

デューテ切替のためにLFOを使用した例。

もちろん、@Wパラメータを直接定してもほぼ同じことができる。

FM入力レベル

まだありません。

パン

11959
パン 使用例

@2-1 @E1,0,0,127,0 Q16 @L63,48,2-1,0,0,5
@V127 O6 a1

左右にグワンワン揺れる。

Tips

音の途中でLFO指定を変更する

音の途中でLFO定を変更するためには、音をタイつなぎ、&の直後にLFOコマンドを記述すれば、そのタイミングでそのLFOコマンドが有効になる。たとえば

@L1200,48,-2-1,24 O6 a8& @L50,24,0,96 a2..

のように書いた場合、最初の8分音符の長さだけコマンド@L1200,48,-2-1,24が有効になり、残りの時間はコマンド@L50,24,0,96が有効になる。

なおタイ(またはスラー)とLFOを併用する際、LFOの[Delay]の計算は音の鳴り始めから行われる(例の場合96ticksすなわち最初から数えて4分音符の長さ)のであって、コマンド定時から行われるのではないことに注意する。

@14との組合せによる異音問題

FM音源@14)で@Lを有効にしている場合、休符時に異音が発生することがある。

この問題は最新版のFlMMLでは解消されているのだが、ニコニコ大百科では古いバージョンが採用されているため、この問題が発生する。

回避策としては、休符時にLFOを切る(@L0,0を定する)ことが挙げられる。しかしながら、ポリフニックモードを有効にしている場合など、これでは回避できないケースもある。大百科運営によるバージョンアップが望まれるところである。

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ピコカキコ:LFOで遊ぶ

5 ななしのよっしん
2014/04/05(土) 20:27:32 ID: e8jJxVVqgj
例:音程 その3

タイトル:例:音程 その3

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6 ななしのよっしん
2014/04/05(土) 20:43:56 ID: e8jJxVVqgj
例:音量 その1

タイトル:例:音量 その1

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7 ななしのよっしん
2014/04/05(土) 20:52:41 ID: e8jJxVVqgj
例:パン その1

タイトル:例:パン その1

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8 ななしのよっしん
2014/04/05(土) 21:06:19 ID: e8jJxVVqgj
例:パルス幅 その1

タイトル:例:パルス幅 その1

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9 ななしのよっしん
2014/04/07(月) 00:11:42 ID: e8jJxVVqgj
GBノイズ@11)とGBショートノイズ@12)の波形がLFOで使えないような気がする。このピコカキコLFOのform(7になってるところ)を11や12に変えると、単一周波数の音しか出てこない。

タイトル:FCノイズでFSK

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10 ななしのよっしん
2014/04/07(月) 19:40:36 ID: e8jJxVVqgj
例:音程 その4

タイトル:例:音程 その4

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11 ななしのよっしん
2014/04/07(月) 20:28:18 ID: e8jJxVVqgj
Volume LFO
Volume LFO
タイトル:Volume LFO
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12 ななしのよっしん
2014/08/25(月) 01:00:35 ID: e8jJxVVqgj
きゅんきゅんきゅい!!

タイトル:きゅんきゅんきゅい!!

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13 ななしのよっしん
2015/08/31(月) 22:38:55 ID: ZWGx+fUDDB
この記事の必要性については前々から感じていたので復活させました

リビジョン削除の原因がこの記事自体には関係していないことと、
フォーマットを「ピコカキコ:VCFエンベロープで遊ぶ」や「ピコカキコ:VCAエンベロープで遊ぶ」と同様にしたうえで、掲示板での投稿を取り上げ、LFOの説明をすると削除前とほぼ同じになるということから、
この記事自体は削除前の記事のコピペを多少いじった程度のものです
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14 ななしのよっしん
2015/09/11(金) 20:09:35 ID: EzSzoU5OWF
削除されてからずっと気になってました
ありがとうございます
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